鹿島守之助の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○鹿島守之助君 私は、新安保条約にはぜひとも経済援助並びに協力に関する規定を挿入してもらいたいことを、機会あるごとに、岸総理大臣、藤山外務大臣、自民党の幹部、財界要路の各位に要望していた次第でありますが、今回これが実現せられたことを衷心より喜ぶものであります。ところが、衆議院審議の過程においては、ほとんど経済問題について十分満足な審議が行なわれなかったばかりでなく、また新聞、雑誌、放送、世論等も、はなはだしくこれを軽視するように見受けられますが、まことに遺憾に考えておるものであります。実際この条約が批准せられ、成立した暁には、真に国民の生活を保障し、富の程度を絶えず向上せしめ、社会福祉を増進せしめるものはこの経済規定であるとかたく信ずるものであります。さらにまた、最近ソ連のフルシチョフが平和共存と競争の新しい政策を打ち出して以来、この経済問題は国際政局の上において非常な重要性を帯びてきたのであります。アイゼンハワー大統領のごときも、その重要性を感知することのおそかったことを後悔しておるのであります。すなわち、すでに二年前、アイゼンハワー大統領は、その年頭一般教書において、軍事的抑制力を論じた後に、続いて、われわれに向かって、すでに開始されておる別種の戦争、すなわち共産帝国主義者が自由諸国に対して開始した巨大な経済攻勢について、次のように真剣な意見を述べております。「共産帝国主義政権は、最近ようやく、直接武力に頼って拡張しようとする企てで大きな挫折をなめてきた。その結果、彼らは政治的支配の前提として、特に新しく開発途上にある諸国の経済的浸透に大いに力を集中し始めた。この非軍事的な活動を過小評価するならば、それはわれわれの軍事力にかかわらず、自由世界を打ち負かすことができるであろう。われわれのうちの多くのものがこのことを認めず、あるいは認めようとしないこと、それ自体のゆえに、この危険はいよいよもって強まっている。最初の人工衛星の打ち上げが世界に与えた心理的衝撃を、われわれの大多数が予期していなかったことは認めなければならない。ソビエトの経済攻勢の持つはるかに重大な衝撃を予想しないがために、いま一つの分野で同じあやまちを犯さないことにしよう。」また、それとほぼ同じころ、ニクソン副大統領も、国防における非軍事的要素の重要性について、次のように指摘しております。「共産主義が過去において成果をおさめてきた非軍事的領域での脅威にわれわれが対処できなければ、世界最強の軍事力をもってしても米国の自由は救えないであろう。そして、もしわれわれ米国民が世界の対立に対して近視眼的見解をとり、対外援助を縮小し、互恵貿易をかたわにし、かつ宣伝企画を怠るならば、われわれが、ミサイルや潜水艦や航空機のために使う膨大な金はどぶに捨てるようなものであると、私は諸君に申し上げたい。さらにまた、英国においても、決して経済問題の重要性を看過していないのであります。たとえばイギリスのソ連通ハリー・ウェルトンは、その近著「第三次世界大戦」において、「新なる戦場は貿易と産業」という副題が示しておる通り、フルシチョフの新しい経済宣戦を重視しておるのであります。ソ連の真の意図を正しく把握し、国際共産主義のストと破壊活動使嗾の実態と、その貿易攻勢のからくりを、おそきに失しないうちに的確に認識することの必要を強調しております。彼の見解では、第三次大戦は二つの経済制度をめぐってすでに始まっておるのであり、貿易と産業が戦いの場となっておる。この戦いに破れるならば、イギリスなどの貿易国は直ちに経済的破滅の運命をたどることになると申しております。しかるに、日本においては日本の平和並びに安全を確保する上において、経済問題の重要性があまり感じられていないことは、はなはだしい認識不足と思うのであります。かような見地から、新安保条約前文、第二条並びに岸・アイゼンハワー共同声明に関し、主として経済問題並びにその運用について若干の質疑をいたしたいと存ずるのであります。
 午前中、永野委員からこの経済問題について質疑が行なわれましたが、それは主として国内問題としての経済問題でございますが、私の質疑は、主として国際経済の観点から、国際競争力の観点からお伺いする次第でございますから、主として藤山外務大臣から伺いたい。それで足らぬ分は通産大臣その他の方から承ることができれば幸いと思います。
 まず第一に、日本国の経済協力を規定しておる新安保条約第二条は、NATO北大西洋条約第二条、SEATOすなわち東南アジア集団防衛条約第三条、アメリカ合衆国と中華民国との間の共同防衛条約第三条と全く同趣旨の規定のごとく認められますが、これら諸条約との間に何らかの相違点がありますか。あれば承りたい。

発言情報

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発言者: 鹿島守之助

speaker_id: 11098

日付: 1960-06-10

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会