島清の発言 (本会議)
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○島清君 ただいま通産大臣より提案理由の趣旨説明のございました輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、私は民主社会党を代表し、岸内閣総理大臣並びに関係各大臣に質問を申し上げたいと存じます。
詳細の条項にわたりましては、当該委員会の質疑に譲ることにいたしまして、ここでは改正案の法意、改正点の大要概略に限ってお尋ね申し上げます。
ただいま貿易自由化に伴ってその場必要に基づいて本案を提出したのだとの説明を承りましたが、しかし、法案の内容の最も重要な部分は、今日、岸内閣が重要施策の一つとして強力に推進しておる自由化とはおよそ似ても似つかない統制とカルテル化にありますことは、あえて言を待つまでもございません。ソツのない答弁技術の専門家であられる岸総理の名人的な説明をもっていたしましょうとも、それは否定することのできない厳然たる事実ではないかと存じます。政府は今までにも数回に及んで独禁法や輸出入取引法の改正を企図されました。だが、しかし、そのつどきびしい世論の反撃にあって、見るもむざんな敗退を繰り返して今日に及んでおります。今回は、貿易自由化に籍口し、大企業による弱小資本の吸収と淘汰を容易ならしめ、企業統合、資本の集中化を行なうためには、現行独禁法が障害となるので、これを骨抜きにし、多年の宿願を達成しようとのねらいから、新しい擬装をこらして提案されたのが、いわゆる本改正法案の本旨ではなかろうかと存じます。
かかる疑問と、また憂いを感じつつ、総理大臣にお尋ね申し上げたいと存じます第一の点は、主務官庁の権限を不必要に広範かつ強化し、経済統制べの道を広げ、過当競争の防止、輸出入取引における秩序の確立という美名のもとに、カルテルの強化を企図していることは、おおうべくもない明瞭なる事実でございます。従いまして、そのことはいたずらにガット加盟国を刺激し、貿易振興どころか、かえってわが国の輸出を阻害するの結果を招来するおそれ大なるものがあると存じます。不肖、寡聞にいたしましてこの種の取引制限規定を設けた国は世界にもきわめて例がなく、ただ一つ西独にあるだけだと承っております。そうであるといたしますならば、世界に類例を見ない制限規定を立法化されましても、はたしてガットや日米友好通商航海条約等にも抵触しないとの信念でおられますかどうか。抵触しないとの確信でおられるようでございますが、そうであるならば、その確信のほどを裏づける条文をお示しをいただいた上で、御説明、御答弁を願いたいと存じます。
第二点は、本改正の結果は、必要以上に輸出業者の国内における独占を助長し、他の中小企業や新規の事業者へ不公正な圧力を加える可能性が出て参ることでございます。この一事を指摘しただけでも、本案が、ただいま栗山議員も御指摘になりました通り、世評の通り、いわゆる独禁法の骨抜き法案であるという事実を実証して余りあるものがあると存じます。もちろん、私のこの見方に同意だと言われるきずかいはいささかもございませんでしょう。そうでないと否定されるにつきましては、国民が十分に納得の参りますような御説明をいただきたいと存じます。政府は、本案をもって貿易自由化に伴う必要な対策であると称しておりますが、自由化対策の全貌を明らかにすることなく、本案のみを急ぐ真意が那辺にあるのか、はなはだ理解いたしかねますので、その点も明らかにしていだきたいと存じます。世界の趨勢は、独占禁止法の強化の方向にありますことは、私が申し上げるまでもございません。なかんずくアメリカ合衆国におきましては、独占禁止を世界法にまで拡大強化しようとする意欲や動きさえ見られますこと、これまた総理御承知の通りでございます。アメリカ経済と緊密の関係にあり、将来といえども保守党内閣が存続する限りそうであり、ますます緊密の度を深くするであろうと思われる日米間の政治は言うに及ばず、経済の関係より見まして、独占化政策、カルテル強化政策の日本経済の方向を、はたしてアメリカ側が歓迎するか、はなはだ疑わしいと思います。私がこのような御指摘を申し上げなければならないということは、総理並びに自民党のため、まことに不名誉ではないかと存じますけれども、かかる観点に立って観察するとき、日米間の経済の友好関係がはたして持続され、何の不安もなく、疑いもなく、その発展が円滑に期待できると総理は確信をしておられるのか。どうか率直に御所見を承りたいと存じます。
以上で総理に対する質問を終わり、次は通産大臣にお尋ねをいたします。
外貨割当のもとに特権的地位をむさぼっていた大企業は、今後カルテル強化によって恩典にあずかることができます。自由化は官僚統制の終焉を告げるものであるはずでありますにもかかわらず、本案では、すべて共同行為が認可制の対象となり、戦時統制にも匹敵する官僚支配が温存をされております。官僚統制は自由化の反対概念だと思いますが、政府の御見解によると、官僚支配と自由化も矛盾なく両立すると考えられるのか、それともまた、これほど明瞭な事柄に対しましてすら官僚支配ではないと強弁されるつもりなのか。国民を納得せしめるに足る御答弁を伺いたいと存じます。
次に、ただいま総理にもお尋ねいたした点ではございますが、別の角度から通産大臣にも御答弁願いたいと思いましてお尋ね申し上げますが、すなわち、貿易を国が統制しているのをやめようとするガットの精神に反し、諸外国との商慣習を制限したり、貿易を国が統制したりするのは、国際的取りきめに反して、自由化しないのと同然ではないかとの非難が諸外国より出てくるものと予想されます。さらにその上、来週の月曜日から開かれるジュネーブでの第十六回ガット総会では、日本品の進出を押えることをねらいに、市場擾乱の回避問題が重要議題になるものと見られていると新聞等は報道され、関係者をいたく憂慮させているようでございます。あれこれに照らしてみるとき、政府の考えているほど日本に対する諸外国の見方や考え方は甘いものではないということが申されると思います。それらに対する認識、対策等について御所見を承りたいと存じます。
次に、輸入商品の国内取引まで共同行為を許したのは、国内取引を輸入の名で規制するものでありまして、国内の取引まで規制が及ぶことに相なるわけでございます。その防止策予防措置等についてどのように考えておられるかを承りたい。
次に外務大臣にお尋ねを申し上げます。日米友好通商航海条約には、次のような規定がございます。すなわち、「両締約国は、競争を制限し、市場べの参加を制限し、又は独占的支配を助長する事業上の慣行で商業を行う一若しくは二以上の公私の企業又はそれらの企業の間における結合、協定その他の取極により行なわれるものが、それぞれの領域の間における通商に有害な影響を与えることがあることについて、一致した意見を有する。」との条文でございます。本案は、明らかに日米間の友好通商航海条約にも抵触し、あまっさえガット精神にも反するものと思いますが、外務大臣の御所見を承りたい。
次に農林大臣にお尋ねいたします。輸入に関する需要者の協定を促進することは、生産財、消費財の値上がりを来たすものとして、各農業団体もこぞって反対をし、また農林省も強く反対をしていたとか仄聞をしております。また、当然そうあるべきだと確信をいたしますが、農林大臣として賛成された経過、その理由、農民に不利益をもたらさないという確信があるようでございますが、その理論的な根拠をお示しいただいた上で御答弁いただきたいと思います。
次に経済企画庁長官にお尋ねいたします。五月までに自由化のプログラムを発表すると方針をきめておいて貿易自由化べの総合施策を発表しないうちに本案の提出を見たのは、企画庁の存在が無視されたことを意味するものとして、きわめて遺憾のことだと思います。責任上の立場より、長官の所見と、同時に、本案の影響を受けて一般消費者のこうむる不利益をどのような施策をもって擁護しようとされるか、伺いたいと存じます。
次は公正取引委員会の委員長にお尋ねいたします。総理並びに各大臣に対する私の質問の趣旨によって、私の問わんとする要旨については、すでに御了察願っているものと存じます。御承知の通り本案の内容は、独禁法のカルテル強化、独占化の事項が大部分を占めております。あなたは、この法案が成立しても独禁法に何の影響も与えないとの見解なのか。また、私が指摘申し上げているように、影響を受けると考えているとするならば、なぜ唯々諾々その成立を黙視しているのか。なおまた公取委員会としては、あなたばかりではなくして、全員が何らの影響も受けないとの見解をとっているのか。