早川崇の発言 (法務委員会)
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○衆議院議員(早川崇君) なかなか大きい政治のお話でありますから、われわれ治安対策を担当する者としての範囲でお答え申し上げたいと思います。
われわれはこういうように考えておるのです。終戦後ここ数年の暴力犯罪の増加は、戦前の三倍ぐらいになっておるわけであります。そこで、われわれといたしましては、戦前、昭和七、八年ごろが一番暴力の一般犯罪が多かったわけであります。そのときに、同時に戦争前に政治暴力が一番盛んであった。五・一五事件、二・二六事件、そのころは労働組合が弾圧されておりましたから、いわゆる左翼の暴力ということよりも、政治テロが一番多かった年が、同時に一般暴力犯罪が一番多かったということになり、統計上出ております。戦後の状況を見ますと、政治暴力が一番多くなりました昨年、一昨年のころには、同時に戦後の一般町の暴力犯罪がピークをなしているという歴史上の一つの教訓があるわけであります。したがって、われわれは、当時新聞紙上あるいは評論家の中で、政治テロだけを取り締まって、一般暴力はあと回しにしろという議論がありました。しかし私は、それはいかないので、いわゆるこの一般暴力犯罪のムードの上に政治テロ、左右を問わず政治暴力が発生しておるのだ。この認識がなければいかぬということで、われわれといたしましては、政治暴力を出す前に、一般暴力犯罪をどう減らしていくかということに一年間真剣に取り組みまして、所得を十カ年で倍増するならば、ひとつ、十年といわないで、五年で暴力犯罪を半減しょう、所得倍増、暴力半減というスローガンを立てまして、いろいろな施策を講じて参っておるわけであります。昨年の二月に、閣議で、暴力犯罪防止対策要綱を作りまして、いろいろな施策を講じてきております。また、内閣に犯罪防止懇談会を設けまして、いろいろな施策を講じておるわけであります。その内容はいろいろあるわけでありまするが、二、三の点だけを申し上げますと、治安面からいいますと、暴力犯罪に対しては、刑罰が軽過ぎるということです。御承知のように、英国では、殺人の場合には、九五%までは死刑なんですね。ところが、日本におきましては、強盗殺人は英国並みでありますが、一般の暴力に対しましては、平均三年という寛大な処置をとられております。したがって、一般の暴力団なんかの暴力は、三年すれば……、あるいは仮釈放、恩赦を入れますと、むしろこれはペイするのじゃないか、いわゆる殺し屋といいますかね。したがって、暴力が引き合うような日本の刑罰でございます。それでは話にならないというので、法務大臣もわれわれの意見をいれられまして、刑法の改正というのは行き過ぎだけれども、少なくとも検察当局の起訴条件は、法律にきめられました刑の最高限を暴力犯罪に対しては求刑しようではないか。ところが、問題は裁判所の判決でありますから、判決は、今の刑法の最下限にすべてが集中しておる。そのために暴力が引き合うような軽いものになっているということが、日本の暴力犯罪がなかなか根絶できない、治安面からいいましたら、一つの大きなガンでございます。この問題をどうするか。
それから二番目には、思想的、教育的な法秩序無視の傾向を初めといたしまして、青少年のいろいろなエログロ映画、テレビその他のいろんな影響もございます。ただ、一般にいわれておるように、経済が豊かになれば暴力が減るという考え方は、この問題については逆の現象を呈しております。戦後国民生活は二倍、三倍に復興いたしましたけれども、一般の窃盗とかあるいは強盗とかという、貧乏ゆえの犯罪は激減してきております。これは、確かに第三条件が、貧乏がだんだん減ってきておるのと並行するわけであります。ところが、一般暴力犯罪に関する限りは、経済が豊かになるのと逆比例して、逆にふえてきておる。ここに大きい問題があるわけでありまして、一般暴力犯罪をやる誘惑と、そういうその条件をむしろ経済の繁栄が作ってきておるという面に統計上重要な問題がありまするので、むしろ、やはりもっと精神的な、あるいは教育的な、あるいは政治の姿勢を——池田さんが言われる政治の姿勢を正すとか、広範な対策を必要とするのではないか、かように考えておるわけであります。で、さしあたってわれわれ政治暴力防止法案を提案いたしておるわけでありまするから、それとの関連においては、われわれは、密接な関連ありという昭和七、八年の歴史の教訓を生かしまして、前の国会におきましては、一般暴力を少なくするために、銃砲刀剣類の取締法を提案いたしたのであります。飛び出しナイフの五センチの制限を撤廃する法案を提案申し上げたのでありますが、これは、残念ながら前の国会において廃案になりました。ここで、参議院の先輩並びに諸先生方にお願い申し上げたいのは、政治暴力が同時に一般暴力と密接な関連がございますから、この加害者ですね。暴力をふるっている加害者の人権を尊重する余り、殺されたり傷つけられたりする人が泣き寝入りと、殺された者は、永遠に生命は戻ってこない。殺した者は、わずか三年でしゃばの風を吸うというそういう誤った、悪い者の人権を尊重する余り、被害者の人権をあまりにも軽視しておるのですな。現在の刑事政策、あるいはまた一般の社会風潮、これに対して、多くの善良な国民は憤っておるわけであります。どうか、そういう点につきましても、ぜひひとつ御協力なり、また御指導賜わりたいと、かように思っておる次第でございます。