戸叶武の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○戸叶武君 大平さんの移住政策に対するお考え方というものは、きわめてすなおな一つの考え方でありますが、それだけに、非常に私たちは、外務省のような移住政策の考え方は一番無難で非難を受けないけれども、これは品行方正で内容のない、アンビシアスなものを持たない、一つの秀才型の青年――そういう青年は移民なんかには行きませんよ――もっとアンビシアスな意欲をもってこのフロンティアの精神というものは私は作り上げられるものだと思います。ここで今、外務省と農林省のなわ張り争いというものは、私は非常にもっと深刻な、時代の考え方の上にギャップがあるのではないかと思うのは、外務省のほらは少しあか抜けしておりまして、これはホワイト・カラーのものの考え方で、移民というものは私はやはりどっちかと申しますれば、後進地域に、未開地といわれるところに、ほんとうにぶち込んでいく闘魂がなければ、この移住という成果というものは上がらないんじゃないかと思うのです。今のような移住がふるわないようなときに、外務省がどっちかといえばこの指導権を握って指導しているところに、いよいよ、さっき大平さんが心配したような萎靡沈滞の現象が現われてきたのではないかと思うのですけれども、そういうふうに、この国民自体の自発的な奮起を待たねばならない、ごもっともです。それから、政府が引きずるのじゃないということを言いたいと思うのでしょうが、しかし、この技術革新の経済変動に伴って、国内において若い労働力というものが農村から都市に流れ込むというようなときに、非常に好条件でもって雇用が拡大しているというときに、より優秀な者を中南米の、特に南米の新天地に入れようとするときに、それに対する対策というものは、現地の状態を正確に知らせるという程度だけでは、なかなか私はその移住政策というものは伸びないんじゃないかと思うのです。私はそこいらに、農林省の今までの考え方というものは少し泥くさいところがありますけれども、大体移住というものは泥くささが相当つきまとっているのです。昔のいわゆる泥くさい大陸移民の時代とは違うということはわかるし、現在のブラジル等で要求しているのは、初期の移民といわれた時代の移住者たちと違って、もっと近代農業の技術を身につけたような人をほしい。それから、そういう農民だけでなくて、造船その他の企業の進出においても相当の成果を上げられているように、そういう面も伸ばしたい。いろいろな面があると思います。しかし、私は今の、当面の問題に問題をしぼって言いますが、移住事業団が統合することになったところの、今まであった二つの団体というものの今までのやり方というものは、どこへ行っても非難を浴びせられないところはないのです。人間がでたらめで、やっていることがだらしがなくて、国内にあったら、あんな問題はとうに引き揚げられていると思う。これはどこでも迷惑しているのです。そのしりぬぐいもできない、それで仕方がなしに、ここらで陥没さして、ほおかむりして、新しく出直してこようというのが今度の事業団の現実だと思いますが、あとからも会計検査の手なんかに入ってから、いかにだらしなかったかということは、もう問題をなまで取り扱えなくなった時期に――来年か再来年にどしどし出てくると私は思いますが、こんな形で、だらしない上にほおかむりだけしていくというやり方は、幾ら積み上げていってもそこからいいものは出てこないのではないか。この際私は、そうした事業団なり何なりが出発するときは、厳しい自己批判の上に立ってやらないと、サービスとは言うけれども、外地における移住政策に対して、ややもすると、外務官僚というものは冷淡だ、秀才だが冷たい、とにかくそういう印象が非常に強いのです。私はこのことは言いづらいことだけれども、率直に外務省の人たちに考え直してもらわないと、白い手で移住政策は行なわれないのです。やはり泥まみれになっていかなければ、一つのフロンティアの精神なんというものは私は伸びないと思うのです。そういう点からいきまして、大平さんの見識なり人格というものは私は相当尊敬しておるほらで、どっちかといえば、外務省の中で一番荒削りの面を持っておると思いますが、どらも今のお話なんか聞いておると、やはりしりつぼみの外交だなという感じしか受け取れないのです。衆議院段階でも、相当田原氏なんかもずいぶん言いづらいことを言っておるようですが、私はもっとなまの材料を持っていますから、今後矢つぎばやにそういうものは出していきたいと思いますけれども、もう人間の問題――人つくりと池田さんも言っておるのですけれども、偽善的な、体裁的な、形式的な、見てくれ的な人間が中心では、移住政策は失敗する。ほんとうにこの問題に対して情熱を傾けていく人を中心に据えるということをほんとうに外務省でも農林省でも考え直さないと、これから現地からもう引き揚げられてしまうと思う。問題は――三十七年度の問題にしぼりますが、政府は一万名から八千名を予定したところが、二千二百一名に減少した。その減少した原因の一つに、日本の国際的な波動の中の一つでありますが、高度経済成長政策のもとにおける農村からの労働力が都市に流入して、移民のほらに向けられなかったというのが第一の理由であって、第二の理由は、やはりブラジルのインフレや、ドミニカ移民の失敗の問題の心理的影響、第三がやはりお体裁だけはできておっても、ほんとうに受け身の形において、消極的な形において自発的な意思に対して協力するというようなへっぴり腰の移住政策、私はこれが三位一体となって不振の原因を作ったと思うのですが、大平さんはどのようにこれを考えておりますか。さっきのお話は抽象的ですが、もっと具体的に掘り下げてもらいたい。この問題を中心としてやはり問題の展開が出てくると思います。