葛西嘉資の発言 (社会労働委員会)

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○参考人(葛西嘉資君) このたび私ども赤十字の病院が全国にわたりましてストの状態に入っておりまして、患者の方々その他の人に御迷惑をおかけしていることはまことに遺憾でございまして、申しわけなく存じております。
 赤十字の運営のことを初め申して、それからストの経過を申すようにという委員長のお話でありますが、日本赤十字は、御承知のように、昭和二十七年にきまりました日本赤十字社法によって運営をいたしております。日本赤十字は、社法によりまして一国一社、一つの国に一つの赤十字というような原則で、日本の赤十字の全体は赤十字の社長が運営するというような格好になっております。社法並びに定款の規定によりまして、社長は日本赤十字社を代表し、赤十字の行ないます業務を総理するというような形になっております。しかしながら、日本全国にあるものを東京で全部やるということはできませんので、これを大体支部——府県を区域にする支部に分けまして、支部の組織というものがございます。それからそのほかに、また支部の指導監督のもとに医療施設がある、こういうような形になっておりまして、社長、支部長、病院長というようなものの権限といいますか、責任といいますか、ここらのところが問題があるように思いますので、少しその辺を申し上げた方がいいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
 社長は、今のように本社を代表して、赤十字の仕事を総理してやる、仕事の大体内容、総理の内容の実態は何かと申しますと、支部との関係から申しますと、定款に定められておるところの役職員並びに幹部職員の任命、支部に委任したものがございますが、幹部の方は本社で内申によって任命するというような形。それから第二は、本社の全体の制度の改廃というような、全国的な制度の改廃というようなものが社長総理の一つの内容でございます。それから第三は、赤十字事業の全般的な企画、指導というようなことが支部に対して、あるいは病院に対して行なわれるというようなことでございます。そのほかに、第四番目に赤十字の特殊な事業として、国際的ないろいろな赤十字事業がございます。そういうようなものは一本で本社がやる、たとえば中共の引き揚げでありますとか、あるいは今政府の委託を受けてやっております在日朝鮮人の北鮮帰還というような問題は本社でこれをやる、それから日本赤十字は国際赤十字連盟の理事国になっておるわけですが、そういうようなものも大体本社の方でやっていくというような、四つくらいの活動の内容を、分割いたしますとそういうことになろうかと思います。で、赤十字の事業はそんなようなことで全国で行なわれるわけでございますが、これを大体四十六都道府県に分けまして、そしてその区域でやる、ことに事業をやるにいたしましても、支部でやります事業は、お金がありませんので、大体社員あるいは賛助員というようなものの援助によりまして、その地方々々でそれらの援助をいただきまして、その額を、評議員という議決機関があるのでありますが、それの議を経て、支部によって本社の指導のもとに行なわれる、こういうことになっております。
 病院は、今大体病院の数が百、それから診療所の数が四十五くらい全国にございますが、そのうち三つの病院——東京の渋谷にございまする中央病院、それから産院、それから特殊な沿革である諏訪の病院というものだけは、これは本社の直轄病院ということになっておりまして、支部に属せずに本社に直轄している、こういうことになっております。あとの残った九十七の病院及び診療所は支部の所管というようなことに相なっております。そして、これは御承知のように、院長は、医療法の規定によりまして、病院の業務を管理するというようなことになって、いわばまあ何といいますか、第一線の第一次の責任者というようなことになっておるわけでございます。
 それから支部と病院の関係でちょっと申し上げたいと思いますのは、たとえば病院を作りたいと、あるいは病院をやめたいというときにはどういうふうな手続になるかと申しますと、病院を地方の要望等によって一つ作ろうというようなときには、書類を付して社長の承認を支部長に受けさせます。社長がやろうと、相談してやったらいいというようなことになりましたら、この社長の承認を受けて、支部長は医療施設の開設に関する手続を社長にかわって行なうのだと、こういうことになります。それから廃止というような場合が必要だというようなときには、その旨を社長に報告して、その指示に従って患者をどうするとか、あるいは資産をどうするというような処理をすると、こういうふうな仕組みになっております。これはそういうわけで、何といいますか、国が国立病院を経営するというのとはいささか違う。それはどういうところによるかというと、おそらく財源の関係、いろいろその支部支部、地方々々でお世話になるというふうなことで大体自主的にやる。それから仕事も、赤十字社の事業と申しましてもいろいろ地方等で特色のあるものをやりたいというようなことで、そういうふうな仕組みになっているのですが、終局の責任と申しますか、一社の代表であり、総理する責任は社長にあることは言うまでもございません。大体そんなふうな仕組みで運営をいたしておるのが実情でございます。
 それから収入の方の面を申し上げますと、大体病院の方は何と申しますか、そこで上がりました収入は、大体これは本社や支部へ持ってくるようなことはない。その病院で上がりましたものはその病院で、一つは患者に還元する、患者サービスに向けるというような面に使う、と同時に、また従業員の待遇改善の方に、増収があれば待遇改善に向けるというようなふうにいたしております。それから支部なんかの方であれば、今の予算は大体医療施設の関係では、ごく大づかみに言って百十億円くらいの一年の規模でございます。それから支部、本社の関係になりますると、財源というのは何であるかというと、これは昔と違いまして、本社にも支部にも財産というものを持っておりませんので、毎年々々社員の方方にお願いをいたしまして、あるいは賛助員の方々にお願いをいたしまして社費を出していただくと、この金が、大づかみに言って約九億円足らずのものがあるというようなことで、そんなようなことで、それから特殊に今の北鮮帰還というようなことになりますと、これは政府からその事業を指定した委託金というようなものをいただきましてやっておる、こういうまあ実情。そういうことから自然そんな仕組みになっておるんだと、こういうふうに理解をいたしております。
 まあそんなことでございますが、今度待遇改善の問題に関しまして、ことに政府職員等が今度べース・アップをされるというようなことに関連をいたしまして、われわれも、政府が上げるというようなことになりますれば、どうしても私どもの病院の従業員も業種としては同じことをやっておるわけでありますし、災害救助というような新しい仕事もそれに付加されておるわけでございますので、何とかしたいというようなことを考えたのでありますが、財源がないわけであります。そんなことで、先般来こういう事態になったわけでございます。その経過をちょっと委員長の御指ホによって申し上げたいと思います。
 先々月の十月の二十五日に、労働組合の方から要求を書面によって提出がございました。大体五項目ございます。その五項目は何かと申しますと、第一は労働協約を改訂したい。ちょうど改訂の時期にも来ておりますものですから、これこれのことを改訂したいという申し出がございました。それが第一点でございます。
 それから第二点は、今度大幅に賃金を上げてもらいたい、具体的に申しますと、一人につき五千円、最低一万円上げてくれ。それから現在のまあ昇給の期限がきまっているわけです。何年たったら上げるというようなのがきまっている。こういうのを三分の一くらいに短縮して早く上がれるようにしてもらいたいというのが要求でございます。
 それから第三点は、ちょうど暮れに迫っておりますものですから、年末賞与に関してでございますが、年末賞与に関しましては、私どもの方としては、一律げたばきと申しますが、一律プラス・アルファをつけてもらいたいというようなこと。一律五千円のげたばきをしてもらいたいということでございます。これはまあ普通の病院でございますと、その病院の財政によりまして、財政の許す範囲において、その病院々々でやるわけでございますが、それのときに新しく一律げたばき五千円ということでやってもらいたいというのが、第三の要求でございます。
 それから第四、第五はちょっと特殊の問題でございまするが、第四は、広島県の糸崎に療養所を主体にした糸崎赤十字病院というのがございますが、これらの存廃問題が起こっておるのでありますが、それについて本社は責任を持って一つ措置を講じてもらいたいということでございます。
 それから第五は、東京の武蔵町赤十字病院について、夏以来一時金の賞与の配分につきましてトラブルがあったのでありますが、それを一つ努力して解決をしてもらいたいというような、五つの点でございます。
 この点につきましては、十月二十五日に書面で出て参りましたので、十月の二十九日に、一カ月ちょっと前に、私どもの方から回答をいたしたのでございます。これは重複いたしますが、ちょっと回答の内容を申し上げる方がいいかと思いますので、私、申し上げてみたいと思います。
 第一の労働協約の改訂については、組合側の方からの言うてきた、こことこことを変えてもらいたいという点については、いろいろ検討をせにゃならぬ。それから今度、こっちの方も、本社側の方でも、今改訂の機会に変えたいものがある。そういうものをつき合わしてやりたいというようなことで、具体的な素案みたいなものを作ってまあ今話し中というような状態でございます。
 それから第二の問題は、あれでありますが、第二の賃金の大幅な引き上げという問題につきましては、これは御承知のように、昭和二十三年の秋に医療費の八・五%の引き上げがございました。そのときに第一次及び第二次の給与改善というものを本社は実行いたしたのでございます。そして、職員について相当上がっている。平均いたしますと、二十七カ月短縮ぐらいの平均の値上げをいたしました。しかしながら、これは財政の余裕のいいところは、もっとずっと出ておりますし、それから財政の悪いところは、低い引き上げしか出なかったというような、非常にバランスがくずれておるような、非常はアン・バランスの状態の引き上げが行なわれたのでありますが、そんなことで、もう財源はほとんどないわけでございます。そんなことで、今度、一律全職員に対してべース・アップをするということは今はできない。ただ、しかし、その財源のある病院については、今の年末賞与が出せるわけですから、年末賞与で分けることもよろしい。それから全部の職員に上げることはできぬけれども、その病院々々で非常に、たとえば看護婦が少ないとか、あるいは事務職員の、あるものが少ないというようなものには、それは財政の許す限り、特別昇給と私どもは申しておりますが、そういうふうなことで昇給をしてやってもらう。問題はまあ結局、一律上げるということは、この前のように医療費の根っこが上がるというようなときでなければできない。新聞などによりますと、医療費の値上げというようなことがあるやに想像されるのだが、近く行なわれると思うが、そのときまで待ってそのときにはやる、そのときには——実は日本赤十字の給与の体系と申しますのは、本社が一応基準をきめて、その適用を地方々々でやらせるということになっておるわけですが、その給与体系というのが、終戦直後に実は作りまして、そして若干の手直しを数回やって今日に至っておる。非常に実情に合わない。ことに国家公務員等は今度変わるということになりますと、非常に合わない点があるので、これを改正したい。ところが、給与の改訂という問題は、相当財源を持っておらぬとできぬのであります。幸いに、医療費の改訂ということがもしやることができるものならば、医療費の改訂のときに、給与の体系もあわせて改訂をしたい、こういうことを申しておる。ですから、今のところは、全職員に対してはできぬ、財政のあるところで、今の年末賞与なり、あるいは特別昇給なりでやるということが回答であったのでございます。まあそれがまだ妥結しておらぬ。
 それから年末一時金につきましては、私どもとしましては、今まで従来一律五千円とか一律千円とかいうようなことをつけ加えることは、賃金というものは大体労働に応じてやっておるのであって、みながげたばきで増をやるということは悪いことだというようなことにもなりますので、そういうことは認めることはできぬという方針なんであります。しかし、また、他面考えてみますと、府県であるとか、あるいは市町村でありますとか、あるいは、私どものような公的医療機関というようなもので実際調べてみますと、若干のものを出しておるのがあります。そういうことでありますならば、うちの方だけでそういうことをやるのもどうかというようなことで、そういうふうなことがあって、地方の慣習で、大体社会通念としてもち代ぐらいの程度のようなものでございます。そういうような額の限られたもの、少額のものが出ておるというような場合には、日本赤十字としても出してもいいのだということでございます。そして、この問題は、大体今の病院の経済によってやるのでありまして、そういう基本方針で今、各単組、これは労働組合は全日赤という、きょうお見えの宇夫方君なんかのいる全日赤のほかに単組がございます。これが病院長と団交をやるわけでございます。それは今二十五ばかりかと思いますが、年末賞与の点については、すでに妥結を見ておる病院もございます。大体そういうことでございます。
 それから糸崎の問題につきましては、存廃の問題について今、広島県の支部におきまして、地元の市の市長さんなんかに入っていただきまして、今、小委員会でどうするかというようなことを今検討中でございますので、それの意見を尊重して、本社としての最後の態度をきめる、これが回答でございます。
 それから武蔵野の問題については、御承知のように、夏からいろいろ問題があったのでありますが、都の労働委員会の方からあっせん案が出ておりますので、これが組合側の方がのめなかったのでありますが、私どもは都のあっせん案を受諾、その都の方のあっせん案の線で円満に妥結してもらいたいということを言っておるわけでございます。まあ、そういう回答を十月の二十九日にいたしましたので、一カ月ちょっと前でございます。
 それから十一月の十日ごろから一回、二回、三回、四回でございますが、団交をいたしました。これは夜おそくまで団交を継続したわけでございますが、どうもなかなか妥結の線に至りません。そこで、年末も近づきますし、それからこう平行線で行っても仕方がないから、一つ公正な第三者の意見を聞いて、そして妥結をしたいというふうなことで、十二月二日の第四回の団交のあった夜おそくに中労委へ行こうじゃないかということを言ったのでございますが、同意を得られません。そんなことで翌十二月の三日に入り、本社としましては中央労働委員会にあっせんを依頼いたしたのでございます。しかし、どうもそのままでございまして、その後、その間十月二十五日から第一波の病院ストが行なわれる。それからずっと四波でございますか、一昨日、十三日の第四波までストが行なわれているという状態でございます。ストの状態は百の病院の中に全日赤加盟の病院が五十か五十一加盟しております。半分加盟しているというようなことでございますが、その五十の病院の中に三十ちょっとというふうなところが、全日ストとか、職場大会というような、ストというのはどこまでがあれか、そういうふうなことで行なわれているのが用状でございます。私どもとしましては、もう赤十字のこういう施設が、こういうことになりまして、一般に迷惑をかけますことは、申しわけのないことだと思いますので、なるべく早く解決をして、そして患者の方にも迷惑をかけぬようにするし、一般の人にも安心をしていただけるようにしたいものと熱望している実情でございます。

発言情報

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発言者: 葛西嘉資

speaker_id: 25628

日付: 1960-12-15

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会