菅野和太郎の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(菅野和太郎君) 終戦後、日本の経済がこのように躍進してきたということについてのお話、お尋ねがあったように思うのでございますが、終戦後、このように日本の経済が発展したその根本の理由といたしましては、結局、私は人の問題だと考えておりますが、やはり日本人が経済力の点において優秀な素質を持っておったということ、これが原因だと思いますが、その日本人が優秀であったがために、今日、生産技術というものが非常に向上してきて、そのおかげで生産力が増してきた、こういうことが言えると思いますが、しかし、それよりも府にわれわれが忘れてはならないことは、終戦後におけるアメリカの対日援助であったと思うのであります。アメリカがわれわれ日本人の必要とする生活必需品を送ってきたり、あるいは日本の産業の必要とするところの原料を貸して、送ってきたりなどしたことが、そもそもの原因だと思うのでありまして、一例を申し上げますれば、終戦後、日本の産業がいち早く復興したのは、私は日本の紡績業だと思うのであります。この紡績業がいち早く復興したために、従って、これに関連して、いろいろの産業が私は勃興してきたと思うのでありますが、その紡績業を始めるについては、その原料である綿を買う資力はもちろん日本にはありません。幸い、アメリカがその綿花を貸してくれたというところに、日本の紡績業がまた再活動をしてきたのであります。そういう点において、アメリカが日本に対する対日援助ということは、これは、われわれ決して忘れてはならないことだと思うのであります。
そこで、現在、一体、この日本人の生活、衣食住についてどうなっておるかというお話があったと思うのでありますが、昭和三十四年度について、九千万の国民がその生活のために支払った金額は大体六兆六千七百五十億円と計算されておるのでありまして、一人当たり七万二千円ということに相なっておるのであります。この消費水準は、先ほどもお話がありましたが、戦前昭和九年から十一年に比べますと、三二%高い水準と相なっておるのであります。現在も毎年この消費水準は伸びておりまするし、また、今、私の方で国民所得倍増の長期経済計画を立てておりますが、十年後においてはおよそ二倍の消費水準になるのじゃないか、あるいは、二十年後においては三倍の消費水準になるのじゃないかというような計算をいたしておるのであります。そこで、このような消費需要に対しまして、米麦などはもちろん国内の供給力では絶対に不足いたしておりますから、その不足分は輸入いたしておるのであります。そのほか、原綿とか原毛などの多くの原材料を輸入いたしておるのでありまして、結局、わが国九千万の国民が生活するがためには、相当海外からの輸入に待たなければならないという情勢になっております。しからば、国民の生活需要に対してどれだけのものが輸入されておるかと申しますと、パーセンテージから申しますと、大体九%であります。これを金額で申し上げますと、十六億ドルであります。その十六億ドルの中で、消費財として輸入しておるのが五億ドルでありまして、原材料として輸入いたしておるのが十一億ドルということになっておるのであります。こういうような多額の輸入をしなければならぬという経済事情でありますからして、従って、その輸入をまかなうためには、どうしても輸出を奨励しなければならぬということが、日本の経済の実情なのでありまして、幸い、昨年来輸出が非常に増加いたしまして、国際収支が毎月黒字を呈したということは、すなわち、それだけ日本の輸出能力が伸びてきたということであるし、従って、また、それだけ輸入能力も伸びてきたということに相なっておると思うのであります。
なお、今後、しからば、日本の経済がどのように発展するかということにつきましては、国内生産がどのように伸びるかということをまず考えなければならないと思うのでありまして、国内生産がいかに伸びるかということは、これは生産技術がいかに伸びるかということに帰着するのでありまして、その点においては、今度の予算におきましても、科学技術の奨励ということに重点を置きまして、その科学技術の発達によって生産技術の向上をはかり、それによって生産の向上を来たしたい、こう考えております。それから、もう一つ考えられることは、貿易・為替の自由化によりまして、世界の経済交流というものが盛んになる。従いまして、それによって日本の今後における輸出輸入の状況が変わってくると思うのであります。この将来における世界経済の交流がどのように進展するかということによって今後の見通しを立てなければならない、こう考えております。でありますからして、国民所得倍増の長期経済計画は、自民党の政調会で作りました案によりますと、大体十年後には二十二兆四千万円ということになっておりますが、そのうち輸入も大体七十億ないし八十億ドルの輸入をしなければならぬ、輸出も大体七十五億から八十五億ドルの輸出をしなければならぬという計算をいたしておるのでありまして、まあそのような多額の輸出入をすることによって日本の経済をまかなっていきたい、こう考えておる次第であります。