河野密の発言 (予算委員会)

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○河野(密)委員 それじゃ私の方からいろいろ申し上げて、これに対してお答えを願いたいと思うのですが、私たちはベルリン問題がちょうど火をふいておるまっ最中にソ連から東欧の諸国を回っておりましたので、そのわれわれの知り得たところあるいはわれわれの感じたところ、観察したところによりますと、ドイツ問題というものは、ヨーロッパを歩いて初めてその真相がわかるというふうに感じたのでありますが、ドイツに対する周囲の国々の恐怖心と申しますか、警戒心というものは、われわれが想像する以上に深刻なものであるということをわれわれは知り得たのであります。ソ連は、ドイツに対しても非常な警戒心と申しますか、これを持っておること、これをわれわれは忘れてはいけないと思うのであります。核実験の再開の声明の冒頭にも、この前の大戦においてどれだけドイツから攻撃を受けたかということを強く言っておりますが、ドイツに対する警戒心というものは非常に強いということをわれわれはまず念頭に入れる必要があると思うのであります。その次に西ドイツが核武装をするんだということに対するその警戒というものが非常に強い、それからドイツのいわゆるレバンチズムといいますか、報復主義と申しましょうか、それに対する一つの脅威あるいは警戒というものがきわめて熾烈であるということを私たちは感じたのであります。このドイツを取り巻く周囲の国々の持っておる民族的な感情というものを忘れては、ドイツ問題を正当に理解ができないのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。西ドイツは現在NATOに御承知のように加わっておりまして、NATO方は軍備を十二個師団持っております。三連隊からなる一個師団で、核武装もしております十二個師団を持って、この十二個師団の兵力約十七万人は、一九六三年までには三十五万人になるんだ、こういうことであります。ソ連、東欧諸国、西欧の諸国も入れて、これに対する警戒というものは非常に熾烈なものがある。これがドイツ問題、あるいはベルリン問題の核心をなしておるということを私たちは考えなければならないと思うのであります。こういうふうなこのドイツに対する周囲の諸国の民族的な感情というものを土台にして考えた場合において、現在西ドイツが非常に主張しておるところの東西両ドイツの統一であるとか、あるいは核兵器を持つ、NATOを核兵器化しようという張本人であるドイツ、これに対する周囲の国々の考え方というものをわれわれは十分計算に入れる必要があると思うのであります。ことに西ドイツのアデナウアー首相が言った、その国境をオーデル、ナイセの線できめようなどということは、これは再検討をするのだというような問題、これが非常に周囲の国々を刺激しておる。ここにドイツ問題、ベルリン問題のむずかしさがある。東西両ドイツの統合ということは、理論としてはみんなこれはある程度認めても、感情的には、あるいは政治的にはこれを認めることができない。これが私はドイツ問題の実態であると思うのであります。こういう点についてぜひ考慮をわずらわしたいのは、私は西ドイツにあるという核武装あるいは軍備の強化の主張や、それからレバンチズムというようなものが、オーデル、ナイセの線を変更しなければならぬのだという、そういう考え方というものが、いかに周囲の国々に大きな脅威を与えているかということをわれわれは反省しなければならないと思うのですが、これらについて総理は一体どう考えておられるか。
 それからわれわれは中立諸国と一緒に、この際ドイツ問題解決の方途としては東西両ドイツを認めて、東西両ドイツと平和条約を結ぶ以外にはないのだ。ベルリンは自由都市にしてベルリンに対する自由は確保する。しかし東西両ドイツが別々に講和条約を結んで独立国となった場合、その東西両ドイツの関係をどうするかということは、それは東西両ドイツそのものが話し合ってきめるべきだ、こういうような線くらいは、これがドイツ問題を解決するたった一つの解決の道ではないかというふうに考えるのでありますが、これらの点についての総理の見解を承りたいと思います。

発言情報

speech_id: 103905261X00219611003_130

発言者: 河野密

speaker_id: 28496

日付: 1961-10-03

院: 衆議院

会議名: 予算委員会