戸叶武の発言 (外務委員会)
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○戸叶武君 移住基本法は次の国会に提出するという答弁が一つ、もう一つは、移住基本法の理念は、審議会の答申に盛られているような内容を法制化するものである、そういうふうに受け取れる答弁でございますが、いずれにしても、今日における海外移住政策の基本理念というものは、現実の国際情勢なり、世界的な技術革新に伴う経済変動期における日本自体の産業並びに経済構造の変化にも即応するような態勢のもとにおいて、この理念というものが作り上げられつつあるものだと私は思います。すなわち、従来のようないわゆる移民政策でなく、労働力の単なる移動でなくて、開発能力の海外への進出移動によって国際協力を作り上げるというところにねらいがあるのだと思いますが、問題は、今、足元に火がついておるところのこの移住の不振の問題です。この問題に対する掘り下げなり、自己批判というものが、あの答申を見ましても、私は、非常に本質的な追及というものがなされていない。むしろ回避されている。今までの実践団体の、この二つの事業体のなわ張り争いだけが、この移住の不振を招いたのでなくって、私は昨年の末にヨーロッパに三度目の旅行をいたしましたが、欧州経済共同体の発展に沿うて、労働力の不足から、イタリア等におきましても、移民を海外に出すよりも、むしろ海外に出ておる人たちを呼び返そうというような態勢だし、スペインのごときも、EEC加盟六カ国外にありまするけれども、やはりその労働力というものを欧州共同体の中へ投入しなければならないという情勢、この六カ国外にあるデンマークのごときも、労働力の不足、特に農業労働力の不足というものが、一九五五年から一九六一年までに、あのような理想的な農業国といわれている国においても、三〇%の所得並びに賃金のアンバランスから、農業労働者というものが都市並びに他産業に流れて行ってしまって、この対策をどうするかという深刻な悩みの上に立っておる。日本の池田高度経済成長政策に伴って、やはり日本の農民というものが六割ないし七割、十年間に減るということを政府では予見してたいのです。そういう状態のもとにおいて、日本の農業構造というものが基本的にゆすぶられていき、若に青少年の労働力というものがなだれを打って都市に吸収されていくという現状において、この移民の不振というものが出てくるのは当然だと思いますが、政府当局におきましては、この、特に昨年度において落ち込んだところの移住の不振、せいぜい、少なくとも一万人なり八千人の移住を考えていたのに、二千人そこそこ、その五分の一程度までに落ち込んだというこの急激なる変動、これは単にブラジルのインフレのためだとか、ドミニカ移民の失敗だとかいうことだけの、あるいは今までの役所仕事が、外郭団体がだらしがなかったということだけじゃない。その問題に対して政府はどういうふうな、答申書だけに問題を転嫁しないで、政府みずから、どういうような形において、この問題を掘り下げて見詰めているか、それを承りたいと思います。