鈴木強の発言 (逓信委員会)

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○鈴木強君 古野さんの歩まれた経歴もよく存じております。私も同盟通信仕の対外放送の一翼をになってやった経験もございます。あなたが電機通信事業に対して佐藤さんも言われるように、民間の立場から相当研究をされておりますので、そういう意味では私は尊敬も信頼もしておりますが、今のお話を承りまして、公社に移行した直後の第一次五カ年計画を出発する当時のあなたの雄大な構想はよく知っておりますが、ただ資金の調達の面で、問題は金ですから、金が一番大事でございますが、しかし五円を十円に値上げしたからそれによって第一次五カ年計画だけで、日本の電機通信事業が国民の満足するところまでやれたかどうかは議論のあるところでありまして、私は大へん失礼ですけれども、たといあのときに当時の料金値上がやれたとしても、とても五年間で百万近い、潜在を含めた積滞と年間四十万近い新規需要を満たすことはとうていできないのでありまして、たとい第一次五カ年計画では達成されないとしても、おそらく四十七年まではかからないと思います。そういう見通しについては多少の見解の相違があると思います。それも一つの方法だと思います。
 で、おっしゃるように電気通信事業というものに対して国民自体が深い理解を持っておらない、国会の中で逓信委員会がその主管になっておるわけでありますが、ここにきている人たちはかなり勉強をしておりますが、何とか早く安直に使えるような方法はないかというので苦労しておるわけでありますが、問題は資金の調達でありまして、第一次五カ年計画が、これはかなり私は成功していると思います。しかし、資金源を見ますと、二千八百億程度の資金のうちで千九百億が自己資金で外部の金が九百億ぐらいしか入ってこない。にもかかわらず当初の目的を達成したということは、やはりそこに公共企業体という制度に切りかえて従業員に対する労働条件の向上、これもあなたの御努力で当時三割の賃金引き上げが調停段階において実現した。ですから、公共企業体に対する、とかく官僚的な考え方を持った諸君も、この公共企業体に移行することによって一つの頭の切りかえをした。ですから、昔は国民の側から見ましても、どうも窓口にすわっている人はお役人的な顔をするとか、何か自分の特権的な考え方で電話を使わしてやるということがありますが、そういうことが思想的に切りかわったことは事実でありましょう。または施策よろしきを得て、従業員等も公共企業体に移行することについてはかなり心配しておりましたが、国家公務員から、はずれて独自の賃金体系というものもできていく。一生懸命働けばそれに見合う労働条件の向上がやられるという現実に立つときに勇気を出して、当時十七万近かったと思います職員が、一致協力して事業遂行のためにがんばってきたと思います。
 今お話の中にありますように、第一点、私は多少細かくなりますが伺いたいのは、公共企業体に切りかえたということは、あなたも御指摘のように、どうも国有国営という官僚組織の中でやられてきておりますから、やる方の側も非常に独善的なところがある。ですからここに公共企業体というものにメスを入れて、民間のいいところをどんどん取って、また国有の、国営のいいところもあるでしょう、ですからそういう点も取り入れてミックスしたもので運営していこう、というのが出発の当時の思想であります。ですから、経営委員会というものを設けたのもそこにあると思います。当初五人がいいのか、あるいは正副総裁を採決権のない経営委員として入れることがいいかどうか、ということが問題になったと思います、国会の中では。しかし、いずれにしても民間からの学識経験者に大いに入っていただいて、ほんとうに根本的な相当な私は待遇をして、ある程度、全部の委員の方々が常勤ということもできないでございましょうが、そのうちで半数ぐらいは常勤をして、かなり高い報酬を私は払ってもいいと思います。そうしてほんとうに民間の経営のいいところを公社経営の中に入れる、という仕組の点で多少当初間違っておると思うのです、私は。それは論議のあるところでありましょうが、今日第二次五カ年計画が明年から三年目に入りますが、一年二年やってきまして、三年目で拡大修正しようというふうに踏み切っておりますが、まあ、どうも公社の連中と付き合っても官僚的なところが強い、こういうお話を聞くのです。まだ、私たちが見ておりましても、どうも公共企業体に切りかわって、本当に経営者陣営の頭に切りかえが本当にされておるのかどうか。率先して十八万の職員の前に立って向こうはち巻でやる態勢があるのかどうか、こういうことになるとかなり疑問があります。もし民営の事業なら社長が八時に出て来て向こうはち巻でがんばるでしょう。精神の入れ方というものはまだまだ私は考えなければならなぬ点があると思うのです。そういうことを一方では指摘できますが、また一面考えてみると、経営のトップに立ってやっていただく人たちを初め職員に対する待遇というものは、公共企業体独自性の上に立ったものではないと思いますね。ですから私たちはそういう裏づけがないから今日まだがまんをしていることもあるんです。本来なら私はもっとシビアに経営者諸君の奮起を促したい。まあ考え方によっては裏づけがないにしても経営をあずかった諸君が、ほんとうに経営に責任を持ってやらなければならないという点もあるでしょう。総体的に見てそういうまだ官僚的色彩が残っておる。ですからここにどうしたら、民間の経営についてあなたのように経験を持たれた方々が中に入っておられるのですから、刷新をして、ほんとうに公共企業体の本質に戻るような、戻るというか、本質に立った上の考え方を持たれて日常業務に精進していただくことができないものかどうか、これはどこに問題があるのでございましょう。
   〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
それから第一次五カ年計画を遂行する過程、それからその成果をわれわれが見る場合に、これは梶井さんでも靱さんでも、私たちはほんとうに銅像くらいは立ててやってもいいと思います。確かに引きぎわは非常にまずかった、だから同情したものですがね。そのくらいの私たちは感謝の気持を国民の一人として持っておるんです。しかし第一次五カ年計画が完成していよいよ第二次五カ年計画に入るときの昭和三十三年ですね、例の公労委員会からの仲裁というものが出まして、従来給与総額によって公社の給与額というものが縛られておりました。その中における予算の流用というものができたわけです。それが禁止されてしまう、そうして千円かわずか千二百円のものがやみだということが新聞に盛んに書かれ、ずいぶんつらい目にあったと思うのです。そういったような公共企業体に見合う労働条件というものもかなりくずれてしまって、御承知のように、交通費なんかも当時一般公務員には支給されておりませんでした。しかし公共企業体の独自性から、たとえ五百円でも公共企業体の職員に交通費を支給しておったことは事実であります。ところが、昨年来一般公務員も交通費を支給されるようになり額も高くなった。上がることはけっこうなんですから、そのことはいいんですから大いに賛成です、給与法に賛成して通したわけでありますが、そういうような状況の中ですから、何かそこに第二次五カ年計画を拡大修正しようという時期にあたって、もう少しその沈滞した職員の空気というものを払拭をして、ほんとうに一体になってやれるような態勢ができないものかどうなのか、こういう点私非常に考えているわけなんです。今度の五カ年計画の拡大修正の裏づけを見ましても、そういう点は見るべきものがございません。ここにわれわれの大きな不満がある。
 それからたとえば制度上の問題で、せっかく民間のいいところと国有のいいところを取りまぜて経営者にも自主性を持たしてやろうというのが出発ですが、そういう思想が最近非常にくずれてきている。あなたも御承知だと思います。公共企業体審議会というものがもう三回持たれております。それぞれ答申を出されております。そうしてもっと独自性を持たせるような方向を勧告しているにかかわらず、政府は私たちが国会で何回質問しましても検討中だ、検討中だということで一向にあり方についてはメスが入っていかない。だから私は今ここで拡大修正に踏み切るからには、そういう一般的条件を上げると同時に、もう少し公共企業体そのものの古い欠陥を是正して、公社法の悪いところを直すような改正案というものをここに出すべきではないか。それは七つくらいに項目をあげて審議会の審議の過程ではございましたが、公社は皆さんと相談をして一つの意思決定をして出しているはずです。それは厳然としてあるはずですね。そういうものが宙に浮いてしまって何もない。しかも一ぺんもその点は取り上げられず、公社の力によって電話をたくさんつけろというような格好におるんですね。ですからあなたのおっしゃるように、ほとんどの金は受益者負担、政府が財政融資から見てくれる金というものはほんとうにこれは百億にも足らないんですから、資金の扱い方についても、あるいはその資金の調達についても、いわば公社の独自性によってやられておる。だから大蔵省や政府があまりつべこべ言わなくても私はいいと思う。ところが金は出さない、監督の方だけは締めていく、こういうような思想が出てきておるんですね。監事制度についても私たちも大いに議論のあるところであったが、公社法一部改正として国会を通っているんです。ああいったものについても客観的に見ると、何かしら公社に対する監督権の強化というものになりはしないかという心配もあるし、また屋上屋を重ねるということになりはしないか。そういう危惧があるのですが、いろいろな要素を見てみるとかなり制約というものが加わってきている。だからそういうものを排除して、まず土台を作ってその上にりっぱな家を建てるという仕組みにならなければ、なかなか拡大修正をしましても、今のような状況の中では十八万人の職員が心を一にしてやるという態勢はできないと、そう私は判断をしておるわけです。ですから経営委員会の中で大へん御苦労をいただいておるわけですが、そういった公社制度上の欠陥について一応お考えを持っておられると思うのです、おそらく。そういう点をこの機会に腹蔵なく率直に、特にこれは事業を直接扱う委員会でございますから、一つ聞かしていただきたいと思うのです。

発言情報

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発言者: 鈴木強

speaker_id: 10501

日付: 1960-03-17

院: 参議院

会議名: 逓信委員会