早川崇の発言 (法務委員会)
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○衆議院議員(早川崇君) それでは、提案者を代表いたしまして、経過を御説明申し上げたいと思います。われわれ提案者の基本的な考え方は、終戦後得たわれわれ日本国民のただ一つの宝物は民主主義である、平和的な議会政治であると、こういう基本的な考え方に立ちまして、この民主主義をここ数年来暴力によって危機に陥れるという社会情勢が生まれて参りました。浅沼事件あるいは河上、岸殺傷事件、さらには、暴力的な集団暴力あるいは集団監禁というようなものが非常に激増して参りまして、せっかく得た宝である民主主義が脅威を受ける段階になりました。さらに、一般暴力に関しましては、非常なこれまた激増ぶりでございまして、政治的並びに一般暴力というものを何らかの意味でこの際排除するという以外に道はないと考えて参ったわけであります。そういう関係で、昨年の暮れにたまたま浅沼事件というものが起こりましたときに、共産党を除く三党によりまして、暴力排除に関する決議案というものが採択されまして、その趣旨にのっとりまして、われわれは、単に政治暴力のみならず、町の暴力をも排除しようというので、一方は銃砲刀剣類の所持禁止法の改正、政治暴力に対しましては政防法ということに進んで参ったわけでございます。次にお尋ねの、こういう法案は各党各派が一致するのが望ましいと、こういうことも、われわれも十分痛感をいたしまして、法務大臣も政府提案をいたさないで、政府提案でありました場合には、単独政府提案でありますので、議員立法という型を取ることを決意いたしまして、それ以来七、八回にわたりまして、社会党、民社党、自民党で協議を重ねたのでございます。その間いろいろ、自民党のほうも譲歩する、民社党も譲歩すると、議会政治は妥協でありまするので、譲歩に譲歩を重ねまして、最後に、社会党の方々も、この政治暴力防止の交渉委員に猪俣浩三君、中村高一君、坂本泰良君、それに、法務委員でありました畑議員と四名が交渉委員として出ておられましたが、この御四人も賛成されまして、世にいわゆる猪俣私案というものが三党の最大公約数として出て参りました。猪俣私案といりのは、御承知のように、国会乱入暴力行為を別建の法律にすると、それから政防法の中で、われわれはそう思いませんが、団体規制という面が入っております。これを乱用されるおそれがあるんではないか。法文にはそういうことはないわけでありますが、社会党並びにその背後の労組の御要望もありまして、団体規制を殺人のみに限定をいたしまして、その他は全部削除するともそれ以外は民社、自民で妥協いたしました原案によると、そうして三党で責任を持ってこの法律を通すということを決定をいたしたのが本年の四月下旬のころであったのでございますが、ところが、この交渉委員の猪俣提案といいますか、むしろ私は三党の交渉委員の妥結案と言いたいのでありまするが、この案に対しまして、自民党も党に持ち帰り、民社党も持ち帰りまして、この際、国民の強い暴力排除の要望にこたえて妥協したわけでありまするが、まことに残念なことには、三日後開かれました日本社会党の執行委員会におきまして、これを拒否するということになったわけでございます。そうなりました以上、われわれといたしましては、原案が、民社、自民で妥協いたしました案がいいと考えておるわけでありまするので、今お手元に出しましたような、もう一つ前の衆議院提案となったわけであります。その後、衆議院に提案されまして以来、参考人の御意見をお聞きいたしまして、その中で、これは恒久立法になっておりますが、そういう点、これを時限立法に直せとか、一昨日の委員会で申しました警察に対する通報義務とか、いろいろ聞くべき御意見もございましたので、そういった点も修正をいたしまして、参議院に回付されました原案になったわけでございます。
さような経過をたどって参りましたが、われわれ提案者の意図するところは、政治目的のためには一切暴力をふるわぬようにしようじゃないか。日本では、言論の自由、選挙の自由、政治結社の自由があるわけでありますから、何がゆえに暴力に訴えにやならぬか。しかもそれは、殺人、傷害一切の暴力を排除するというのが、平和主義、民主主義に徹するゆえんではないか。これ以外に他意はないわけでありまして、一部で、これは労働者の弾圧とか、あるいは大衆の弾圧とか、治安維法だというようなことは、この法案をお読みいただきましたならば、どこにもそういう法文はないことを御理解願えるのではないか。以上がこの政防法の提案の経過でございます。