千田正の発言 (農林水産委員会)
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○千田正君 私は先般池田総理並びに周東農林大臣に質問いたしましたが、そのほかに若干残っておる点がありますので、それを補足してお伺いいたしたいと思います。それはあのとき農林大臣及び池田総理大臣からもお答えがありましたが、私は農民は寸土といえども手放したくないという考え方、この考え方をどういうふうに、しからば政府が考えておるように二町五反以上百万戸といういわゆる理想の姿に持っていくか、これはなかなかむずかしいのじゃないかという点を申しましたところが、それに対して農林大臣は、また総理大臣もおっしゃっておりましたが、農民といえども日本国民なのだから、だから政府が農民のためによかれとはかったことに協力しないはずはないのだ、こういうお答えでありますけれども、私はあの翌日私の県の農民諸君と会ったのです。そのときの話には、こういうことが出てきたのですね。農業の歴史は日本の歴史と同じように歩んできておる。ところが、いつの時代でも、たとえば戦国時代においては群雄割拠のもとにわれわれはいじめられてきた。ざらにその後幾多の変遷をへていわゆる明治、大正、昭和、こういう時代に進んできて、先般は有史以来の敗戦で日本が国土を失った。国土を失ったけれども、同時に失われた国土に住んでおられた人たちは引揚者として、焦土と化した東京あるいはその他の戦災者が農村地帯に入り込んできた。第一番に何を求めたかというと食糧である。その食糧を求めるためにその人たちは何を手放したかというと、自分の身につけておったすべてのものをほとんど手放すようにして求めたものは食糧である。そのときに、われわれはつくづく感じたのは、どんなことが起きてもわれわれはこの土地だけは放したくない、金は一文もなくても、めしとそれから野菜だけは、太陽のかがやいている限りにおいては、お天とうさまはわれわれを見捨てないのだ、この食糧にしがみついて、われわれの永遠の生命というものを確保するのだ、この大地に根づいたこの思想は、とてものことには簡単には、皆さんの政策のようなこういうりっぱな名文を掲げても、そう動かないと私は思うのであります。
そこで、この間そういう会合の席上で、しからば諸君は何を求めているのだ、政府は諸君のために幸福な農業形態の中に幸福な生活を送るようにという意味で、この農業憲法あるいは農業憲章と称すべきものを出したのだが、これに反対なのか賛成なのか。反対も賛成も今言えないのだ。そこで実際においてほんとうに政府の提案が農民の幸福を考えるとするならば、農民が寸土も放さないというこの思想に対して、前進するところの政策、なるほどという納得のいくところの政策がこの法案に盛られておるかどうかということを考えまして、私はいろいろ検討しておりますけれども、農民が土地を手放してまでも政府の政策に協力するというような段階まで来ておらないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点に対してどういうふうなPRをして、どういうふうにして一体農民諸君の考え方を政府のこの名文にあるような方向に近づけさせようとするかという大体の大きな大づかみのところでよろしゅうございますから、大臣から所信のほどを承っておきたいと思います。