青木一男の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○青木一男君 次に、会期延長についで、与党だけで安保関係の議案を可決したことは、法律的に何らの疑義をとどめていないということは、先ほど首相からお話の通りだと思います。ただ政治的に妥当であるかどうかということが今日一番問題になっておる点であります。首相は新聞記者との会見において、この点は自分の責任であると述べておられますが、当時ああいう形で議事を進めねばならなかった事情について、首相から率直なるお話を伺いたいと思います。その前に一応私の見るところを述べて、それに対する首相の考えも伺いたいと思います。
 衆議院の安保委員会では二月から四月にわたって審議を行なっております。そのほかに予算委員会における野党の質問も大部分を安保条約の問題に集中しておったようであります。あと参議院の審議を残しておることを考えますと、衆議院としては、あの程度の審議で結論をつけるのを妥当と考えたのは当然であると私も思います。社会党は当初から安保は絶対に通さない、合法、非合法のあらゆる手段を尽くして法案の通過を阻止するという、固い決意のもとに今国会に臨んだことは、公知の事実であります。ここに非合法手段に訴えても阻止するという点に留意を要するのであります。従って、あのあと何ヵ月の審議期間を与えたとて、社会党は満足するものでなく、審議日程の協議に応ぜず、委員会の質疑打ち切りに反対し、委員会及び本会議の採決を実力をもって阻止するという方針であったことは明白であります。そうして実力阻止が警察官の出勤などによって成功しなかった場合には審議をボイコットするということは、やはり当初から一貫した方針であったのであります。民社党は一時審議日程についてゆとりのある態度をとるかにみえたのでありますが、結局、社会党と同一行動をとるようになったのであります。今回の衆議院の安保の採決の妥当か否かを正しく判断するには、まずもってこの社会党の一貫した方針を頭に入れておいて考えねばならないと思います。そうして、もし社会党の主張に屈し、いつまでも質問を継続したならば、国会は無事に済んだかもしれませんが、安保は不成立となったでありましょう。安保反対論者はそれで満足したであろうし、また、初めからそれをねらったのであります。けれども、安保賛成論者、ことに選挙において自民党を支持した絶対多数の国民は、政府と与党のだらしなさを憤激し、内外に信を失墜したでありましょう。政府与党が今国会で安保は通すという既定方針をとらんがためには、一度は社会党の暴力の抵抗を排して、質疑打ち切り、単独採決という経過をたどらざるを得なかったことは、当初から明白であったと言わねばなりません。多くの人の言うように、十九日には会期延長だけを行ない、日を改めて安保の採決をすべきであったという議論は一応首肯できるのであります。しかし、延長だけをきめたあとの国会はどうなったでありましようか。社会党は今回と同じように延長を認めないとして審議を拒否したかもしれません。その場合はやはり単独審議となるのであります。あるいは野党は審議に参加したかもしれませんが、その場合には依然として、質疑打ち切り反対、採決反対に挙党からだを張って委員室や議場の占拠、議長の監禁等、あらゆる暴力に訴えて法案の通過を阻止したでありましょう。このことは社会党の前々から公言した方針に徴して明瞭であります。従って、政府及び自民党が野党の暴力に屈して、本案を断念するか、さもなければ、もう一度警官を入れて暴力を排除し、単独採決を断行するほかなかったことは容易に想像し得ることであります。もし暴力の排除のための警官の導入ということが簡単に行なうことができ、世論もこれを是認するならば、議長も自民党も暁の国会に強行するという非常手段をとらずに、日を改めて堂々と採決したでありましょう。しかし、警察官を国会に入れるということは、清瀬議長が大いにちゅうちょしたごとく、非常の措置であって、そうたびたび行なうべきものではありません。従って、かような非常な措置を再び講じないがために、あの場合、どの道避けがたいと認められた単独採決を行なったのは、好ましくはないが、万やむを得ざる手段であったと私は思います。
 この点は、今日反対論の一番の根拠をなしている点でありますから、首相から、当時のああいう措置のやむを得なかった事情を、本委員会を通じて、広く国民にお話をいただきたいと思います。安保反対論者は、首相がいかに真実を語られても、聞こうとはしないかもしれません。また納得しないでありましょう。しかし、国民の中には、安保に賛成しつつも、あの採決方式に釈然としないものが相当多いと思います。首相としては、少なくもそういう人々には懇切に説明をして、理解を求める責任があると、私は思うのであります。

発言情報

speech_id: 103414961X00419600609_016

発言者: 青木一男

speaker_id: 9880

日付: 1960-06-09

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会