秋山長造の発言 (地方行政委員会)

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○秋山長造君 私は、社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十六年度分の地方交付税の単位費用の特例に関する法律案に反対をするものであります。
 本法案は、本年八月行なわれた人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定に見合う地方公務員の給与改定に必要な財源措置及び生活保護基準の引き上げに伴う地方負担分の財源措置として、二百十億円を地方団体に交付するための単位費用の改定であります。すでに先般、給与法案の本会議質問において、わが党代表が明らかにしたとおり、今回の人事院勧告は、本年四月現在の統計資料を基準にして、五月以降の物価、生計費の大幅値上がり、民間給与の大幅上昇を何ら考慮していないため、はなはだ不十分、不徹底なものとなっているのでありますが、政府の実施案は、五月にさかのぼるという人事院勧告すら尊重せず、十月から実施ということで、勧告の線から半年もずれているのでありまして、基本的にわれわれは反対せざるを得ないのであります。
 さらに、国家公務員に準じてということでありますが、国と地方では、給与の実態、人員構成、勤務の実態等に相当の違いがあります。たとえば、いわゆる役づきにいたしましても、国は四〇%、地方は二〇%で、そのうち、府県と市町村、また市町村相互間でも、はなはだしい相違があるのであります。したがって、ただ形式的に国家公務員の給与改定に準じて地方交付税をふやしただけでは、地方公務員の給与の矛盾を解決することにはならないのであります。昨年の給与改定のときにも問題になったとおり、最新の地方公務員給与の実態調査に基づく抜本的対策が焦眉の急務であります。また現在深刻な社会問題、政治問題に発展をしております炭鉱地帯、それから災害地や後進地域の市町村では、失業対策や災害対策などに財源を食われて、最小限度の給与改定にすら事欠いているところが少なくありません。本法案では、これらに対するこまかい配慮が全然なされておらないのであります。
 次に、政府は今回の補正予算で、学校や住宅建築について、一割程度の補助単価引き上げを行なったのでありますが、池田政策の失敗による諸物価の高騰を償うのには、なおほど遠く、計画どおりにこれらの事業をやろうとすれば、勢い一般財源をもって大幅な継ぎ足しを行なわねばならぬ実情であります。なるほど、その面の負担分については、若干の起債を認める親心は示されているのでありますが、その元利償還に対する財源措置が欠けていては問題を先に延ばしただけの結果に終わるのではないかと思います。しかも、事は学校や住宅に限ったことではなく、広く公共事業についても、一般行政費についても同様でありまして、このままでは本年度の地方財政計画が意欲的に盛り上げた五千五百五十七億円に上る公共事業の完全消化はとうてい不可能だと言わねばなりません。たとえば東京都のごとき富裕団体においてすら、新聞の報ずるところによれば、東京消防庁管内の各消防署の建築計画が、予算の単価と世間相場のあまりにも大幅な隔たりのため、工事を引き受ける業者がなくて、軒並み足踏み状態にあるといいますし、また最近開かれた日本銀行支店長会議でも、景気過熱のあおりを食って労働力不足は全国的に著しく、これが中小企業や公共事業にしわ任せされておることが報告されているのであります。地方財政計画で見積もられた労務費では、とても人を集めることすらむずかしい今日の実情であります。
 以上のような見地に立って、わが社会党は、衆議院段階で予算組みかえ動議を提出し、地方交付税についても、不十分ながら百四億円の増額を要求して地方財政当面の窮状を救おうとしたのでありますが、遺憾ながらわれわれの提案は政府、与党のいれるところとならず、問題の解決はあげて将来に持ち越されることになったのでありまして、われわれはこの理由からも、本法律案に残念ながら反対せざるを得ないものであります。
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発言情報

speech_id: 103914720X00719611026_003

発言者: 秋山長造

speaker_id: 29453

日付: 1961-10-26

院: 参議院

会議名: 地方行政委員会