青木一男の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○青木一男君 近年外国にも、学生や市民の大衆運動によって政治の変革を求めた例は少なくありませんが、かかる運動の唯一の合理的根拠は、政府が言論を抑圧し、政治上の自由を認めず、真の意味の議会政治が行なわれていない場合の非常手段たる点にあると思うのであります。最も印象的だったのは先年のハンガリーの事件であります。すなわちハンガリーの学生と労働者は、われに自由を与えよという信念によって立ち上がり、その運動は国内を風靡して一時成功し、ナジ政権の成立を見たのでありますが、ソ連の何ヵ月にもわたる大部隊の兵力による徹底的弾圧によって、ついに失敗に帰したのであります。最近の朝鮮やトルコのクーデターも、国民の自由に対する政府の弾圧に反発した点はハンガリーと同様でありましたが、自由主義陣営に属していたがために外国の干渉が行なわれずに成功したのであります。全学連などは、自分たちの運動を朝鮮の学生運動に比し、その成功を夢想して思い上がった行動に出ていると伝えられておりますけれども、日本の心ある国民は、かような民主主義に反する革命的大衆運動には左袒しないのであります。朝鮮やトルコの場合は、政府が、民主主義の要件である国民の自由、ことに政府批判の自由に弾圧を行なったことに対する反抗の手段であり、国の外交方針などに反対したものではありません。このことは、朝鮮の新政府が米韓相互防衛条約の尊重を声明し、トルコの新内閣も北大西洋防衛条約に忠誠を誓ったことからも明白であります。わが国で行なわれたテモは、国民の自由を求める運動ではなく、安保反対という外交政策の転換をねらって政変を企図したものであり、朝鮮やトルコの場合とは全く事情が異なるのであります。全世界のうちで日本ほど国民の自由が無制限広範に保障されておる国は他に例がありません。反国家主義団体であり、自国の運命よりもイデオロギーを重しとし、国旗を捨てて赤旗をかつぎ回っておる共産党すら、わが国では合法政党と認められ、あらゆる政治活動を自由にやっておるのであります。また国立大学の教授が公然と反政府運動の陣頭に立って勝手なことを国民に呼びかけております。新聞も思う存分に政府非難の声をあげておるのであります。かように言論の自由が完全に保障されておる限り、民主主義の要件は維持されておるのでありますから、反対党も、これに同調する国民も、国会を通じ、選挙を通じて政治目的の達成をはかるべきであって、大衆のデモによる政変を企図し、政策の転換をはかるごときは、革命につながる非民主的行動であって、絶対に容認すべきではありません。もし政府がこれに屈服をするようなことがあると、国家の将来に取り返しのつかない禍根を残すことになると思います。岸首相の見解と決意のほどを伺いたいと思います。

発言情報

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発言者: 青木一男

speaker_id: 9880

日付: 1960-06-09

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会