村山道雄の発言 (予算委員会)

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○村山道雄君 私は、政府が地域的な所得格差の是正という命題のもとに重要施策として取り上げられております未開発地の開発問題につきまして、具体的にはすでに実施の段階に入っておりまする東北開発の問題につきまして、政府の御見解をただしたいと存ずるのであります。
 まず、この問題に対する基本的な考え方についてお伺いをいたしたいのであります。昨年経済企画庁で発表されました「国民生活の地域別分析」という調査によりますと、人口一人当たりの所得の全国平均に対します割合は、全国を十三の地区に分けているのでありまするが、南関東が一四八%で第一位、途中を略しまして、山陰が七八・一%で第十一位、東北が七六%で第十二位、南九州が五七・三%で最下位となっているのであります。同じ調査によりますると、第二次産業就業者数の全産業就業者数に対する比を計算してありまするが、全国平均が二二・八%であるのに対しまして、南関東が三一・一%で、近畿、東海にわずかの差で続いて、全国第三位であります。これに対しまして山陰が一四・二%で第一一位、東北は一三・六%で第十二位、南九州は一〇・四%で最下位となっているのであります。このことは、山陰、東北、南九州などでは産業の開発が進まず、第二次産業が発達をしておらないことが、所得水準を低くしている決定的な原因であることを端的に表わしていると存ずるのであります。
 それでは、これらの低所得地域の所得を引き上げるのにはどうすればよいか。それは産業の立地条件を整備いたしまして、これらの地域に第二次産業を起こせばよいということはきまっておるのでございます。しかしそれができない。どうしてできないのかと申しますと、これらの未開発地域におきましては、貧困の悪循環が行なわれておるからであります。第一に、所得の水準がきわめて低いということは、言いかえますれば購買力が低いということであります。購買力が低いところに工場を建てましても、採算がとれませんから工場ができないのであります。第二に所得の水準がきわめて低いということは、資本の蓄積力に乏しいということであります。工場を作りたくても地元の資金が集まらないのであります。第三に、所得の水準がきわめて低いということは、租税負担力が低いということであります。これらの低所得地域で産業基盤を造成いたしますために、公共事業や公益事業を行なおうといたしましても、地方団体がその負担に耐えないということが起こっているのであります。自治庁で調査されましたところの昭和三十四年度の都道府県の基準財政需要額に対する基準財政収入の割合は、全国平均は五四・九%であります。これを府県別にいたしましたものを経済企画庁の地域別分析の十三の地域に区分して平均をいたしてみますると、南関東が七八%でやはり全国第一位であります。途中を略しまして、東北が二六・二%、南関東のちょうど三分の一でありまするが第十一位、南九州が二四・二%で第十二位、山陰が二〇・九%で最下位となっておるのであります。そこでこの状態をそのままに放置いたしますと、未開発地域は、未開発地域であるがゆえに、いつまでも未開発地域でなければならないという、いわゆる貧困の悪循環が繰り返されるのでございます。この悪循環を断ち切るのにはどうすればよいか、それは後進国開発に関します、たとえばラグナー・ヌルクセ教授などの経済学説を待つまでもなく、未開発地域に一定の短い期間の間に、思い切って多額の資本を投下いたしまして、立地条件を一斉に整備して、第二次産業を一時に起こして、地域住民の所得、すなわち購買力、資本蓄積力、租税負担力を急速に引き上げるほかに方法はないと存ずるのであります。政府は昭和三十二年に東北開発促進法を制定をいたし、翌三十三年の八月十五日に閣議決定をもちまして、東北開発促進十カ年計画を決定されたのであります。そのおもなる内容は、東北地方の産業基盤を造成いたしますために、七つの公共事業及び公益事業、道路、港湾、治水、農地、漁港、鉄道、電力に対しまして兆二千四百八十億円を投資しようというものであります。
 私は、政府のこの閣議決定に全面的に賛成をいたすものでありまするが、それと同時に、その実施の面において、その開発事業の規模と速度とが真に未開発地域の貧困の悪循環を断ち切るに足るものでなければならない、さように存ずるものであります。すなわち、東北開発の場合におきましては、十カ年に一兆二千四百八十億の事業を完成をするというところに意義があると存ずるのであります。政府は誠意をもってこの閣議決定の完全実施に御努力を願いたいのでありまするが、この点に関しまして佐藤大蔵大臣の御所信を伺いたいのであります。

発言情報

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発言者: 村山道雄

speaker_id: 17986

日付: 1960-03-11

院: 参議院

会議名: 予算委員会