岸信介の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(岸信介君) 解放の問題については、これは民主政治の基本として、最後は解放、総選挙によって主権者たる国民の意思を聞くということ自体に対して、私は理論的に反対すべき理由はないということを申したのであります。これは建前からいってそういうことであります。しかしながら、この場合、この解散すべきであるかどうかという点に関しては、解散の理由はないということを申し、今日もそういうふうに考えております。
その第一の理由は、今、青木委員がお話のように、特に昨年の参議院選挙におきましては、安保条約の問題を具体的な改定の内容の要綱を示して、そうして選挙に臨んでおりますし、また社会党も安保反対ということを選挙の一番大きなスローガンとしてやっております。この結果が私は国民の民意の表われであり、またその後におけるところの補欠選挙等におきましても、常に安保条約が問題にされて、そして選挙が行なわれて、これに対する主権者たる国民の審判が下っておる。これらのことを通観してみて、民意がこの安保の改定ということに対しては、私は圧倒的多数の者が支持されておるという確信に立っておることが第一の理由でございます。
第二の理由は、いかなる場合においても、国会において、一体、国会政治というものを考えてみるというと、国会を解散しなければならない場合においては、いわゆる不信任案が可決されたとき、内閣は総停職をするか解散をするか民意に問う。ところが、いかなる意味においても、院外の威力をもって、圧力をもってそうした解散をする、解散に追い込むというようなことに屈して解放をするという印象を国民に与えるということは、日本の民主政治の将来のために断じてとるべきことではない、しこうして、現状においてはそういう情勢であるがゆえに、またこれは断じてやるべきものではない。かように私は考えておるのであります。私自身といたしましても、今民意がわれわれを支持しているという確信がございますけれども、調印の前にすべきであるかどうかということについては、私は総理として各般の情勢を相当に慎重に考慮をいたしました。しかしながら私は、今申すように、春に、いわゆる一年前に行なわれた参議院の選挙こそ民意の表われとしてわれわれが十分に信頼すべきものであるから、そういう措置をとることは適当でないという決意をいたしたわけであります。
その後におきましては、そういう信念のもとに断じてこの解放をすべきものにあらず、今申しました記者会見、また今日の状況において特に強く考えることは、以上申し上げました二点によって、私は解放すべきものにあらず、かように私は考えております。