岸信介の発言 (本会議)

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○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。第一点は、この改正は独禁法に対し大きな例外を設けるものであって、これを骨抜きにするものではないかという御質問であります。言うまでもな、独禁法が日本の産業経済のいわば悪法ともいうべき基本法制であることは、これは言うを待たないのであります。これによって公正なる自由競争というものを確保するという趣旨に出ていることは言うを待ちません。今回提案をいたしました輸出入取引法の改正は、亡れに対して、実際日本の海外における貿易の実情、輸出入の状況を見まするというと、従来も過当競争の弊害がある。これに対する外国からの非難もずいぶんあることは、栗山議員も御承知の通りであります。ことに、貿易自由化に伴って、この過当競争がさらに弊害を生ずるおそれがあるという見地に立って、民間の業者が共同行為によってこの弊害を除去しよう、もちろんそれを無制限に許すものではございませんで、その場合において、消費者や、あるいは農林水産業や、あるいは中小企業等の立場を十分に顧慮して、私どもはこれを認めよう、そうして弊害を除去しよう、こういうことでございます。また、これについて相当な監督をしていかなければならぬことは言うを待たないのでありまして、一般消費者や、あるいは中小企業、農林漁業等の立場を擁護する立場から、相当な監督をしなければなりませんが、それをもって官僚統制の復活であるというふうにごらんになることは、私は実態に当たらない、かように存じます。
 第二は、本法の改正が国際関係から見て何か悪い影響を与えるものじゃないかということでありますが、むしろ、従来日本の海外における非難は、過当競争によってその国の産業秩序を混乱せしめるという点に非難が与えられておるのでありまして、従って、むしろこれによって、輸出入貿易、日本の貿易関係が秩序立ってくるということは、決して海外の関係を悪くするものではなくして、むしろよくするものであると思います。
 第三は、日本の経済と欧米諸国の経済と比べて見るというと、ずいぶん日本の経済には後進性がある。欧米の諸国に比較してまだそこまでいっておらぬ点がたくさんある。こういう際に貿易自由化をやるならば、非常に日本の経済は困りはしないかという点であります。日本の経済全体として、私ども貿易自由化というものを採用するにあたりまして、日本経済の実態がどうあるかということについては、十分われわれとして検討して、その方針をきめているのでありまして、日本の経済をさらに拡大し、国際競争力を強化して、日本の経済を発展せしめるためには、貿易自由化の原則をとることがよろしい。ただ、御指摘のように、日本の産業の構造のうちには、後進性の強いものもございます。これらのものに対して貿易自由化によるところの影響については、十分慎重な考慮をして措置を講ずべきことは当然であると思います。
 過当競争の原因は、要するに供給と有効需要との関係においてアンバランスであることから生じているのだから、この有効需要を拡大するように積極的に努めることの必要があるというお考えに対しましては、私も全然同様に考えております。ただ、その際に、共産圏との貿易を、日本がこれを阻止しているというふうな御意見がございましたが、御承知のように、ソ連との間の貿易については、貿易協定ができまして、漸次拡大してきております。ただ、遺憾なのは、中共との貿易の関係でございますが、これは私の方からこれをやめたということではございませんで、従って、われわれは、そういうイデオロギーの違っているといなとにかかわらず、日本のこの貿易、経済の交流は、いかなる国ともいたす、お互いがお互いの立場を十分尊重し、理解し、これを侵さぬという前提に立って、どことも貿易をしていくつもりでございます。
 貿易自由化が何か後進国との貿易を狭めるおそれがあるというふうな御議論がございますが、私はそうは思いません。日本の経済から申しますというと、全世界の貿易を拡大して、この間における日本の産業の立場を十分強化し拡大していくということが、日本の産業にとって必要であり、そのためには、貿易自由化のこの国際的体制に順応して、日本においても貿易自由化の原則を採用することが適当である、かような見地に立っております。もちろん貿易自由化について、それぞれ慎重なる考慮を払って、各種の産業に及ぼす影響、また、日本産業の特殊性というものを十分考えて、慎重な態度で臨まなければならぬことは、御指摘の通りでありまして、政府としても、そういう考えで進んでいくつもりであります。(拍手)
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 103415254X02119600513_013

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1960-05-13

院: 参議院

会議名: 本会議