岸信介の発言 (予算委員会)
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○国務大臣(岸信介君) 世界の国際情勢をどういうふうに見るかという国際情勢の判断について曾祢委員のお気持とわれわれが考えていることとの間にはやや相違があるように思います。ということは、キャンプ・デービッドにおけるところの両巨頭の会談が、いわゆる雪解けというものをもたらしているというこの考え方自体に私は一つの両方の考え方の相違があるのではないかと思います。私はこのキャンプ・デービッドにおけるところの両巨頭の会談によりまして、従来力でもって両陣営の間の懸案であるとか、あるいは紛争を解決しようというような機運に対して一般が危惧を持っており、そうしてそういう見えないような態勢が進んでおるのに対して、今後これらの問題を話し合いで解決するという原則が認められたのでございます。しかしてことし春に行なわれようとしておる巨頭会談、あるいはアイゼンハワー大統領の訪ソというようなものを通じて話し合いが行なわれるわけでありますが、おそらく曾祢委員も十分御認識になっておると思いますが、この会談において問題になるドイツ問題、あるいは軍縮の問題等の解決もなかなか容易ではない、そうして容易であるかないかは別として、必ず話し合いでもって、どんなに困難があっても話し合いを続けて、そうして解決しなければいかぬ、力を用いての解決ということは、特に軍事科学の発達の現状から見て、これはどんなことがあっても阻止しなければならないというこのことが、私は雪解けの実質であり、従ってまた将来そういうふうなことによって解決されるということに対してわれわれが期待を持ち、望みをかけるということであると思うのであります。一方その話し合いに臨む両陣営の態勢というものについては、何ら従来やっておることをゆるめるとか、あるいは解消するとか、あるいはこれを弱化するとかという方向に一歩も進んでおらない事実も、これも曾祢委員も御承知の通りであります。私どもはこういう際において話し合いを成立せしめるためには、やはり両陣営が結束して、そうしておのおのの主張を率直に話し合って、互いに共存の道を見出すという以外にはこの問題の解決はないのである。この間において東西両陣営がそれぞれその間におけるところの力のバランスをとっていくという政策については、少しも変更は現在のところないというのが国際情勢の私たちの認識でございます。こういう上に立って安保条約というものを考えてみると、国連の安全機構がまだできておらない状況にあり、また日本が置かれておる客観的な立場から見まして、日本の安全を保障するために、日米安全保障体制というものを存続するということについては、おそらく曾祢委員も御同感であろうと思います。ただ、問題は、それを今度新安保条約に改定するということがいわゆる軍事的な強化をになっておるというふうな御議論でございますが、私どもは、この安保条約の成立以来これまた非常な不合理な点を多々含んでおるという点において、これを合理化していく、安保条約の体制の存続する必要を認め、存続する以上は、これを合理化して、そして日本の自主性を回復していく、また、日本の国民なり日本の立場からわれわれの主張というものが条約の上において反映していくという方向にこれを改めていくことは私は当然であると。また、今までなされておらなかったことが実はむしろ日本の国力や国際的地位が十分でなかった結果で、今日の状態になってくれば、当然これが解消されるということであって、私どもは、その意味において、この内容の自主的な立場を回復していく。安保条約の体制が必要である、必要である以上上は、それを合理的に、また、日本の立場から見て自主性を持ったものにするということは当然なことであり、一日も早くやらなければならないことである、かように考えております。