宇夫方貞夫の発言 (社会労働委員会)
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○宇夫方参考人 経過につきましては、先ほど副社長から述べましたので、私の方からは、もう少し具体的に中身を申し上げたいと思います。なぜ私たちの争議が起きたかという点から申し上げたいと思います。非常に時間が限られておりますので、まず一番先に私たちの賃金から聞いていただきたいと思います。
私たちの賃金が、現在どのような賃金が支給されているかと申し上げますと、まず国家公務員と非常に性格がよく似ているということから、国家公務員と比較して申し上げたいと思います。去る八月に人事院勧告が出されまして、その人事院勧告によりますと、国家公務員の賃金が平均二万一千六百円と発表されております。さらにこれがもし勧告にのっとってそのまま実行されますれば、公務員の平均賃金は二万四千二百八十円になります。そこで私たちの賃金は、これは基準内賃金を国家公務員の場合計算しておりますので、基準内賃金を計算いたしますと、平均八月現在で一万三千百二十七円でございます。ですから、この国家公務員のべース・アップ後の賃金と比較いたしますと、一万一千円の差が生じます。ですから、私たちの要求である五千円のベース・アップは、むしろ低過ぎるということが言えると思います。言いにくいこともここで申し上げますけれども、経営者側は報道陣などに、日赤の賃金は安くないというようなことをよく言います。しかし本社や支部の高級職員まで含めた健康保険組合の発表した資料によりましても、月額報酬の総額が、平均一万七千六十九円というふうになっております。これはあらゆる手当から何からひっくるめた額で一万七千六十九円でございます。このように低いことの理由の一つには、初任給が第一には低いということ、この初任給におきましては、例を申し上げますと、看護婦さんで平均九千四百円、国家公務員の場合には一万一千三百円になっております。低い看護婦さんになりますと、七千百五十円という初任給さえもあります。一般労務員におきましては、なおさら低くて、三千七百五十円という生活保護基準にも満たないような金額が示されております。もう一つは、定期昇給が極端に低いということでございます。たとえば五千円の賃金の人が一万円になるには、大体十二年を要します。さらに一万円から二万円になるには何と十八年を要します。ですから、今の日赤規定によりまして、高等学校卒業生が勤めたといたしますと、初任給六千八百円でございます。この人が二十八才になりますか、十年間勤めたといたしましても、本俸が一万二千円にしかなりません。こういう状態では、現実に言われておりますように、結婚もできない、こういうのが実態でございます。ですから、私たちが要求しております五千円の賃上げと、もう一つは、定期昇給の昇給率を三倍にしろという要求はしごく当然なものと言わざるを得ません。こういう低賃金と一緒にもう一つは、現在の労働条件の問題がございます。看護婦さんを中心にして医師、薬剤師その他の職員が非常に不足しております。そのためによく町で、病院は一日がかりで、あるいは三時間待って診療が二分だ、こういうことが盛んに聞かれます。これは武蔵野の例でございますが、実はステッカーで二時間待って診療三分と書きました。ところが患者さんから文句を言われまして、これはうそだ、三時間待って診療は二分だと言われました。そこでさっそく書きかえました。こういう事実さえございます。そこでさっそく計算してみましたところ、武蔵野におきましては、診療時間が一分三十秒という数字が出ております。これでは良心的な治療も何もできないというふうに判断いたします。労働条件については、各病院によりましていろいろと条件が違いますので、一がいに言うことは困難でございますけれども、例をあげますと、たとえば水戸の赤十字病院におきましては、一昨年過労のために手術場の看護婦さんが全部倒れたというようなことがあったり、あるいは患者さんがベットから落ちて死んだのを知らないでいたという事実さえあるわけでございます。たとえば九州福岡の日赤におきましても、産科病棟の看護婦さんが連続三十二時間という勤務をしいられております。これは朝八時から日勤をいたしまして、夕方の四時までが昼の勤務でございます。それから引き続いて夜勤を行ないます。これはあすの朝の八時まででございます。さらに引き続いて日勤が次の日の四時まで続きます。連続三十二時間という勤務がしいられております。これはその他にもございます。たとえば山形県の東根におきましても、連続二十七時間の勤務がしいられております。こういうような勤務体制、あるいは石巻の日赤におきまして高橋睦子という看護婦さんが、夜勤者がたった一人のために夜患者から殺されたという事件さえも起きております。これは労働省の方に労災適用かどうかということで現在回っております。こういうふうに基準法違反その他がたくさん行なわれ、たとえば女子の従業員を保険の請求事務だと称して夜の十時または十一時、十二時までも勤務させてみたり、このことは山形県の東根の日赤においても監督署から、こういうような長時間時間外をさせてはいかぬということで勧告を受けましたところ、病院長は、十一時までとか十二時まで時間外をつけるのはけしからぬ、十時以下にしろ、こういう強制をしております。現実には十二時ごろまで働かせておきながら、監督署に怒られると、帳簿の上では十時までに落して、それをのがれよう、こういうことまであえて行なっております。こういう時間外をやらせておきながら、さらにこの時間外の手当を支給しなかったり、あるいは時間外が多過ぎるということで削ったりしております。さらにそういう時間外をさせ、あるいは削ったりしながら、時間外協定も行なっていないという病院が非常に多くあるという事実でございます。このことは、赤十字本社が一貫した指導理念に基づいて行なわれているとわれわれは判断せざるを得ません。昭和三十一年病院経営資料の中に、こういう文句が書いてあります。「職員はフルに稼働して、患者サービスの減退を来たさないぎりぎりの線までできる限り多くの患者を取り扱うことが肝要である。」こういう指導を本社は行なっております。この指導に基づいて行なわれているというように判断せざるを得ません。こういう労働条件の中で私たちの人権争議といわれるまでの戦いが現在起きているわけでございます。先ほど副社長さんの方からも、金がないから出せないということだけお話をお聞きいたしましたけれども、実は団体交渉が四回行なわれて、もう行き詰まりになったから、第三者にあっせんを依頼するのだということを申されておりますけれども、団体交渉の席上で金がないという資料を見せられたことは、第四回目の団体交渉の夜の十二時過ぎに初めて見せられた、こういう事実でございます。その本社側の資料によりましても、昭和三十四年の決算で三億四千万の黒字が出ております。さらに本社の説明によりますと、設備投資が総額で四十億、元金の返済が一年間に四億、そうして利息の返還金が三億といわれております。さらに本来赤十字病院が事業として行なわなければならない看護婦の学生の養成も、実は年間一億五千万かかっております。しかしこの一億五千万のうち三分の二を占める一億円については、全部私たちが働いた病院収入の中から支出されております。これらは本来赤十字本社が当然行なわなければならない事業であり、支出しなければならない金額でございます。これらをもし総計いたしますと、私たちの五千円の要求は決して無理なものではないし、出せないものではないというふうに考えております。こういうことから、本社は四回の団体交渉におきましても、今言いましたように、資料にも出さずに、ただ金がないから出せないの一辺倒で今日まで押し切っております。その一方こういうことが本社から出されております。ストライキをやられたときの対策を指令した文書でございますが、その中からちょっとおもなものを引き抜いてみますと、対策本部を作れ、あるいは非組合員に呼びかけて全面的な協力を得ろ、あるいは保安協定を急げ、あるいは部分ストあるいは全面ストに入る前日は地方労働委員会が職権あっせんに乗り出すかもしれぬから、そのときまで五分五分の態勢を作れ、あるいは状況によっては外来患者の診療を中止しろとか、あるいは県の警察あるいは市の警察に事前にあいさつをしておけとか、そういうような指示まで行なって、本来団体交渉で解決すべきこの問題を、ストライキをやるならやれ、やったらこちらにも対抗手段がある、こういうような態度に出ております。それで団体交渉では、一方で資料も出さずに、金がありませんとかなんとかで四回もすっぽかされた、こういう事実でございます。私たちは、中央労働委員会の実情を聞きたいということも、実は時期尚早ということでお断わりをいたしました。このことは、決して私たちが中央労働委員会、第三者を否定するものではございませんけれども、現在の段階でまだ話し合う余地が十分残され、十分話し合いが行なわれないままに第三者にあっせんを依頼する本社側の不誠意については追及いたしたい、かように考えております。私たちは第三者を交えないで、しばらくの間とにかく誠意を持って団体交渉に応ずるまで、自主的な団体交渉によって解決すべく努力いたしたい、このように考えております。
非常に大ざっぱでわかりにくいと思いますけれども、簡単に申し上げました。