若菜三郎の発言 (建設委員会)

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○参考人(若菜三郎君) まず三軒茶屋の特性からちょっとお話ししたいと思っております。御承知のように、この三軒茶屋は周辺のセンターといたしまして、現在はこの交通がきわめてひんぱんのところになっております。それと同時に、最近のあの周辺は地価が非常に暴騰いたしまして、特にそれは銀行、あるいは今度証券会社の進出によりまして、もう極度に暴騰をしておるようでございまして、所によりましては、中央の銀座にあるいは匹敵する価格を呼んでおるのであります。こういう非常な特性のあるところでございまして、あるいは旧市内の中央とまた違った意味があるのでございます。それから、土地に対する観念が一般の人たちにいろいろこの異なるところがありまして、第一、現在では土地というものは私有財産のきわめて最大のものであるとは言えるのであります。それで私有財産ではありますけれども、この土地はきわめて公共性のあるものであるということを、一般の住民が認識しなければいけないと思っております。
 それから、市街地改造法案というものは、私もこの法案を読んでみましたけれども、なかなか広範複雑なものでございまして、一たび目を通したところで、なかなか理解し得ないところがあるのであります。それで一般の人たちも、この法案は、おそらくはっきり理解していないんじゃないかと思うのです。それで、ごく少数の関心を持っておる人においても、はたしてこれを正しく理解しているかどうか、これはなかなか疑問であると思っております。ただ、この法案の趣旨、すなわち高層建築を作るということ、それから、この防災建築を作り、土地を高度に利用する、そういうことは、まあおぼろげながらも大体理解しておることと思っております。それで、ただ賛成、反対といいましても、この法案を正しくあるいは理解し、その場合においては、一ぺんの賛成、反対という意見もあるいは順次変わってくるものじゃないかと私は考えております。
 私は、きょうここに参りますことについて、うしろ側を代表して参ったものでございます。うしろ側といいますと、表の商店の取り払われたうしろにあるもののあれでございまして、との次に申しますうしろ側というのは、残る部分のことを言っているのであります。私は、ここに参ります前に、二回ほどあのうしろ側の人たちの集会を求めまして、あるいは個人をたずねまして、その人の意見を聞き、それで全体の意見をまとめて私はここに参ったのでございまして、私自身の考えもそこに幾らかは、後ほど申し述べたいとは思っておりますけれども、ここでは、その集会における一同の意見を述べさしていただきたいと思っております。
 概括的に言いますと、私の理解しておる範囲においては、この法案に対しては全面的に反対である。御承知のように、三軒茶屋の道路の拡張ということは、もうすでに二十数年前からの懸案であった。そして戦争のときにも、軍の指令によりまして、表側、今の前側でございますけれども、あすこは、当然無条件立ちのきを条件にしてできたものでありまして、それで前の、今の商店街の大多数は、これを、この条件のもとにあすこに店を開いて、それで住居をかまえたものであります。それが十年余りたった現在、転々と売買されて参りまして、当時の事情をあるいは正しく理解していない今の人たちもあるかもわかりませんけれども、こういう特別の条件のもとにできた商店街であるので、だからこの際、土地収用法によりまして、前の商店街が取り払われたところで、これはもう当然なものであります。ですから、うしろ側の人たちは、すでに前側の取り払われるということをもう予期しておることで、それで予期して、すでにその町作りの自分たちの将来の建築のことについても、いろいろのプランを持っておる。それを今になってうしろ側までも犠牲を要求するような新法案を作るというその必要はないと思う。これが第一の反対の理由であります。
 それで、第二は、前側の人たちは、もちろん立ちのきには無条件で立ちのく、それでそのあとに、うしろ側の人が自主的に高層の建築なり不燃住宅というものを作って、そういうあれは、前から計画を持っておる人ももう多いのでありまして、今でもこの建築は、ブランが、ますます計画が熟成していく、そういう状態にあるのであります。
 そうしますと、第三の反対の理由です。自主的に防災建築を、あるいは町作りをするなら、特に改造法の必要はないものじゃないかと思う。
 それから第四、もしこの改造法案によりまして共同の建築物ができた場合、今までの隣にできた建物を見ますと、いわゆる既製服式のものでございまして、その中の個人の占有区分の配分、この配分にはきわめて不安な点が多いのでありまして、将来これが個人の間の紛争のもととなるのでないかと、こういう懸念は多分にあるのであります。さらに、この建築物が収益を得る利用価値が一体どれくらいあるのか、この点も非常に疑問を持っております。
 それから第五です。前の側の商店街の人たちがかりに立ちのくといたしまして、幸いこの三軒茶屋の交差点から百メートルあるいは二、三百メートルのところに、もっと詳しく申し上げますと、三軒茶屋銀座に、武蔵野ビヤホール用の敷地というものが四百坪あるのであります。これはあき地になっております。聞くところによりますと、これはまあ売地になっているわけでございまして、それと同時に、下馬寄りの南東側になるわけでございますけれども、二、三百メートル離れたところに統計局の宿舎がございまして、その宿舎跡がやはり四百坪程度の公共用地があるのであります。それで前の側の人たちが八十軒、あるいはそれよりも多いかもわかりませんけれども、それらの人たちのための、集団のそこにビルディングですか、そういうものも作ることができるのじゃないかと思います。補償金額によっては、こういうこともあるいは可能じゃないか、そういうふうにうしろ側の人は考えております。
 それから、土地の値段によりましていろいろそろばんをはじいてみますと、今の改造法によりますと、大体前の側の人の利益を主とするものであり、前の側とうしろ側では主従の関係になるのであります。それでこの法案には反対する。これが第六のものであります。
 それで第七、本法によらずに、自主的に防災建築街区をうしろ側の人が作る場合においても、前の側の人たちをこれに収容することについては十分話し合いする用意がある、そういうことをうしろ側の人は言っております。以上七項目の理由から、本法の三軒茶屋地区の適用については反対する。しかし、本法の趣旨にはあえて反対するものではない、こういうことになっております。
 最後に、ただいままでは、前の側とうしろ側の利害関係というものが相反するところがありまして、両者の話し合いの機会というものは今まで一度もなかったのでございます。当然なくてはならなかったものが、今までないということは、その両者の間に意思の疎通を欠くこともあったかもわかりませんけれども、今後十分に前とうしろ側でもって話し合いの機会を作りまして、そして自主的建築をする場合はもちろんのこと、もしこの立法によりまして補償額がきまったり何かすれば、さらに具体的に町作りの構想というものがお話し合いによってできていくものじゃないかと、私は思っておるのでありますけれども、ただいま補償額のあれもございませんし、ただ、ばく然と前後の人たちが寄りましたところで、何ら得るところが今のところはないのであります。
 それに、最後に私の考えでございますけれども、この三軒茶屋周辺の地価の暴騰、あるいは前の側を取り払うということにつきまして、特に最近有力の銀行あるいは証券会社のあそこの土在の買収がひんぴんと起こって参りまして、地上権について地主あるいは今住んでおる借地人、それらの間に非常ないざこざが多いのでございまして、たとえば売りたいと思っても、地主のあれで売ることもできない。あるいは長く入っている借家人はそれを追い出されてしまうと、そういうような非常な訴訟事件が多いのでございまして、これはあの土地の市街地の造成にきわめて困難を来たしているのじゃないかと私思っております。これらの点を十分にお考えの上で、道路の予定の拡張がもしできるなら、御参考までにお聞きいただきたい。私の意見はこれだけでございます。

発言情報

speech_id: 103814149X02019610413_015

発言者: 若菜三郎

speaker_id: 8495

日付: 1961-04-13

院: 参議院

会議名: 建設委員会