周東英雄の発言 (地方行政委員会法務委員会連合審査会)
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○周東国務大臣 淺沼社会党委員長が去る十が十二日、日比谷公会堂における自民党、社会党及び民主社会党の三党首立会演説会におきまして演説中、右翼の一少年の凶刃により不慮の死を遂げられましたことにつきましては、私どもはまことに遺憾に存じておるところであり、ここにつつしんで哀悼の意を表する次第であります。われわれは今後重ねてこのような不祥事件が起こることのないよう新たなる決意をもちまして、さらに治安の万全を期する所存でありますが、最初に私から、本事件の概要及び事件当日の現場における警備体制等につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。
まず事件の概要についてでありますが、当日の三首立会演説会は、御承知のように、東京都選挙管理委員会、公明選挙連盟及び日本放送協会の共催によりまして、午後二時過ぎから約千名の聴衆を集めて開催されたのであります。ところが開会劈頭から、大日本愛国党員等聴衆中の一部の者によりまして相当激しいヤジが行なわれたのであります。最切の弁士でありまする西尾民主社会党委員長に次いで、二時四十五分ごろから淺沼社会党委員長の演説が開始されますると、これらの者によるヤジは一段と激しさを加えるとともに、場内においてビラをまいた者がおり、警戒中の警察官がこのビラまきなどを行なった大日本愛国党員四名を検挙するという事案もあったのであります。しかし喧騒をきわめているヤジは依然として静まりません。午後三時ごろには演説内容も聴取できないという状態に陥りましたために、司会者は淺沼氏に演説の中断を申し入れ、聴衆に対して静粛にしてほしい旨の場内放送を行なうに至ったのであります。淺沼氏の演説が再開されて間もない三時五分ごろ、演壇に向かって右側の端から一人の男がやにわに演壇にかけ上がり、脱兎のごとき勢いで、隠し持っていた短刀のさやを払いながら、演説中の淺沼氏に体当たりをするような姿勢で同氏の左胸部を突き刺したのであります。これはまことに一瞬の間のできごとであったのであります。演壇付近で警戒中の警察官は、犯人が壇上にかけ上がるや、時を移さず飛び出して犯行の阻止に努めたのでありますが、遺憾ながら間一髪の危機を救うことができなかったのでございます。この突発事件によりまして、場内は騒然となり、特に壇上は淺沼代の救護と犯人の逮捕に当たった警察官その他の関係者及び報道陣で一時大混乱に陥ったのでありますが、淺沼氏は直ちに丸の内警察署のパトロール・カーによって近くの日比谷病院に収容されたのであります。しかし、関係者の必死の努力もむなしく、淺沼川は三時十分ごろついに絶命されたのであります。
次に、当日の警備態勢についてでありますが、事前情報によりまして、当日の演説会に対する愛国党員等による相当活発な演説妨害やいやがらせ等の行為が予想されましたので、警視庁におきましては、主催者である都の選挙管理委員貝会と二度にわたって事前打ち合わせを行ない、当日は、制服、私服警官合わせて百五十九名を現場に派遣し、この種集会の警備といたしましては異例の厳重な警戒態勢をとったのであります。しかし、犯人山口二矢その他の直接行動に関する事前情報はなかったのであります。
山口二矢は、現在警視庁において引き続き取り調べを続行中でありますが、同人は本年十七才の少年であり、大東文化大学の学生でありました。同人は、昨年五月六日本愛国党に入党いたしたのでありますが、本年五月、二名とともに同党を脱党し、その後それらの者が結成した全アジア反共青年連盟に加盟いたしたものであります。本件の背後関係等につきましては、目下鋭意捜査中でございます。
以上、事件の概要及び警備態勢等について簡単に御説明を申し上げたのでありますが、このような事件を防止できなかったことはまことに遺憾なことであり、今後再びかかる不祥事件を繰り返さないよう、警備の技術、方法等について、あらゆる角度から検討を加えて参りたいと存ずる次第でございます。