三輪良雄の発言 (地方行政委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○説明員(三輪良雄君) お手元に資料を差し上げてございますが、被害状況の全般につきまして簡単に御説明をいたします。
 六月二十四日から七月の五日にわたります間、梅雨前線が本州の上空に停滞いたしておりまして、ちょうどおりあしくそこへまた台風六号が北上して参りますというようなことで、四国、近畿、中部、関東、東北、ただ除きます地域は北海道だけで、北海道を除く全国各地で激しい集中豪雨がございまして、そのために四十四都府県にわたりまして大きな被害を生じたわけでございます。
 一応七月七日までで集計いたしましたが、その後も大きな変化はございませんと思いますけれども、その状況で申し上げますと、人的の被害が、死んだ方が二百七十名、行方不明八十二名、これはほとんどなくなったと推定をされますけれども、死体が確認に至っておりません方々でございます。負傷者が千二百五十一名、罹災世帯が約七万八千世帯、罹災者の数が三十六万七千人に及んでいるのでございます。建物被害につきましては、家屋の全半壊、流失が約三千二百棟、それから床上浸水は七万二千棟、床下浸水に至りましては、実に三十三万二千棟に及ぶのでございます。道路が損壊いたしました所が八千三百個所に及びまして、橋梁の流失は約千八百個所、堤防の決壊が約二千八百個所、山あるいはがけくずれが約八千個所あるのでございます。
 今回の被害は、先ほど申し上げましたような台風と申しますより、本州に長らく停滞をいたしました梅雨前線の被害が大きいのでございますが、まず、六月二十日に四国の東部、紀伊半島を襲いまして集中豪雨があったわけでございます。次いで二十五日から六日にかけまして、紀伊半島の南部から近畿、阪神、それから東海地方にかけまして。それからさらに二十七日になりますというと、それが長野、岐阜を中心といたします中部山岳地方、二十八日は静岡、神奈川を中心といたします関東地方南部、伊豆方面、それから二十九日、三十日には、さらにそれが北上いたしまして東北の南部、それから北陸、山陰地方に及んだのでございます。ちょっとそこでとだえましてもう済んだかに見えましたが、さらに七月三日から五日にかけて再び山陰地方を中心にいたしまして、九州の一部にも相当の降雨があったのでございます。従いまして、前後十日間にわたって北海道と愛媛県を除く各地で被害が発生いたしたわけでございます。最も被害の大きかった県といたしましては、兵庫県、愛知県、三重県、岐阜県、長野県、静岡県、神奈川県、茨城県及び島根県というような状態でございます。
 差し上げてございます資料のうしろの別表に、各県別の被害を載せてございまするので、ここでごらんをいただきまして、各県別の被害につきましては御報告を省略をさせていただきます。
 資料でごらんいただきましてまず第八ページの一番末尾からでございますが、今回の被害が従来の台風の被害と違いまして集中豪雨に伴う被害でございまするので、第一に山くずれ、がけくずれが非常に多かったということが特徴であると思われるのでございます。これはこの中ほどに書いてございますように、過去三年の台風あるいは集中豪雨によりますがけくずれ、山くずれと比較をいたしまして、ことに昨年一年で全国で起こりましたものの実に倍近くのものが今回の一回の集中豪雨で起こっておるのでございます。結局、連日の雨で非常に地盤がゆるみましたところへ一日に二百ミリ三百ミリというような大へんな雨が集中して降りましたために起こったのでございまするけれども、それに加えまして兵庫県、神奈川県等の都会の中心地におきましては、これは宅地造成をいたしますために非常に無理に山をブルドーザーで削りまして、その補強が十分でないということもこれはあずかって力があったかと思うのでございますが、そういうところで相当にがけくずれがあったのでございます。その両県のごときは、そういう原因でなくなった方が非常に多いのでございます。それから第二番目に、小さな川の決壊、溢水等が非常に多うございました。局地的に集中いたします雨のために、さばき切れない流水力の小さな河川が決壊をいたしたのでございます。特に阪神間、神戸市内におきます河川などは、山から海までの距離が非常に短うございますし、そこに集中して降ったものでございますから、はけ切れないということで被害が多かったのでございます。第三番目が低地の排水不良によるものでございまして、これは市街地の一部、ことに名古屋あたりでは、いわゆる海抜零メートルというような所があるわけでございますけれども、これは排水ポンプの全能力を上げましても、その排水力よりも集中豪雨の雨の方がはるかに強うございましたので、排水ができませんので、相当に浸水地域をふやしたということになったのでございます。それから農村がちょうど田植え期のために、水田の水路に濁流が一時に流れ込んだということでございまして、水田が全滅したというような所があるようでございます。専門家の方からの報告があるようでございますが、農村の方の被害も相当に大きいと予想されるのでございます。
 そこで警察といたしましては、この災害が起こりました管区警察局並びに府県警察本部あるいは警察署ではそれぞれ災害警備本部を設置をいたしまして、延べ六万七千余りの警察官が出動をいたしておるのでございます。消防団、水防団、地元民その他関係機関と緊密な連絡をいたしまして、六月二十四日以来連日不眠不休で警戒警備活動に当たったのでございます。
 災害の中心となりました関東地方、中部地方、近畿地方、それぞれその管区警察局におきましては、局長を本部長といたしまして、管区局をあげての管区の災害警備本部を設置をいたしまして、災害情報の収集、その他全般の被害状況の把握、警察活動の調整連絡、あるいは警備資器材を必要とする方に他の県から応援を出すというようなことにいたしたのでございます。特にこの被害地付近の道路の状態などを知りたいというようなお尋ねがこの管区局それぞれの本部に殺到いたしまして、そういうところではそれぞれ刻々の状態をとらえて、そういう方々のお尋ねにお答えをするというような努力もいたしたのでございます。
 それから各県の警察本部は、もちろん府県の災害警備本部を設置をいたしまして活動いたしたわけでございますけれども、特に長野県の警察におきましては、梅雨期に入った六月の七日に「水害と警備体制の強化」ということを指示をいたしまして、各署でそれぞれ初動体制——事の起こりました最初の体制の確立に備えることにいたしておったのでございます。六月二十五日には各署ごとに河川水位の報告をさせるとかいうことをいたしておりましたし、なお、集中豪雨がその地域に来るというような予報がありましたので、必要な個所に機動隊をあらかじめ派遣をしておくというような措置をとりましたし、飯田を中心といたしまして被害がありましたので、警備部長を即刻派遣をいたしました。静岡県でも同様にやはり予報がありまして、あらかじめ警備本部を設け、伊豆方面に県の幹部を派遣をいたしまして、措置の万全を期したのでございます。
 各署でももちろん今のようなことで非常招集によりまして全署員を動員をし、各河川の警戒、水位の測定、危険個所の警備に当たらせるとともに、住民の方々の避難誘導、広報活動、水防活動への協力あるいは救出、救護等に関係機関一体となって活動いたしたのであります。ことに一、二の例を申しますと、長野県の警察では大鹿村の被害が発生をいたしまして、これが山合いの深い所でございますけれども、そこで被害が相当に起こったということでございまして、飯田市の災害警備に出動いたしておりました、あらかじめやっておりました機動隊のうち一個分隊が医薬品その他救援物資を携行して、同村の救援に向かったのでございますけれども、豪雨によって全く途中の道がこわれておりまして、その山岳地帯を夜間九時間余り徒歩で強行突破いたしまして、六月三十日午前二時ごろに初めて現地に救援隊として着いたということで非常に感謝をしていただいたというような事例もございます。あるいは六月の二十七日の午後十時ごろ、これは飯田線の川路というところでございますが、急な水のために駅の屋根に駅員が八名避難をいたしておりまして、非常な危険な状態でありましたものを、電柱をいかだに組んで署員二十名がこれを救出し、さらに同様な状態にありました付近住民約七十名を同じ方法で救出をして夜間の暗やみの中で救出をするというようなことをいたしたと報告を受けておるのでございます。
 静岡県の警察では、三十三年にあの有名な狩野川の台風被害があったわけでございますが、この教訓を生かしまして、あの方面に今度の警備の重点を置きまして、あらかじめ避難の勧告をいたしたわけでございますが、これは地元住民の方々がこの前のときにこりているというようなことももちろん相待ちまして、非常に適切な時期に避難を手ぎわよくやっていただいたということのために、あれだけの被害に比較いたしまして、この前に比べますと非常に人的な被害が少なかったといわれるのでございます。なお救命ボート等で各地で救済をいたしました。
 その他の例等につきましては、十二、三ページに掲げてあるのでございます。
 それから各県といたしましては、自分の警備力、あるいは警備資器材をフルに使ってやったわけでございますけれども、長野県等で警備資器材が不足を告げるということで希望がありましたので警視庁から天幕、投光器あるいは発電機、そういうものを送りましたし、それから管区及び茨城、新潟等の近県からハンディートーキー、ウォーキートーキーというような器材をそれぞれ大型自動車で急送をいたしまして、被災地の活動に使用したというような事例が報告をされておるのでございます。
 なお、昨日また山陰に雨が降ったということでございますけれども、まだ詳細承っておりませんが、被害は大きなものではないように思われます。従いまして、今回の集中豪雨の被害は、大体これで終わりかと思いますが、冒頭に申し上げましたように、行方不明者というような方々がございまして、なお確認をされますと死者の数がふえるというようなことになろうかと存ずるのでございます。
 あとお尋ねをいただきました中で、足りませんでした点を御報告いたしたいと思います。

発言情報

speech_id: 103814720X00219610710_003

発言者: 三輪良雄

speaker_id: 9387

日付: 1961-07-10

院: 参議院

会議名: 地方行政委員会