滝井義高の発言 (社会労働委員会)

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○滝井委員 予防と治療と後保護に力を入れられることはけっこうですが、私は非常に大きな点が抜けていると思うのです。それはなるほど作文としては予防ということで、あなた方が三十四年から二百十六の保健所の管轄地区ごとに結核対策の推進地区をお作りになった。そうして健康診断と予防接種の徹底、一般住民に対する検診の強化、それから患者管理の徹底による完全受療、完全治癒の促進、濃厚感染源の一掃、国の助成の強化、こういうことを三十四年に政策としてお立てになり、三十五年には四百二十六地区に拡大をし、ことしはさらに命令入所、国民健康保険における精神病、結核の七割世帯主給付というふうに拡大をしておられるわけです。その一連の政策で、まず第一に予防の面の保健所というのが、その機能を発揮する状態にないわけです。結核検診が一番普及徹底しているのは学童だけなんです。一般住民は徹底していない。一般住民の結核の健康診断、予防接種は二割一分です。学童は八割ぐらいいっていますけれども、一般は二割一分です。学童は家庭内部からの、老人結核から学童に感染をするか、あるいは学校の教師自体が開放性の結核でない限りは、そう感染はないわけです。大都会はそうでもないかもしれませんが、大体機会が少ないわけです。そこらあたりを押えればいいのですが、最近はそういうものがあったにしてもBCGとツベルクリンの反応検査で相当防いでいけるわけです。そうすると問題は一般住民その他を対象とする保健所の活動がどうかということ、これはきょうの朝日新聞かなんかにも出ておる通り、とにかく技術者が七割いないのです。東北にいったら二割七、八分の充足率です。給料の条件が悪いために医者が集まらない。衛生技術者になる希望者がいない。医科大学卒業者で衛生技術者の希望者が一つの学校に一人か二人おるかいないかという状態です。だからまず予防という面にぽかっと大きな穴があいてしまっておる。それから今度は治療の面になりますと、これがまた一つの大きな隘路になっておる。というのは、あなた方は結核の問題を結核予防法で解決しようとしていらっしゃる。ところが結核予防法というのは、読んで字のごとく予防なんです。ところがそれに今度は治療面が加わってきておる。この治療法を私はこのまま置いておる限りにおいてはだめだという意見です。この治療をこの際——もうパスだってマイシンだって安いです。パスのごときは一日分十グラムやったところで、普通のお薬代と同じ程度でしょう。一日二・九かそこらでしょう。普通だったら二・八くらいですから、同じですよ。だから私が調べたところでは、今医者は結核患者が来たら、パスを普通の病気としてやっていますよ。そんなものを結核予防法でレントゲンをとったり、あの結核審査協議会なんかに一々かけてやるんでは大へんだというので、みんな普通の投薬でやっていますよ。熱心な医者は、そんなものを出すのはばかばかしい、戸籍謄本まで持ってきて、そうして結核予防法の申請なんかするのはばかくさい、だから平病でやってしまう、こういう状態が出てきているのです。ハスもマイシンも、今ではもはや特殊な薬ではないんです。みんな薬店から、ヒドラジドその他の錠剤を買って、大衆はみんな飲んでいますよ。だから、そういうものを特殊なものとして、何か神がかり的なものとして奉って、結核予防法のワクの中に閉じ込めておくことが問題なんです。こんなものは健康保険へ開放してしまったらいい。もうマイシンの注射だって安くなったんですから、これは神経痛のイルガピリンみたいなもの、あの方が高いくらいですよ。だから、こんなものは全部健康保険や国民健康保険でおやりになったらいい。そうしてそういう結核に払った医療費だけは基金に国からお支払いになったらいい。それを一々あのめんどうくさい手続をやらせるところに一つの隘路があるんです。だから、これは事務の簡素化の一つの大きな前進にもなる。あんなめんどうくさい——私は実は代議士になった一つの目的は、ああいう医療の事務を簡素化するために私は代議士になったのだということをよく天下に公言していますが、ああいうことをやらせることが日本の医療を、こういうようにして医者の心を曲がらした一つの原因ですよ。武見医師会長から算術なんて言われるのは、結局そのためですよ。医者と患者との間に第三者が入ったんだから、この三者だから、これは仁術が算術になったと言われるのはそのためです。こういう事務的なことを医者にやらせているから、事務の勉強によけいに重点がかかって、ほんとうの医学の勉強を怠るという結果が出てくる。そういう制度にしちゃった。だから私はこの際、まあ保険でやるということになれば保険局になって、あなたの方の権限がそれだけ縮小するかもしれぬけれども、やはり日本の結核を撲滅する意味で、尾村さんのところも大乗的な見地にお立ちになって、これをさっとやるべきだと私は思うのです。これを健康保険、国保で普通の医薬と同じ取り扱いをおやりになると、結核はぐっとなくなりますよ。軽いうちにみんなパス、マイシンをやっちゃうんです。やったところで額はかさまないんです。それから日本の製薬企業だって、パスはたくさんできて困るくらいできるんです。一グラムが一円以下でできるんですよ。だから、こんなものは安くして、そうして結核の予防にも飲ましたらいい。坂田さんが厚生大臣のときに、学童に予防的にこれを飲ませるという約束をしたんです、ところが、その後それがどうなったのか何も音さたがないんですが、これがどうなったか尾村さんにも聞かなければいかぬ。そういうように、こういう薬を予防面にも使うし、それから治療面にも普通薬として用いていくという方向に、この際踏み切るべきだというのが私の意見です。そうしますと、治療面というものはぐんと進むのです。後保護の問題は、予防と治療が徹底をしてきますと、後保護は、今の中高年層以上の結核患者の対策になるから、非常に限局されたことになる。それと、再発防止の対策というものは、これは予防面から取り得るわけです。それともう一つは、今厚生省と医師会はけんかばかりしていますけれども、この結核対策に医師会を動員するということです。これはもう私は何回もここで言ったんです。そうしてお医者さんに月に一万円ぐらいやってもいいじゃないか。それをおやりになって、保健所は閑古鳥が鳴いているんですから、保健医は開放性結核患者のおる家を回るだけの人員がないんだから、開業医を動員をして、そうして少ない保健医とその開業医をタイ・アップさせながらやったら、これはわけはないのですよ。どうしてこんなやさしい政策を今まで歴代の厚生大臣が——もう私が何回言ったかしらぬが、なるほどその意見はよろしいとおっしゃるのだが、一向に実行しない。こういう点から、いわゆる予防医学の方向に日本の開業医なり公的医療機関を誘導してくる、こういう政策をおとりになったら、結核なんか撲滅するのはわけないです。それをやらないところに問題があるのです。これは今のあなた方のやられるようなこういう予防法のチャチな改正なんかじゃ、百年待っても結核はなくならないですよ。そういう点を思い切ってどうですか、私は今三つの点を——今の保健所は閑古鳥が鳴いておるんだから、ここに開業医か公的医療機関の医師をできるだけ動員して、そうして月一万円くらいの手当をお出しになったらいい。これはやらしたところで安いものだ。それから、パス、マイシン等の抗生物質を普通薬と同じように取り扱う。それから、学童の陽転者にはすみやかに予防的に飲ませていく。これは実験してみるということを坂田さんが約束した。そういうような方向でもってどうしていけないのかということなんですがね。

発言情報

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発言者: 滝井義高

speaker_id: 12638

日付: 1961-05-10

院: 衆議院

会議名: 社会労働委員会