山田節男の発言 (逓信委員会)
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○山田節男君 まだ質問を申し上げたいことがありますが、時間の関係もありますので、また他の機会に譲りたいと思いますが、最後に、これは衆議院でもいろいろ論議されて、その議事録も私は見たんでありますが、第一次五カ年計画、第二次五カ年計画、ことに電電公社が発足した当時、ここにおられる新谷君等もその当時の委員として、何とか国鉄とか、あるいは専売公社等がもっと経常のしやすい、もっとフリー・ハンドで自主採算、独立経営ができるような一つ公社法にしたいということで、私どもはいろいろ苦慮いたしまして、当時の政府ともいろいろ交渉しまして、三公社のうちではかなりフリー・ハンドで電電公社の経営ができる、このつもりでいたんですけれども、しかし自来ずっと趨勢を見まするというと、やはり電電公社の経常上の一つの問題は、依然として全電通の従業員、労務対策の問題である。これは電電公社の労務対策については、その組合出身の同僚の議員もおられますから、これらの諸君から従来いろいろ意見もありまするし、また、衆議院の過般の本議案に対する質疑の形におきまして、この問題もしばしば各委員から述べられて、公社並びに郵政大臣の御答弁も私は承っておりますけれども、しかし何と申しても、これは私どもは公社経営につきまして一番公共的な事業であればあるほど、労務対策というものを一体どうするか、今回のこういう一種の革命的な料金体系をおとりになる、なるほど電話事業に関する限り、これはますます伸びます。また従業員も一面においては減らされるけれども、新規の職員をふやさなければならない、そういうことになりますというと、これは私はこういうりっぱな第一次、第二次、さらに第三次、第四次の拡大計画をやっていただかなくちゃならぬ上におきましては、やはり要員計画といいますか、労務対策といいますか、ヒューマン・リレーションズというもの、労務管理というものを、これは私はもっと根本的に考えていただく点が欠けているんじゃないかということを痛感するんです。私は組合の代表でも何でもありませんが、きわめて公正な立場から考えてみましても、全電通が何も左翼的な、共産党に支配されるような組合じゃないと思います。しかるに毎年こういう一つの行事のごとく争議が起きる。少なくとも争議が起きなくても苦情が常に存在しているということは、このことはいかにりっぱな計画をお持ちになっても、その遂行の過程においてそういう人的要素の部面におきまして隘路を設けられるということは、これは経営者としても責任の一端を負わなくちゃいけないと思うんです。ですから今回のようなこういう新しい料金体系、しかも増収は必ず予想し得るんだと、しかも合理化ということがこれに加わっておるんでありますから、合理化ということは、もう当然労力の一部における排除、従ってそれに対する配置転換、配置転換のためには職業の再訓練ということもございます。いろいろな問題が起きてきます。こういう点は、これは電信業務においてもしかりでありますが、ことに電話業務においてこれほどの画期的なことを実行しようということになり、ことに、この料金体系は、電話の中継の自動化ということであります。当然冗員を整理しなければいけない。それをいかに配置するか、これが私は現在公社の最高首脳部の一番頭痛の種になっていることだろうということはわかります。わかりますが、しかしながら、これはあくまでも今日の基本的人権という観念から見ましても、憲法の労働権ということから見ましても、必ず私は経営者から率先して従業員に対する将来の保障というものを与える。保障というものをはっきり見せてやれば、私はむだな紛争が絶えるんじゃないか。ですから、こういうような重大なこの変革の行なわれることにつきまして、将来の計画とにらみ合わせますというと、いろいろな経営の部面におきまして、やはり職員あるいは下級の従業員の人の声を聞く、そこに労使の信頼感というものがわき、また、よりあたたかいヒューマン・リレーションが生まれることによりまして、無用な労使紛争がなくて済むのじゃないか。ですから、経営に、公社の立場とすれば、これは国家の代行機関でありますから、何も株主に配当を心配する必要もない。ただ、国民にいかに安くいいサービスをするか、そうして、そのときは、やはり従業員に対して公正適正な待遇を与えることによって、喜んで働いてもらう。こういう一つのモラル・クライメートというものをどうしても打ち立てないと、一方どんどんこう近代化をおやりになりましても、片一方にそういったような足を引っぱるようなことをやっては、所期の目的がなかなか達せられないと思う。
そこで私は具体的に申し上げますが、今日の全電通と経営者の労働協約、私は最近のものは見ませんけれども、従来の日本の通弊は、労働協約が非常に簡単であるということであります。外国の、ことにアメリカの電気通信業務の組合の団体協約等を見すまと、放送会社あるいは放送従業員の組合の結んでおる団体協約を見ますと、膨大な一つの法をなすくらいの、きわめて詳細な紛争の起こらないような、きわめてこまかいところまで労働協約で規定するというのが、これは大体欧米の一つの慣行になっている。そういう点から見ますと、電電公社のような大きな企業、かなり大きな要員を擁するということになれば、これは労使の話し合いでありまするけれども、団体協約、労働協約というものを、を起こさないように、もう少し詳しい詳細な労働協約を作るということが、これは一番緊急の問題である。
この点と、それから同時に、これは公社でありますから、経営参加ということは、これはドイツのように共同決定権というような法律は今日ございませんから、法的にどうのこうのということはできませんけれども、しかし、今日の特に官公労の労働組合運動の趨勢から見まして、非常に激しい、あるいは共産党の支配を受けているというようなことをいいますけれども、過渡的にはそういうことがあったかもしれない。特に公社におきまして、経営の面におきまして、もう少し労務者の声を経営に取り入れるというような、こういう一つの寛容といいますか、民主的な観念をお持ちになっておれば、そこに私はムードが違ってくるのじゃないか。この点がどうも今日まで、第三者的立場から見ておりまして、経営の面においても考えてもらう点があるのじゃないか。もちろん、組織労働者、全電通の場合、これは非常に反省しなくちゃならぬ点があります。ありますが、どっちも、おれがおれがといっておったんでは、そこに一つのあたたかいいわゆるムードというものがいつまでたっても出てこない。だから、両方の良識というものがそこに出るような、ムードが出るような環境を作っていく。一方においては団体協約あり、一方においては日常の労務管理、ことに最高首脳でなくて、各職場職場におけるいわゆる首長としての労務管理の一端を担うべき者の再訓練、そういうものに対する訓練が足りないのじゃないか。今春各地方で起こりましたが、全逓、郵政、これは郵便局から電信電話業務を移管するという例の争議の過程、内容等を見ましても、やはり電電公社のような大きな公共企業体になって、下部の機関というものが非常に数が多いということになれば、それは少なくともその首長の地位について、多かれ少なかれ労務管理ということを行なわなければならない者に対して訓練が十分でない。要すれば今日の労働問題に対する認識が非常に一方的である、あるいは極端にいえば、無知であるというところにこういうようなむだな紛争が起きるのじゃないか、こう思うのです。そういう見地から、私はかような金もうけ——金もうけといっては語弊がありますけれども、少なくとも料金が上がるか上がらないかは別問題といたしまして、少なくとも毎年これは増収するのであります。同時に従業員に対しまして、増収があればベースアップするというような意味ではなくて、やはり経営者自体が、そういう増収をすれば、これはまるまる建設勘定に持っていくのだという、いわゆる原始的な資本主義的な観念でなくて、賃金を上げなければ、他の厚生施設等で実質賃金を上げるというような、そういう方面の労務管理上の考慮が足りない。これは、はなはだ口はばったいようなことを言うようでありますけれども、労働問題に関心を持っておる者として、従来こういう公社のあれを見まして、電電公社は非常に順調にいっている。国鉄なんかに比べれば、専売は別といたしまして、従業員も少ないのですから。しかし、電電公社としてやはり労務管理、あるいは経営の立場から見た労務管理の一つ新しいシステムを、モラル・クライメート、新しいムードを作るということを行なうということをおやりなさい、さらに、それで応じないということになれば、それをまた調整する、国会として是正する道があるのです。ですから、負けた勝ったでなくいたしまして、組織労働もそうでありますけれども、経営者の方から親心を持ってそこに新しいムードを作る。なぜ私がそういうことを申すかと申しますと、たとえばピール会社の従業員を今日約二十万使っております。しかし、従来労働争議があった、なるほどございます。ストライキに至らないいわゆる労働争議というものが、これは苦情処理機関にかけたものを入れまするというと、一九五九年におきまして六十二件というものがあります。しかし、いわゆるストライキ、実力行使に至らないで紛争の解決に終わっている。その原因はどこにあるかといえば、やはりそういったような大企業体になればなるほど、労務管理というものに対しての非常な努力というものがあるわけです。ですから、私は今回、こういう非常に日本としては革命的な新しい制度を設けられる、さらに四十七年度を目途とする大計画を、国民の輿望をになっておやりになるのでありますから、法文にうたえというのではございませんけれども、少なくとも、われわれの資料として、そういう点に対する資料というものが今日まで取られておらない。要求すればいろいろな資料が出ますけれども、しかしそういう要求して出た資料というものは、今申し上げたような観点からすれば、ためになる資料にならないのです。ここは私は決して苦言を呈する意味じゃありませんけども、今日経済の成長率の盛んな、異常な発達を示すということになれば、これはもう電信電話の役務というものは、これは国民が非常に改善を要望しているのでありますから、やはりヒューマン・ファクターというものが根本でおるという建前を従来もお持ちになっているでありましょうけれども、しかし、近代経営の、いわゆる生産性向上という、いわゆるトップ・マネージメントという観念からすれば、どうもこの点が若干欠けているのじゃないか。私は具体的には申しませんけれども、この点を一つさらに、最高首脳部はもとより、末端の、少なくとも数人の者を管理しなくちゃならない責任者に対しては、近代的なトップ・マネージメントで研さんをして、必ず下部の者にも、しかもそれは理屈だけでなくいたしまして、人格的な影響を及ぼすということ——これが私は今日の日本労働運動の通弊であると思う。電電公社もその例外でございません。
こういう点から、一つ私は、今回のこの近代的な料金制度を設けようというこの御意図はもう満腔の賛意を表するものでありますけれども、しかし、これとあわせて、そういう要員に対する思いやりというよりも、むしろそういうものに対する御配慮というものが不完全である。これは私は痛感をいたしますので、このことをあえて私はここにあげるわけでありますが、そこで、これ質問になるわけでありますが、こういう大きな改革をなさることを起点として、将来の経営上におきまして、今申し上げたような点を、われわれは後顧の憂いないような、十分一つ計画をお持ちになっておやりになる御意図があるのかどうか。これは郵政大臣も、全逓というものを考えられて、さらにまた、あなたの代行機関としての電信電話業務という、まことに重大な企業体を監督なさっておるのでありますから、何かの一つの新しいムードをここで一つお開きになることが絶対必要である。それがやはり他の組織労働に対してまた大きないい影響を及ぼすのだ、こういう私は気持で御質問を申し上げておるのでありますから、一つ忌憚のない御意見を承っておきたい。