青木一男の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○青木一男君 次に、安保体制を生んだ国際情勢の判断について首相にお伺いします。
 世界が自由主義陣営と共産主後陣営に分かれて深刻なる対立を示しておることは、人類の不幸であります。この世界の現実に処して、わが国の安全と国民の福祉を確保するためとるべき外交方針を決定するには、まずもって、今のような両陣営対立がいかなる原因から発生し、また将来どうなるかということについて、正確なる認識を持つことが必要であります。まず、東西両陣営対立の発生原因について私の見るところを述べて、首相の見解を伺います。
 世界第二次大戦において、日本とドイツを共同の敵として戦った欧米諸国が、戦後二つの陣営に分かれて、世界の緊張を作った動機は、ほかでもない。国際共産主義の世界支配の脅威に対し、自国の安全と、国民の自由と民主主義を守り抜こうとする諸国が、米国を中心として共同防衛の体制を作ったことにあると思います。ソ連の対外政策が、常にマルクス・レーニン主義に立脚しており、共産主義による世界支配がその終局の目標であったことは、世界公知の事実でありまして、政権を担当する実力者の更迭によって少しも変更されておらないのであります。現にフルシチョフ首相は、米国訪問にあたって、共産主義が結局において世界の資本主義を圧倒するということを広言しておるのであります。第二次世界大戦の終結とともに、アメリカは軍事予算を縮減し、大規模な軍縮を行ない、国民経済の運行も平時態勢に戻りました。戦争終結の年である一九四六年の米国の軍事予算、これは国防省予算、対外援助、軍事恩給等を含めた広義の軍事費でありますが、その予算は四百二十一億トルでありましたが、一九四七年には百四十三億ドル、一九四八年には百十七億ドルと、終戦の年の四分の一近くに縮小し、国民をあげて平和の到来を謳歌したのであります。英仏その他の諸国も、大体米国と同じような歩調で、軍事予算を大縮小し、平時体制に復したのであります。しかるにソ連は、戦時に膨張した軍備をそのまま維持したばかりでなく、核兵器とロケット兵器の進歩によって、軍事力の優位確立をめざして国力を傾倒したのであります。そして世界の平和的動向に呼応する気配は少しも見せず、世界共産化政策に基づく長期世界革命方針を堅持し、米国を頂上とする資本主義国に対してスターリン主義の攻勢を展開したのであります。ソ連の予算制度は、自由主義諸国のそれと本質的に異なっておりますから、正確な比較は困難であり、またその数字の真実性については、多くの疑問を持たれておりますけれども、一応その公表されたものに基づき、狭義の直接軍事費をとってみましても、戦争終結の年の一九四六年度の七百三十六億ルーブルの戦時予算に対し、平和回復後の一九四七年及び一九四八年には、いずれも六百六十三億ルーブルを組持し、戦時予算に比し、わずかに一割程度の縮減にとどまりまして、米国の七制五分の縮減とは雲泥の差を示しておるのであります。
 ソ連の力を背景とする世界赤化政策の進行に対し危険を感じ出し、ことにロケット兵器のおくれを感じた米国は、むしろ周章ろうばいして、一九四七年五月、トルーマン大統領の反ソ反共の声明により、新しい世界政策に踏み切り、みずから再び軍事予算を増加して、ソ連に対抗する力を養うとともに、他方、国際的には、一九四七年、中南米二十カ国と全米相互援助条約を結び、一九四九年には、欧州諸国十五ヵ国と北大内洋条約を結び、自由主義諸国間の相互防衛機構によって、いわゆる対ソ封じ込め政策をとるに至ったのであります。一九五七年十二月、パリで開かれたNATOの会議で加盟十五ヵ国は共同の宣言を発表しておりますが、その中でこう言っております。「自由世界は、ソ連の力を背景とする国際共産主義の増大する挑戦に直面しておる。先月、モスクワで共産主義指導者たちは、地下工作により、または武力によって全世界支配の計画を促進する決意を固めたことを明らかにした。しかし、NATOの同盟国は、この世界支配という考え方を容認せず、この脅威には決して屈服しない。」という強い決意を表明したのであります。この考え方は、今日、自由主義諸国の普遍的な国民感情を端的に代表しておるものということができます。
 これらの、戦後十五ヵ年間の米ソ両国のとり来たった政策の差異から総合して、今日、両陣営対立緊張の根本原因は、国際共産主義の世界支配の伝統的野望と、その背景をなすソ連の軍事力増大にあり、米国その他の自由主義国の立場はあくまでも防衛的であり、受け身であると思いますが、首相の認識を伺いたいと思います。

発言情報

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発言者: 青木一男

speaker_id: 9880

日付: 1960-06-09

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会