岸信介の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○国務大臣(岸信介君) お話の通り、日本における最近のデモその他院外における行動というものは、全学連あるいは労働組合等のデモやその他の事例を見ますると、日本においては、民主主義の基礎であるところの人間の自由ということは、憲法において保障され、現実において、これはいかなる政府といえどもこれに対して圧力を加えたりあるいはこれを不当に圧迫するというような事態は、全然ないのであります。他の国々の、外国の人々が日本の状況を批判して、日本は世界において最も言論の自由とかすべてのものの自由を享受している国であるとも言う人もありますし、はなはだしきは、自由が過剰なりという皮肉を言う人すらあるが、これだけ私は、民主政治の基礎であり、またわれわれ人類の生活の基礎であるところの自由が確保されているということは、これは日本の国民の十分に認識し、またこれによって日本の国連の進展もはかられ、われわれ国民生活の向上も期せられるわけであります。これをあくまでもわれわれは確保しなければならない。その自由があるいは不当に、集団的な暴力その他において、もしも妨げられるようなことがあり、従来いろいろなデモその他によって、平穏なるべき市民生活が不当に侵されておるというような事態も従来少なくないのであります。こういうことは、私はむしろやはり一つ、自由が一面にあると同時に、その自由は、他人の自由、平和を害さないという良識がこれに伴っていかなければならぬことは言うを待たないことであります。そういうことすら日本の社会の首相としては考えているのであります。従って、こうした状況のもとにおいては、国会政治、国会が、言論の府であり、ここにおいて自由な活発な論議が行なわれて、国民がひとしくこれに対して批判を打つこと、そうして自由公正なる選挙を通じて国会を作っていく、この制度を維持していくことが、私は民主主義の根底であり、いやしくもこれに反して、暴力をもって、あるいは多数の威圧のもとに政変が行なわれ、あるいは政治上の変革が生ずるというようなことがありとするならば、これは民主政治を破壊するものであり、断じてそういう事態を起こしてはならない。私が現状のもとにおいて総辞職もしないし、解散もしないという強い決意を示しているのは、真の自由に基礎を置いたところの民主政治を日本に作り上げようという私の念願にほかならないのであります。

発言情報

speech_id: 103414961X00419600609_023

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1960-06-09

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会