基政七の発言 (本会議)

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○基政七君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題となりました海運関係二法案につきまして、御質問いたすものであります。
 この案は、前国会において廃案になりましたが、政府は、今回新たな構想をもって提案して参りました。わが党は、前回の政府案に対して、その内容が国際競争に耐えていかれる保障にはならないとの見地から、これに反対をいたしました。それに比べて、今回の政府案は、若干の前進した点が認められます。しかしながら、わが国が海運企業に対して強力な助成措置を講ずる必要があるということは、わが国の海運企業に対して国際競争に耐え得る強い力を与えるということであります。国際競争に耐えるとは、最近の国際海運収支の統計が示すように、積取比率が逐年低下している現状を改善し、わが国の国際収支の改善に寄与せしめるということであります。この海運業の再建整備に関する臨時措置法案及び利子補給法の改正案には、との点についての万全の備えがないのであります。すなわち、開銀利子等の支払い猶予のきびしい前提条件とされている海運企業の革命的な整備そのものは、国内だけの過当競争を抑制し、企業基盤の若干の強化には役立つであろうことは、容易に理解されるのでありますが、しかしながら、日本の海運を今日のごとくに至らしめた原因は、総理もすでに御承知のとおり、戦時補償が打ち切られたことにあるのであります。このために、建造資金の八割を他人資本に依存せざるを得ぬこととなり、わが国全産業の中で最悪の資本構成に追い込まれて、借金と利子の支払いに全神経を集中することを余儀なくされているのが実情であります。このような実情にある海運業に対し、強力な国家的助成案を講じ、借金と利子の支払い等に神経をすり減らすことなく、積極的な諸施策、すなわち、船舶の高性能化、航路の整備、集貨の合理化を行なって、国際競争に耐え得る企業体質になるよう努力することが必要であると考えるものであります。特に、米国のごとく、バイ・アメリカン政策を強化し、自国船主義を推進している国があることは、わが国海運業の発展の上で大きな障害となっているのであります。わが国の海運が、これらの障害を排除して健全な姿になるためには、今回の利子支払い猶予を中心とした政府提案の内容では不十分であり、次のような措置を講ずることが絶対に必要であります。
 第一には、速力十六ノット以下の定航貨物船、総トン数二万五千トン以下の油送船等は、すでに国際市場においてはその競争に耐えられない旧式船となっております。これをすみやかに政府買い上げによって解撤し、今後の計画造船は、これに見合う船腹の建造を審査の第一順位とし、その高性能化を進める必要があるのであります。
 第二には、日本海運の中核ともいうべき北米航路において、外国盟外船の翻り込みが行なわれ、この航路の安定をはなはだしく乱しており、被害は日本船が最も大きく受けているという事実に注目しなければならないのであります。これを排除するためには、強力な外交手段を講ずる必要があり、その措置が一日おくれれば、それだけわが国海運業の受ける被害が大きくなるのでありますから、直ちにこれに対する外交交渉が必要であります。
 第三には、米国は、ここ数年来、アメリカ商船法を改正して、自国の海運業に対する助成策を強化しつつあります。口に自由主義を唱え、デモクラシーをモットーとする米国政府が、シップ・アメリカン政策を推進して自国海運業の保護を強めつつあることは、現在の海運業が政府の行政指導等に依存することがいかに大きいかを示すものであり、同時に、日米友好経済提携を表看板としている米国が、わが国に対してかかる圧迫を加えていることは、まことに遺憾にたえないところであります。四面環海のわが国が海運業を失ったときにどのような事態を招くかを考えるならば、国をあげて真剣に取り上げなければならない、問題であり、さらにまた、貿易面の対米依存度の大きいわが国が外貨収支の面からいかに不利な条件に立たされているかを考えれば、シップ・アメリカン運動に対して、断固たる態度を表明し、外交交渉を開始することは、きわめて急を要するのであります。
 右三点のうち、低性能船の解撤については、必ずしも解撤することが目的ではなく、他に有効な方法、たとえば、すでに賠償の義務づけられた諸国に対して、現金賠償にかえて支払うことも一つの方法と思うのであります。以上のことは、日本の外航海運に対して、本案と同時に施策すべき基本的な要点であり、これらの施策が並行してとられないならば、わが国海運業の立ち直りは期待できず、再度の資金援助が必要となり、財政的負担を大きくすることとなるであろうと考えるものであります。総理の御所見を承りたいと存じます。
 次に、運輸大臣にお伺いをいたします。
 第一に、この法案が成立したならば、その実施の前提条件となっている企業整備について、すでに業界ではオペレーターを中心として企業合同の準備が進められておりますが、現在の様子では金融機関の系列別に合同が進むことになりそうであります。この場合、大手の金融機関につながらない、また特定のオペレーターにもつながらないオーナーは、一体どのような形で合同するのか。何らの指針も示されていないのは、このようなオーナーは自滅せよということなのか。大臣の見解を承りたいと思います。
 第二に、内航の海運対策についてであります。今や内航海運は、三十六年度より戦標船を解撤して新造する計画が遅々として進まず、低性能の旧式船のために、運航回数、積載量ともに非能率であることに加えて、極度の運賃安値のために倒産するものが相次いでおります。年々貨物輸送量が増加して、内航海運の国内輸送に果たす役割の重要性はますます大きくなりつつある現在、すみやかに内航海運対策を進めるべきだと思いますが、御所信を承りたいと存じます。
 内航対策の一つである船質改善のための戦標船のスクラップ・アンド。ビルドに要する本年度予算に関して大蔵大臣にお伺いしたいと存じます。すなわち、三十八年度運輸省予算の戦標船対策のための要求額は、たしか百十四億二千万円であったものが、切って捨てるのを得意とされる大蔵省当局によって六十九低円に削減され、しかも老朽船対策、標準型油送船対策等に対しては全く顧みられていない理由は何ゆえであるか、この予算審議にあたってどのような内航船海運に対する見解から削減されたのか、その理由を大蔵大臣から承りたいと存じます。
 さらに重要な点は、企業整備に伴って当然問題となる雇用問題についてであります。働く者にとっては、雇用の安定こそ、自分の属する企業の成長繁栄に協力する熱情を持つための最も大切な条件であります。「企業は人なり」といわれますが、真に海運会社の再建を念願するならば、これに従事する働く者の生活と身分を保障し、総力をあげて再建の通を邁進せしめてこそ、真の政治と言い得ると思います。今回の企業合同に関連して、当然予想される海陸従業員の不安を一掃するため、いかなる行政指導をされようとしておられるのか、運輸大臣の明快な御答弁を得たいと思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 104315254X01119630227_020

発言者: 基政七

speaker_id: 9680

日付: 1963-02-27

院: 参議院

会議名: 本会議