本会議

1960-05-13 参議院 全75発言

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会議録情報#0
昭和三十五年五月十三日(金曜日)
   午前十時三十一分開議
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 議事日程 第二十二号
  昭和三十五年五月十三日
   午前十時開議
 第一 輸出入取引法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 第二 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 第三 行政書士法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第四 一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 商工会の組織等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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松野鶴平#1
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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松野鶴平#2
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、日本電信電話公社経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございません。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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松野鶴平#3
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、日本電信電話公社法第十二条第一項の規定により、大和田悌二君、中山素平君を日本電信電話公社経営委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立]
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松野鶴平#4
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって同意することに決しました。
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松野鶴平#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、輸出入取引法の一部を改正する法律案(趣旨説明)、
 本案について国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。池田通商産業大臣。
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#6
○国務大臣(池田勇人君) 輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行輸出入取引法は、昭和二十七年九月、輸出取引法として施行され、その後昭和二十八年八月、輸出入取引法に改正され、さらにその後二回の改正を経て今日に至っております。その間、輸出入取引法は、輸出入取引における秩序の確立についての基本法として、多大の役割を果たして参ったのであります。しかしながら、最近における世界貿易の情勢を見ますと、諸外国においては依然としてわが国の一部の商品の無秩序な進出が問題とされ、差別的な対日輸入制限はいまだ撤廃されておりません。従って、輸出取引秩序の確立のための施策がますます強く要請されているのであります。さらに、今後わが国の貿易の自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入の過当競争の激化が予想され、その対策を整備する必要に追られますとともに、後進諸国との貿易促進のためには、これらの物資の買付を民間の協調体制のもとに進める必要性も増大して参っております。これらの諸情勢に即応いたしまして、この改正案を提案した次第であります。
 次に、改正の主要点につきまして御説明いたします。
 第一は、輸出貨物の国内取引に関する生産業者または販売業者に対する政府規制の規定の新設であります。現行輸出入取引法におきましては、輸出業者の協定の場合とは異なりまして、生産業者または販売業者の輸出貨物の国内取引に関する協定につきましては、アウトサイダー規制を行なう規定を欠いておりますが、過当競争の原因が国内の生産または販売の分野に存する場合には、必要に応じ生産業者または販売業者の協定につきましてもアウトサイダー規制を行なうことができるように改正し、輸出の過当競争防止につき万全を期せんとするものであります。
 第二は、輸入貨物の国内取引における購入に関する事項についての需要者または販売業者の協定の規定の新設であります。現行輸出入取引法におきましては、輸入取引における過当競争による高値買い等の弊害を除去するために、輸入業者の段階において協定その他の共同行為を行なうことが認められております。わが国の輸入取引におきましては、国内の需要者または販売業者が輸入取引の内容を実質的に左右している場合が多く見られる実情にかんがみまして、輸入業者による共同行為によって過当競争等による弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な制限のもとにおいてではありますが、需要者または販売業者が輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると考えまして、この点に関する規定を設けました。
 第三は、輸出入調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定の規定の新設であります。従来、後進国との貿易においては、外貨資金割当制度によってある程度割高な物資の買付を行なって、わが国の商品の輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易の自由化の進展に伴い、政府においてかかる措置をとることは次第に不可能となりつつあります。今後は貿易業者間の自主的な話し合いにより後進国との貿易の維持拡大をはかることが必要でありますので、輸出入の調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定に関する規定を設けることといたしました。
 第四は、貿易連合の制度の創設であります。貿易商社が連合して貿易取引を行なうということは、貿易取引の秩序の確立という観点からも、また特に中小商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の目的を達成することが困難と考えられますので、今回、連合して貿易取引を得なう貿易業者に、貿易連合という名のもとに新たに法人格を付与し、その助長をはかることとし、所要の規定を設けることといたしました。
 右のほか、今回の改正案におきましては、輸入組合の設立を容易にすること、輸出組合、輸入組合等の事業内容を明確にし、非出資組合を非課税法人にすること等若干の改正を行なうことといたしております。
 以上の改正によりまして関係業界の協力と相待って、貿易の秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたす次第であります。
 以上が輸出入取引法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。拍手
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松野鶴平#7
○議長(松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。栗山良夫君。
   〔栗山良夫君登壇、拍手〕
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栗山良夫#8
○栗山良夫君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました輸出入取引法の一部改正案につきまして、非常に強い不満を表明するものであります。そこで、わが党が不満とする理由をあげ、首相以下関係閣僚の反省を促しながら、その所信をただしたいと思うのであります。
 まず第一に、本案は貿易の自由化に名をかりた独占禁止法の間接的骨抜き法であるということであります。現行の独占禁止法案は、申すまでもなく、戦時中の経済統制の弊害を除去し、また経済力の過度集中を排除して、日本経済を民主化する、言いかえれば、官僚及び大資本の経済支配の弊を改める目的のために、連合軍の指導によってきたものであります。しかも、今日といえども、その必要性、重要性はいささかも後退をいたしていないのであります。国際的経済慣行は、国際通貨基金やガット等の動きが示しておりまする通りに、独占排除の建前でありまして、一九五八年のガット総会におけるカルテル非難決議など、その事実を物語っているわけであります。ところが、わが国の現行の貿易・為替政策は、戦後の経済に残された最大唯一の統制経済であることは、万人これを認めるところでありまするが、このたび自由化に名をかりて、本改正案によるカルテル行為を容認強化して、経済独占の強化を許しつつ、一方、政府はカルテル行為に対する認可権を握り、個々の経済行為に対する官僚統制の強加温存を策するものであるといわなければならぬのであります。かくて二重構造に悩むわが国の産業経済に一段と苦悩を加重するものでありまして、中小企業や農林水産業及び多くの勤労者の受ける犠牲は、はかり知れざるものがあるのであります。春秋の筆法をもっていたしますれば、暴力の追放を口にする総理大臣が、姿なき暴力を国民経済の上に加えるものであるといわなけれぱならぬのであります。その点に対し、首相及び経済企画庁長官の明快な答弁を求めます。
 第二に、本法により独占禁止法が間接的に骨抜きになることに対し、公正取引委員会及び首相の見解をただすものであります。昭和二十二年独占禁止法制定以来、執拠に政府に圧力をかけ続けて参りました大資本の本法骨抜き運動に対しまして、貿易の自由化は巧みにそのチャンスを与えたものというべきでありましょう。昭和二十七年独占禁止法の第一回の改正に成功しながら、自来なおあきたらず、三回にわたって法の改正を行ない、あまつさえ、さらに三十及び三十一国会に改正提案を試みて失敗、審議未了、廃案となっているのであります。この経過より見れば、本改正案の提出は、貿易の自由化のために偶発的に起きた問題ではなく、政府と大資本とが虎視たんたんとしてねらっていたそのチャンスに貿易自由化が利用されたにすぎないのであります。独禁法の番人であるところの公正取引委員会は、この明白なる事実に対し、法の番人としての権威を保持するのか、政府の召使となるのか、財界のしもべとなり下がるのか、重要な関頭に立っているわけであります。公正取引委員長がこうべをたれるべき相手は、憲法であり、独占禁止法でなければなりません。この経済秩序維持に関する最高責任者として、公正取引委員長は、その権威を守るために、本議場を通じて国民にその信念を表明せられるべきであると思うのであります。なお、かかる政策の遂行は、欧米先進国に対し、通商上非常な悪影響を与えるものと考えられるのであります。ガット三十五条の援用、対日商品に対する高関税、輸入品のボイコット、MSA協定やココムの制限などの通商上の差別制度の撤廃交渉に非常な不利益を来たすのではないか。首相及び外相の率直なる答弁を求めるものであります。
 第三に、政府は、わが国経済の国際的地位をどのように理解されているかという点であります。政府の経済的動向を注視しておりますると、神武景気、岩戸景気と称して、若干の好景気に目を奪われているありさまは、まさにわが国経済が欧米先進国と同格的の地位を確立しているかのごとき錯覚に陥っているのではないかと憂えるのであります。たとえば欧米先進国に比較いたしまして、一人当たり国民所得の低さ、賃金、雇用その他の労働諸条件の貧しさ、技術革新のおくれ、中小企業と大企業との質量両面よりする格差の拡大、農水産業の生産性の低さ、資源の乏しさ等々、数字をあげる時間的余裕を持ちませんが、何人もこの事実を否定し得る人はないはずであります。若干の大企業や、その系列企業の繁栄に目を奪われて、労働基準法すら守り得ないで骨身を削っている多数国民の存することを忘れることは許されないのであります。わが国経済は、このような分析からいたしますれば、欧米先進国に比較して多分に後進性を内包するいわば中進国的地位にあると申すべきでありましょう。政府の認識のほどを伺うものであります。また従って、貿易政策自体も欧米先進国とはおのずから異なった主体的立場をとるべきであると思います。十九世紀の後半、当時の後進国ドイツが、先進国イギリスの自由貿易政策に追従せず、自国産業保護の政策をとった故知に学ぶまでもなく、国際的にも、国内的にも、自主性のある独自の政策、スケジュールを必要とするのであります。かくて国内に残る後進性の強い部分を先進国並みに引き上げる努力が何ものにも優先してとらるべきであります。国内の諸事情を無視して外国の要請に無準備のまま即応するがごときは、厳に戒しむべきであります。ことに、新日米安保条約に規定をいたしました日米経済提携の実体がかくのごときものであるといたしますならば、国民の失望は想像を越えるものがありましょう。首相及び企画庁長官の所信を伺いたいのであります。
 第四に、本法案提出のおもな理由を、自由化に伴う過当競争の激化に備えることとしておりまするが、このような消極的な施策では弊害のみが多く、実効をあげ得ないということであります。今日、日本経済に過当競争の悩みがあり、自由化によってさらにその悩みが加重せられるであろうその最大の理由は、生産の増強拡大に伴う内外を通じての有効需要の開拓に対してとるべき施策が欠けているところにあるのであります。特に、経済ブロックを有しないわが国が、みずから求めて中国を初め共産圏貿易を遮断して、市場を縮めて顧みるところなく、また自由化によりますます後進国貿易を後退せしめる等、弾力性を欠く態度は国民の理解し得ないところであります。特に欧米先進国に対し、中進国日本としては、ガット三十五条の援用、先ほど申し上げました対日商品に対する高関税、輸入品のボイコット等の差別制度の撤廃を強力に迫るべきでありましょう。と同時に、共産圏貿易を制限しておりまするMSA協定、ココムの制限等の撤廃につきましても、同様に努力をいたすべきであります。要するに、過当競争の排除は、本法による消極的なカルテル政策によるべきではなく、内外に広く有効需要を求める積極的かつ強力なる施策を展開すべきであると思うのであります。首相、通産及び経済企画庁長官等の関係閣僚の責任ある答弁を求めるものであります。
 第五に、政府の強行しようとする貿易の自由化は、まだ正式に発表いたしませんが、三カ年九〇%というのであります。外部より求められるままに、その輪郭を示したにすぎないのであります。何ら具体的なスケジュールを持たない突然かつ無準備の行政として、本年一月以来世論の激しい非難を受けているのであります。申すまでもなく、貿易の自由化は、本来、資本主義の合理性を貫くものでありまするから、均斉のとれた経済力の強大なる国が利益をし、しからざるものが不利益をこうむることは、理の当然であります。だからこそ、その理論の上に立ってわが国の中進国的経済の実情を確認しながら、互恵平等の原則に立って国際交易を発展させること、言いかえれば、この線で貿易の自由化を進めることは、わが日本社会党も賛成をいたしておるのであります。しかるに、この重要な問題についてその認識を欠き、慎重な配慮なく、無計画に自由化に暴走することによって、中小企業や日本農業等に深刻な打撃を与えることは、私どもの断じて容認し得ないところであります。一部大資本繁栄の明日は約束されるかもしれませんが、結局、国民経済に不安と動揺を与えるからであります。
 そこで、若干の点に触れて具体的にお尋ねをいたしますので、大蔵、通産、農林の各閣僚より順次御答弁を願います。
 (一)政府がすでに明らかにした自由化実施の輪郭、すなわち三カ年九〇%の自由化計画は、無理をしてでもそのまま実行に移す所存であるかどうかということ、また、自由化をしない一〇%とはいかなる品目であるかという点であります。
 (二)石炭、石油、非鉄金属、一部工作機械、車両、新興化学製品、農水産物等、企業の体質改善に努めましても、なお三カ年間にはとうてい国際競争力を保持し得ないとされておりまするものについても、自由化を強行するのか、あるいはまた、一部取りやめることがあり得るのか。また、強行するとすればその場合、犠牲産業に対する保護政策は一体どうなるのか。特に中小企業の近代化を通じての国際競争力確保のための具体策はどうなるのか。
 (三)現在輸入禁止品目でありまする不要不急品、奢侈品の輸入許可にあたりまして、外貨予定五百万ドルに対し、七千五百件、七千万ドルに及ぶものすごい競争でありまするが、今後輸入業者のワク拡張運動に屈してこれを拡大することは絶対にないかどうか。また、明治以来の宗教的な伝統にもなっておりまする舶来品崇拝思想の一掃に対する施策は一体どうなっているのか。国産品愛用運動はどうして展開を一するのか。なお、この種の品目の中には、特定物資同様に不当利得を予見せられるものがありまするが、これに対していかなる措置をとろうとしておるのか。
 (四)特定物資、たとえばバナナ、パイ罐、時計等、あるいはまた、特定物資ではありませんが、いわゆるマル特扱いとなっておりまする韓国ノリ、雑豆等、現に不当利得を生じておるものに対する具体的な措置は一体どうするのか。輸入禁止立法を行なう用意ありと報道せられておりますが、真偽のほどを伺いたいのであります。
 (五)結局、自由化に伴う劣位産業の保護は、関税制度によるべきであると思いますが、一体どうするおつもりであるのか。現行の関税制度は明治四十三年の分類そのままで、九百四十余品目となっており、はなはだ不十分であります。アメリカの三千五百、スイスの五千九百等に比較いたしますれば、きめのこまかい保護関税は行ない得ないのではないか。また、五八年の実績によりまするというと、輸入総額に対する関税額の比率は、イタリアの三五・六%、イギリスの二九・六%に比較いたしまして、日本は最低三・六%であります。欧米先進国に対して最低なのであります。かくて、貿易政策の推進上、関税制度の改正は焦眉の急を要する問題でありまするが、その用意ありゃいなや。また、用意ありとすれば、今国会に提出を約束し得るかどうか。この点であります。
 (六)農林大臣は衆議院において農林漁業者には不利益を来たさないことを確信すると述べられましたが、世論、特に農林水産業の当事者は、大豆の例のごとく甚大なる不利益をこうむるものとして政府に迫っているのであります。自由化をすれば現実に不利益をこうむる農林水産業に不利益を与えない具体策とは、一体どういうものでありますか。農林水産業については自由化をしないと理解してよろしいのか。
 以上六点にわたり、歯に衣を着せない率直な答弁を求めるものであります。
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松野鶴平#9
○議長(松野鶴平君) 時間が超過しました。
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栗山良夫#10
○栗山良夫君 最後に本改正案の内容について総括的に批判をいたしますと、第一には、輸入カルテルを容認することは、形式的には輸入を自由化しますが、実質的には輸入制限を行なうこととなりまして、自由化の内容をゼロとするばかりでなく、国内的には不自由化政策を多数国民に押しつけ、再び財閥育成の道を開くことと相なるのであります。二には、自由化により、安い貨物が輸入せられ、日本経済に利益するとの宣伝でありまするが、この利益はカルテル行為を行なう業者の窓口にとどめられまして、中小企業者や農漁民は、依然として割高原料の供給を受けることとなり、反面、彼らの製品は、採算を無視して国際価格まで引き下げを強要せられ、今日以上に原料高、製品安のため、深刻な打撃を受けるのであります。
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松野鶴平#11
○議長(松野鶴平君) 時間が超過しました。
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栗山良夫#12
○栗山良夫君 三には、需要者カルテルの行為により、従来外貨の割当により行なわれた生産調整が、間接的に本法の発動によって生産調整を行なうこととなり、独占禁止法の分野を侵す不当な行為となるということであります。経済の民主化に弓を引くおそれがあるこれらの点につきまして政府は国民に対して何と弁明し、了解を求めようとするのか、伺いたいのであります。
 要するに、外国の要請による自由化、無準備、無計画の自由化、日本の主体的立場を忘れた自由化のために、日本経済に与える不利益を、国内的にカルテルによる不自由化政策で補完しようとするところに無理を生じているのであります。そうしてこの結果、大資本に奉仕し、財閥を育成し、国民経済の民主化に反する日本経済の戦前復元政策と見なければならないのであります。政府の誠実なる反省を求めて、私の質問を終わるものであります。拍手
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手]
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岸信介#13
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。第一点は、この改正は独禁法に対し大きな例外を設けるものであって、これを骨抜きにするものではないかという御質問であります。言うまでもな、独禁法が日本の産業経済のいわば悪法ともいうべき基本法制であることは、これは言うを待たないのであります。これによって公正なる自由競争というものを確保するという趣旨に出ていることは言うを待ちません。今回提案をいたしました輸出入取引法の改正は、亡れに対して、実際日本の海外における貿易の実情、輸出入の状況を見まするというと、従来も過当競争の弊害がある。これに対する外国からの非難もずいぶんあることは、栗山議員も御承知の通りであります。ことに、貿易自由化に伴って、この過当競争がさらに弊害を生ずるおそれがあるという見地に立って、民間の業者が共同行為によってこの弊害を除去しよう、もちろんそれを無制限に許すものではございませんで、その場合において、消費者や、あるいは農林水産業や、あるいは中小企業等の立場を十分に顧慮して、私どもはこれを認めよう、そうして弊害を除去しよう、こういうことでございます。また、これについて相当な監督をしていかなければならぬことは言うを待たないのでありまして、一般消費者や、あるいは中小企業、農林漁業等の立場を擁護する立場から、相当な監督をしなければなりませんが、それをもって官僚統制の復活であるというふうにごらんになることは、私は実態に当たらない、かように存じます。
 第二は、本法の改正が国際関係から見て何か悪い影響を与えるものじゃないかということでありますが、むしろ、従来日本の海外における非難は、過当競争によってその国の産業秩序を混乱せしめるという点に非難が与えられておるのでありまして、従って、むしろこれによって、輸出入貿易、日本の貿易関係が秩序立ってくるということは、決して海外の関係を悪くするものではなくして、むしろよくするものであると思います。
 第三は、日本の経済と欧米諸国の経済と比べて見るというと、ずいぶん日本の経済には後進性がある。欧米の諸国に比較してまだそこまでいっておらぬ点がたくさんある。こういう際に貿易自由化をやるならば、非常に日本の経済は困りはしないかという点であります。日本の経済全体として、私ども貿易自由化というものを採用するにあたりまして、日本経済の実態がどうあるかということについては、十分われわれとして検討して、その方針をきめているのでありまして、日本の経済をさらに拡大し、国際競争力を強化して、日本の経済を発展せしめるためには、貿易自由化の原則をとることがよろしい。ただ、御指摘のように、日本の産業の構造のうちには、後進性の強いものもございます。これらのものに対して貿易自由化によるところの影響については、十分慎重な考慮をして措置を講ずべきことは当然であると思います。
 過当競争の原因は、要するに供給と有効需要との関係においてアンバランスであることから生じているのだから、この有効需要を拡大するように積極的に努めることの必要があるというお考えに対しましては、私も全然同様に考えております。ただ、その際に、共産圏との貿易を、日本がこれを阻止しているというふうな御意見がございましたが、御承知のように、ソ連との間の貿易については、貿易協定ができまして、漸次拡大してきております。ただ、遺憾なのは、中共との貿易の関係でございますが、これは私の方からこれをやめたということではございませんで、従って、われわれは、そういうイデオロギーの違っているといなとにかかわらず、日本のこの貿易、経済の交流は、いかなる国ともいたす、お互いがお互いの立場を十分尊重し、理解し、これを侵さぬという前提に立って、どことも貿易をしていくつもりでございます。
 貿易自由化が何か後進国との貿易を狭めるおそれがあるというふうな御議論がございますが、私はそうは思いません。日本の経済から申しますというと、全世界の貿易を拡大して、この間における日本の産業の立場を十分強化し拡大していくということが、日本の産業にとって必要であり、そのためには、貿易自由化のこの国際的体制に順応して、日本においても貿易自由化の原則を採用することが適当である、かような見地に立っております。もちろん貿易自由化について、それぞれ慎重なる考慮を払って、各種の産業に及ぼす影響、また、日本産業の特殊性というものを十分考えて、慎重な態度で臨まなければならぬことは、御指摘の通りでありまして、政府としても、そういう考えで進んでいくつもりであります。拍手
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
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菅野和太郎#14
○国務大臣(菅野和太郎君) 総理大臣と私との二人に対する御質問につきましては、ただいま総理大臣からお答えがありましたので、私も総理大臣と同意見であります。
 なお、貿易・為替の自由化について、三年間で九〇%の実現は困難じゃないかというような御意見があったようでありますが、これは、政府として三年間に九〇%ということをきめたのではありません。去る一月十二日に貿易・為替の自由化の促進閣僚会議におきまして、貿易自由化を急速にやるということを決定いたしたのであります。そこで、急速とは大体目標はどんな目標であるかという御質問がありましたから、大体三年間で九〇%をやりたいという私の希望を申し上げたのでありまして、従いまして、目下各省においてこの具体策を検討中でありまして、本月末までに大体スケジュールを作ります。それによって何年間に何パーセントということが大体決定されるのであります。従いまして、三年間九〇%というのは、まだ政府の決定でありませんから、さよう御了承を願いたいと思うのであります。
 なお、無計画にやっているじゃないかというお話がありましたが、決して無計画ではありません。政府といたしましては、各省におきまして目下具体策を検討中でありまして、その各省においてきめました具体策を総合いたしまして、今月末までにスケジュールを作って、そうして初めて計画的な発表をいたしたいと、こう存じておる次第であります。
 それから農林大臣に対しての御質問がありましたから、かわってお答えいたしますが、貿易・為替の自由化によって、農産物などに対して影響を与えるからして、農民あるいは水産業者に不利益をきたすのじゃないかというようなお話があったように思いますか、この貿易・為替の自由化によって、農業あるいは水産業に対しては打撃を与えない具体策を今考究中であります。たとえば大豆のお話がありましたが、大豆でありますると、平均手取り価格をもって農民から大豆を買い上げていくということについて、目下具体策を考究いたしておるのでありますからして、貿易・為替の自由化によって、農林あるいは水産業に対しては大体打撃を与えないという方針で、こり具体策を考究中なのであります。拍手
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
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藤山愛一郎#15
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御答弁申し上げます。
 ただいま栗山議員が御指摘になりましたように、一九五八年ガットにおきましては、国際的制限的商慣行の弊害に関する決議が成立いたしております。ただこのガットの決議は、国際・カルテルが貿易の発展を阻害し、関係諸国の経済発展に有害な影響を与える場合について非難しているものでございます。また同時に、各国の反カルテル法制も、貿易通商の円滑なる拡大を目標とする規定まで排除しておるものではないのでありまして、今回の輸出入取引法の改正は、従来とかく過当競争に陥っておりましたわが国貿易取引の秩序を確立するものでありますから、この規定に反するものではないと思っております。
 また、お話のように、ガットやコロムの緩和を通じて海外有効需要の開拓をはかるべきことは、これは当然のことでございまして、われわれといたしましても最善の努力をして参りたいと思っております。
 なお、ガット三十五条援用撤回の問題でございます。御承知の通り、今日三十五条を援用している国は十四カ国に及んでいるのでございまして、われわれとしてまことに遺憾な次第でございます」が、しかしながら、これは日本炉ガット関係に入ることによりまして、戦前のごとく、日本商品がこれらの国の市場に再びはんらんするのではないかという危惧の念から、三十五条の援用をいたしておるのでございます。そうでございますから、今回のような貿易秩序の確立をはかって参りますことは、この三十五条援用撤回に対する非常に大きな根本的な基底をなすものと考えるのでございますが、われわれといたしましても、ガット加盟国の多数で為ります十四ヵ国というような国が三十五条を援用しておりますことは、ガットの運営を阻害するものでありますし、またガッド全体としても重大な関心を持たなければならぬ問題であることは当然でございます。従いまして今日までガット匡おいて、それらの問題について日本の立場を明らかにして参りますと同時に、今日ジューネーブに行なわれておりますガットの総会等におきましても、議題としてこれを取り上げて、ただいま討議をいたすように進めているのでございます。また、個別的にこれらの国々に対して援用撤回を求める説明をいたしますことは当然で摩りますが、同時に通商航海条約もしくは貿易協定等を締結いたします場合に、それらの点について十分説明をいたしてきておるのでございましてさきに豪州等が期限付きで援用撤回をいたしたのでありますが、数日前に締結いたしましたマラヤとの通商協定におきましては、ガット三十五条援用撤回を承諾いたしたのでございまして、十四カ国がこれで十三カ国になったわけでございますが、できるだけ今後ともそういう両様の線によりまして努力して参りたいと存じております。拍手
   〔国務大臣海田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#16
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 今回の為替・貿易の自由化は、日本経済の運営を正常化し、また経済基盤を拡大して競争力を強め、国際貿易を拡大するための手段でございまして自由化自体が目的ではございません。日本経済をより高め、国内の消費に、もっといいものを安く、たくさん生産するということの手段でございます。従いまして、具体的に御質問のありました点につきましてお答え申し上げまするが、総理大臣あるいは菅野経済企画庁長官のおっしゃるごとく、決して無計画ではやっておりません。対ドル地域に対しまする十品目の制限撤廃も計画的にやっておるのであります。また、経済の育成のための手段でございますから、無理をして経済をこわしてもいかぬことは理の当然でございます。従いましてお話の石炭、石油、非鉄金属、工作機械につきまして簡単に申し上げますると、御承知の通り、石炭の合理化法は三十八年度を目標にしておるのであります。重油ボイラー規制法も三十八年の十一月でございます。これは三年以内では石炭の状況は自由化できません。原料炭は、外国のそれと日本のそれとはトン当り二千五百円違っておるのであります。千二百円下げたってこれが競争できるはずがございませんから、これは三年以内ではできませんということをはっきり申し上げます。石油につきましては事情が違いまするが、石炭との関係がございますから、今いつとは申し上げられません。これはお考えを願いたいと思います。次に、非鉄金属、いろいろな種類がございますが、今年の一月から銅合金くずは自由化いたしました。しかし、故銅、いわゆる銅につきましては、六、七万の鉱山に働いておる人々のことを考えなければなりません。しかも、また日本の銅粗鉱は外国よりも相当高うございます。従いまして、これは一番おそい部類に入るのじゃないかと思います。三年間ではとてもできないと思います。また、自動車その他の工作機械につきましても、これは日本の工作機械の体質改善が十分できて、外国との競争力が来年できれば来年やってもよろしゅうございますが、二、三年のうちは大体、全体としてできないと思います。競争力のできたものから随時やっていこうと考えておるのであります。その次の、消費財の輸入につきまして、国産奨励はわれわれの常に考えておるところでございまするが、外国の消費財で非常にいいものはある程度日本に入れまして、国産品の品質改良の刺激にすることも、経済の拡大の一つの手段でございます。従いましてお話の通り、先般消費物資につきまして、輸入の許可申請を許しましたところ、予定の五百万ドルの十倍をこえる六千数百万ドルの輸入申請がございましたが、これは予算上相当切って国内製品の品質の改良に役立つようなものからある程度認めていく、今後もその方針は続けていきたいと考えております。
 また不当な利益をあげるもの、たとえばバナナとか腕時計等につきましての輸入は、御承知の特定物資輸入臨時措置法がございます。この特定物資輸人臨時措置法は今後も続けていく考えでございます。また最後に、輸入カルテルの問題でございまするが、これは安い物が輸入できるときに何もカルテルを作る必要はございません。特定の品物につきまして先方が独占的に非常に高く売ろうとする、その場合に輸入業者が競争で高い物を買うということはよくございません、従いまして、こういう場合につきましては、生産業者の協定を認めて、適当な値で輸入するようにする措置でございます。安い物につきましてこういう措置をとろうという考えは毛頭ないのでございます。なお、関税制度につきましては大蔵大臣よりお答えになると思います。拍手
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
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佐藤榮作#17
○国務大臣(佐藤榮作君) 関税についてお答えをいたします。
 まず第一は、関税表品目並びにその分類の問題でございます。今後これを相当品目もふやすし、細分化していく、その必要のあることは政府も認めております。そこで今国際的に広く使用されておりますブラッセル関税表、これを基準とするという考え方が最も望ましい、かように思っておりますので、ただいま関税率審議会におきまして検討をすでに開始いたしております。この新関税表ができ上がりますと、大体品目といたしましては二千ないし三千というようになるだろうと、かように予想いたしております。
 次に、関税が、貿易を自由化いたしました後において、産業保護の機能を果たすということにつきましては異論のないところでありますし、また他面、この関税は、わが国国内の物価体系に与える影響というものも非常に大きいのでございますから、これについても十分考えていかなければならない、かように考えております。従いましてその適正な関税率というものをどういうようにしたらいいか、これは十分関係の方で検討して参るということでございますが、今次の輸出入取引法改正後の動き等も見まして、その実態に即応するような措置をとりたい、かように考えます。その際に、中小企業、農業等、競争力の弱い産業の保護につきましては十分考えていくつもりでおります。大豆についてのお話がございましたが、先ほど農林大臣から御説明いたした通りでありまして、ただいま検討中であります。
 次に、関税率の問題でございますが、関税率水準、こういうことはなかなか取り方がむずかしいのであります。ただいまお話になりましたように、イタリアなどは三五%、非常に高いじゃないか、日本は少し安いと、こういうように御指摘がございましたが、イタリアのこの関税率水準として、いわゆる三五%と申しております場合には、国内消費税の収入をも含めて、そしてこの率を出しておるようでございますから、これはこの比率だけを直ちに比較することは当を得ないように思うのでございます。ことに、わが国の場合におきましては、御承知のように原材料等、無税あるいは非常に低関税のものもございますから、そういう意味から見ますと、全体の輸入総額に対する関税収入という比率をとってみますと、無税や非常に低率のものがありますから、低い率になって参りますが、しかし、これを有税品の輸入だけについて、輸入数量、金額、関税収入、これを比較してみますと、日本におきましては、一九五六年では一六・九%ということであります。一九五八年は十六・九%でございます。米国は一九五八年が二・一%、カナダは五七年一六・一%、こういうことでございますので、わが国の関税率そのものが特に安いとか、これはうんと引き上げ得る余地があるとは必ずしもいえる筋ではないように思います。先ほど御説明いたしましたように、品目の追加並びに分類等をいたします関税率審議会において、国内産業に及ぼす影響あるいは物価等を勘案して、適正な関税率を検討していただくことにいたしておりますので、関税率審議会ですでに取り上げております。そういうことでございますが、非常に広範であり、十分慎重に検討しなければならないことでございますので、急いではおりますが、この国会には間に合わない、次の国会に提案して御審議をいただく、かような段取りでただいま運ぼしておる次第でございます。拍手
   [政府委員佐藤基君登壇、拍手〕
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佐藤基#18
○政府委員(佐藤基君) お答えいたします。
 独占禁止法制のあり方は、わが国経済の基本にかかわる重大問題でありまして、現在の民主的な経済体制のもとにおいては、独禁法の基本理念ともいうべき自由かつ公正な競争の原理というものは、軽々しくくずすべきものでないと信じておるのでありまして、私といたしましては、今後もあくまでこの建前を堅持する覚悟であります。今回の輸出入取引法の一部を改正する法律案につきましても、国内の自由かつ公正な競争に悪影響を与えることがないようにとの態度を堅持する立場から、通産省との間に十分意見の調整を行なったのでありまして、先ほどお話のあるように、公取は唯々諾々としてこの法案に応じたということは決してないのであります。さらに、この法案の運用にあたりましても、公取としては、独禁法の根本理念に照らしまして特段の配慮を加える考えでおります。拍手
    ─────────────
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松野鶴平#19
○議長(松野鶴平君) 島清君。
   〔島清君登壇、拍手〕
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島清#20
○島清君 ただいま通産大臣より提案理由の趣旨説明のございました輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、私は民主社会党を代表し、岸内閣総理大臣並びに関係各大臣に質問を申し上げたいと存じます。
 詳細の条項にわたりましては、当該委員会の質疑に譲ることにいたしまして、ここでは改正案の法意、改正点の大要概略に限ってお尋ね申し上げます。
 ただいま貿易自由化に伴ってその場必要に基づいて本案を提出したのだとの説明を承りましたが、しかし、法案の内容の最も重要な部分は、今日、岸内閣が重要施策の一つとして強力に推進しておる自由化とはおよそ似ても似つかない統制とカルテル化にありますことは、あえて言を待つまでもございません。ソツのない答弁技術の専門家であられる岸総理の名人的な説明をもっていたしましょうとも、それは否定することのできない厳然たる事実ではないかと存じます。政府は今までにも数回に及んで独禁法や輸出入取引法の改正を企図されました。だが、しかし、そのつどきびしい世論の反撃にあって、見るもむざんな敗退を繰り返して今日に及んでおります。今回は、貿易自由化に籍口し、大企業による弱小資本の吸収と淘汰を容易ならしめ、企業統合、資本の集中化を行なうためには、現行独禁法が障害となるので、これを骨抜きにし、多年の宿願を達成しようとのねらいから、新しい擬装をこらして提案されたのが、いわゆる本改正法案の本旨ではなかろうかと存じます。
 かかる疑問と、また憂いを感じつつ、総理大臣にお尋ね申し上げたいと存じます第一の点は、主務官庁の権限を不必要に広範かつ強化し、経済統制べの道を広げ、過当競争の防止、輸出入取引における秩序の確立という美名のもとに、カルテルの強化を企図していることは、おおうべくもない明瞭なる事実でございます。従いまして、そのことはいたずらにガット加盟国を刺激し、貿易振興どころか、かえってわが国の輸出を阻害するの結果を招来するおそれ大なるものがあると存じます。不肖、寡聞にいたしましてこの種の取引制限規定を設けた国は世界にもきわめて例がなく、ただ一つ西独にあるだけだと承っております。そうであるといたしますならば、世界に類例を見ない制限規定を立法化されましても、はたしてガットや日米友好通商航海条約等にも抵触しないとの信念でおられますかどうか。抵触しないとの確信でおられるようでございますが、そうであるならば、その確信のほどを裏づける条文をお示しをいただいた上で、御説明、御答弁を願いたいと存じます。
 第二点は、本改正の結果は、必要以上に輸出業者の国内における独占を助長し、他の中小企業や新規の事業者へ不公正な圧力を加える可能性が出て参ることでございます。この一事を指摘しただけでも、本案が、ただいま栗山議員も御指摘になりました通り、世評の通り、いわゆる独禁法の骨抜き法案であるという事実を実証して余りあるものがあると存じます。もちろん、私のこの見方に同意だと言われるきずかいはいささかもございませんでしょう。そうでないと否定されるにつきましては、国民が十分に納得の参りますような御説明をいただきたいと存じます。政府は、本案をもって貿易自由化に伴う必要な対策であると称しておりますが、自由化対策の全貌を明らかにすることなく、本案のみを急ぐ真意が那辺にあるのか、はなはだ理解いたしかねますので、その点も明らかにしていだきたいと存じます。世界の趨勢は、独占禁止法の強化の方向にありますことは、私が申し上げるまでもございません。なかんずくアメリカ合衆国におきましては、独占禁止を世界法にまで拡大強化しようとする意欲や動きさえ見られますこと、これまた総理御承知の通りでございます。アメリカ経済と緊密の関係にあり、将来といえども保守党内閣が存続する限りそうであり、ますます緊密の度を深くするであろうと思われる日米間の政治は言うに及ばず、経済の関係より見まして、独占化政策、カルテル強化政策の日本経済の方向を、はたしてアメリカ側が歓迎するか、はなはだ疑わしいと思います。私がこのような御指摘を申し上げなければならないということは、総理並びに自民党のため、まことに不名誉ではないかと存じますけれども、かかる観点に立って観察するとき、日米間の経済の友好関係がはたして持続され、何の不安もなく、疑いもなく、その発展が円滑に期待できると総理は確信をしておられるのか。どうか率直に御所見を承りたいと存じます。
 以上で総理に対する質問を終わり、次は通産大臣にお尋ねをいたします。
 外貨割当のもとに特権的地位をむさぼっていた大企業は、今後カルテル強化によって恩典にあずかることができます。自由化は官僚統制の終焉を告げるものであるはずでありますにもかかわらず、本案では、すべて共同行為が認可制の対象となり、戦時統制にも匹敵する官僚支配が温存をされております。官僚統制は自由化の反対概念だと思いますが、政府の御見解によると、官僚支配と自由化も矛盾なく両立すると考えられるのか、それともまた、これほど明瞭な事柄に対しましてすら官僚支配ではないと強弁されるつもりなのか。国民を納得せしめるに足る御答弁を伺いたいと存じます。
 次に、ただいま総理にもお尋ねいたした点ではございますが、別の角度から通産大臣にも御答弁願いたいと思いましてお尋ね申し上げますが、すなわち、貿易を国が統制しているのをやめようとするガットの精神に反し、諸外国との商慣習を制限したり、貿易を国が統制したりするのは、国際的取りきめに反して、自由化しないのと同然ではないかとの非難が諸外国より出てくるものと予想されます。さらにその上、来週の月曜日から開かれるジュネーブでの第十六回ガット総会では、日本品の進出を押えることをねらいに、市場擾乱の回避問題が重要議題になるものと見られていると新聞等は報道され、関係者をいたく憂慮させているようでございます。あれこれに照らしてみるとき、政府の考えているほど日本に対する諸外国の見方や考え方は甘いものではないということが申されると思います。それらに対する認識、対策等について御所見を承りたいと存じます。
 次に、輸入商品の国内取引まで共同行為を許したのは、国内取引を輸入の名で規制するものでありまして、国内の取引まで規制が及ぶことに相なるわけでございます。その防止策予防措置等についてどのように考えておられるかを承りたい。
 次に外務大臣にお尋ねを申し上げます。日米友好通商航海条約には、次のような規定がございます。すなわち、「両締約国は、競争を制限し、市場べの参加を制限し、又は独占的支配を助長する事業上の慣行で商業を行う一若しくは二以上の公私の企業又はそれらの企業の間における結合、協定その他の取極により行なわれるものが、それぞれの領域の間における通商に有害な影響を与えることがあることについて、一致した意見を有する。」との条文でございます。本案は、明らかに日米間の友好通商航海条約にも抵触し、あまっさえガット精神にも反するものと思いますが、外務大臣の御所見を承りたい。
 次に農林大臣にお尋ねいたします。輸入に関する需要者の協定を促進することは、生産財、消費財の値上がりを来たすものとして、各農業団体もこぞって反対をし、また農林省も強く反対をしていたとか仄聞をしております。また、当然そうあるべきだと確信をいたしますが、農林大臣として賛成された経過、その理由、農民に不利益をもたらさないという確信があるようでございますが、その理論的な根拠をお示しいただいた上で御答弁いただきたいと思います。
 次に経済企画庁長官にお尋ねいたします。五月までに自由化のプログラムを発表すると方針をきめておいて貿易自由化べの総合施策を発表しないうちに本案の提出を見たのは、企画庁の存在が無視されたことを意味するものとして、きわめて遺憾のことだと思います。責任上の立場より、長官の所見と、同時に、本案の影響を受けて一般消費者のこうむる不利益をどのような施策をもって擁護しようとされるか、伺いたいと存じます。
 次は公正取引委員会の委員長にお尋ねいたします。総理並びに各大臣に対する私の質問の趣旨によって、私の問わんとする要旨については、すでに御了察願っているものと存じます。御承知の通り本案の内容は、独禁法のカルテル強化、独占化の事項が大部分を占めております。あなたは、この法案が成立しても独禁法に何の影響も与えないとの見解なのか。また、私が指摘申し上げているように、影響を受けると考えているとするならば、なぜ唯々諾々その成立を黙視しているのか。なおまた公取委員会としては、あなたばかりではなくして、全員が何らの影響も受けないとの見解をとっているのか。
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松野鶴平#21
○議長(松野鶴平君) 時間が来ました。
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島清#22
○島清君 公取では本案策定の過程でいかなる見解のもとに、いかなる努力を講じて来られたか。国民経済の民主的発展のため、独禁法を守るべき職責上の立場にある公取委員長たるあなたの本案に対して示した態度は、みずからの権威を冒涜し、存在を否定する態度であるとのそしりを免れないと思います。
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松野鶴平#23
○議長(松野鶴平君) 時間が来ました。
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島清#24
○島清君 よしんば百歩を譲って、カルテル化、独占化を承認するとしても、立法の体系からいたしまして、独禁法のワク内で扱うべき明瞭な事柄だと思います。
 以上指摘した数点に対してお答え願いたい。
 さらにまた、世界各国の独占禁止の傾向はますます強化の方向にありますこと、新しく申し上げるまでもございません。世界的視野に立って、世界的傾向と本案との関連をどのように認識しておられるか、すなわち本案の改正が独禁法の番人として好ましいと考えておるかどうか、あわせてお尋ねをいたします。拍手
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
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岸信介#25
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 第一点の独禁法との関係につきましては、先ほど栗山議員に対してもお答えをした通りでございます。私どもは、決してこれによって大企業による企業の統合であるとかあるいは資本集中というようなことを助長するような考えを持っておるわけではございませんで、貿易自由化に対処して、過当競争が生ずるおそれを十分考えて、これに対する必要最小限度の処置をとろうと、こういうことでございます。
 第二の、日米間の経済的友好関係が、この立法をすることによって工合が悪くなりはしないかという点に対する御質問でありますが、国際的の関係におきまして、ガットの関係、また日米通商航海条約との関係は、外務大臣から詳細に御説明すると思いますが、私は、従来日米の関係におきましても問題になるのは、日本商品が無秩序に輸出されて、それによってアメリカの市場や産業に対して急激ないろいろな悪影響を及ぼすということがいろいろと問題になったことは、島議員も御承知の通りであります。むしろ、秩序ある輸出をしていくということは、アメリカの強く願っていることであり、また、日米間の貿易を正常の基礎において拡大する上においても、これは必要なことなんです。そういう意味から申しまして、これによって輸出貿易上の過当競争というようなものが防止されて、貿易上の秩序が確立されるということは、むしろ日米間の経済協力の上からいえば、いい結果こそもたらせ、悪影響を及ぼすことは絶対にございません。拍手
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#26
○国務大臣(池田勇人君) 今回の為替・貿易の自由化は、今お言葉にもありました外貨割当によりまする特権階級を排除するということがこの目的なのでございます。自由化というのは、特権階級を排除する。それによって国内の経済の正常化を来たす。客観性がないとおっしゃいますが、昨年暮れに繊維関係の原料、綿花、羊毛の自由化を発表いたしましたところ、毛糸は相当下がっております。綿も上がり方をとめて下がりぎみでございます。こういうことがいわゆる特権階級を排除して経済の正常化のためだ。おわかりになると思います。
 なお、お話の通り、こういうことをやったら国際的にどうかという問題でございまするが、その言葉のうちに、ジュネーブで、日本に対して市場撹乱のおそれがあるから警告を出すという議論がある。そういうことがございまするから、輸出入取引法を改正して、輸出の過当競争、世界市場の撹乱のもとを絶とうとするのがこの法律であるのであります。
 また、官僚統制とおっしゃいますが、これは特定の場合に特定の物資について、厳重な制限のもとに政令でやるのであります。もしその政令でそういう措置をした場合に、不当な場合があったり、弊害が起こった場合には、何どきでも取り消し、また変更することを規定いたしておるのであります。
 また、輸入カルテルの問題についていろいろな例がございまするが、一国を指定することはここではやめますが、向こうが特殊物資について統制をして、日本に高く売りつけるようとしておるのであります。そういう例があります。そのときに日本の輸入業者は、高くても何でも、特定の需要者がほしがると言って、高値買いをする例が今までも多いのであります。私は、日本経済、ことにお話の消費者のために、そういう場合におきましては輸入業者が高値買いをすることを防止するために、その輸入物資の生産業者の共同行為を認めて、高値買いをやめさせて、そうして経済の正常化と国内の物価の引き下げ、安定化をはかるためのカルテル行為でありまして、これは先ほど申し上げましたように品目を指定いたしましてやりますると同時に、主務官庁並びに公取の委員の方々と十分相談してやることにいたしておりますので、御心配の点がないどころか、御心配の点を防止するための措置であるのであります。御了承をいただきます。拍手
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
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菅野和太郎#27
○国務大臣(菅野和太郎君) この改正案が農林省が反対しておったにもかかわらず賛成したのはどうかという御質問があったように思いますが、この改正案につきましては、農林省といたしましては、この改正によって農林漁業者の利益が不当に害されないようにという意味で、意見を申し述べておったのでありまして、むしろ進んで農林漁業者の利益が増進されるように考えてもらいたいということで、通産省といろいろ折衝いたしておったのでありまして、従いまして、この内容あるいは運用につきましては、農林漁業者には不当な損失を来たさないように考えておるのであります。なお、もしも農林漁業者の利益を不当に害するような場合には、もちろんこのカルテルの認可を認めないという方針でおるのであります。
 それから、経済企画庁長官に対しての御質問がありましたが、先ほどからお話がありました通り、この改正案は貿易取引を秩序化する意味においてこの改正案が出ておるのでありますからして、これは貿易・為替の自由化の内容とこれとは別であります。従いまして、この改正案ができることは、貿易取引を秩序化するという意味においてもちろん賛成でありまして、この法律案が提出せられる前に、通産省から経済企画庁へも相談があってやったのでありますからして、決して抜き打ち的にやったのではありませんから、さよう御了承を願いたいと思います。拍手
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
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藤山愛一郎#28
○国務大臣(藤山愛一郎君) ガットの一九五八年の決議につきましては、先ほど栗山議員にお答えをいたしましたから、省略させていただきます。
 日米通商航海条約の第十八条第一項は、御承知のように、企業合同やカルテル協定が、両国間の通商の発展に悪影響を及ぼすようなときには、一方の国の要請によりまして協議をするということでございます。今回の輸出入取引法は元来輸出入秩序の確立を目的とするものでありまして、過当な競争を防止し、輸出を正常に伸長させるということでございますので、この通商航海条約十八条一項には抵触をいたしておりません。また、この法律に基づく各種の業者間協定につきましても、外国との条約等に抵触するものについては許可をしないことになっておりますので、差しつかえないと思っております。拍手
   〔政府委員佐藤基君登壇、拍手〕
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佐藤基#29
○政府委員(佐藤基君) お答えいたします。
 この法案につきましては、独禁法の垂れ理念を堅持しまして、特に国内の自由かつ公正な競争に悪影響を与えないようという配慮から、通産省とこの法案の立案にあたりまして十分意見の調整をしたのでありまして公正取引委員会の使命を忘れて簡単に応じたというものではありません。
 なおこの法案の運用にあたりましては、たとえばカルテルの設立の認可というような問題がありまして、これはやはり公取もこれに関与するのでありまして、その際においても十分に独禁法の根本理念を考えまして、十分な配慮を加える所存であります。拍手
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