村山道雄の発言 (社会労働委員会)

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○村山道雄君 当委員会の決定に基づきまして、小柳、村尾、石田の各委員と私は、去る十二月三日から七日までの五日間、福岡、大分の両県を視察いたしました。
 調査項目は、第一に、豪雨等による災害の状況とその対策、第二に、炭鉱離職者の状況とその対策、第三に、駐留軍労務者の離職等の状況とその対策、第四に、その他厚生、労働行政について各地当面の諸問題であります。
 われわれは十二月四日、福岡県庁におきまして、県知事初め、県当局並びに福岡労働基準局長及び婦人少年室長から各所管事項について説明を聞きました後、直方市に参りまして、市役所において市当局から炭鉱離職者の状況とその対策を聞き、野上本洞と原口本洞の廃止鉱山における旧炭鉱住宅街を視察いたしたのであります。翌十二月五日には大分県に参りまして、国東半島にありまする杵築市、安岐町及び武蔵町の災害状況を視察いたしまして、各当局からその対策について説明を聴取いたしたのであります。十二月六日には大分県庁に参りまして、副知事初め、県当局並びに大分労働基準局長及び婦人少年室長から各所管事項について説明を聞きました後、大田川上流の三重町に参りまして、同町の災害状況を視察いたし、県及び町当局からその対策につきまして説明を聴取いたしました上、帰途についたのであります。
 なお、各地において調査項目その他に関しまして、いろいろの要望や陳情を受けたのでありますが、多岐にわたりまするので、印刷の上お手元に配付いたしました要望事項によりまして御承知を願いたいと存じます。特に福岡、大分の労働基準局長並びに婦人少年室長から、広範な職務範囲や多量の処理件数に比較いたしまして、あまりに少ない職員数や予算の増加方につきまして要望を受けたのでありまするが、考慮すべき事項であると存じたのであります。
 そこで、まず炭鉱離職者の状況とその対策について申し上げたいと存じます。石炭鉱業の不振によります閉山、合理化による買い上げ減員などによりまして、炭鉱離職者は今なお増加しつつありますが、昭和三十年の三月以降三十六年の九月までの福岡県における炭鉱労働者の減少は四万六千二百四十七名、同期間における全国の減少数の五三・八%を占めておるのであります。さらに当面、県下におきまして閉山、合理化のために約四千五百名が整理を予想されておるのでありまして、失業対策はいよいよ緊要と認められるのであります。昭和三十六年八月現在、炭鉱離職者の一般求職者数は約二万名、日雇求職者数は約六千名、計二万六千名でありまして、そのうち失業保険受給者は約六千名でありますので、残余の約二万名が至急就職の必要に迫られておるのであります。県は、これらの離職者に対しまして、緊急就労対策事業、特別職業訓練、広域職業紹介等を中心に再就職の道を開き、あるいは公共事業、鉱害復旧事業への吸収等によりまして雇用状態の改善をはかっておるのであります。広域職業紹介は、本年度上半期におきましては、月平均二百名程度、臨時措置法施行以来の二年間に一万一千名を紹介しまして、目標をはるかに上回っているのであります。就職先といたしましては、大阪、兵庫の阪神地区、東京、神奈川の京浜地区が圧倒的に多くありまして、愛知県がこれに次ぎ、産業別では製造業が多く、運輸、通信業、建設業の順となっておるのであります。特別職業訓練は、本年十一月までに約二百数十名の修了者を出し、これらの就職率は百パーセントの趣きであります。しかしながら、炭鉱離職者の受講希望者は意外に少ないのでありまして、収容定員にも達せず、夜間訓練におきまして特に著しいのであります。その理由は、訓練手当の額が少なく、訓練期間中の家族の生活保障が与えられないことによるものが多い模様であります。この辺に中高年令層の訓練受講を妨げる事情があるようであります。
 以上のほか、県が最も力を注いでおりまするのは、炭鉱離職者緊急就労対策事業であります。今年度の上半期、四月から九月までの間におきましては、一日当たり約六千名を吸収いたしております。しかしながら、このほかに緊急就労適格者約三千名を、予算のワクのために、本事業に吸収し得ないとのことであります。緊急就労対策事業に関する国庫補助につきまして、特段の考慮を要請せられたのであります。なお、県当局は、炭鉱事業にかわって労働力を消化せしめますために、産炭地域振興計画の一環といたしまして、産炭地と積み出し港等を連絡いたしまするところの道路建設、工場地域造成等、各種の長期計画を立てておりましたが、この計画のために、当面の離職者二万数千名の緊急就労をゆるがせにせられないことを力説いたしておったのであります。
 炭鉱離職者の多数発生に伴いまして、福岡県における生活保護世帯も増加の一途をたどっておりまして、本年九月現在、福岡県における要保護世帯五万一千百七十世帯のうち、産炭地域である筑豊地区が三分の一を占めまして、一万八千六十二世帯、保護人員六万二千六百三十二名、保護率八・四八%に達しておるのであります。全国平均の一・七ないし一・八%に比較いたしまして、はるかに高い率を示しておるのであります。現在毎月相当数の保護受給の新規申請がなされているのでありまするが、その中には稼働能力を持ちながら、県内の就職事情の困難のために、または住宅事情の不便等のために、被保護世帯に陥るものがありまして、この方面からも抜本的な離職者対策が緊要であることを痛感されるとのことでありました。
 直方市におきまして視察しました廃止鉱山の旧炭鉱住宅は、現在石炭鉱業合理化事業団の所有に帰しまして、その敷地は、最初の鉱山経営者でありました三井鉱山会社の所有である等の関係上、事業団に対する居住者の誓約に従って立ちのくか、しからざれば居住者にかわって市が買い取るにつきましても、財政上の限度がありまして、財源としての地方債の発行や補修改築に関連しまして、不良住宅、低家賃住宅等の制度の適用申請等につきまして苦慮しておる模様でございます。また、閉山によりまする給水廃止の対策といたしまして、公営水道の拡張、国庫補助によりまする簡易水道の敷設等が行なわれたのでありますが、地元炭鉱の廃山によりまする収入減、離職者救済等のための経費増によりまして、水道施設の維持に苦しんでおりまする地方団体も少なからず考慮を要する事項でございます。
 次に、福岡県における駐留軍労務者の離職等の状況とその対策について申し上げます。同県下の駐留軍労務者は昨年四月一日現在四千八百七十一名のところ、本年四月一日現在三千四百二十三名でありまして、一年間に一千四百四十八名減少いたしました。そのうち一千四百二名は、芦屋基地を自衛隊に移管いたしましたのに伴う整理によるものであります。駐留軍関係離職者の本年十月まで過去一年間における新規求職者数は一千百二名、就職者数は四百九十名でありまして、そのうち広域職業紹介によるものが二十五名であります。職業訓練は、福岡及び直方の公共職業訓練所並びに八幡総合職業訓練所のほか、板付、ブレディ、以上は福岡であります。山田、これは小倉でありますが、その各軍施設内におきまして行なわれておるのであります。本年度内の公共職業訓練所入所者は百七十三名、総合職業訓練所入所者は百二十名、駐留軍施設内訓練受講者は延べ四百七十名でございます。県は、離職者並びにこれらのものが組織いたします企業組合に対する事業資金の融資あっせんを行ない、また、年五分以内半額までの利子補給の制度を設けまして、企業組合の設備資金につきましては、中小企業振興資金共同施設貸付金を活用しているとのことでございます。離職者の組織する企業組合は、本年十一月末におきまして三十一組合となっております。なお、旧小倉陸軍造兵廠跡地の転用にあたりまして、離職者企業組合への一部払い下げにつきまして関係方面に折衝中であり、福岡県駐留軍関係労務者福祉更生協会を設けまして、県費三百万円を貸し付けまして、離職者に対する生業資金等の貸し付けに当たらしめておる由であります。また、福岡県庁におきまして各当局の説明を聞きました後、全駐留軍労働組合福岡本部の代表者から、労働管理政策及び離職者対策につきまして陳情を受けたのでございまするが、先に申し上げました要望書によりまして御承知を願いたいと存じます。
 次に、大分県における豪雨等によりまする災害の状況とその対策について申し上げます。本邦南東洋上の台風第二十六号から西日本に達しました湿舌は、十月二十五日夜から翌二十六日にわたりまして西日本各地に集中豪雨をもたらしたのでありますが、特に大分県国東半島及び同県南部に甚大な損害を与えたのであります。すなわち、両日の雨量は、大分市におきまして三百五十三ミリ、県の南部三重町におきまして五百十一ミリ、国東半島の安岐町、武蔵町では六百ミリ以上と推定されまして、先年の九州諌早水害の雨量に匹敵するものであります。これがために、県の南部の大野川、大分川、国東半島の安岐川、荒木川、武蔵川を初めといたしまして、両地方の各河川が二十六日正午ごろから急激に増水をいたし、破堤、溢流いたし、また、各地に山くずれが続出いたしまして、被害を増大いたしたのであります。被害甚大地域といたしまして災害救助法を適用されましたのは、県の南部では大分市、臼杵市、大南町、三重町、国東島では杵築市、安岐町、武蔵町、国東町であります。
 被害の状況は、死者六十三名、行方不明五名、重軽傷者七十六名、死者のうち、三十一名は別府、大分間の国道における土砂くずれによる電車埋没事故の被害者であります。また、家屋の・全壊、流失は二百六戸、家屋の半壊は五百九十二戸、床上浸水は四千五百五十三戸、床下浸水は一万三千八百二十一戸でありまして、公共施設、農地、商工、農林、水産、土木、文教、衛生関係等の被害を合わせますと、被害総額は七十九億円に達する見込みの由であります。右のうち、災害救助法適用の三市五町及び同法の適用は受けませんが、被害の多かった三市町の被害は、お手元に配付いたしました「法適用市町の被害状況」のとおりであります。
 今次災害の特徴は、第一には、同地方未曾有の豪雨にもかかわらず、すでに改修せられました大河川に比較的被害が少なく、平素流量の少ない中小河川沿岸に大被害を発生したことであります。
 第二点は、同地方におきましては、刈り取った稲を地ぼしにする慣習のところ、あたかも刈り取りの時期に予期しない出水にあいまして、全収穫を流失したのみならず、流失した稲束が下流の橋梁に引っかかりまして、破堤、溢流、橋梁流失の原因を助長したことであります。
 第三点は、年間雨量の半分が一昼夜に降ったという豪雨のために、各地に山くずれが続出いたしまして被害を増大いたしたことであります。国東半島安岐川の上流に、山頂からものすごい山くずれの跡が数カ所望見されたのでありまするが、別府、大分間国道上の山くずれによる電車の埋没事故もあり、早急に山くずれ対策を確立実施する必要があると存じます。
 第四点は、出水河川の水勢が特に猛烈であった模様でありまして、稲束流失の関係もあり、コンクリート橋梁や鉄橋の流失が至るところに見られ、大分交通会社の国東半島における電車線路は鉄橋数カ所流失のため、安岐町以遠は今なお不通であります。また、遭難者の死体が、潮流の激しい豊豫海峡を横断いたしまして愛媛県の海岸に漂着したとのことでありまするが、当時の激しい水勢を如実に示すものと存ずるのであります。
 県その他地方当局の災害対策につきましては、県は、直ちに県災害対策本部を置き、被害の判明に従いまして、十月二十六日及び二十七日にわたりまして、逐次災害救助法の適用を決定いたしたのであります。陸路はいずれも寸断されておりますので、国東半島方面に対しましては、海上保安部、海上自衛隊の船艇、県水産練習船等によりまして、翌二十七日、生活必需物資を県厚生部長らが海路輸送するとともに、陸上自衛隊の協力を得まして陸路の啓開に努め、また、現地に地区災害対策本部を置きまして、責任者を派遣して被害者の救助並びに物資の配給に当たらしめた由であります。県の南部、ことに大田川上流の三重町方面は交通通信が全く途絶いたしましたので、同地に地区対策本部を置きまして、関係各機関が協力して対策を立て、県庁職員等が率先して地方民とともに迂回連絡路を啓開し、陸上自衛隊の出動を得まして交通の回復をはかった由であります。同方面は交通の回復がおくれ、輸送が困難でありましたので、救護に必要な物資は、連絡可能な周辺地区から現地調達の上配給したとのことであります。災害後一カ月余にいたしまして現地に立ったわれわれの目に悲惨な天災の跡は至るところ今なおなまなましく見受けられましたが、仮設住宅その他の援護業務は着々と進められ、また、被害者の復興の努力も力強く感じられたのであります。
 特に各地において、自衛隊、海上保安部等の協力に対する感謝の声を聞いたことを申し添えます。
 以上をもって報告を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 104014410X00219611212_003

発言者: 村山道雄

speaker_id: 17986

日付: 1961-12-12

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会