地方行政委員会法務委員会連合審査会

1960-10-24 衆議院 全389発言

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会議録情報#0
昭和三十五年十月二十四日(月曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
 地方行政委員会
   委員長 西村 英一君
   理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君
   理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 加賀田 進君 理事 阪上安太郎君
   理事 門司  亮君
      相川 勝六君    金子 岩三君
      亀山 孝一君    川崎末五郎君
      津島 文治君    富田 健治君
      中島 茂喜君    三田村武夫君
      太田 一夫君    川村 継義君
      佐野 憲治君    中井徳次郎君
      野口 忠夫君    安井 吉典君
      大矢 省三君
 法務委員会
   委員長 山口六郎次君
   理事 鍛冶 良作君 理事 小林かなえ君
   理事 田中伊三次君 理事 高橋 禎一君
   理事 福井 盛太君 理事 菊地養之輔君
   理事 坂本 泰良君 理事 田中幾三郎君
      世耕 弘一君    瀬戸山三男君
      竹山祐太郎君    馬場 元治君
      古井 喜實君    山口 好一君
      井伊 誠一君    猪俣 浩三君
      上林與市郎君    三宅 正一君
      伊藤卯四郎君    吉川 兼光君
      志賀 義雄君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 小島 徹三君
        自 治 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 佐々木盛雄君
        内閣官房副長官 小川 平二君
        法制局長官   林  修三君
 委員外の出席者
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      三輪 良雄君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        公安審査委員会
        委  員  長 山崎  佐君
        公安調査庁長官 藤井五一郎君
        公安調査庁次長 關   之君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局家庭局
        長)      市川 四郎君
        警 視 総 監 小倉  謙君
        警  視  長
        (警視庁公安部
        長)      石岡  実君
        専  門  員 円地與四松君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 治安に関する件
     ――――◇―――――
    〔山口法務委員長委員長席に普く〕
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山口六郎次#1
○山口委員長 これより地方行政委員会、法務委員会連合審査会を開会いたします。
 両委員長の協議によりまして、法務委員長たる私が本連合審査会の委員長の職務を行なうこととなりましたのでよろしく御協力のほどをお願いいたします。
 これより治安に関する件につきまして調査を進めます。
 まず去る十二日、日比谷公会堂における日本社会党中央執行委員長淺沼稻次郎君の遭難事件に関し、本事件の概要、その原因及び背後関係、事件の社会的影響、並びに今後の対策等につきまして周東国務大臣、小倉警視総監、柏村警察庁長官、小島法務大臣より順次説明を求めることといたします。それでは周東国務大臣。
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周東英雄#2
○周東国務大臣 淺沼社会党委員長が去る十が十二日、日比谷公会堂における自民党、社会党及び民主社会党の三党首立会演説会におきまして演説中、右翼の一少年の凶刃により不慮の死を遂げられましたことにつきましては、私どもはまことに遺憾に存じておるところであり、ここにつつしんで哀悼の意を表する次第であります。われわれは今後重ねてこのような不祥事件が起こることのないよう新たなる決意をもちまして、さらに治安の万全を期する所存でありますが、最初に私から、本事件の概要及び事件当日の現場における警備体制等につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 まず事件の概要についてでありますが、当日の三首立会演説会は、御承知のように、東京都選挙管理委員会、公明選挙連盟及び日本放送協会の共催によりまして、午後二時過ぎから約千名の聴衆を集めて開催されたのであります。ところが開会劈頭から、大日本愛国党員等聴衆中の一部の者によりまして相当激しいヤジが行なわれたのであります。最切の弁士でありまする西尾民主社会党委員長に次いで、二時四十五分ごろから淺沼社会党委員長の演説が開始されますると、これらの者によるヤジは一段と激しさを加えるとともに、場内においてビラをまいた者がおり、警戒中の警察官がこのビラまきなどを行なった大日本愛国党員四名を検挙するという事案もあったのであります。しかし喧騒をきわめているヤジは依然として静まりません。午後三時ごろには演説内容も聴取できないという状態に陥りましたために、司会者は淺沼氏に演説の中断を申し入れ、聴衆に対して静粛にしてほしい旨の場内放送を行なうに至ったのであります。淺沼氏の演説が再開されて間もない三時五分ごろ、演壇に向かって右側の端から一人の男がやにわに演壇にかけ上がり、脱兎のごとき勢いで、隠し持っていた短刀のさやを払いながら、演説中の淺沼氏に体当たりをするような姿勢で同氏の左胸部を突き刺したのであります。これはまことに一瞬の間のできごとであったのであります。演壇付近で警戒中の警察官は、犯人が壇上にかけ上がるや、時を移さず飛び出して犯行の阻止に努めたのでありますが、遺憾ながら間一髪の危機を救うことができなかったのでございます。この突発事件によりまして、場内は騒然となり、特に壇上は淺沼代の救護と犯人の逮捕に当たった警察官その他の関係者及び報道陣で一時大混乱に陥ったのでありますが、淺沼氏は直ちに丸の内警察署のパトロール・カーによって近くの日比谷病院に収容されたのであります。しかし、関係者の必死の努力もむなしく、淺沼川は三時十分ごろついに絶命されたのであります。
  次に、当日の警備態勢についてでありますが、事前情報によりまして、当日の演説会に対する愛国党員等による相当活発な演説妨害やいやがらせ等の行為が予想されましたので、警視庁におきましては、主催者である都の選挙管理委員貝会と二度にわたって事前打ち合わせを行ない、当日は、制服、私服警官合わせて百五十九名を現場に派遣し、この種集会の警備といたしましては異例の厳重な警戒態勢をとったのであります。しかし、犯人山口二矢その他の直接行動に関する事前情報はなかったのであります。
 山口二矢は、現在警視庁において引き続き取り調べを続行中でありますが、同人は本年十七才の少年であり、大東文化大学の学生でありました。同人は、昨年五月六日本愛国党に入党いたしたのでありますが、本年五月、二名とともに同党を脱党し、その後それらの者が結成した全アジア反共青年連盟に加盟いたしたものであります。本件の背後関係等につきましては、目下鋭意捜査中でございます。
 以上、事件の概要及び警備態勢等について簡単に御説明を申し上げたのでありますが、このような事件を防止できなかったことはまことに遺憾なことであり、今後再びかかる不祥事件を繰り返さないよう、警備の技術、方法等について、あらゆる角度から検討を加えて参りたいと存ずる次第でございます。
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山口六郎次#3
○山口委員長 次に小倉警視総監。
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小倉謙#4
○小倉説明員 淺沼社会党委員長が不慮の死を遂げられましたことにつきましては、直接首都治安の責任にある者としてまことに遺憾に存じております。つつしんで哀悼の意を表する次第であります。
 本事案の概要につきましては、ただいま国家公安委員長の御説明の通りでありますが、私から若干の点について補足説明をいたしたいと存じます。
 まず当日の主催者である東京都選挙管理委員会側と警察側との事前の打ち合わせについてであります。十月五日に丸の内警察署次長、警備課長その他と、都選管事務局長、選挙課長らとの間にこの打ち合わせが行なわれております。その際選管側から、警備は相当数お願いしたいが、会場内に制服で入られては困るという話があり、警察側としましても、当然のことでありますが、私服員を場内には派遣するということを伝えました。さらに選管側が、会場の整理には階下に十一名、階上に三名、合わせて十四名ぐらいで当たりたいというような話がございましたが、警察側では、会場の状況等にかんがみまして、最低六十名ぐらいはほしいという話をいたしました。そのほか会場内の整理については記者席――これは階下の一番前列の方であります。記者席のうしろの通路のところに整理員を一名ずつ配置して、そこから前へ一般の入場者を立ち入らせないこと。それから第一次的にはヤジの制止など場内の整理は主催者側が行なうこと。主催者側の手に負えないときには警察が出ること。そういうようなことを申し合わせまして、さらに当日午前中会場において、これらの事項を署長と事務局長の間で再確認をいたしております。
 次に事前の情報といたしましては、十月十日に大日本愛国党の赤尾総裁が東京都選挙管理委員会を訪れまして、選挙管理委員会が三党首のみの演説会を主催するのは選挙違反である、これは事前運動であって、公明選挙を擁護するという選挙管理委員会の任務に反するものだというような抗議をいたしました。また十一日には、同人が警視庁を訪れまして、三党首大演説会は東京都選挙管理委員会みずからが選挙の事前運動を行なうものであるから、これを取り締まられたいというような要望をし、また会場へ党員を動員するというようなことを申しておりました。そのような事実がありましたので、演説会当日は愛国党員を中心に相当活発な演説妨害やいやがらせ行為が行なわれることが予想されたのであります。そこで事前に愛国党員に対しましては厳重な警告を与え、注意を促すとともに、当日特に警察といたしましても厳重な警戒態勢を行なったようなわけであります。しかしながら犯人山口二矢その他の直接行動に関する事前の情報はなかったのであります。
 次は警備態勢でありますが、以上のような動向に対処しまして、丸の内警察署長は正午ごろ、現場の警備本部を内幸町巡査派出所に設け、制服警察官九十七名、私服警察官六十二名、計百五十九名をもって警戒に当たったのであります。会場内には私服の警察官五十七名が当たったのでありますが、演壇に向かって左側にたむろする愛国党員その他の者に対しまして重点的に配備いたしましたほか、場内の要所に適宜な配置をいたしたのであります。
 一方場外の警備は、丸の内署制服部隊及び機動隊の一部をもってこれに充てました。なお機動隊の一部を日比谷公会堂の地階に待機させまして、不測の事態に備えたのであります。なお、主催者側の都の選管及びNHKの整理員は、先ほど申し上げましたような状況で、当日は五十九名が入口及び場内の整理に当たっておったのであります。
 次に事件の概要についてでありますが、すでに国家公安委員長の御説明の通りでありますが、西尾民社党委員長に続きまして淺沼社会党委員長が演説を開始されましたのは午後二時四十五分ごろであります。愛国党員やその他の者のヤジは西尾委員長のときにも増して一段と激しくなりまして、二時四十七分ごろには二階からビラをまいて演説の妨害を行なったので、ビラをまいた者二名を検挙いたしたのであります。次いで二時五十二分ごろには愛国党員中の一名が演壇に向かって右側から壇上にかけ上がり、淺沼氏の方に向かってビラをまいたので、演壇付近の警備配置についていた私服警察官三名がこれを直ちに逮捕いたしたのであります。その後も場内のヤジは一そう激しさを加え、その間、丸の内警察署長は、演壇に向かって左側の一団の愛国党員の中で最も激しくヤジっておりました党員の一名を部下とともに検挙するなどのこともありましたが、午後三時ごろになりまして、主催者側はついに淺沼委員長に演説の中断を申し入れ、場内で喧騒をきわめている者に対しまして静粛にされたい旨の場内放送を行なうに至ったのであります。淺沼委員長の演説が再開されて間もない三時五分ごろ、演壇に向かって右側から一人の男がやにわに演壇にかけ上がり、脱兎のごとき勢いで隠し持っていた短刀のさやを払いながら、演壇中央部で演説中の淺沼委員長にかけ寄り、体当りをするような姿勢でその左胸部を突き刺したのであります。演壇の周辺で警戒に当たっておりました警察官は、当時騒然たる雰囲気の中で愛国党員その他の警戒を要する言動をなす者に対し、注意、警戒をしておりましたことなどから、犯人の行動開始の発見が一瞬おくれたのでありますが、時を移さず飛び出して犯行を制止しようとしたのであります。しかし、遺憾ながら間一髪の危機を救うことができず、折り重なって犯人を逮捕し凶器を取り上げたのであります。なお、この逮捕にあたりまして警察官三名が凶器により切り傷を受けました。
 捜査の状況でありますが、犯行の直後現場において犯人を逮捕し、身柄を警視庁に引致し、直ちに取り調べを開始するとともに、捜索差し押え許可状の発付を得まして、同日午後十一時ころから翌十三日午前一時ごろまでの間に、被疑者の自宅、全アジア反共青年連盟など六カ所の捜索を行ない、メモ、ノートなど二十六種類、九十点を押収したのであります。さらに十月十三日捜査第四課の応援を得て、公安第二課と丸の内警察署との合同特別捜査本部を設置し、現在本格的な捜査に当たっております。
 犯人の山口二矢は、昭和十八年二月生まれ、本年十七才の少年であり、事件当時大東文化大学中国文学科の学生でありました。同人の自供によれば、昨年五月の参議院議員選挙の際、大日本愛国党総裁の選挙演説を聞いて、その主張に共鳴し、昨年五月十日同党に入党、同党本部宿舎に起居するようになったのでありますが、その間、同党員として活発な活動を行ない、公務執行妨害、傷害、器物毀棄などの容疑で前後十数回にわたって検挙されております。その後、本年春ごろから同党内における感情的なもつれや、同党の運動について批判的となったことなどから、たまたま本年五月末脱党した他の二名の者に引き続いて同党を脱党し、その後七月一日に結成された全アジア反共青年連盟に加わっていたのでありますが、同連盟の事務所にも最近は出入りしておらなかったようであります。
 さらに同人が本件を敢行する動機につきましては、警職法闘争、勤評闘争、安保闘争など、一連の大衆行動を通じ、これに強い反発と憤りを感じ、大日本愛国党のように左翼のデモ、集会などに対するなぐり込み、ビラまき等の消極的運動では日本の赤化を防止することができないと信ずるようになり、結局は左翼の指導者を一人一殺によって葬る以外には他に手段がないと意を決するに至った模様であります。
 そして本年の夏ごろから日教組小林委員長、共産党野坂議長とともに社会党淺沼委員長をねらうようになったのであります。そして事件当日、たまたま新聞紙上で三党首の演説会のあることを知り、かねてねらっていた淺沼委員長をこの機会に倒そうと決意し、午後二時ごろ中野区本町通二丁目の自宅を出て日比谷に向かい、午後三時少し前に会場に到着し、受付において入場券を入手して場内に入り、機をうかがって犯行に及んだと申し述べております。
 捜査本部においては、現場における目撃者等により事件の裏づけ捜査を行なう一方、参考人の任意出頭を求めて事情の聴取を行ないました。一方、犯人と深い関係にあると認められる者の取り調べや関係場所の捜索を行なったのであります。現在のところ、被疑者は単独犯行を主張しておりますが、なお厳重にその背後関係などを究明中であります。
 以上、事件の概要の補足説明を申し上げた次第でございます。
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山口六郎次#5
○山口委員長 次に柏村警察庁長官。
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柏村信雄#6
○柏村説明員 私から、今次事件の及ぼした各種の影響また今後の対策等につきまして、簡単に御説明申し上げます。
 今回の事件は、総選挙を前にして行なわれました三党首立会演説会の席上におきまして、野党第一党の淺沼委員長が演説中に突如暴漢の凶刃に倒れられたということ、しかもこのテロ行為が一般聴衆の面前で公然と行なわれ、その状況がテレビ放送を通じて広く全国の視聴者の目に映じているだけに、全国民に対しましてなまなましい実感をもって深刻な影響を及ぼしているように存ずるのであります。そして今回の事件が、六月の河上代議士の刺傷事件、七月の岸前首相刺傷事件に次いで行なわれました三回目の右翼的人物によるテロであるために、一部には往年の右翼テロ横行時代の再現ではないかと危惧する向きもあり、ひいては右翼に対する取り締まり上の責任として警察に対する批判が強まりますとともに、一般には、この種事件に対してさらに強力な取り締まりを要望する世論が高まっておるのであります。
 まず、いわゆる革新陣営に与えました影響でありますが、この事件は革新陣営に対して相当大きなショックを与え、淺沼氏の死に対し政府及び警察に抗議するという大規模な大衆行動が直ちに組まれたのであります。すなわち革新勢力におきましては、事件発生のその日直ちに緊急動員を行なって、抗議の集会、デモを、東京を初め全国十都道府県にわたりまして実施し、約一万五千名がこれに参加したのであります。その後も東京を中心に抗議の大衆行動が組まれ、その間、東京におきましては、一部届け出デモ・コースの路線変更や、いわゆるフランス式デモなどが行なわれ、特に全学連の主流派は無届けの集会、デモを行ない、さらに警察車両の拡声機やガラス等を破壊したり、警察官に対して暴行を加え、首相官邸への突入をはかるなど、過激かつ暴力的な行動にまで出た者もあるのであります。しかしながら全般的に見ますると、指導者の自主統制等によりまして比較的平静に推移いたしたと存じます。
 次に右翼陣営に与えた影響でありますが、この事件に対する右翼各団体や右翼分子の評価は、その個々の性格を反映いたしまして、受け取り方にも若干の差異が認められるのであります。その中には、従来の社会党の態度からして当然起こるべきものが起こったとして、山口の行為を是認し、これを英雄視する言動がかなり見受けられますことは厳に注意を要するところであると存じます。またその一部には、その行為を是としながらも、時期的に見ていまだその段階になく、右翼の大衆化にとってマイナスであるから、この際軽挙盲動を惧しむべきだとする団体も見受けられるのであります。なおこの事件の直後、一部行動性の強い右翼が中心となり、山口二矢救援対策本部などを設置する動きが台頭して参っておるのであります。
 次に今回の事件が海外に及ぼした影響についてでありますが、すでに御承知の通り、海外諸国に対しましてもきわめて大きな反響を及ぼしているところであり、自由圏、共産圏を問わず、十三日付の各国主要新聞はトップでこれを報道し、一斉に論評を加えている模様であります。そしてこれらによりますと、共産圏諸国のものが今回の事件を目して、事国主義の復活であり、これは池田内閣とアメリカ帝国主義の責任であるとしており、また自由圏のものは、日本の民主主義の基盤の弱さとその前途を憂慮し、あわせて特に極右の暴挙に対する反動としての左翼の暴力化を懸念する論評が中心となっているようであります。いずれにせよ、この事件が列国の対日信用をそこなった点は、きわめて大きいものがあると認められる次第でございます。
 次に今後の取り締まりの方針、対策について申し上げます。警察といたしましては、安保問題等をめぐって革新陣営側の大衆行動が激化するに伴い、これに反撃する右翼の行動もまた先鋭化する傾向が見られましたので、これらに対し厳重な取り締まりを行なって参ったのであります。ことに六月河上代議士に対し、さらに七月岸前首相に対する刺傷事件が相次いで起こりましたので、一部狂信的右翼分子によるテロ危険性を考慮し、右翼に対する視察内偵を強化して参ったのであります。ところが、今回三たびこのような不祥事件を起こしましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。
 警察といたしましては、この際新たなる決意を持ってこの種事態の未然防止に努力をいたす所存でありますが、その要点を申し上げますと、第一は、今後危険性のある右翼的人物に対する視察警戒をさらにきびしくすることであります。そのために必要な増員措置等もすでに実施いたしておるところでございます。第二は、右翼のテロや暴力の対象となるおそれのある方々に対しましては、警察側から積極的に連絡して、御承諾を得た向きには直接警護をつけるなどして、身辺の護衛を強化いたしたいと存じておるのであります。第三は、今後もこの種集会につきましては、主催者その他関係者と緊密な連絡を十分にとりまして、警戒を厳重にいたしまするとともに、特に選挙期間中につきましては、暴力事案その他の悪質な妨害の未然防止に努めて参りたいと存じております。第四は、このような事件の犯行に用いられますおそれの強い銃砲刀剣類等の所持取り締まりを一そう強化いたしますとともに、たとえば青少年に対しては、未成年者等が刃物を持ち歩くこと等は、とかく傷害事件等を起こしやすいので、学校その他関と係向きと連絡して、少年が刃物等を持ち歩かない運動を全国的に展開いたしたいと考えております。
 警察自体といたしましては、とりあえず以上のごとき対策を進めておるのでありますが、かかる暴力事犯は、そのよってきたるところきわめて深刻なるものがあると存じますので、警察日体その職責遂行に邁進することはもちろんでありますが、関係機関とも緊密に連絡して、その防止対策に万全を期しますとともに、広く国民の協力を得て暴力否定の風潮の高揚されることを切望いたしておる次第であります。
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山口六郎次#7
○山口委員長 次に小島法務大臣。
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小島徹三#8
○小島国務大臣 私は終戦後片山、戸田内閣当時、与党議員といたしまして、あるいはまたその後政治的立場は異にいたしましたけれども、おりに触れいろいろとかわしましたあの当時の淺沼君の親しみ深い人のよさとあの温顔を思い出すときに、今回の事件というものに対しまして、私は限りない憎しみと悲しみを感ずるのであります。つつしんで淺沼君の御冥福を祈る次第でございます。
 私は、暴力というものは左右を問わず、主義主張を貫徹するために行なわれるということは民主主義の敵であるとかたく信ずるものであります。民主主義を擁護するためには、一切のこのような暴力をなくさなければならぬというかたい決意を持っておるものでございます。そのためには一日も早く迅速な対策を立てまして、この世から暴力というものをなくするということを考えておる次第でございます。もちろんかかることは言葉では非常に簡単でございますけれども、実際の問題といたしましてはなかなかむずかしい問題でございまするし、それにつきましては一般的には政治、教育、経済その他あらゆる方面からこれが対策を講じなければなりませんけれども、検察面からいたしまして私はこの暴力の温床となるべきものに対しては断固たる処置をとって、萠芽のうちにこのような暴力行為というものが起きないようにしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。そのためにはもちろん今日の検察制度のあり方あるいはその技術というような面におきまして、さらにさらに検討を要するものがあるであろうと、目下研究をいたしておる次第でございます。
 ただ私として一言申し添えておきたいと思いますことは、世間ややもいたしますと、こういう問題が起きますごとに、直ちに治安立法を強化したらどうだというような意見が起きるのでありますけれども、私といたしましては、いたずらに法律の上に法律を作ってこれらを取り締まるということを考えるよりも、今日ある法律をいかにして守ってもらうかというところに重点を置いて、私の政策を進めていきたいと考えておる次第でございます。私はいたずらに治安立法を強化するということは考えませんけれども、しかし、今日の法律をあえて無視してもかまわない、暴力によって自分の主義主張を通そうというような考えを持つ者に対しましては、今日許されておるあらゆる手段をもって断固として法律を守ってもらうようにいたしまして、よってもってこのような暴力行為というものが再び出てこないようにしたい。かように考えておる次第でございます。
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山口六郎次#9
○山口委員長 以上をもちまして本事件に関する政府当局の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
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山口六郎次#10
○山口委員長 これより治安に関する件について質疑に入ります。質疑は理事会の申し合わせによる各派割当時間及び発言順位により行ないますので、あらかじめ委員諸君の御協力をお願い申し上げておきます。なお、関連質問につきましては各派割当時間の範囲内においてこれを許すことといたしますので、この点もあらかじめ御了承を願っておきます。なお、小倉警視総監にはよんどころのない都合によりまして午後一時までには退席し、以後は警視庁公安部長及び警備部長をして答弁いたさせたいとの申し出がありますので、この点も御了承を願っておきます。それでは田中伊三次君。
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田中伊三次#11
○田中(伊)委員 ただいま政府側の事案についての御説明を承りますと、国家公安委員長のお説では、このたびのこの事案は異例といわれるほどの厳重なる警戒をしたのだというお言葉であります。警視総監の報告を聞いてみると、五十数名の警官を中に入れて全力を尽くして警備をしてみたが、あっと思う間の、間髪を入れざる行動でやむを得なかったという御説明であります。この両君の御説明を総合すると、何だか不可抗力によって本件の事件が起こったかのごとくに聞こえる。私は、はたして本件の警備が万全を期した警備であるということがいえる状態にあったのかどうか、この点について具体的な見解を述べて、警備の計画それ自体をお尋ねをしてみたい。三党首がいやしくも立ち会い演説をやる、場所は公会堂である。こういうことになると、本件のごとき事件の起こる余地のないようにするための第一の考え方は、警備という点から考えて、しろうとが考えてみても、まずここに示してある図面で明らかなように、公会堂の入口は一カ所しかない。なぜこの一カ所しかない公会堂の聴衆の入口を警戒しないのか。本件事件を起こした加害者の少年は、過去十三回にわたって暴力事件で検束を受けておる。一口にいえば札つきの少年である。警視庁の右翼担当の者がこの少年の顔を見て、あっ、これだ、山口だということが一目にしてわからなくてはならぬ人物だ。私、その前に聞いておきたいのでありますが、現行法のもとにおいては、この入口を警備した際に、凶器を持っておるかどうかということの身体検査をする余地が法律上ないと思う、怪しいと思ったからといって入場を拒む余地はないと思うが、行動の危険がある少年であるかどうかということを入口において確認することはできるだろう。そんなことはできませんか。確認をしたら、確認した人物については尾行をして、場内に入ってからの行動というものを監視するくらいのことができなくて、どうして事が未然に防げますか。まず入口において身体検査その他をやる法規、方法がないのかどうか、危険人物だと思ったときには入場を拒む法規の根拠はないのかどうか、これをまず伺ってみたい。
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柏村信雄#12
○柏村説明員 お答えいたします。ただいまお述べになりましたような、だれでも入り得るという建前になっております会場の入口において、警察官がこれを拒むということはできません。また凶器を持っているかどうかということについて、身体を捜検するということはできません。
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田中伊三次#13
○田中(伊)委員 警視総監に伺ってみたい。なぜこの入口の警備をしなかったか。確認をして、確認したる者を場内において尾行をして、その行動を監視する、これは法律上差しつかえがない。距離を置いてやることであります。どうしてこの入口に万全を期することをしなかったか、警視総監のお答えを願いたい。
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小倉謙#14
○小倉説明員 当日の状況は、先ほど申し上げましたように、愛国党が当日の演説会を妨害する、あるいはいやがらせ行為をするという予想といいますか、これは事前に察知しておったのでありまするが、犯人あるいはその他の者による直接行動ということにつきましては、事前の情報はなかったのでございます。しかしながら、そのような愛国党の行動が予想されますので、当日入口のところに私服の警察官を配置いたしまして、入ってくる者の様子を見ておったのであります。開会の時間が近くなりまして、愛国党員並びにその他の右翼関係者がだんだん入って参りました。大体警視庁の方で考えておりました人物が入り終わりました。その後も様子を見ておったのでありますが、二時半ごろ場内の空気が非常に騒然としてきた。また、そのころはもう会場に入ってくる者がほとんどいなくなってきたというようなことで、私服の警察官はむしろ会場の中の警備に協力するということで、二時半ごろ入口付近を去って、会場の中に入ったのであります。事後になりまして、山口を取り調べてみますと、山口が会場の入口に来ましたのは大体二時五十分ごろでございます。まことに残念な気持がするのであります。
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田中伊三次#15
○田中(伊)委員 警視総監ばかりを責めるわけではありませんが、暴行の起こるような情報がなかったということが警視総監の一貫した報告であるけれども、大体警視総監お考えになるとわかるように、六月には河上事件が起こっておる。七月には現職総理大臣の岸事件が起こっておる。そういう大事件のあった直後に、総選挙を行なわんとする直前の三党首の演説会だ。具体的な情報があろうがなかろうが、想定としては、何らかのことが起こる危険があるということは、警視総監の頭で考えなくちゃならない。情報の有無の問題じゃない。客観的事実は六月なり七月あるのです。そういう場面の警備を行なうときに、ある時間は監視をしておった。場内が騒ぎ出したらその大事な監視が解けて、その警備員は場内に流れ込んだ。これでは警備は完全ですか。一体だれを警戒しているのです。三党首を中心としてその身辺を警戒している。三党首が会堂の中の演壇におる間に、どこでどんな騒ぎが起ころうとも、その会場に入ってくる聴衆を監視するということは怠ってはならぬ。五時間の時間にわたって三党首が会場の中におられたとするならば、会場の中におられる時間は初めからしまいまで入口を監視しなければならぬ。凶器を持った人間が、事を起こそうという人間が、監視をしておるときに入ってきますか。監視の目を離した瞬間に入り込んでくる。この札つきの少年が何時何十分に入場をしたかということの確認ができておらぬようなことでは、当日の警備というものにこの点においてまず第一に万全を期したということは言いかねるのではないか。まことに遺憾では事は済まぬ。どうする、これから後もこういう警備をやる考えなのか。あぶなくて立会演説なんかやれやしない。何を目的に警備をするのか。三党首の身辺を警備することが目的ならば、三党首が会場の中におられる間は、一分間も表の入口は見放してはならぬ。こういう整備のやり方において、まずこの点についてのみ考えてみて遺憾な点がなかったか、警視総監からお答え願いたい。
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小倉謙#16
○小倉説明員 通常こういうような種類の集会には、人口附近において警察官が監視をしておるというようなことはやらないのであります。またやることは適当でないと一般的にも思われておるのであります。ただ当日は、愛国党員のそういうような行動か予想されるということで、入口附近に私服警察官を配置して、先ほど申し上げましたような右翼関係者の人場を監視をしておったのであります。もちろん今日の情勢におきましても、直接行動というものは全然ないというふうに考えることは間違いでございまして、警察としましては、一般的にそういうようなこともあり得るということを考慮の上に置いて措置をしなければならないと存じますが、通常の集会等に対する警察措置といたしましては、ただいま申し上げましたような状況でございます。ただ事件が起こりまして反省してみますると、これはやはりさらに十分な措置を講ずべきであったというふうに考えておるのでございます。今後の問題につきましては、その状況によりまして、多少警察官が目だつということはありましても、必要な配置はしなければならないか、かように考えております。
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田中伊三次#17
○田中(伊)委員 警視総監のお言葉を聞いておると、やらぬでもいいことをやったのだ、こういう工合に聞こえる。身体検査をして凶器を持っておるかどうかを調べるというような事柄、怪しいと思うと入ることはいけないといって拒否するような事柄は、法律が許さない。しかし法律、制度の許す範囲において万全の警備とはどういうことを言うのか。距離の離れたところの警備員の目で入場してくる人間の姿を監視することはどこがいけない、どこが普通でないのですか、これは許されることじゃないか。はるかに距離の離れたところから入場してくる者一人々々を監視する、これは自由ではないか。通常やるべきでないとおっしゃるが、重要なときにはやっておるから、これはいいのだという。法律で許されたことにおいて全力を尽くすことはやらなくちゃならぬじゃないか。やらなくちやならぬことなのに、やらぬでもいいことをやっておったのだから、警備しておる時間もあったが警備しておらなかった時間もあったということは差しつかえないという言い分であるが、そうは問屋がおろさない。法律の範囲内においてやらねばならぬ最善の警備とは――ここはよく聞いてもらいたい。入場する者一人々々を監視をすることは法律上許された最大の仕事である。やらねばならぬことである。そのやらねばならぬことを、ある時間はやっておったが、中が騒ぎ出したらやらずにおいたというのではいけない。これは万全か。あなたはこれを万全とお考えになるかどうか。責任を追及するのではないですから心配せぬでいい。事を明白にしておかなければ国民ががまんをしない。これが万全であったと考えるのかどうか。重要な関所をたとい瞬間の間でも手抜かりがあったということに重要な点があるのではないか、もう一度お答えを願いたい。
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小倉謙#18
○小倉説明員 事後の反省検討をいろいろやっておりますが、ただいまの入口付近の配置につきましては、私は万全だったとは申しません。
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田中伊三次#19
○田中(伊)委員 それから第二点、このうしろに大きな図面があますが、演壇があって演壇に向かって左右にそでがある。これをそでというのかどうか、新聞がいうておるからぼくは言うのでありますが、そでがある。この演壇、舞台というものは相当高い。私のような小男であるというと、私の背の高さより高い。しかし、その演壇に向かって在右のそではだんだんと低くなっておりまして、犯人が飛び上がるおそれがあると、かりに大混乱の起こったときに暴漢が飛び上がるということを考えてみると、だれでも常識は、上がればそでである。中央は、警視総監の御説明のように、新聞記者席もあり、テレビもあり、ラジオもある。一般人が通行できないように前は囲ってある。これはまことにけっこうである。そういう措置がしてあるほかに、演壇に向かって左右のそでの入口がいわば場内の関所、会場の入口は外の関所、左の方は右翼が騒ぐからというので関所の方にはたくさんの人がおった。向かって右の、この少年が虚をついて飛び上がっていったそで近くには、警備員が一人しかいない。どうしてこういう配備をしたのか。なぜここに数名の者を置かなかったのか。警視総監が報告された、二階からビラをまいた、そのビラをまいた犯人をとらえて表に送り出しておる間、一人しかいないから、その一人が他に移動したそのすきに乗じて、この少年が飛び上がっていったという事態がある。どうして演壇に向かって右そでの入口に万全を期して数名の人員を配置しなかったのか、どうしてやらなかったのか。
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小倉謙#20
○小倉説明員 この事件の発生いたしましたときにおきましては、右そでの座席のところに警察官を三名配置いたしております。
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田中伊三次#21
○田中(伊)委員 三名の警官を配置しておって、どうしてそでから飛び上がっていくやつが押えられなかったか。あなたは何か勘違いではないかな。このそで近くには人しか配置ができていないのではないか。いいかげんな答弁はいけませんよ。一人しか配置ができていないのじゃないか。その一人が移動したあとはだれもいなかった。そこから上がっている。よく図面をごらんなさい。三名もおったのかどうか。何という名前の者が三名おったのか。
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小倉謙#22
○小倉説明員 ただいま申し上げましたように、そでのところの近くの座席のところに三名おります。これは小塙、千葉、古川この三名がおりました。このそでの手前の座席のところです。
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田中伊三次#23
○田中(伊)委員 三名の警備員がおって少年を押え得なかったのはどういうわけですか、どういう事情ですか。
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小倉謙#24
○小倉説明員 その点を若干説明さしていただきますが、当時ビラまきあるいは非常に喧騒にわたるということで、検挙者四名を出し、場内は非常に騒然といたしておった雰囲気でございましたが、その配置いたしておりました付近の配置警察官の小塙、千葉の両名を調べてみましたところが、演壇に向かって、図面で説明いたしますと、ここに警察官がおるわけです。それでこのすぐそばにも、愛国党にもヤジを飛ばすし、また演壇の方にもヤジを飛ばして、非常に興奮しておる男がおる。それからここに、学生服姿であるが、場内の整理員と口論をしたり、かなり興存した様子の男がおる。ということで、これを押える、またこれに警戒を払っておるというような状況です。で、犯人はここを来まして、そしてずっと行ったわけでありますが、まあそれに注意できなかった。といいますのは、ここらにも人がさらにおりまして、ときどき通っておったというような状況があるのであります。
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田中伊三次#25
○田中(伊)委員 そこで伺ってみたいが、小塙、千葉君がおられた位置は、そでの上がり口とはだいぶん距離のあるところです。あなた御自分で地図を見てわかるでしょう。距離があるでしょう。私の言うておるのは、そでの上がり口の大事な関所にどうして人を置かなかったのかということです。あなた気がつかぬけれども、一人はおったんです。一人はおったが、騒いでおる間に、他に移動して留守になっておるから上がっておるんです。三人おったというのは距離があり過ぎるでしょう。関所の入り口に、上がり口にどうして人を置かなかったのか。急所の急所なんです。警備の急所です。こんなことができなかったら警備になりませんよ。だれもいなかったんじゃない。一人はおった。離れたところには三、五人おった。千葉君、小塙君以外の者もおった。そでの上がり口にどうして人を置かなかったのかということです。上がろうとしたら、待てということがどうして言えぬのか。何でもないじゃないか。どうしてその急所に人を置かぬのか。はるか離れたところでは、間髪を入れずというようなことはとても困難です。間髪を入れられちゃ困る。どうして上がり口に人を置かぬのか。何でもないことじゃないですか。急所じゃないですか。上がり口なら人間の腕一本でいいんです。いけない、でしまいだ。どうしてそこに人を置かなかったのか、こう言うんです。
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小倉謙#26
○小倉説明員 もちろんその点は事後における検討の非常に問題点であります。そこで……。
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田中伊三次#27
○田中(伊)委員 総監、総監、それは問題点であって、反省をしておるということならよろしいから下がって下さい。
 それから第三点、警備の不備としろうとの私が考える第三点について所見を申し述べます。第三点は、警視総監にお聞きをいただいておきたいのでありますが、第三点の急所は舞台であります。三党首は演壇を中心として、演壇に上がってお話しになる。演壇全体、舞台全体を監視する警備員の要員が必要であることは言うを待たぬ。ところが、これが一人も置いてなかったということです。やや説明が要るから説明をいたします。数名の警官は上にはおった。演壇の左右にはたれ幕、上から下にたれた幕があります。この幕は何のためにあるかというと、聴衆席からはそこに人がおっても見えぬようになっておる。しかしたれ幕の下に立っております者からは舞台全体が見えるようになっておる。そういう便利なものがたれ幕という。そのたれ幕の中に数名の警官がおったが、この数名の警官はどんな警官かというと、池田総裁の身辺を守る警官、淺沼君の身辺を守る警官、個々の代表者の身辺を護衛する専任の任務を命ぜられた警官のみが数名おった。この舞台全体のできごとを、間髪を入れず起こってくるかもしれぬその舞台全体の監視をする警備の役目を持った者が一人も配置されていなかった。これは一体どういうわけか。池田総裁の身辺を守っておる者がこのできごとの最中に飛び込んでいって、ほかのできごとにタッチすることはできない。任務違反である。淺沼さんの身辺をお守り申し上げておる者が池田に対するできごとにタッチするわけにはいかぬだろう。それは任務が違う。そういう人々がそこにおることは当然で、私はそれをとかく言うのではありませんが、どうしてこの舞台全体を警備する要員をここに置かなかったのか。第一、私が勝手に判断をしてもいかぬが、置いておったのか置かなかったのか、置いておったとすれば何人、どういう名前の人を置いておったか、これを伺いたい。
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小倉謙#28
○小倉説明員 ただいまの御質問でありますが、特別舞台のみに限ってそれを注意しておるという警察官は置いておりません。しかしながら、個々の警察官はそれぞれ任務を与えられておりまするが、しかし眼前に起こった事態に対しましては、その任務をときに離れて行動するということもあるのでありまして、現に池田総理を護衛する任務を帯びておりました警察官の中からも三名かけ出しまして淺沼さんの身辺にかけ寄っておるのであります。
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田中伊三次#29
○田中(伊)委員 警視総監は、国会で答弁をするのだから、そういう言いわけを言っちゃいけない。あなた警察官出身でしょう。池田を護衛せい、淺沼を護衛せいという指命を受けておるときに、指命を受けた警官はどういう行動で、どういう意識が働くかというと、事が起こった瞬間には、おのれの任務とする池田は大丈夫か、淺沼は大丈夫か、まずこれを判断して、これが大丈夫というゆとりがある場合でなければ人のところにタッチしない。そんなことはわかり切ったことです。訓練を受けた、命令に忠実な警官ほどおのれの主要任務に重点を置く。間髪を入れぬ間に事を起こされたのはこれが原因なんです。ここをよく聞いておきなさい。これが原因なんです。おのれの主要任務にみんながとらわれておるから、あっと思った瞬間に、ついでに応援をしに出ていくから事が手おくれになる。主要任務を受けておっても、主要任務以外にほかの任務もやっていい、そんな説明はここで聞かぬでもわかっている。どうして舞台そのものを監視するそういう主要な任務を持った要員をそこに置かなかったのか、置いた方がよかったと思うのか、今後もやはりそういうものは考えぬでいいんだ、ついででやったらいいんだというのか、どう思いますか。どういうふうにお考えになりますか。
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