武見太郎の発言 (社会労働委員会)

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○武見参考人 今後の日本の医療をどうすべきかという非常に広範な問題から入りまして、社会保障制度審議会の総合調整の問題点の御質問に入ったわけでありますが、私は、あの問題点くらい、全く世界の医学の動向を無視した、しろうとの暴論はないと思っております。世界の医学の方向は、病人を出さない方向に向かっていくと同時に、ポジティブ・ヘルスという問題を大きく取り上げております。これに関連いたしまして、環境の醸成という問題が、非常に大きな問題としてクローズ・アップされております。私は、日本の医療の将来の問題は、保険中心でいけなくなる時期が、もう十年くらいでくるだろうと考えております。保険中心というものはなぜやれなくなるかと申しますと、これは、国民の寿命が長引きまして、老齢者の非常にふえてくるという実態がございます。すでにスエーデンにおきましても、平均余命は延長しておりますけれども、六十才、七十才の人たちのほんとうにどれだけ延びたかというと、一年ないし三年しか延びてないわけであります。つまり老人が非常にふえたわけでありまして、日本においても、その事実には違いがないのであります。そうして老齢慢性病をしょいました国民健康保険の姿では、もうやれなくなるという時代が参ります。これは昭和四十六年を日本のピークといたしまして、はっきりと打ち出されると思うのであります。従いまして、保険が中心で日本の医療保障が行なわれるという考え方に対しては、私はにわかに賛成いたしません。また、世界の医学的な立場に立ちましても、医学の立場と申しますものは、環境の醸成とポジティブ・ヘルスの問題に重点が移っておりまして、これがコンプリヘンシブネスという形でアメリカでは呼ばれております。またヨーロッパでグレーダー・メディシンという形でも言われておるものでございます。ここにおきまして、医学の思想的革新という問題が、人類生態学の立場から、はっきりと変った形が出てきました。そういうことでございますので、社会保障制度審議会の問題点の総合調整というものは、全く世界の医学から遊離いたしまして、日本の国民大衆にとって、今後の十年後の医療は保障できないという見解に私は立つものであります。

発言情報

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発言者: 武見太郎

speaker_id: 22383

日付: 1962-04-25

院: 衆議院

会議名: 社会労働委員会