外務委員会

1963-06-25 参議院 全126発言

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会議録情報#0
昭和三十八年六月二十五日(火曜日)
   午前十時五十一分開会
  ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十四日
  辞任      補欠選任
   佐藤 尚武君  森 八三一君
 六月二十五日
  辞任      補欠選任
   野村吉三郎君  西田 信一君
   佐多 忠隆君  戸叶  武君
   森 八三一君  佐藤 尚武君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     岡崎 真一君
   理事
           井上 清一君
           岡田 宗司君
   委員
           青柳 秀夫君
          大野木秀次郎君
           杉原 荒太君
           西田 信一君
           山本 利壽君
           加藤シヅエ君
           戸叶  武君
           羽生 三七君
           森 元治郎君
           森 八三一君
           曾祢  益君
  国務大臣
   外 務 大 臣 大平 正芳君
   農 林 大 臣 重政 誠之君
  政府委員
   外務政務次官  飯塚 定輔君
   外務大臣官房長 湯川 盛夫君
   外務省移住局長 高木 広一君
   農林省農政局長 斎藤  誠君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百六十二年の国際小麦協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣
 提出)
○日本国とアメリカ合衆国との間の領
 事条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国とマラヤ連邦との間の条約の締結
 について承認を求めるの件(内閣送
 付、予備審査)
○海外移住事業団法案(内閣提出、衆
 議院送付)
  ―――――――――――――
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岡崎真一#1
○委員長(岡崎真一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動につきまして御報告申し上げます。昨日付をもって、委員佐藤尚武君が辞任せられ、その補欠として森八三一君が委員に選任されました。本日付をもって、委員佐多忠隆君が辞任され、その補欠として戸叶武君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
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岡崎真一#2
○委員長(岡崎真一君) 千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件は、前回、委員会において質疑を終了しておりますので、これより討論に入りたいと思います。御意見のあります方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。――別に御発言もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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岡崎真一#3
○委員長(岡崎真一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
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岡崎真一#4
○委員長(岡崎真一君) 全会一致であります。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
  ―――――――――――――
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岡崎真一#5
○委員長(岡崎真一君) 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件は、前回、委員会において質疑を終了しておりますので、これより討論に入ります。御意見のあります方は、賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。――別に御意見もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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岡崎真一#6
○委員長(岡崎真一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
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岡崎真一#7
○委員長(岡崎真一君) 全会一致であります。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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岡崎真一#8
○委員長(岡崎真一君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
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岡崎真一#9
○委員長(岡崎真一君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。提案理由の説明を聴取いたします。大事外務大臣。
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大平正芳#10
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件」につきまして、提案理由を御説明
 いたします。
 政府は、マラヤ連邦との間で所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約締結交渉を昭和三十七年四月以来行なって参りましたところ、今般交渉が妥結を見るに至りましたので、去る六月四日クアラ・ランプールにおいて、わが方在マラヤ連邦大隈大使とマラヤ側タン・シュー・シン大蔵大臣との間で署名を行なったものであります。
 この条約は、十八カ条からなり、従来わが国がアジア諸国との間に締結した租税条約とほぼ同様の内容を有するものでありますが、マラヤ連邦の税制及び国内事情から次のような特徴を持っております。すなわち、船舶、航空機の運用から生ずる所得は、全額相互免税としております。配当については、他の諸条約と同様一五%の軽減税率とし、親子会社間のものであるときは一〇%の軽減税率としており、使用料については、相互に免税としております。さらにマラヤ連邦の創始産業(所得税免除)法の規定に基づいて免除されたマラヤ連邦の租税の額は、日本で総合課税する場合に、マラヤ連邦で支払われたものとみなして、日本の税額から控除することとしております。また、教授、留学生、短期旅行者等に対して広い範囲で免税を認めることとしております。
 マラヤ連邦は国内産業開発のために借入金形態による外資の導入を重視しておらず、第三国との租税条約の締結交渉においても、利子課税についての軽減税率を認めない方針をとっておりますので、この条約においては、利子の軽減税率または免税の規定を設けないことといたしました。
 マラヤ連邦は、わが国にとって主要な原材料供給国として、わが国の同連邦からの輸入の額も東南アジア諸国中最高であり、また、わが国から同連邦への企業進出、船舶寄港等も多いところ、この租税条約の締結によって二重課税を回避し、これらの経済交流が一そう円滑に促進されるものと考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  ―――――――――――――
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岡崎真一#11
○委員長(岡崎真一君) 次に、海外移住事業団法案を問題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
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岡崎真一#12
○委員長(岡崎真一君) 速記を始めて下さい。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
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戸叶武#13
○戸叶武君 私は先般提案趣旨説明のあった海外移住事業団法について、政府に対し若干の質問を行ないます。本法案は、海外移住に対する政府の新しい考え方の上に立って移住行政の刷新を期するため、具体的には従来移住行政というものが各省のなわ張り争い等によってばらばらであったのを、その移住行政を一元化そうとするところがねらいのようでございますが、今までの海外移住の実務機関であった日本海外移住振興株式会社、日本海外協会連合会の業務を統合し、特殊法人海外移住事業団を設立するに至るものと思われますが、これに対する政府の御見解を承りたいと思います。
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大平正芳#14
○国務大臣(大平正芳君) 移住政策はたいへんむずかしい問題でございまするのみならず、最近の移住は、実績に徴するに、萎靡不振をきわめておるという状況でございまして、政府におきましては海外移住審議会に諮問いたしまして、移住政策の打開についての御答申を求めたわけでございます。その御答申を基礎にいたしまして、今御指摘されたような移住行政機構の改編に着手いたしまして、その第一歩として事業団を作るということについて今御審議をいただいておるわけでございます。で、そのねらいとするところは、移住実務機関というものを、答申でお示しになりましたように、一元化するということでございます。そして、これを特殊法人とするこのことは、そこに勤務する職員の地位、処遇等も安定して参りますし、今までありました在来の二つの機関の重複というような点も解消して参りますので、それだけの効果が期待できると思うのでございますが、さらに私は政府の方針といたしまして、そのような機会に、この移住の世話をするという仕事は、本来これは権力行政の分野に属する仕事ではない、一つのサービスである、したがって、このサービスをめぐって各省の間でいろいろ権限のトラブルが続くなんていうことは、非常にこれは移住者にとって御迷惑なことでございまするし、役所の名誉になるととではないと思うのでございます。したがって、移住事業団というものをりっぱに作り上げて、これが育つに従いまして、私どものほらはもとより、農林省その他関係省もできるだけこの移住事業団のほうに仕事を移していって、役所といたしましては最小限度の監督をする。しかし、移住の基本方針というものにつきましては外務省中心でありまして、各省の希望を導入いたしまして大きな方針をきめて、それを移住事業団に指示して、指示を受けた移住事業団としては、自主的に、かつ責任を持って遂行するといろ体制に持っていきたい、こういうことを基本方針にしてこれを発足させたいというのが、私どもの基本の考え方でございます。
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戸叶武#15
○戸叶武君 大平さんの言われる御趣旨はごもっともと思いますが、特に移住行政の一元化を目ざして海外移住事業団の業務の統合をやったと言われるその御趣旨は、私たちも賛成でありますが、しかしながら、この移住行政というものは、今日本だけでなく、移住問題の行き詰まりからしまして、ヨーロッパ各国においても、たとえば移住者を多く出しているイタリアやオランダのようなところにおきましても、あるいはスペインのようなところにおきましても、日本以上にやはり深刻にものを考えてこの移住政策の転換に直面していると思うのです。そういうときにあたりまして、政府みずからが移住政策とは何ぞやという問題を新しい角度から検討しなければならない段階にあるので、審議会においてもそういう基本問題から取っ組んでやはり答申も出していると私は思うのであります。したがって、この法案を出すまでの経緯を見ましても、外務省といたしましては、三つの法案を出すか、あるいは二つの法案にするか、いろいろ私は検討されたと思うのでありますが、政府として、当初移住基本法なり移住援護法、あるいは移住事業団法、三位一体の構想を持ってこれを出そうかという考えもあったように漏れ承っておりますが、そういう基本的なことはあと回しにいたしまして、今当面の行き詰まりの打開の必要から、あるいは予算措置の必要からという形で、この事業団法を出してきたように思われるのですが、政府の考え方並びにその経緯はどらなっておるのでしょうか。
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大平正芳#16
○国務大臣(大平正芳君) 移住政策の基本理念といいますか、道標というものは、先ほど私が申し上げましたように、移住審議会の御答申に出ておるわけでございまして、私ども拝見いたしまして、非常にすぐれた考え方が盛り込まれておると思うのでございまして、私どもはこれを道標として移住政策を展開して参りたいと考えております。したがって、今御指摘のように、移住基本法と申しますか、移住法と申しますか、基本的な法律制定をお願いいたしまして、この政策理念を法制化していくということがまずなさるべきことに違いないと思うのでございます。したがって、政府におきましても、この政策理念の法制化について一応の案を持っております。しかし、これはあくまでも移住審議会の答申の法制化でございまして、移住審議会の答申自体は、すでに公表されておりますし、また、お手元にも差し上げておるわけでございまして、これを法律の文言でどう具体化して参るかということが残されておるにすぎないわけでございます。基本の理念は、答申に示された方針に変わりはないわけでございます。そして、これの法制化につきまして、今各省ともお話をいたしておる段階でございまして、次の国会にはこれをあわせて御審議いただくようにいたしたいと思っております。ただ、事業団の設立を急ぎましたゆえんは、今御指摘のように、三十八年度の予算編成の段階になりまして、取り急ぎ予算を編成する上におきまして、実施実務機構は、御答申に示されたように、とりあえずこれを一元化していこうということの政策を先行してきめておかないと予算が組めませんでしたので、このほうだけを先に取り出して御審議をいただいているわけでございます。移住法制の全体の構造というものは、今お示しのように、基本法的なものも含めまして、追って御審議を願うようにいたしたい、しかし、その実体は、答申に示されておる以上のものでもなく、以下のものでもないというように考えます。
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戸叶武#17
○戸叶武君 移住基本法は次の国会に提出するという答弁が一つ、もう一つは、移住基本法の理念は、審議会の答申に盛られているような内容を法制化するものである、そういうふうに受け取れる答弁でございますが、いずれにしても、今日における海外移住政策の基本理念というものは、現実の国際情勢なり、世界的な技術革新に伴う経済変動期における日本自体の産業並びに経済構造の変化にも即応するような態勢のもとにおいて、この理念というものが作り上げられつつあるものだと私は思います。すなわち、従来のようないわゆる移民政策でなく、労働力の単なる移動でなくて、開発能力の海外への進出移動によって国際協力を作り上げるというところにねらいがあるのだと思いますが、問題は、今、足元に火がついておるところのこの移住の不振の問題です。この問題に対する掘り下げなり、自己批判というものが、あの答申を見ましても、私は、非常に本質的な追及というものがなされていない。むしろ回避されている。今までの実践団体の、この二つの事業体のなわ張り争いだけが、この移住の不振を招いたのでなくって、私は昨年の末にヨーロッパに三度目の旅行をいたしましたが、欧州経済共同体の発展に沿うて、労働力の不足から、イタリア等におきましても、移民を海外に出すよりも、むしろ海外に出ておる人たちを呼び返そうというような態勢だし、スペインのごときも、EEC加盟六カ国外にありまするけれども、やはりその労働力というものを欧州共同体の中へ投入しなければならないという情勢、この六カ国外にあるデンマークのごときも、労働力の不足、特に農業労働力の不足というものが、一九五五年から一九六一年までに、あのような理想的な農業国といわれている国においても、三〇%の所得並びに賃金のアンバランスから、農業労働者というものが都市並びに他産業に流れて行ってしまって、この対策をどうするかという深刻な悩みの上に立っておる。日本の池田高度経済成長政策に伴って、やはり日本の農民というものが六割ないし七割、十年間に減るということを政府では予見してたいのです。そういう状態のもとにおいて、日本の農業構造というものが基本的にゆすぶられていき、若に青少年の労働力というものがなだれを打って都市に吸収されていくという現状において、この移民の不振というものが出てくるのは当然だと思いますが、政府当局におきましては、この、特に昨年度において落ち込んだところの移住の不振、せいぜい、少なくとも一万人なり八千人の移住を考えていたのに、二千人そこそこ、その五分の一程度までに落ち込んだというこの急激なる変動、これは単にブラジルのインフレのためだとか、ドミニカ移民の失敗だとかいうことだけの、あるいは今までの役所仕事が、外郭団体がだらしがなかったということだけじゃない。その問題に対して政府はどういうふうな、答申書だけに問題を転嫁しないで、政府みずから、どういうような形において、この問題を掘り下げて見詰めているか、それを承りたいと思います。
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大平正芳#18
○国務大臣(大平正芳君) 答申にもお示しがありまするように、移住というのは、あくまでも自発的なものでなければならぬわけでございまして、政府のほらで移住に対する計画をきめて、一つの動員目標を立ててやるという性質のものではないと思うのでございます。あくまでも移住者本人の自発的な発意と情熱が移住を結果させることになるわけでございまして、政府は基本方針として、これはあくまでも自発的なものである、そういう意図を持った方々に政府として可能なサービスをしていくというのが基本だと思うのでございます。したがって、この移住者の多寡をきめるという力は、政府にはないと思います。ただ、今御指摘がございましたように、国内の経済が成長いたしまして、労働力の全体としての需要が大きくなり、あるいは地域的にもいろいろな労働力の不足を訴えるというような事態が起こっておりますことは、御承知のとおりでございまして、そのために、移住者が内地で十分、より高い生活ができるというような事情になりましたことも、移住への意欲を減殺するに役立ったということは、一応想定されるわけでございまして、その経済の成長そのものは、今御指摘のように、技術革新の時代にあってこれは避けがたい構造的な変革の時期にあるわけでございまして、これをとめていくということも無理だと思うのでございます。したがいまして、そういった事情が移住を制約しておった状況になっておったということは、御指摘のとおり、いなめないと思うのでございます。こういう状況のもとで、しからば移住をどら展開していくかという問題でございますが、これはやはり国民自体の自発的な奮起に待たなければならぬわけでございます。そのためには、政府のなし得ることというのは、過去においてそれが十分でなかったうらみはあると思うのでございますが、移住地の事情あるいは移住地の経済をめぐるもろもろの条件、それから移住先の国の政策、そういった点につきましてのインフォーメーションを広く国民一般に普及するような努力を通じて、新しいフロンティアを求めるという意欲が刺激されるという意味で、私どもは一段とこの正確なインフォーメーションの提供ということに力をいたしますならば、わが国の国民が持っている潜在的な能力を具現する場を新しく求めようという意欲も、また刺激されてくるのではないかと思うのでございまして、過去の移住政策を回顧いたしまして、こういった方面に努力が足らなかったということ、それから、移住地の調査という点は、個々の移住者にこれを求めるわけには参りませんが、政府といたしまして、公的な力で十分事前の調査というものを徹底的にして、それを正確に知らして差し上げるというような努力をやりますならば、今後の移住政策には新しい新生面が出てくるのではないかと期待されるのでございます。最近私どもが伺ったところによりますと、必ずしも、日本において食い詰めたから行くというようなことでなくて、相当自覚を持った移住者の方々が出てきているという好ましい現象も出てきているわけでございます。こういった政府の努力によりまして、そういう方々の自発的な移住意欲というものを高揚して参るように持っていくべきではないかと、私は考えております。
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戸叶武#19
○戸叶武君 大平さんの移住政策に対するお考え方というものは、きわめてすなおな一つの考え方でありますが、それだけに、非常に私たちは、外務省のような移住政策の考え方は一番無難で非難を受けないけれども、これは品行方正で内容のない、アンビシアスなものを持たない、一つの秀才型の青年――そういう青年は移民なんかには行きませんよ――もっとアンビシアスな意欲をもってこのフロンティアの精神というものは私は作り上げられるものだと思います。ここで今、外務省と農林省のなわ張り争いというものは、私は非常にもっと深刻な、時代の考え方の上にギャップがあるのではないかと思うのは、外務省のほらは少しあか抜けしておりまして、これはホワイト・カラーのものの考え方で、移民というものは私はやはりどっちかと申しますれば、後進地域に、未開地といわれるところに、ほんとうにぶち込んでいく闘魂がなければ、この移住という成果というものは上がらないんじゃないかと思うのです。今のような移住がふるわないようなときに、外務省がどっちかといえばこの指導権を握って指導しているところに、いよいよ、さっき大平さんが心配したような萎靡沈滞の現象が現われてきたのではないかと思うのですけれども、そういうふうに、この国民自体の自発的な奮起を待たねばならない、ごもっともです。それから、政府が引きずるのじゃないということを言いたいと思うのでしょうが、しかし、この技術革新の経済変動に伴って、国内において若い労働力というものが農村から都市に流れ込むというようなときに、非常に好条件でもって雇用が拡大しているというときに、より優秀な者を中南米の、特に南米の新天地に入れようとするときに、それに対する対策というものは、現地の状態を正確に知らせるという程度だけでは、なかなか私はその移住政策というものは伸びないんじゃないかと思うのです。私はそこいらに、農林省の今までの考え方というものは少し泥くさいところがありますけれども、大体移住というものは泥くささが相当つきまとっているのです。昔のいわゆる泥くさい大陸移民の時代とは違うということはわかるし、現在のブラジル等で要求しているのは、初期の移民といわれた時代の移住者たちと違って、もっと近代農業の技術を身につけたような人をほしい。それから、そういう農民だけでなくて、造船その他の企業の進出においても相当の成果を上げられているように、そういう面も伸ばしたい。いろいろな面があると思います。しかし、私は今の、当面の問題に問題をしぼって言いますが、移住事業団が統合することになったところの、今まであった二つの団体というものの今までのやり方というものは、どこへ行っても非難を浴びせられないところはないのです。人間がでたらめで、やっていることがだらしがなくて、国内にあったら、あんな問題はとうに引き揚げられていると思う。これはどこでも迷惑しているのです。そのしりぬぐいもできない、それで仕方がなしに、ここらで陥没さして、ほおかむりして、新しく出直してこようというのが今度の事業団の現実だと思いますが、あとからも会計検査の手なんかに入ってから、いかにだらしなかったかということは、もう問題をなまで取り扱えなくなった時期に――来年か再来年にどしどし出てくると私は思いますが、こんな形で、だらしない上にほおかむりだけしていくというやり方は、幾ら積み上げていってもそこからいいものは出てこないのではないか。この際私は、そうした事業団なり何なりが出発するときは、厳しい自己批判の上に立ってやらないと、サービスとは言うけれども、外地における移住政策に対して、ややもすると、外務官僚というものは冷淡だ、秀才だが冷たい、とにかくそういう印象が非常に強いのです。私はこのことは言いづらいことだけれども、率直に外務省の人たちに考え直してもらわないと、白い手で移住政策は行なわれないのです。やはり泥まみれになっていかなければ、一つのフロンティアの精神なんというものは私は伸びないと思うのです。そういう点からいきまして、大平さんの見識なり人格というものは私は相当尊敬しておるほらで、どっちかといえば、外務省の中で一番荒削りの面を持っておると思いますが、どらも今のお話なんか聞いておると、やはりしりつぼみの外交だなという感じしか受け取れないのです。衆議院段階でも、相当田原氏なんかもずいぶん言いづらいことを言っておるようですが、私はもっとなまの材料を持っていますから、今後矢つぎばやにそういうものは出していきたいと思いますけれども、もう人間の問題――人つくりと池田さんも言っておるのですけれども、偽善的な、体裁的な、形式的な、見てくれ的な人間が中心では、移住政策は失敗する。ほんとうにこの問題に対して情熱を傾けていく人を中心に据えるということをほんとうに外務省でも農林省でも考え直さないと、これから現地からもう引き揚げられてしまうと思う。問題は――三十七年度の問題にしぼりますが、政府は一万名から八千名を予定したところが、二千二百一名に減少した。その減少した原因の一つに、日本の国際的な波動の中の一つでありますが、高度経済成長政策のもとにおける農村からの労働力が都市に流入して、移民のほらに向けられなかったというのが第一の理由であって、第二の理由は、やはりブラジルのインフレや、ドミニカ移民の失敗の問題の心理的影響、第三がやはりお体裁だけはできておっても、ほんとうに受け身の形において、消極的な形において自発的な意思に対して協力するというようなへっぴり腰の移住政策、私はこれが三位一体となって不振の原因を作ったと思うのですが、大平さんはどのようにこれを考えておりますか。さっきのお話は抽象的ですが、もっと具体的に掘り下げてもらいたい。この問題を中心としてやはり問題の展開が出てくると思います。
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大平正芳#20
○国務大臣(大平正芳君) 高度経済成長に伴う労働力の相体的な不足という状況は、戸叶先出御指摘のとおり、最大の原因であったと思いまするし、なお、御指摘のように、ドミニカの移民政策の不始末、これも心理的な影響として深刻に響いたと思うわけでございます。御指摘のとおりでございますが、最後の点で、ホワイト・ハンドじゃいかぬ、もっと泥くさくということでございますが、私は、移民政策というのは本来ホワイト・カラーのもてあそぶところではなくて、あなたが御指摘のとおり、移民という仕事に生涯をかけてやるという人、人の問題だという御指摘は、そのとおりだと思うのでございます。その熱意に欠けるところがあって今日のような事態を来たしておると申し上げなければならぬことを、きわめて遺憾とするわけでございます。
 それから、在来の移住担当機関の運営ということについていろいろな問題がありますことも、私どもも承知いたしております。もともと、こういう公営という一つの経営の方式というものには、それに内在する、本来もう避けがたい非能率性があるわけでございまして、これはひとり移住関係の事業、実施機構だけを責めるわけにいかないと思います。能率の点から申しましても、モラルの点から申しましても、こういう事業形態には、えてして、そういう弊害を伴うものでございまして、われわれが見ておりまする移住実施機関というものも、その例外ではないと思うのでございます。そこで今御指摘のように、そこに人的な核心が要るわけでございまして、そういう情熱を持った清新な人材をもって、しかも自主的に責任を持ってやっていただくという態勢に今度いたしたいということで御提案申し上げているわけでございます。今までの弊害を可能な限りためるために、私も最善の努力をいたすべきと思うわけでございます。そのことは同時に、政府が一生懸命にならなければいかんわけでございますが、政府の一生懸命になり方が問題だと思うのでございます。一から十まで官庁的なコントロールをするなんという在来の役所のやり方では、とてもいかんと思うのでございます。やはり問題は、事業団を作りました以上は、事業団に責任を持たせる、自主的に弾力的に活発な活動をやらすような環境を作ってやらないといかんと思うのでございまして、はしの上げ下げまで一々役所が干渉するようなことはいかんわけでございます。したがって、私は、外務省というところはできるだけ移住の実務から手を引くべきだと思うのです。こういうことは専門の方々にまかすという気持にならぬといかん。外務省がそのようにすることによって、ほかの省もまた外務省の真意を理解していただいて、事業団の育成に御協力いただくことになると思うのでございます。他の省にいろいろ私どもが注文をつける前に、まず外務省自体が一ぺんここで顔を洗って出直すというようにやりたいという趣旨のものも、今、先生が言われた人の問題に帰するのじゃないか。そして同時に、その情熱を持った人が十分自主的に活動ができるような環境を作るためには、政府としては、はしの上げ下げまで一々干渉するようなことをしないということが大事だと私は思います。
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戸叶武#21
○戸叶武君 大平さんが、外務省みずから顔を洗って出直すというまでの思い詰めた決意をされているのですから、相当いい顔になって出てくると思いますけれども、これはいずれにしても、それ自体、取りようによってはいいけれども、片方においては、なるたけ責任をとらない方法で、自主的という名前で、その自主的団体たるべき事業団の人事の問題が問題になりますけれども、今までの既存の二つの団体のでたらめだったのは、古手官僚のこれは眠りどころで、全く食いつぶしをやられてしまった。そして、その取り巻きというのは人を見る目がないから、茶坊主的な内地の食い詰め的なものが集まって、そして結局さんざん食い荒らされてしまった。こういうような態勢で再び自主的な形においてでたらめをやられた日には、国は目も当てられない。そこらが私が一番心配するところなんです。外務省なり農林省がずいぶん長い間のいがみ合いみたいなことは、ほんとうは移民には御迷惑だけれども、外務省亀手を引くからほかも手を引けという形で、しかも、その自主的な責任の主体となるべきところの事業団のスタッフというものが前の二団体のようなことになってしまったら、今度は一体だれが責任をとるか。外務大臣だけが、監督だから、責任は全部とることになるでしょうが、そのときには大平さんは外務大臣でなくなってしまう。私は日本の移住政策にはこういう悪循環が今後つきまとうのじゃないかと思います。
 そこで私は今の海外移住の現状について大臣から承りたいのですが、今、人によっていろいろ、また役所の統計においても全部違いますが、ラテン・アメリカ――中南米が主のようですが、中南米だけでも七十万の日本の海外移住者があるというふうに聞いておりますが、海外移住者の数は現在どうなっておるか、一、二、三、四、五くらいのおもだったところはどうなっておるか、これをお知らせをいただきたいと思います。
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高木広一#22
○政府委員(高木広一君) 大ざっぱに申しまして、南米に五十万おります。それから、北米、カナダを入れまして四十四、五万。南米五十万のうち、ブラジルが四十三万余りおります。それから、ペルーが五万おります。それから、アルゼンチンが一万三千ないし五千、これは二世も入れます。それから、パラグァイに六千、これはほとんど全部戦後行った者でございます。それから、ボリビアが約二千ぐらいおります。それから、最近は参りませんが、メキシコが六千ばかり、まあ大ざっぱに申しますと、こんなところでございます。
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戸叶武#23
○戸叶武君 その数字を見ましても、とにかくブラジルが非常な比重を持っているわけですが、ブラジルは御承知のように混血の世界であり、二十一世紀の国ではないかと言われているほどの一つの混沌としながらも前進している国家ですが、その中へ海外移住者が三十七年度には二千二百一名、ブラジルだけじゃないでしょうけれども、海外移住者が全体で二千二百一名、そのらち三百八十六名は沖繩県人、その二千二百一名中の呼び寄せ移民が八百五十一名、公募自営が五百六十、公募雇用が四百六十四という微々たるものでありますが、ブラジルには一体三十七年度にはどのくらい行っておりますか。
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高木広一#24
○政府委員(高木広一君) ブラジルには、渡航費貸付の移住者は千八百三十名行っております。
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戸叶武#25
○戸叶武君 その千人百二十名のうちにおける呼び寄せ移民といいますか、縁故移民はどのくらいですか。
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高木広一#26
○政府委員(高木広一君) ちょっと今即席で申せませんが、約八割強と考えていただきたいと思います。
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戸叶武#27
○戸叶武君 これを聞いてもすぐわかるのですが、現地に行っても、移民の一番安全なのは呼び寄せ移民である、緑故移民であるということも現地の人は強調してくるのです。今まで程度の低かったと言われている時代のブラジルにみんな入って行っても、長い間どろぼう一人いなかった、人殺し一人いなかった。それが戦後になったら変な者が出てきた。日本人というのは昔は尊敬されていた。とにかくブラジルへ出稼ぎに行くような人は日本の最低の層であろうと言われる者の中に、どろぼう一人出ない、人殺し一人出ない、こんなモラルの高い国民というのはどこにあろうかと言われるくらい尊敬されてきた。ところが、戦後においては、洋服なんかりっぱなものを着てくるけれども、非常にラフで、すぐ人の首を絞めてしまったり、あるいは銀行へ入って強盗をやったり、それで、ほかで驚いてしまって、これでどういう選定をやっているのだろう。選定というよりは、日本の戦後における荒廃がそこに反映しているのだと思いますが、そういう関係から、しっかりとした縁故移民でもって移民は送ってもらいたい、それから、単身でなくて、なるたけなら家族単位で送ってもらいたい、若者でも奥さんと一緒に来られるようにしてもらいたいというのが、みん、異口同音のこれらの人たちの要望です。そういう形において、ブラジルあたりには今では非常にコロニアルの組織が発達し、またコチア産業組合を初めとして、いろいろな農業協同組合の基盤というものもできて、私は、日本の農協のボス支配から見ると、ずっとりっぱな協同組合ができてきていると思うのです。そういうところにおいて活動の場というものはずっと広がってきておるのです。そういうところの一つの受け入れ態勢というものができてきているのですから、そういうところとの結びつきというものを重視していくことが、日本の移住を振興きせる上において一番手っとり早い、一番能率的なやり方ではないかと思いますが、外務大臣はどうお考えですか。
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大平正芳#28
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり心得ております。
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戸叶武#29
○戸叶武君 ところが、今度のいわゆる移住者の八割までが農業移民であり、去年あたりの移住者の八割までが呼び寄せ移民であるというふうな現状にあるのにもかかわらず、この海外移住事業団は外務大臣の専管ということになっております。これはおそらく私は、外務省だ農林省だというのじゃなくて、とにかく外国に移住者が出ていくことであるし、外地のことであるから、だからこれは外務大臣の監督ということにしようということになったのかと思いますが、この辺の事情は、私よりも本人の大平さんが一番詳しいと思いますが、どういう経緯でそうなったんでしょうか。
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