伊藤顕道の発言 (内閣委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○伊藤顕道君 それでは北海道班の派遣報告を便宜私から申し上げたいと思います。
村山理事、鶴園委員並びに私の三名は、去る七月二日より九日までの八日間にわたり、北海道庁を初め、北海道所在の陸上自衛隊及び航空自衛隊、北海道管区行政監察局及び旭川行政監察局、人事院札幌地方事務所、北海道開発局及び旭川開発建設部、農林省の帯広統計調査事務所、北海道農業試験場畜産部、帯広及び旭川の各営林局、根釧原野に所在するパイロット・ファーム等を視察いたしましたので、以下、調査の概要を簡単に報告申し上げます。
最初に、北海道庁から申し上げたいと存じます。道庁では、主として機構や職員の配置状況、特に定数外職員の処遇問題、自衛隊に関連する事項、国の地方出先機関との事務連絡上改善を要望される事項等について承ったのでありますが、道庁は、本年四月に本庁と一部出先部局の機構改革を実施して業務の効率化をはかり、なお、総合開発を強力に推進するための体制をも取り進めておるとのことでありました。定数外職員に関しては、準職員制度を設けており、本年五月末現在で、定数内職員一万六千六百人余に対し、準職員は千九百人余となっております。準職員の処遇は、任用、給与、服務等、すべて定数内職員の例に準じておりますが、任用期間は二カ月を区切り、通知のない限り、繰り返し更新することとなっておりまして、将来は国の取り扱い方針等を勘案しながら、逐次定数化を行なっていきたいとのことでありました。
自衛隊との関係は、概して協調的で、自衛隊も災害派遣や委託工事等を通じて協力しておるようでありますが、最近特に増加の傾向にある委託工事については、北海道の気象上の特殊性から、十分にその要望が満たされ得ない状況にあるとのことでありました。なお、高射砲射撃訓練に伴う漁業損失補償、ジェット機の騒音防止、自衛隊演習場等に起因する農業被害補償等の問題につきまして、現在統一的な補償の算定基準がないので、自衛隊の場合も特別損失補償法に見合う法律を制定して、迅速適正な補償措置を講ずるとともに、施設の改善等に要する予算措置も講ずる必要があるとのことでありました。
国の地方出先機関との事務連絡については円滑に行なわれておるので、特別に問題となる事項はないとのことでありましたが、今回も例年のごとく、陸運事務所について責任を明確にせられるよう要望がありました。なお、北海道の特殊性を考慮して、寒冷地手当を一カ月分に引き上げられたい旨の要望がありましたが、このことは国及び地方の公務員を含めた全般的な問題でもありますので、他の出先機関においても同様に受けた要望事項でありました。
次に、自衛隊関係について一括して申し上げたいと存じます。自衛隊の視察先は、陸上自衛隊では北部方面総監部及び丘珠にある札幌飛行場、第二管区総監部、第五管区総監部及び美幌駐屯地部隊で、航空自衛隊では第二航空団でありました。御承知のように、北海道の陸上自衛隊は、北部方面隊が設けられており、この方面隊は方面総監部及び直轄部隊、第二管区隊、第五管区隊、第七混成団から組織されておりまして、各管区隊、混成団はそれぞれ警備区域を分担しております。航空自衛隊は、第二航空団が千歳に設けられておりますが、これは青森県の三沢に司令部を置いている北部航空方面隊に隷属いたしております。自衛隊は、民生協力の趣旨から積極的に災害派遣を行ない、また、部外工事の実施も逐年増加の傾向をたどってきておりまして、国民に感謝されている向きも多く、演習場や射撃場についても、北海道は比較的問題が少ないようではありますが、なお、一部問題の残っている地区もあるやに聞き及びました。
そこで、現地の各部隊を視察してみました結果、特に問題となった二、三の点について申し上げてみたいと存じます。
陸上自衛隊では、まず装備及び施設についてでありますが、各部隊とも、主要部品の数量は、おおむね百パーセントの充足率を示しておりますが、質の点になりますと、米国から供与された武器の大部分が第一次大戦当時のもので、すでに旧式で老朽化し、国内調達したものでも、古いものはやはり老朽化の傾向が認められ、また、各部隊の施設についても老朽隊舎が多く、私どもが美幌駐屯地へ参りました際は、美幌町助役がわざわざ見えられて、隊舎の改築と幹部宿舎の増設について陳情を受けたような次第でありました。隊員の宿舎については、特に下級幹部や一曹クラスの住宅が不足しており、既設のものでも、老朽や凍害のために改修、建てかえの必要に迫られておるとのことでありました。
次に、さきの国会で防衛二法案の審議の際にも問題となりました隊員の充足状況について見ますと、平均で七五%程度にとどまり、特に医官の充足率に至っては、わずか二〇%にすぎず、最も悪い例をあげますと、第五管区隊においては、医官の充足率が五%しかないとのことで、これは三十八名の定員に対して、現在員がたった二名しかいないということでありまして、業務上はもちろんのこと、隊員の生命にもかかわる由々しき問題であると存じました。さらに、隊員を出身別に見ますと、その大多数がいわゆる内地出身者で、北海道出身者はわずか一三%にすぎない状態であります。従って、隊員の募集には相当に苦慮したあとがうかがわれ、昨年度あたりから逐次向上し、募集目標を突破するようになったとのことでありますが、将来の見通しについては、一般的に経済成長のムード下にある現況と相待って、必ずしも楽観を許さないものがあると存じました。特に、せっかく応募目標を達成しても、受験率は五〇%、合格率は七五%程度ということになっておりまして、なお、合格しても入隊に応じない者もおると考えられますので、実際に入隊する者の率に至っては、きわめて低いものと思われます。
以上申し上げました諸点とも関連いたしまして、部隊当局より、予算の増額、実質給与の改善、休暇帰省旅費の増額等について要望がありましたが、単にこれだけでは解決し得ない問題を含んでおるものと感ぜられました。
次に、航空自衛隊の第二航空団について申し上げますと、当航空隊はF86F三十二機、F86D十四機、T33A十二機を保有して北方周辺警戒の任に当たっておりますが、緊急迎撃のための出動回数は、昭和三十四年度には百回以上もあったのに、三十五年度は四十数回に減少し、本年度も減少する見込みであるとのことでありました。当面の問題としては、天候の急変に備えるため、気象レーダーを完備すること、ジェット機による防空の特殊性を考慮して、現行の航空法を改正すること、また、将来F104Jが配置される場合を考慮して、道内にジェット機用の予備飛行場を設置すること、騒音対策の一環として、特損法にかわる法的措置を講ずること等について要望がありました。
以上で自衛隊関係を終わりまして、次に、北海道管区行政監察局及び旭川行政監察局について申し上げます。両監察局においては、昨年度の監察事項及び本年度の監察計画の概要、業務運営状況等についてお尋ねしたのでありますが、比較的恵まれない条件のもとで、困難な業務に努力されておる様子が見受けられました。特に両監察局とも、内地と異なり、不便で、しかも広大な地域を管轄しておるにもかかわらず、職員数は、管区が五十一名、旭川が十九名で、職員構成から見ても、いわゆる中堅層が少なく、さらに業務部門においては、一監察室五名程度のところが多いので、中央からの計画監察の実施に当たっても、人員不足のために種々の制約を受けることが多いとのことでありました。また、本年度の監察業務運営方針で、特に行政実情調査及び苦情あっせん業務に重点を置くこととしておるが、本年度から発足する苦情相談協力委員の設置と相待って、苦情あっせんの取り扱い件数も飛躍的に増大するものと予想されるので、これらに対処するため、監察旅費の増額を初め、定員の増加、事務の能率化に必要な器具、車両等の購入費予算の確保、巡回苦情相談所の設置、行政民主懇談会開催経費の確保、苦情相談協力委員制度の拡充と、委員に対する実費弁償額の引き上げ、効率的な人事交流のための赴任旅費の増額等が必要である旨の要望がありました。
なお、この機会に、行政制度並びに運営の抜本的改善を期するためには、さきの国会で審査未了となった臨時行政調査会設置法案を次期国会で成立せられるようにとの要望がありましたことを申し添えます。
次に、人事院札幌地方事務所について申し上げます。
人事院は、全国に八カ所の地方事務所を置いておりますが、各地方事務所の業務は、任用状況調査、人事記録等の監査、各秘試験の実施、給与関係の調査研究、服務、能率、公平関係の業務等、多岐にわたっております。札幌地方事務所は、恒例の民間給与実態調査を去る四月二十五日から六月十三日までの間にわたって実施し、私どもが参りましたときは、ちょうど資料を本庁へ送り終わったところでありました。当事務所は職員数が十九名程度でありますので、年間十数種に及ぶ各種採用試験の募集と試験実施が重なってきた場合には、道内の各出先機関から協力を得ているが、試験の最盛期には、土曜、日曜を返上して業務に当たるので、職員は休むひまもなく、人手不足と超勤予算の不足には苦慮しておるとのことでありました。
次に、農林省関係機関について申し上げます。農林省関係では、帯広統計調査事務所、林野庁の帯広及び旭川の各営林局を視察いたしました。なお、予定外ではありましたが、札幌営林局から御連絡していただきまして、北海道農業試験場畜産部に参り、畜産部長の説明を受けた後、羊の種畜牧場を見学いたしました。
農林省関係機関の職員の定員化は、当内閣委員会においてもしばしば問題になってきておりますが、今回は帯広統計調査事務所において、現在十名に及ぶ定員外職員が四月一日に遡及して全員定員化される見込みであるとの朗報を承りましたので、多年の懸案を一挙に解決したような喜びを感じましたけれども、全般的に見た場合、全面的解決にはいまだしの感がありまして、各営林局においても、定員化数は現地で要望する数には満たないところが多く、また、さきの国会で当内閣委員会が附帯決議とした「職種により差別しないこと」についても未解決の状態にあるようでありました。なお、要望事項として、統計調査事務所から、北海道は全般的に欠員の多いところであるが、勤務条件が悪いので希望者が少なく、ために人事交流の面で相当困難しておる状況にあるから、この隘路を解消するため、暫定手当の本俸繰り入れ、北海道在勤者に対する特別手当の支給、公務員宿舎の増設等の要望が述べられましたが、これらはいずれも北海道所在の各省庁の出先機関についても言える問題であると存ぜられました。
次に、開発局関係について申し上げます。開発局関係では、北海道開発局、旭川開発建設部及び根釧原野のパイロット・ファームを視察いたしました。北海道開発局は、昭和二十六年に設置されて以来十周年を迎えて、現在は第二次計画の第四年目となっておりまして、さきの国会では北海道開発法の一部を改正する法律案が審査未了となりましたが、三十七年度には組織改正を実現すべく現在取りまとめ中で、これが実現方について要望がありました。なお、その際、現在の地方開発建設部を、内地にある建設省の各地方建設局並みにしたいとのことでありました。また、定員関係につきましては、当局の事業量が年々増加しておるにかかわらず、これに見合う定員増が認められず、職員の過重労働を来たしており、今回の定員化問題についても、対象者の四分の一程度が定員化されないままに残される可能性があるので、定員増と全員定員化について強い要望がありました。さきの国会で当委員会が行なった附帯決議に関連する「除外職種」の判定問題についても、行管の調査を待って協議するとのことでありましたから、これが解決は将来の問題になろうと存じます。
最後に、パイロット・ファームについて申し上げます。パイロット・ファームは、わが国では最初の機械開墾方式により、今まで不毛の地とされていた根釧原野に一大酪農郷を建設しようとするものでありまして、昭和三十年度から着工し、三十四年度に完了した床丹第二地区と、三十三年度から着工し、来年度に完成を目ざしている床丹第一地区とからなっております。この事業は、北海道開発局、北海道及び農地開発機械公団の三者がそれぞれ分担して、開発局は道路、排水、防風林等の建設工事を、道庁では、入植、訓練、資金の貸付、営農資材の導入等、営農指導の面を、また、農地開発機械公団は、機械開墾、乳牛導入等の面を受け持っております。入植者は床丹第二地区が百八十七戸で、一応の計画を完了し、床丹第一地区は二百六十四戸の計画に対し、現在は百五十戸で、本年度中に五十戸、来年度には完了する予定であるとのことで、現在は両地区の合計が三百三十七戸となっております。一戸当たりの土地利用面積は、耕地が十三町歩から十四町歩で、その他を含めると、約十八町歩から十九町歩でありますが、昨年度の営農実績を見ますと、おおむね基本計画を上回っておりますが、経営費や生計費も基本計画を超過しておるので、バランスは必ずしも好転していないとのことであります。また、入植者に対する融資も、当初は二戸当たり三百万円の予定であったものが二百五十万円に削られたので相当に苦しく、やはり三百万円程度は必要であるとのことでありました。現地では、各指導機関と入植者は渾然一体となって協力し、いわゆるさいはての地で不毛の原野を切り開くことに努力しておられますが、最近のわが国の経済事情などをあわせ考えますと、このパイロット・ファームの将来については、より一そう厳密な検討を要する問題がひそんでおるのではないかと感じた次第であります。
以上、簡単に申し上げましたが、なお、詳細についての御要望がございましたら、各視察先でいただいた調査資料を当委員会の調査室で保管しておりますので、適宜ごらん願いたいと存じます。
以上で派遣報告を終わります。