佐藤榮作の発言 (商工委員会)

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○国務大臣(佐藤榮作君) 石炭対策は先ほど来需給の問題について一応触れまして、そうしてこれは吉田さんもおそらくお尋ねのうちの含みにもあることだろうと思うととは五千五百万トンを六千万トンにできないだろうかというお話しがあろうと思いますが、先ほど来申し上げますように、需給の安定といいますか、ことに需要側の安定、その方策を行政的措置として電力あるいは製鉄、ガス等の部門について御披露いたしたしわけであります。
 ところで今度は労務の点で一体どうなのか、これはもう前国会におきましても基本的な方針を申し上げたつもりでございます。いわゆる合理化はどんどん進んでゆくだろう、千二百円下げということがその目的を達したら、もうそれからコストを下げるわけでもないというものではなくて、おそらく業界自身はさらに日進月歩合理化を進めてゆかれるんだ、そうすると、一人当たりの出炭量はこれは相当上がってゆくと考えなければならない。そうすると、五千五月万トンの出炭だと一人当たりの出炭が増せばそれだけの労務は要らないという計算になる。この労務は一体どうするんだという問題に当然逢着すると思います。
 その場合にいろいろの方法があると思いますが、失職者というものがいわゆる閉山、廃止等によって生ずる離職者あるいは今日ある山が積極的に事業の拡大をしないで合理化だけするならば、やはり犠牲者が出てくるだろう、そこにも失職者が出てくるだろう、こういうことになるのでございます。
 まず一番先に考えられることは炭鉱労務者の失職者は新らしい炭鉱において職場を見つけるということが一番いい方法じゃないか、そういう意味の立場に立って、今日までの未開発炭田等を新規に開発するという、そういう方向で吸収はできないだろうか、まずこれを一つ考えるべきだろう、そういう意味で、今後の問題といたしましては、未開発炭田は北海道方面にあるわけでございますから、そのほうの需要が相当強く出てくるだろう。またもう一つは、現に失業者ができ、そうして生活の保護世帯がふえておるというような地域において、その土地で事業を起こす方法はないか、これが第二の対策でありまして、いわゆる産炭地振興事業団、これを作りましたゆえんも実はここにございます。今回は発足するばかりでございますので、予算規模等もまことに少額でありまして、今生ずるであろう離職者対策としては金額等まことに私は不十分であると思います。思いますが、皆様方の御鞭撻でこれがとにかく発足するということは一つの前進であり、これを一つうまく使っていきたいと、かように実は思います。
 それから第三の問題といたしましては、この離職者を吸収するのは、あえて炭鉱に限らないじゃないかと、その他の職業部門においても、これの再就職の道を開くべきじゃないか、こういう基本的な考え方に立って労働省が再教育あるいは就職あっせんと、そのための便宜をはかるというような処置をそれぞれとっているわけでございます。
 それからもう一つ、基本的な問題で、ただいま申し上げるような離職者に対するそれぞれの対策はありますが、石炭業自身がいわゆる斜陽産業にあらずして、今後、安定基幹産業である、こういう立場に立ったときに、新規労務者の確保というか、人員の交代について遺憾なきを期するような考え方ですべての政策を進めていかなきゃならない。その意味におきましては、通産省は通産省としてかねてから申し上げておるように、石炭産業は斜陽産業にあらず、これはりっぱな基幹産業であり、国内の安定産業としてまた重要な役割を果たすんだと、この意気込みにおいて労使とも安定産業としてこれを盛り立てる、これに通産省が協力することが必要だと、そういう方法がとられますならば、必ず新規労務者の確保もできるだろうと思います。
 また、話が少し前後いたしましたが、この合理化が進むに従って職場を失うというような、こういう不幸な方方が今後考えられるのは、いわゆる中高年令層であろう、そこに特殊な離職対策、これが必要だろう、実はかように考えまして、労働省ともいろいろお話をしておるわけでございます。きわめてわずかではございますが、外国に対しましても、この石炭鉱業はまだドイツなぞ労務を必要としておるようでございまして、そういう意味で外国の職場にも転出する者が今後はまた出てくるんじゃないか。——せんだって、アルゼンチンの大統領が来られましたが、アルゼンチンなどもそういう意味ではなお開発の余地があるようでありますし、そういう意味の協力を求めておるものもあるようであります。離職者対策、これは何と申しましても、それぞれの人たちの気持から申せば、離職したその土地で、また同じ職場で——それはあえて同じ炭鉱と申すわけではございませんが、石炭で離職したから石炭業でやはり職を求めたい、そういう気持は非常に強いだろうと思いますので、その点には特に私どもも留意して参りたい、かように考えております。

発言情報

speech_id: 104014461X00419620208_009

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1962-02-08

院: 参議院

会議名: 商工委員会