本会議

1963-02-27 参議院 全67発言

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会議録情報#0
昭和三十八年二月二十七日(水曜日)
   午前十時十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十一号
  昭和三十八年二月二十七日
   午前十時開議
 第一 土地調整委員会委員長及び同
  委員会委員の任命に関する件
 第二 海運業の再建整備に関する臨
  時措置法案及び外航船舶建造融資
  利子補給及び損失補償法及び日本
  開発銀行に関する外航船舶建造融
  資利子補給臨時措置法の一部を改
  正する法律案(趣旨説明)
 第三 国立大学総長の任免、給与等
  の特例に関する法律案(趣旨説
  明)
 第四 緊急質問の件
 第五 航空業務に関する日本国とア
  ラブ連合共和国との間の協定の締
  結について承認を求めるの件
 第六 航空業務に関する日本国政府
  とクウェイト政府との間の協定の
  締結について承認を求めるの件
 第七 地方公共団体の長の選挙にお
  いて使用する選挙運動用ポスター
  の特例に関する法律案(衆議院提
  出)
 第八 狩猟法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 土地調整委員会委員
  長及び同委員会委員の任命に関す
  る件
 一、日程第二 海運業の再建整備に
  関する臨時措置法案及び外航船舶
  建造融資利子補給及び損失補償法
  及び日本開発銀行に関する外航船
  舶建造融資利子補給臨時措置法の
  一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 一、日程第三 国立大学総長の任
  免、給与等の特例に関する法律案
  (趣旨説明)
 一、日程第四 緊急質問の件
 一、日程第五 航空業務に関する日
  本国とアラブ連合共和国との間の
  協定の締結について承認を求める
  の件
 一、日程第六 航空業務に関する日
  本国政府とクウェイト政府との間
  の協定の締結について承認を求め
  るの件
 一、日程第七 地方公共団体の長の
  選挙において使用する選挙運動用
  ポスターの特例に関する法律案
 一、日程第八 狩猟法の一部を改正
  する法律案
 一、一般職の職員の給与に関する法
  律等の一部を改正する法律案
 一、特別職の職員の給与に関する法
  律の一部を改正する法律案
 一、防衛庁職員給与法の一部を改正
  する法律案
 一、裁判官の報酬等に関する法律の
  一部を改正する法律案
 一、検察官の俸給等に関する法律の
  一部を改正する法律案
 一、国会議員の歳費、旅費及び手当
  等に関する法律等の一部を改正す
  る法律案
    ━━━━━━━━━━━━━
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重宗雄三#1
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     —————・—————
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重宗雄三#2
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。大倉精一君から二十二日間、村上義一君から十九日間、いずれも病気のため、請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#3
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     —————・—————
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重宗雄三#4
○議長(重宗雄三君) 日程第一、土地調整委員会委員長及び岡委員会委員の任命に関する件を議題といたします。
 内閣から、土地調整委員会設置法第七条第一項の規定により、黒河内透君を土地調整委員会委員長に、谷口寛君を同委員会委員に任命することについて、本院の同点を求めて参りました。
 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
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重宗雄三#5
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって同意することに決しました。
     —————・—————
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重宗雄三#6
○議長(重宗雄三君) 日程第二、海運業の再建整備に関する臨時措置法案及び外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)、
 両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。綾部運輸大臣。
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇、拍
  手〕
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綾部健太郎#7
○国務大臣(綾部健太郎君) 海運業の再建整備に関する臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 海運業は、基幹産業として、わが国経済の発展にとってきわめて重要な役割をになうものでありますが、諸般の事情により多額の借入金及び償却不足を有し、その企業内容は極度に悪化しており、また、海運企業間には過当競争の傾向が見られ、現状のままでは、発展途上にある国民経済の要請に応じて外航船舶の増強をはかることは、きわめて困難な事情にあります。したがって、この際、政府としては、海運業が将来にわたり国民経済におけるその使命を遂行し得るよう、その再建整備をはかることがぜひとも必要でありますので、これが対策につきまして、昨年の海運造船合理化審議会、その他各界の意見を参酌いたしまして、この法案を提出いたした次第であります。
 この法案の内容は、海運企業が一定の集約を行ない、五カ年以内に減価償却の不足を解消することが確実と認められ、かつ、市中金融機関の協力が得られるものに対し、日本開発銀行の利子を、五カ年間猶予することを骨子とするものでありまして、海運業界に対しては、徹底した合理化努力を要請するものであり、政府、金融機関、海運企業が三者一体となって、海運業の再建整備を促進することを考えているものであります。
 以上が、この法案の趣旨でございます。
 次に、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船軸建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の経済及び貿易の拡大に即応して、今後とも外航船舶の増強をはかることが必要でありますが、海運企業の現状から、船舶の建造資金の大部分は日本開発銀行及び市中金融機関からの融資によらざるを得ないのであります。しかるにこれらの借入金の利率は、国際的に見て割高でありまして、わが国海運が国際競争力に劣る大きな要因となっているのであります。
 このような事情にかんがみ、この際政府といたしましては、海運造船合理化審議会その他各界の意見を参酌して、新船建造のための借入金に対する海運企業の利子負担を、日本開発銀行からの融資については年四分、市中金融機関からの融資については年六分となるように利子補給率を引き上げるとともに、利子補給期間を日本開発銀行については十年、市中金融機関については七年に延長することにいたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。拍手
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重宗雄三#8
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨税明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中村順造君。
  〔中村順造君登壇、拍手〕
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中村順造#9
○中村順造君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました海運関係二法案に関しまして、総理並びに関係大臣に質問をいたすものであります。
 本案は、ただいまの趣旨説明によりますと、海運業を基幹産業と認め、極度に悪化した企業内容と企業間の過当競争を是正し、企業再建のため、条件として海運企業に一定の集約併合を行なわしめ、五カ年間日本開発銀行の利子を猶予するものであり、さらにまた、外航船舶の建造に要する借入金の利率を引き下げ、利子補給期間を延長することを内容としたものであります。
 今日、わが国海運業は、戦後計画造船を中心とした船腹増強によりまして、戦前保有量をこえる七百九十五万総トンを有する世界第五位の海運国に復活するに至りました。しかし、船腹増強即海運企業の発展を意味するものではなく、問題は、むしろ敗戦後、連合国の占領政策によって、日本海運企業が五千億円に上る喪失船舶の補償を打ち切られた上に、脆弱な経営基盤に立ち、造船疑獄まで引き起こしながら無理に船腹増強を行ない、背伸びした海運政策がとられたことであります。さらに加えて、国際的な海運動向の変化、新興国、特に東南アジア諸国の自国船主義の強化、便宜置籍船及び専用船の増加、アメリカのドル防衛によるシップ・アメリカン政策の強行などにより、日本海運企業は依然として弱体のまま低迷を続けておる現状でありますが、その実体は、池田総理の言われる高度経済成長の年、昭和三十六年度において、外航船舶の運賃収支は四億五千六百万ドルという空前の支払い超過を来たし、また昭和三十六年度末の資本構成におきましては、総資本五千一百六十九億円のうち、他人資本四千八十三億円で、償却不足累計八百二十九億円、約定延滞額八百三十億円という劣悪な条件下にあるのが日本海運企業の現状であります。
 こうした日本海運企業の現状を前提にいたしまして、まず池田総理にお尋ねをいたしますが、日本の海運企業が、劣悪な資本構成と高金利の条件下で、経営規模と運営の適正化をはかる意図で、利子の猶予と金融機関中心主義の企業集約を行ない、日本海運企業の再建をはかろうとしておりますが、むしろ問題は、こうした単なる国内対策より、海運を根本的にささえる貿易構造の基本的欠陥を改めなければならないのであります。特に、海運と密接な関係にある日本の貿易が、外交的に最も弱い立場にある対アメリカ貿易に依存することがきわめて高いところに、わが国海運不況の原因があるのでありまして、しかも常に輸入制限に脅かされるような一方的貿易構造を転換して、バランスのとれた貿易構造とするため、ココム制限を撤廃し、ソ連、中共等、対共産圏貿易及びアジア・アフリカ圏貿易の積極的な発展をはかるお考えがあるかどうか、御所見を承りたいと存じます。
 さらにまた、昨年七月、政府機関である運輸省が出した海運白書には、「日本海運を外から妨げようとする要因は、昭和三十六年を通じて漸次その性格をはっきりと現わしてきた。その一つは、伝統的な海運企業活動の自由に対する米国政府の干渉であり、他の一つは極端な自国貨自国船主義の台頭である」、このように指摘をしておりますが、このことは、特に北米航路等におけるアメリカ船の圧迫、日本船の積み取り比率が昭和三十四年四九%、昭和三十五年五五%、昭和三十六年三九%と低下をしたことは、バイ・アメリカン、シップ・アメリカン政策から発したものでありまして、海運における平等互恵の原則や海洋自由の原則を侵害しているボナー法の改正にも関係のあることを、盟外船の跳梁とともに強く指摘をしております。しかもその対策の急を告げており、欧州におきましては十カ国の運輸担当閣僚は、昭和三十七年三月と五月の二回にわたりましてロンドンに会合して、米国政府の措置に対する欧州海運国としての対策を協議していることも報告しております。この際、政府は、末端の政府機関が指摘するまでもなく、日本海運を積極的に再建するため、対米従属的な外交を捨てて、自主独立の積極的な外交を推進すると同時に、最近、綿製品規制等に見られるような強引なアメリカの一方的政策を改める意味からも、是は是、非は非として、経済外交をあらゆる面で強化するお考えがあるかどうか。本日は外務大臣が欠席しておりますので、あえて政府の方針について総理の御所見を承りたいと存じます。
 次に大蔵大臣にお尋ねいたしますが、本案の集約併合が、金融機関中心に進められ、大体六つのオペレーター中心に集約化される傾向にありますが、この場合、オペレーターと、オーナーの関係、弱小オーナーの救済等の深刻な問題をいかに処理するのか。さらにまた、金融機関中心の集約化は、他人資本に依存する海運業界の現状から、本案は、海運企業の再建というより、むしろ債権の保全と金融系列産業の拡大にまで発展をし、過当競争排除の目的による集約化は、逆に六つの熾烈な競争に発展するといった、全く目的に反した結果を招来することが考えられますが、金融系列産業との関連による海運企業集約化について、その御見解を承りたいと存じます。
 続いて通産大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど海運白書について申し上げましたように、日本海運企業発展を阻害する二つの要因の一つである自国貨自国船主義についてであります。今や諸外国は、程度に大小の差はありますが、国際収支の改善、自国の貿易保護、新興諸国のナショナリズム、特にアメリカのドル防衛等の理由から、政府みずからの自国貨自国船積みを強制する傾向は、海運業界の多年にわたる公正にして自由な民間企業活動に対し政府の強権的介入であり、その一例は、昭和三十六年十月、富士製鉄、日産自動車の輸出入銀行借款物資について、輸出入銀行は、その船積み運賃のうち、米船によって輸送するものについてのみ融資を行なう方針を出しました。その後におきましても、このほか東京電力、プリンス自動車、関西電力、第十二次綿花借款等、いずれも米国は、あらゆる手段を尽くして自国船優先を促進しようとしており、このようなことは、本来自由であるはずの国際海運活動を政治権力の介入によって阻害するものであります。また、このような現実に直面しながら、なおかつ、日本は、その上、便宜置籍船や専用船の大最出現により、自由な海運市場はますます圧迫され、わが国海運企業は根底からその地位をゆすぶられつつある現状であります。自国貨自国船主義並びに便宜置籍船及び専用船について、日本は早急にその対策を講ずる必要があると考えられますが、日本にその用意があるかどうか。通産大臣のお答えを願います。
 最後に、若干の問題点について、具体的に運輸大臣にお尋ねをいたします。わが国海運企業の現状は、単なる利子のたな上げや企業の集約合併のみで解決するような、なまやさしい性質のものではありません。すでに私は、総理、大蔵、通産の各大臣にお尋ねをいたしましたように、内に貿易構造の転換、外に強力な自主独立的な経済外交を推進すると同時に、日本海運企業特有の船質の改善、適正な造船計画、さらには、海運同盟、運賃同盟の抜本的な対策の樹立、また、海運市況安定のための運航調整と、航路別、企業別の調整、あるいは計画造船の結果生じたオペレーターとオーナーとの関係における系列排除の問題、内航船と外航船との関係、港湾対策、海運労働者の雇用対策など、運輸大臣の所管にかかわる問題で早急に解決を迫られておるものは山積をしております。これらの問題は、いずれあらためて委員会において審議するといたしましても、大臣は、去る十九日、衆議院における本案質疑の際、わが党の久保三郎君ほかの質問に答えられまして、海運企業の集約化、盟外船の問題、またシップ・アメリカン、バイ・アメリカン政策に対する努力を含めて、きわめて楽観的な答弁をされ、特に、アメリカにおける海洋自由の原則侵犯の思想が緩和され、順次好転しつつあると言われました。その表現においても、「外交交渉は、すぐ、できものの皮をはぐようなわけにはいきません」と、全くわけのわからない前提はあるにいたしましても、幾分の効果をあげたとまで言明されておりますが、一体いかなる効果をこの面においてあげられましたのか、具体的にお示しを願いたいと存じます。
 さらにまた、わが国海運の発展を阻害する運賃同盟に対する干渉、自国貨自国船主義の排除は、単なる形式的外交交渉では、わが国海運の権益を守ることは不可能であります。政府はこの際、よろしく防衛的対策として海上運送法を改正すべしとの意見に対し、政府もまた、このことの必要性を認めながら、経済協力機構加盟問題の経緯などから、これを見合わせた事実に対しまして、大臣は、それはやはり、「それを出すことによっていろいろな各国の反感その他がありますので」、という、これまた答弁をされておるのであります。対米海運問題一つをとりましても、シップ・アメリカンに見るボナー法、バイ・アメリカンに見るウェーバー条項などのある現在、日本海運企業再建という重大責任のある主管大臣たる運輸大臣のこの卑屈なものの考え方が、外に軟弱外交、屈辱外交となり、わが国海運企業再建はまさに百年河清を待つのたとえのとおりで、この際は、断固として厳然たる自主独立の態度を堅持し、改めるべきは改め、もって海洋自由の原則に立つわが国海運の権益を守るべきだと思いますが、この際、運輸大臣の明確な御答弁を願います。
 以上、本案をめぐる基本的問題点につきまして若干の質問をいたしましたが、結論的に、本案は、わが国海運企業再建整備にはまことにほど遠く、むしろ五年後さらに起こるであろう混乱を予想し、最後に、本案の強行によりまして、海運資本家は初年度百十八億円の利子たな上げ資金を獲得し得ることになりますので、きわめて現実離れのした集約合併を促進するでありましょうが、結果的に、海運関係労働者、特に陸上勤務者に大きな犠牲をしいることは、火を見るよりも明らかであります。これに対する対策は何ら本案に明示されていないのでありまして、きわめて冷酷非情、片手落ちの法案であることを指摘いたしまして、との点を含めて、あらためて委員会等で具体的に審議をすることといたしまして、私の質問を終わります。拍手
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#10
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 日本の海運業の不振の原因はいろいろございますが、そのおもなるものは、資本構成の劣悪、経営規模の不適正、また、高金利等が、その不振の重大なる原因と思うのであります。したがいまして、今回は、これらの点につきまして抜本的な措置を講じようとしておるのであります。
 また御質問に、貿易構造の点、また輸出入の日本船使用の比率等につきましてお話がございましたが、貿易構造は、米国に対しましては、大体従来よりも少し減って、二八%程度になっております。しこうして東南、西アジアに対しましては三四、五%で、よほどアメリカよりもふえて参っております。ヨーロッパにつきましても一七%、そうしてお話の共産圏との貿易も漸次拡大してきておるのでございます。私は、貿易構造につきまして、お話のような御心配はなくて、だんだん改善せられつつあることをお答え申し上げるのであります。
 なお、日本船使用の比率が三十六年度に四〇%を切ったということは、三十六年度のあの過剰な輸入、特殊的な原因でございまして、今後は、少なくとも日本船を五割、行く行くは六割くらい使うように、船舶の増強をはかっていきたいと考えておるのであります。
 なお、シップ・アメリカンにつきましての御質問でございまするが、これは海洋自由、平等互恵の原則に反しますので、われわれは、機会あるごとにアメリカに反省を促しております。したがいまして、アメリカの国内におきましては、シップ・アメリカンの世論が非常に強いのでありますが、だんだんわれわれの考え方に沿ってきつつあることを、ことに申し上げたいと思います。拍手
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
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田中角榮#11
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。
 私に対する御質問は、第一点は、海運業界は金融機関の系列を軸にして再編成が行なわれております結果、少数の大企業間の競争が、より激化をしないかというのが一点であり、第二は、系列外の弱小オーナーに対する助成はどうかという点でございます。
 第一点に対してまず申し上げますと、御承知のとおり、政府は沈滞をいたしております日本の海運業界の拡大強化をねらっておるのでございまして、国際競争につきましても、大規模に集約をせられることによって国際競争力が培養せられることはもちろん、過当競争の弊を除去したいというねらいもあるわけでございます。現在非常に業者数が多いということによって、国内においても、また外航においても、過当競争の弊が現われておりますので、今度の集約再編成によりまして、それらの弊害を除くことも、おもな目的といたしておるのでございますから、これが再編の結果、系列化によって、より過当競争が激化をせられるということはないと判断をいたしておりますし、また、ないように十分配慮をしなければならないというふうに考えております。金融系列から一方的な再編が行なわれておるというような御指摘でございましたが、これらの問題に対しては、業界、金融機関にも、十分慎重な配慮を願っておるところでありまして、業界の自主的な話し合いを進めるということを主にしておるわけでございます。これが集約化達成の暁には、国際競争力がつくことはもちろん、秩序ある発展が期待できると考えておるわけでございます。
 第二点の弱小オーナーの問題でございますが、銀行系列とは関係なしに、御承知のとおり、長期固定的な傭船関係を結ぶ等によりまして、集約グループに参加することができるわけでございまして、銀行系列外であるからといいまして、助成の対象にしないというようなことではないわけでございます。今般、政府が海運企業の再編に対して抜本的な施策を行なって参りますのも、ただいまの御質問のような点を解決するために行なうことであることを、申し添えておきたいと存じます。拍手
  〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
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福田一#12
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 自国貨自国船主義の問題につきましては、総理から御答弁がございましたので、そのとおり私も考えておる次第でございます。便宜置籍船の問題につきましては、日本海運に、よくこれに抗し得るような、何か措置を考えてやらなければなりません。力をつけなければなりません。そういう意味において努力をいたしておりましたし、今後もまた努力をいたさねばならないと考えております。
 なお、この際申し上げますことは、国内の業界のいわゆる専用船の問題であります。それは、一つは鉄鉱石、油、石炭等がございますが、鉄鉱石の場合におきましては、これはすべてこの海運関係の会社が、その船を持ってこれを処理するようにいたしておりますので、さしたる弊害は出ておりません。タンカーの問題につきましても、まだそれほど影響はございませんが、これは今後ふえる余地がありますので、これは十分われわれとして注意をして処置をして参りたいと思います。石炭の問題について、専用船の問題がありますが、これは従来それを取り扱ったものにやらしておるというような実情がございまして、さほど海運に影響を与えるとは考えておらないわけでございます。拍手
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇、
  拍手〕
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綾部健太郎#13
○国務大臣(綾部健太郎君) お答え申します。
 海運界の現状は、中村議員の御指摘のとおりに私ども考えております。去る衆議院での質問に対して、私が楽観的な答弁をしたと言いますが、私は楽観も悲観もいたしません。むしろ非常に心配しておるのであります。そとで、海運自由の原則に修正を加える海上運送法の改正を行なうことは、いろいろな意味におきまして、たとえば東南アジア諸国等の自国船優先主義、それを激化する、また西欧諸国を刺激しては、わが国に対する差別待遇をますますひどくせしむるようなおそれがあるので、終局的には、わが国の海運及び国際貿易の上にマイナスの効果のほうが多いと考えますので、政府といたしましては、本法の改正については慎重なる態度をもって臨みたいと考えております。
 また、この海運合理化が進むというのに、海上労務者並びに陸上労務者に対する考え方が述べられていないと申されましたが、海上労務者につきましては、この強化された海運計画のために計画造船が漸次進んでいきますからして、この労務者に対しましては、さしたる問題は起こらないと私は考えております。陸上労務者につきましては、その配置転換その他によりまして、もし余剰の人員ができるならば、海運についての基本問題の調査、その他調査機関にその優秀なる陸上労務者を転用いたしたりしまして、この労務者に対する対策については万遺憾なきを期したいと考えております。拍手
    —————————————
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重宗雄三#14
○議長(重宗雄三君) 加賀山之雄君。
  〔加賀山之雄君登壇、拍手〕
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加賀山之雄#15
○加賀山之雄君 私は、第二院クラブを代表いたしまして、政府からただいま趣旨説明のありました「海運業の再建整備に関する臨時措置法案」及び「外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案」に関しまして、総理大臣並びに関係大臣に若干の質問を行ない、その御所信をお伺いいたしたいと存じます。
 海運は、わが国の経済にとって最も重要な基幹産業でありまして、その消長はわが経済の隆替に重大な影響を及ぼすものであることは申すまでもございません。四面環海、国が必要といたしまする原材料や生活必需物資の輸入も、また、わが国において生産される製品の輸出も、そのほとんどすべてが海運によらねばならぬのでございまして、他にこれにかわる手段はあり得ない今日、もし日本に海運がなかったら、あるいはそれがはなはだ微力であったなら、はたしてどういうことになるだろうか。特に、貿易の自由化、そうして、より一そう熾烈化が予想されますところの国際貿易競争を思いますときに、われわれは、この問題に思い至らざるを得ないのでございます。その日本海運、それは、かつては六百余万総トンの商船隊を擁しまして、世界第三の勢力を誇ったのでありましたが、今や船腹の量だけは戦前をしのぐところまで、ようやくこぎつけたとは言いながら、すでに長い期間にわたりましていまだかつて見ない悲境に落ち込んでいるのでございます。現在不況にあえぐ産業と申しますれば、まず石炭、それから硫安工業等があげられまして、その他二、三にとどまらないと思うのでございますが、政府におかれましては、これら産業に対しまして、引き続きそれぞれに対応する方策を立て、鋭意努力を重ねられていることは、周知のことであり、われわれ国民といたしましては、ひとしく一日も早く実効のあげられることを願っているところでございます。
 ところで、わが海運事業もひとしく不況産業の名のもとに論議されて参ったものでございますが、私はこの問題も、同じような理念あるいは次元において論ずべきものではない。それ以上の重要性、あるいは絶対性をもって配慮し、対処されなければならぬ問題である、かように考えるものでございます。それは、先ほど私が述べましたわが国の置かれました地理的、経済的立場に基づくものであります。池田内閣総理大臣は、この海運というものに対して、はたしていかなる観念をお持ちであるか、基本的なお考え方を、この際、まず承りたいと存じます。
 今回の法律案の提出は、その重要性にかんがみまして、腐心してこられたいわば結論ともいうべきもの、個々の企業の救済ではなくて、全体としての日本海運を取り上げて、これを再建するきめ手として用意されたものと思うのでありまして、そこには、今までの観念からいたしますと、相当思い切った点もあるのでありますが、それだけに、実施にあたり、その実効を確保するためには容易ならぬ困難も予測されるのでございまして、企業者が最善を尽くすべきはもちろん、政府はこれに対し、弾力性とあたたかい気持をもって、援助を、そうして他の産業、金融各方面、国をあげての協力を必要とするのであります。
 そこで、私は、総理大臣並びに運輸大臣に対し、まず海運政策に関する御所見を伺いたい。戦後、新興国家群の誕生を初めといたしまして、欧州においてはEECの進展等、世界の産業、経済ないし貿易構造は刻々と変貌して参ってきております。世界の海運事情もこれに伴って変化を来たしつつあり、また、それぞれの国家における海運政策も、これに応じて変転していくはずでございます。その中にあって、一体わが国の海運はどこにいくのか。海運に関しては、昭和三十五年十二月閣議決定による国民所得倍増計画第二章に、十年後の外航船腹の所要量千三百三十五万総トンと想定、これに要する計画期間中の建造量は、劣悪船の解体量百二十六万総トンと見込みまして、九百七十万総トン程度と計算されております。そうして、それ以外にはどこにも別に長期的あるいは総合的な海運政策は見当たらないのであります。邦貨積み取り率から逆算したのではないかと思われるこれらの数字は、なるほど算術的には正しいかもしれませんが、はたして世界経済の動き、あるいはわが国の経済の伸び、あるいは世界の船腹量、特に主要海運国の動向など、複雑な要素を厳密に想定した上での計画であると申せましょうか。しかも、今日の実情は、この数字的計画すら年々そのとおりには行っておらないのであります。いうならば、計画造船とは名のみで、単に財政計画の一端にすぎない、肝心の運輸省の海運政策というものがどこにも見当たらない、さような気持がするわけであります。運輸大臣は、この先、日本海運をどこへ、どのように持っていかれるお考えでございますか。海運政策の一端をお聞かせ願いたいと存じます。あわせて、総理大臣からも、この点に関し、御答弁がいただければ仕合わせであります。
 次に、わが国の海運事業が今日の悲境に陥りました最大の原因は、何と申しましても、戦時中の壊滅的打撃と、戦後の再建にあたって完全に国家補償から見離されたことであります。すなわち、昭和十六年末には船腹六百万総トン、それに戦争中三百万総トン以上の船舶が新造されましたが、これらの大部分は海のもくずと化し、終戦時に残ったものはわずかに百三十万総トンの貧弱船という哀れな状態でありました。急遽、商船隊再建に乗り出した海運界も、船腹拡充のための資金はもっぱら外部からの借入金に依存するほかに、すべがなく、しかも、その金利は国際水準からは遠く割高であるという悪条件が重なり、減価償却も思うにまかせず、債務は次第に累積して今日の不況に直面するに至ったのであります。これに反し、戦後世界の海運国といわれる国は、アメリカ、イギリス、イタリア、フランス、オランダ、スエーデン等を初めとして、なべて海運の戦時補償を実施して、その再建に力を注ぐほか、建造の補助、税制、財政上あらゆる優遇措置を講じ、アメリカ等においてすら運航補助までを実施しているのが現状であります。これに対しわが国の海運に対する政府の助成は、きわめて微温的であり、戦前における助成策にも及ばない。たとえば、戦前海運に対する各種助成が、一般会計歳出予算の〇・七%から一・二%を占めておった時代があり、また、日本興業銀行の船舶建造融資の利子が昭和十二年度以降は三分七厘という低利であったことなどから考えてみましても、歴然たるものがございます。大蔵大臣は、これらの事情をよく勘案されて決断を下されたと思うのでありますが、今回の措置をもって、五年後、七年後、十年後、あるいは二十年後にこの法案の所期の目的が達せられ、必ず日本海運の再建が成就し、海運の基盤が確立するという確信がおありであるかどうか。大蔵、運輸両大臣の所信を伺いたいと思います。
 次に、日本海運再建の前途に横たわる他の大きな障害とその除去方策についてであります。その第一は、同僚中村議員も述べられましたが、アメリカのドル防衛措置から依然として強力に推し進められているシップ・アメリカンの問題であります。わが国の輸出入貿易の三〇%は、総理の言によれば、ただいまは二八%ということでございますが、対米関係に依存しておりますため、わが海運業にとりまして、との問題は特に重大な関係を持つことは当然であります。第二には、東南アジア諸国等における海運政策の動きであります。これらの国々は一様に自国貨自国船政策を強調して参っており、これまた無視し得ない趨勢にあります。さらには、日本−北米間の定期航路において盟外船の跳梁が最近において特に顕著となり、昭和三十五年度同盟船に対する盟外船の積高比率五%程度のものが、三十六年の下半期には急激に三〇%となり、その隻数、航海数、積み高等飛躍的な上昇を続けている現状でございます。アメリカにおけるアンチトラストの理念が牢固たるものがあることは承知いたしておりますが、かくも海運市場が乱されては、せっかくのわが国海運の再建に一大支障を生ずるのみでなく、ひいてはわが国の輸出貿易にも影響するところがあるのではないかと考え、憂慮にたえないところであります。政府はすみやかに、国内的には海上運送法の改正と立法措置をとり、あるいは国際的には、日米経済貿易懇談会の機会を利用する等、あらゆる機会に交渉をもって、適切な自衛措置を講ずるべきでありますが、運輸大臣はこの問題について先ほど消極的な御見解がございましたが、さらにこの点についてお考えを伺いたい。また、運輸大臣がこの経済貿易懇談会には御出席になったことは一度もないようでございますが、一体この問題について外務大臣等とどんな協議をしておられるか、承りたいと思います。
 政府関係の物資やわが国からの賠償、経済援助物資すら思うにまかせぬとあっては、海洋自由の原則は正統理論であることは認めますが、どん底にある、今窮迫のどん底にあるわが国海運を前にして、漫然旧套を墨守することは、時勢に合致しないばかりでなく、いたずらに孤高を守るのみという感が深いのでありますが、この点について運輸大臣の御所見と対策をお示し願いたいと思うのであります。
 最後に、法案には直接表われないところでありますが、本法律による措置が造船業界にはいかなる影響を及ぼすものであるかどうかという点でありますが、わが国の造船界は、戦前よりの優れた技術と経験を基として、輸出産業としてもわが国の経済に大きい貢献をして参っておることは周知の事実であります。その造船界は、英仏独等造船業界不況のあおりを受けて、今や相当受け身の立場にあり、国内的には、第十八次計画造船のおくれ、それに引き続く第十九次計画造船の見通し難、自己資金船建造の減少等、その造船能力の大半を遊休の状態に置いている実情であります、一方、世界海運の趨勢は、次第に大型化、専用船化の傾向を強くして参っており、わが国造船業界はこれに即応して参らなければならぬと思うのであります。そこで、今度の措置によって、造船界全般、及び個々の企業としてはいかなる影響を受け、これにいかに対応すべきであるか、通産大臣にお考えがあればお聞かせ願いたい。また、海運と造船との相関関係において、由来好況時には注文が輻湊し、景気調整期等においては船台が遊ぶということになり、その結果は船価が割高となることは、従来の例に見られるところでありますが、計画造船を単に財政計画なり均分計画としないで、今日のような時期にその計画をふくらまし、あるいは戦標船、老朽船等の代替建造、あるいは高船価船等のいわゆる不経済船の改装等を集中的に行なうことは、財政資金の効率的運用ともなり、関連産業等をも含めて景気調整の機能を果たすことともなると思うのでありますが、運輸、通産、大蔵各大臣の御所見を承りたいと思います。
 要するに、今回画期的な法律案並びに予算案を、この問題解決のための最後的手段として用意されたことに対して、私は満腔の賛意を表するものでありますが、整備計画の策定、海運企業整備計画審議会の審査、運輸、大蔵両省の協議等による同案の確定、合併、そして合併後の実際の運営、数えきたると、きわめて短期間に実効をあげることはきわめて困難が伴うものと予想されるのでありまして、審議会の構成とその任務等もきわめて重要な意義を有するものと考えられます。もちろん、個々の企業においては必死の立場で最善の努力が傾注されるのでありましょうが、それらの努力を無にしないためにも、日本海運を真にあるべき姿にするためにも、政府、特にその衝に当たる運輸大臣は、固い信念のもとに、強い気魄をもってこの大事業に当たられることを切に望みまして、質問を終わります。拍手
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#16
○国務大臣(池田勇人君) 日本海運に対する基本的考え方につきましての御質問でございますが、日本経済が日本の海運にたよっておることは、戦前戦後を問わず、同様でございます。ことに戦前におきましては、貿易収支の赤字をこの海運収入で補てんしておったことは、周知の事実でございます。しかるところ、戦後におきましては、逆に、貿易収支を助けるというのでなくて、もう海運収入が非常に減って赤字であることは、われわれも常に心配をしておるところであります。したがいまして、今回の措置によって海運企業を適正化する、こういうねらいで御審議を願っておるのであります。今後わが国の所得倍増計画によりまして、昭和四十五年におきましては、輸出入とも百億ドルをこえる計画であるのであります。したがいまして、一応千三百万トンという計画をしておるのでございますが、この千三百万トンは数字だけでございまして、船の質あるいは型等々、改善すべき点が多々あると思います。私は、こういう点に心を配りまして、りっぱな経営規模の、強化した海運業を打ち立てたい、こういう考えであるのであります。ことに、ただいまは造船業に対しての御質問がございましたが、お話しのとおり、造船業は今、量においても、また技術におきましても、世界第一でございます。私は、この造船業が、単に大企業というだけでなしに、中小企業にも非常につながりの多い産業でございますので、今後海運会社の増強と相待って、造船業にも非常にいい影響があると思うのであります。今まで、日本の造船業が造船輸出に非常に力を入れておりました。これはどちらかといえば、日本の海運業、海運会社が弱体であるために、造船が思うにまかせなかったのであります。私は、海運会社の増強によりまして、日本船舶の造船も非常にふえてくるよう努力いたしたいと考え、造船業と海運業を、昔の日本以上のものに返したいという基本方針で進んで参りたいと思います。拍手
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇、
  拍手〕
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綾部健太郎#17
○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。米国に対するシップ・アメリカンの交渉が非常に消極的じゃないかという御質問でございますが、私は機会あるごとに、そのことを強く外務省を通じて要求いたしておるのでございます。たとえば、昨年の日米経済会議におきまして、また、ことしの経済会議におきましても、私は出席いたしませんが、外務大臣その他を通じて、強力に要請しております。また、昨年末だったと思いますが、ホッジス商務長官が来たときにも、私は直接そのことを申し出ておるのであります。私は外交上の効果というものは、なかなか一朝一夕ではいかぬと思いますが、漸次好転したように私は思っておるのでございます。と申しますのは、今までのように強い反対が、若干緩和せられたやに感じておりまして、なお執拗にアメリカに対しては要求する所存でございます。
 それから、今回の海運の再建措置によりまして、経営の基盤が非常に強化されますので、この意味においては、国際競争力も著しく強化されることを私は期待しております。また、この集約された各グループの間では、従来より以上に盟外船に対抗するための協調体制を確立するよう、強力に指導いたして参りたいと思っております。
 次に、造船業に関連してどういうことかということにつきましては、ただいま総理がお話になったとおりであります。拍手
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
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田中角榮#18
○国務大臣(田中角榮君) 加賀山さんにお答えいたします。海運に対する基本的な考え方につきましては、総理大臣から詳しく申し述べられておりますから、大蔵省の考え方だけを申しますと、海運が戦後非常に困ったというのは、御承知のとおり戦時の損害が一番大きなところでございます。特に、戦前戦後を問わず、海運業に対しては、私企業という考え方だけではなく、政府が大きく助成等を行なっております。どうして海運だけ私企業としての観点でなくこれらの助成措置が行なわれておるかということは、私が申し上げるまでもなく、国際収支上の理由でございます。現在、国際収支が非常によくなっておりますイタリア等においては、貿易上の収入を増大するということはもちろんでございますが、観光及び海運収入というものに非常に重点を置いておりますために、国際収支が非常に好転をしておるということも事実でございます。これらに対しては、わが国における戦後の海運業に対してはいろいろ論のあるところでございますが、何分にも財政上の問題その他で今日に至ったわけでございます。しかし、いよいよ自由化を前にして、現在、昭和三十七年度でおおむね二億二、三千万ドル貿易外収支の赤字が計上せられるわけでございますが、海運収入は、三億ドルとなり、やがて八億ドルとなり、十億ドルとなるわけでございますから、これが日本の国際収支上にどのように重点的に考えられなければならないかということは、もう私が申し上げるまでもないのでございます。そういう意味において、今度の海運の再建に対する措置は、抜本的な措置を政府としては行なったものでございます。戦前におきましては興銀の利子が三分七厘であったものが、今日の改正の措置によりましても、開銀が四分であり、市中が六分である、戦前に比べてなおまだ手厚い保護というには差があるじゃないかというようなお考えの御発言でございますが、現行制度におきましても、開銀で一・五%、市中で一・九九%の利子補給を行なっておるわけでございます。しかし、いろいろ申し上げたような理由にも基づきまして、国際競争力の強化というだけではなく、国際収支上の理由も十分勘案をしまして、これに一%程度の利子補給を加算をいたしまして、開銀の二・五%、市中で三・一二五%という利子補給を考えたわけでございます。同時に、今まで作られたものに対する利子の猶予等もあわせて考えておるわけでございまして、これによって日本の海運企業の基盤整備は画期的な状態において行なわれるというふうな考えでございます。御承知のとおり、海運、肥料、石炭に対しては、答申よりも以上に大ばんぶるまいをしたという世評もあるのでございますから、いかに政府がこれらの問題に対して抜本的な施策を立てるような熱意を持っておるかを御理解賜わりたいと存じます。
 造船に対しても、先ほど申し上げたとおり、今までは輸出というものに対しては非常にウエートが置かれておりましたが、延べ払い等がだんだんと長くなってくるというような実情を考えるときに、いつ返ってくるかわからないような輸出造船というものにウェートを置くか、国内造船というものにウエートを置くかという問題に対しては、十分検討すべきでありまして、財政当局としましても国内造船の増大ということに対して意を用いておるのでございます。拍手
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重宗雄三#19
○議長(重宗雄三君) 基政七君。
  〔基政七君登壇、拍手〕
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基政七#20
○基政七君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題となりました海運関係二法案につきまして、御質問いたすものであります。
 この案は、前国会において廃案になりましたが、政府は、今回新たな構想をもって提案して参りました。わが党は、前回の政府案に対して、その内容が国際競争に耐えていかれる保障にはならないとの見地から、これに反対をいたしました。それに比べて、今回の政府案は、若干の前進した点が認められます。しかしながら、わが国が海運企業に対して強力な助成措置を講ずる必要があるということは、わが国の海運企業に対して国際競争に耐え得る強い力を与えるということであります。国際競争に耐えるとは、最近の国際海運収支の統計が示すように、積取比率が逐年低下している現状を改善し、わが国の国際収支の改善に寄与せしめるということであります。この海運業の再建整備に関する臨時措置法案及び利子補給法の改正案には、との点についての万全の備えがないのであります。すなわち、開銀利子等の支払い猶予のきびしい前提条件とされている海運企業の革命的な整備そのものは、国内だけの過当競争を抑制し、企業基盤の若干の強化には役立つであろうことは、容易に理解されるのでありますが、しかしながら、日本の海運を今日のごとくに至らしめた原因は、総理もすでに御承知のとおり、戦時補償が打ち切られたことにあるのであります。このために、建造資金の八割を他人資本に依存せざるを得ぬこととなり、わが国全産業の中で最悪の資本構成に追い込まれて、借金と利子の支払いに全神経を集中することを余儀なくされているのが実情であります。このような実情にある海運業に対し、強力な国家的助成案を講じ、借金と利子の支払い等に神経をすり減らすことなく、積極的な諸施策、すなわち、船舶の高性能化、航路の整備、集貨の合理化を行なって、国際競争に耐え得る企業体質になるよう努力することが必要であると考えるものであります。特に、米国のごとく、バイ・アメリカン政策を強化し、自国船主義を推進している国があることは、わが国海運業の発展の上で大きな障害となっているのであります。わが国の海運が、これらの障害を排除して健全な姿になるためには、今回の利子支払い猶予を中心とした政府提案の内容では不十分であり、次のような措置を講ずることが絶対に必要であります。
 第一には、速力十六ノット以下の定航貨物船、総トン数二万五千トン以下の油送船等は、すでに国際市場においてはその競争に耐えられない旧式船となっております。これをすみやかに政府買い上げによって解撤し、今後の計画造船は、これに見合う船腹の建造を審査の第一順位とし、その高性能化を進める必要があるのであります。
 第二には、日本海運の中核ともいうべき北米航路において、外国盟外船の翻り込みが行なわれ、この航路の安定をはなはだしく乱しており、被害は日本船が最も大きく受けているという事実に注目しなければならないのであります。これを排除するためには、強力な外交手段を講ずる必要があり、その措置が一日おくれれば、それだけわが国海運業の受ける被害が大きくなるのでありますから、直ちにこれに対する外交交渉が必要であります。
 第三には、米国は、ここ数年来、アメリカ商船法を改正して、自国の海運業に対する助成策を強化しつつあります。口に自由主義を唱え、デモクラシーをモットーとする米国政府が、シップ・アメリカン政策を推進して自国海運業の保護を強めつつあることは、現在の海運業が政府の行政指導等に依存することがいかに大きいかを示すものであり、同時に、日米友好経済提携を表看板としている米国が、わが国に対してかかる圧迫を加えていることは、まことに遺憾にたえないところであります。四面環海のわが国が海運業を失ったときにどのような事態を招くかを考えるならば、国をあげて真剣に取り上げなければならない、問題であり、さらにまた、貿易面の対米依存度の大きいわが国が外貨収支の面からいかに不利な条件に立たされているかを考えれば、シップ・アメリカン運動に対して、断固たる態度を表明し、外交交渉を開始することは、きわめて急を要するのであります。
 右三点のうち、低性能船の解撤については、必ずしも解撤することが目的ではなく、他に有効な方法、たとえば、すでに賠償の義務づけられた諸国に対して、現金賠償にかえて支払うことも一つの方法と思うのであります。以上のことは、日本の外航海運に対して、本案と同時に施策すべき基本的な要点であり、これらの施策が並行してとられないならば、わが国海運業の立ち直りは期待できず、再度の資金援助が必要となり、財政的負担を大きくすることとなるであろうと考えるものであります。総理の御所見を承りたいと存じます。
 次に、運輸大臣にお伺いをいたします。
 第一に、この法案が成立したならば、その実施の前提条件となっている企業整備について、すでに業界ではオペレーターを中心として企業合同の準備が進められておりますが、現在の様子では金融機関の系列別に合同が進むことになりそうであります。この場合、大手の金融機関につながらない、また特定のオペレーターにもつながらないオーナーは、一体どのような形で合同するのか。何らの指針も示されていないのは、このようなオーナーは自滅せよということなのか。大臣の見解を承りたいと思います。
 第二に、内航の海運対策についてであります。今や内航海運は、三十六年度より戦標船を解撤して新造する計画が遅々として進まず、低性能の旧式船のために、運航回数、積載量ともに非能率であることに加えて、極度の運賃安値のために倒産するものが相次いでおります。年々貨物輸送量が増加して、内航海運の国内輸送に果たす役割の重要性はますます大きくなりつつある現在、すみやかに内航海運対策を進めるべきだと思いますが、御所信を承りたいと存じます。
 内航対策の一つである船質改善のための戦標船のスクラップ・アンド。ビルドに要する本年度予算に関して大蔵大臣にお伺いしたいと存じます。すなわち、三十八年度運輸省予算の戦標船対策のための要求額は、たしか百十四億二千万円であったものが、切って捨てるのを得意とされる大蔵省当局によって六十九低円に削減され、しかも老朽船対策、標準型油送船対策等に対しては全く顧みられていない理由は何ゆえであるか、この予算審議にあたってどのような内航船海運に対する見解から削減されたのか、その理由を大蔵大臣から承りたいと存じます。
 さらに重要な点は、企業整備に伴って当然問題となる雇用問題についてであります。働く者にとっては、雇用の安定こそ、自分の属する企業の成長繁栄に協力する熱情を持つための最も大切な条件であります。「企業は人なり」といわれますが、真に海運会社の再建を念願するならば、これに従事する働く者の生活と身分を保障し、総力をあげて再建の通を邁進せしめてこそ、真の政治と言い得ると思います。今回の企業合同に関連して、当然予想される海陸従業員の不安を一掃するため、いかなる行政指導をされようとしておられるのか、運輸大臣の明快な御答弁を得たいと思います。
 以上で私の質問を終わります。拍手
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#21
○国務大臣(池田勇人君) 海運業の経営の合理化、近代化のためには、常に船舶の船型並びに船賃につきまして検討を加えていかなければならぬことは、お話のとおりでございます。したがいまして、いわゆる戦標船のスクラップ・アンド・ビルド、この方針も続けて参りますし、また、わが国が必要としない、またその必要度の低い船舶につきましては、私は海外への売却も考えている次第でございます。
 なお、北米航路の安定あるいはアウトサイダー、いわゆる職外船に対する対策につきまして、今後も考えなければなりませんが、それ以前においても、わが国の海運業を早急に合理化し、経営の健全化をはかる必要がありますので、今回御審議を願うことにいたしたのであります。拍手
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇、拍
  手〕
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綾部健太郎#22
○国務大臣(綾部健太郎君) お答え申します。企業合同整備にあたって、金融業者のベースに主としてよるのでないかというような御質問でございましたが、私は多大の債権を有する金融業者を無視するものではございませんが、整備統合は根本方針としてなるべく自主的にやりまして、そうしてその関係する範囲において金融業者に意見も聞くというのが適当でないかと考えて、さように指導して参っていると思っております。
 それから弱小オーナーはどうするかということは、弱小オーナーといえども、みんな何らかの形におきましてオペレー夕ーあるいは大会社等といろいろな関係——債務保証あるいは傭船契約、荷物の配分等で関係がありますからして、弱小オーナーを窮地に陥れるようなことをせよとは考えておりません。これは御指摘のように、弾力的にこの法律を運用いたしまして、さようなことのないように努力いたします。
 内航船の問題でございますが、内航船の問題は、今回のは主として外航船舶のことでございますが、これに関連いたしまして、内航問題についても十分検討いたしたいと考えております。
 それから、御指摘の船舶の速力が十六ノットの定期船は、航路によってはもう、なくてはならない船舶でありまして、必ずしも陳腐化しているとは言えないが、総トン数の二万五千トン以下の油送船は、船型の大型化に伴いまして経済性を失っているので、船隊構成上不要な船舶となりつつあるのが現状であります。このような不経済船につきましては、先ほど総理が申されましたように、外国に売船するとか、その他機宜の処置を考えたいと思います。
 それから労務対策につきましては、先ほど申し上げましたように、海上の労務員はこの再建整備が進みましても、さして問題は起こらない。ただ、給与、環境の改善等に努力いたして参りたいと思っております。陸上の要員につきましては、これも先ほど申し述べましたように、調査機関その他の海運振興の事務的方面に有能な士を使って、配置転換等によって万全を期したいと思っております。
 それからシップ・アメリカン、盟外船の跳梁等に対する対策につきましては、さきに申しましたように、強力に外交の折衝によりまして、順次改善いたして参りますように努力いたしたい所存でございます。拍手
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
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田中角榮#23
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。私に対する御質問は、海運基盤の強化には戦標船等不経済船を早く解撤をして、高能率船を建造するにあるのだが、この財政措置は不十分である、こういうことを重点にお尋ねされました。戦標船解撤及び代船建造につきましては、三十六年度以降、政府は重点的に配慮をいたしておるわけでございますが、三十八年度には、開発銀行におきまして、本年度、すなわち三十七年度十八億円でございましたものを三十億円に、それから特定船舶整備公団におきまして、三十七年度二十億円でありましたものを三十九億円に、本年度予算で、合計三十八億円のものを六十九億円に、約八二%増額をいたしたわけでございます。率においては非常に大きくアップをいたしておりますが、しかし、それは実際問題として不足であるということに重点を羅かれておられると思いますので、先ほども申し上げましたとおり、現在輸出船というようなものにウエートが置かれて参りましたが、その後の事情において延べ払い等も非常に長くなっておりますし、いつ返るかわからないものに対して輸出振興などというととは、国内船に対しての優遇措置を考えたほうがいいのかという問題に対しては、真剣に検討いたしております。現在政府部内の考え方では、国内船の、いわゆる国内造船を重点的にやろうという方向でございますので、この財政措置以外にも、本法を御審議を願っておる過程において、また今年度等の造船計画を通じまして、これらの問題に対しては十分配慮して参りたいという姿勢でございます。
 それから、もう一つは北米航路の問題でありますが、これは綾部運輸大臣もお答えになりましたが、ちょうど運輸大臣の意向を受け、十二月、日米経済閣僚会議に出席をしましたときも、この問題を取り上げて十分議論をいたして参ったわけでございます。バイ・アメリカン、シップ・アメリカンというようなことで、実際の数字がどうなっているかということで、数字を突き合わせて見たのでありますが、御承知のとおり、特に北米太平洋岸の海運状況をしさいに見ますと、日本の海運収入は一部減っております。アメリカはその分がふえておるかというと、アメリカもふえておらないのであります。どこが一体ふえているかというと、日本、アメリカ以外の第三国の船の収入がふえておるというのであって、こういうことでは困るから、日本とアメリカとの間で十分協調をしながら、現在の航路の実績等も検討しながら、場合によっては日米間の連帯勘定等を起こすことも一つの方策であるということで、アメリカ側はこの問題に対しては積極的に検討を約しておるのでございますし、外交ルートを通じてこれらの問題の解決に努力をいたしておるわけでございます。拍手
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重宗雄三#24
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     —————・—————
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重宗雄三#25
○議長(重宗雄三君) 日程第三、国立大学総長の任免、給与等の特例に関する法律案(趣旨説明)、
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。荒木文部大臣。
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍手〕
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荒木萬壽夫#26
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出いたしました国立大学総長の任免、給与等の特例に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府といたしましては、国づくりの根幹は人つくりであるとの基本的な考え方に立って、文教の振興のために各種の施策を講じて参っておるのでありますが、なかんずく人つくりの直接のにない手である教育者の地位の向上は、特に緊要なものであると考えるものであります。このたび、政府がこの法律案を提出いたしましたのも、本質的にはこの点に由来するものであります。
 しかして、国立大学は、国の高等教育機関として、また高度の研究機関として、きわめて重大な使命をになうものであり、最近における科学技術の進歩、産業経済の発展並びに国民一般における教育水準の向上などに伴い、これに対する国家的、社会的要請はますます増大して参っております。このような国立大学のうちでも、北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学及び九州大学の七国立大学は、人文、社会、自然の各科学の全分野にわたる学部を有する大規模な総合大学であり、かつ、その各学部の上には博士課程の大学院を有するものとされ、また伝統も古く、これら七国立大学の学長の職務と責任はきわめて重要であります。
 よって、このたび、これら七国立大学の学長を認証官とし、その国家的社会的な地位を高からしめますとともに、その待遇の改善をはかることとしたのであります。このことは、これら七国立大学の学長の職務と責任の重要性に基づくものではありますが、ひいては大学の教育職員、さらには教育者全体の地位を高め、もって我が国教育の振興に資するものといたしたいと考えたからであります。
 次に、この法律案の概要について御説明いたします。
 第一は、これら七国立大学の学長を認証官とすることに伴い、官職名をそれぞれの大学総長と改めることとしたことであります。しかし、これら国立大学総長は学長として置かれるものでありますので、学校教育法その他の法令の適用については、他の国立大学の学長と全く同様な地位に立つものであります。
 第二は、国立大学総長の任命権を、文部大臣から内閣に移すこととし、その任免については天皇が認証することとしたことであります。任命権者を内閣といたしましたことは、他の認証官の一般の例に従ったものでありますが、その任免を大学管理機関の申し出に基づいて行なうという教育公務員特例法の建前には何らの変更をいたしておりません。なお、国立大学総長の任免に関する内閣に対する大学管理機関の申し出については、文部大臣がこれを内閣に進達するものとしましたのは、文部大臣が大学を所轄していることによるものであります。
 第三は、国立大学総長の受ける給与を俸給及び期末手当とすることとしたことであります。これは、他の認証官の例にならって、特別職の職員の給与の例による趣旨に基づくものであります。国立大学総長の俸給月額についても、他の認証官との権衡を勘案して、東京大学総長及び京都大学総長にあっては十八万円、その他の国立大学総長にあっては十六万円とすることといたしたのであります。
 第四は、附則に経過措置を定めたことでありまして、これら七国立大学の学長の現職者については、この法律施行の日にそれぞれ国立大学総長に任命することについての進達があったものとみなすことなど、新制度への移行を円滑にする措置を講じております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。拍手
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重宗雄三#27
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し質疑の通告がございます。発言を許します。豊瀬禎一君。
  〔豊瀬禎一君登壇、拍手〕
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豊瀬禎一#28
○豊瀬禎一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました国立大学総長の任免、給与等の特例に関する法律案につきまして質問をする冒頭にあたって、哲人カントが言った「為政者には多少の困難を伴おうとも、私はむしろ自由を尊重したい」との言葉を想起するのであります。政治においてしかり、ましてや学問研究の場におきましては、自由の保障なくしてはその進展が期せられないことは、何人もこれを否定することはできません。新憲法がその第二十三条におきまして、学問の自由の保障を言論や思想の自由の保障とは別個に明記いたしました趣旨も、ここに存するのであります。すでに一世紀前におきまして、ドイツのブルンチュリは、その著「国法汎論」におきまして、大学の制度に論及し、「学問上の独立権を与えるには、まず学校に学校社会としての独立権を与える必要あり」との卓見を披瀝いたしております。それは、草間研究の趣旨が真理の探求にあり、真理は事実に対するたゆみなき究明と忠実性によってのみその価値を見出すものであるからであります。そのためには、大学においてそのことに携わる人々の自由と独立の完全な保障を必要とするものであります。この研究と教授の自由の擁護のためには、国家や行政権力が不干渉の態度を堅持するとともに、学者自身に、これらの行政権力を断固として排除する勇気、すなわち、学問的精神が必要であります。かつて小野塚喜平次氏が、「学者の眼中もとより大臣なく、また政府あるなし。ただ真理あるのみ。この学者の独立的態度は実に学術進歩の必要条件にして、国家の発展上また欠くべからざるもの」と論じ、近くはバートランド・ラッセル卿が、「太陽のもとにいかなるものによっても畏怖せしめられることを拒否する精神」を強調しているのは、この学問の研究の自由と大学の自治との不離一体の原則を確認しているものというべきでありましょう。しかるに文部省は、さきに行政権による大学管理体制の強化を企図し、今また、大学の学長に身分的差別をつけ、大学の位置にも格差を設けようとしているのは、まさに、学術振興を阻害し、民主化に逆行するものと断ぜざるを得ません。私は、さきに総理が大学管理法案の提出に対し、これを阻止した英断に対し敬意を表するがゆえに、首相は、学問研究の自由と大学の自治の関係をどのように考えておられるか、まずお尋ねいたしたいのであります。
 第二に、大学の使命と、本法案の趣旨との関係についてであります。
 提案趣旨には、国立大学に対する国家的社会的要請はますます増大していると述べております。そもそも、国立大学の嚆矢である東京大学の指導精神がナショナリズムであり、これが日本の教育思想の源流として太平洋戦争まで続いたことは、皆さん御承知のとおりであります。明治十九年、帝国大学令第一条には、「帝国大学は国家の須要に応ずる学術技薬を教授し」云々と定めておりました。この「国家の須要に応ずる」という大学の国家目的への従属は、今日、憲法、教育基本法において完全に否定され、学校教育法第五十二条には、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学藝を教授研究し」と定められておるのであります。すなわち、大学の使命は、基本法にいうがごとく、世界の平和と人類の福祉に貢献するための普遍的にして個性豊かな真理の追求にあるといわねばなりません。この方向に従った学問研究と教授とは、所得倍増計画のための人づくりや、特に、マン・パワー・ポリシーの性格に基づく国家的社会的要請とは、全く粗いれられないものであります。すなわち、マン・パワー政策は、戦時における国家総動員計画の原理を平時化恒久化したものであり、人間が、一国の産業と軍備の両体系の中に、適材適所主義の原則に従いながら、どんな比例において配分配置されねばならないかという、国家的一元的な策定を前提とした人的資源を意図しております。このことに対しまして、アイゼンハワーがその任期終了の演説において、「アメリカの民主主義は、今、新しい巨大な陰険な脅威にさらされている。それは軍部と産業ブロックと称すべき脅威である」と指摘いたしているのであります。文部省発行の教育白書の主張は、アイクが新たな民主主義の脅威と指摘しているその政策推進の一役をになっているアメリカの国防教育法に全く類似しているものを見出すことができるのであります。学長認証の制度は、この目的遂行を容易ならしめるための大学長に対するまず第一の箝口令とも見るべきではないでしょうか。首相は、大学本来の目的やその社会的使命と所得倍増のための人づくり、特にマン・パワー政策の推進との関係を、どのように考えておられるか、所信を承りたいのであります。
 策三に、文部大臣にただしたいのは、この法案の蔵している本質的矛盾についてであります。政府は、七大学の学長を認証官にし、給与を引き上げるその理由として、これらの大学が大規模であり、大学院を有し、その伝統が古いということを理由といたしております。現在、東大におきましても、法律上の正式名称は御承知のとおり「学長」となっているにもかかわらず、「総長」という公式文書を出しているやに聞いておりますが、まことに笑止千万にたえない特権意識というべきでありましょう。しかるに、この際、七大学長のみ他の大学と差別して総長と呼称させ、しかも、給与にまで差をつけ、あまつさえ、東大、京大のみに二万円上げるという、国立大学学長を三段階に差別いたしているのであります。このことは、学校差別を法律で公然と慫慂し、従来の学閥、門閥にさらに拍車をかけることになると思うが、大臣の所信を承ります。
 第二に、天皇が認証することにした点についてであります。政府は、この制度により、学長の国家的社会的地位の向上を目ざしたと言っています。しかしながら、大学の教授は、真理の究明者として、天皇に対してもこれを教授する立場にあります。これを天皇に認証させるということは、本末転倒もはなはだしいというべきでありましょう。国家的社会的地位の向上のための本来的課題は、大学の自治が保障され、学術研究のための予算や設備が完備し、全教官の待遇の改善がはかられ、特に研究の成果やその所論が尊重され、かりにも、曲学阿世の徒などといった思想や、文部大臣荒木萬壽夫君のごとく、公開の席上において学者の個人名をあげてこれを誹誇するがごときは、厳に慎むことが肝要であると思います。これに対し、荒木大臣の見解を承ります。
 第三には、大学や教授の評価は、その規模とか伝統の古さによってなさるべきものではなく、その専門の学術研究に対する熱意やその造詣の深さ、あるいは人類への貢献等によるべきで、学長職必ずしも学問的水準の評価にはなり得ないのであります。時に、その行政的手腕に重点を構いて学長が選出ざれることなきにあらずであります。今回の制度により、逆に大学間の格差を生じ、大学協会自体の運営や、さらには、学内の運営についても支障を生ずる憂いなしとしないという声が、当該学長や教授の間に起こっているのは、まことに注目すべき事態であります。むしろ文部省は、この際、博士とか教授、助教授とかいった、千数百年前の大宝令の遺物のごとき職階制や上下の差をなくすことこそが、草間の自由のよりよい保障となると思うが、大臣の所見を承わります。
 第四には、政府は、この措置によって、大学の教職員、さらには教育者全体の地位を高めたいといっています。教育基本法には、教員の身分の保障と給与の適正が特記されておりますが、文部大臣は、現行の給与によってこの教育基本法の特記の精神が充足されていると思っているかどうか。また、教育者の地位を高めたい、待遇の改善をはかりたいといっているが、いついかなる方法で、大学の教職員の給与、研究費の引き上げ、特に教育者全体の地位の向上をはかろうとするのか、その具体的な政策をお聞きいたしたい。
 最後に、人事院総裁にただしたいのであります。人事院は、今回の七大学の給与改正によって、他の大学にも改善措置を講ずる旨、新聞報道をいたしておるようでありますが、これは事実であるかどうか。もし事実であるとすれば、この認証制度の問題は、文部省が、すでに昨年七月ごろから文教委員会において、その政策、見解を明らかに表明しておったのであります。この事実にかんがみまして、人事院が給与改定勧善にあたって、大学教職員全体に対する格段の配慮を行なわなかったのは、いかなる理由に基づくか。また、その際、他の大学の学長、教官全員に対する別途の勧告を行なわなかったのは何ゆえか。また、提案趣旨の中には、大学の教職員はもちろん、教育者全体の給与の改善、地位の向上をはかりたいと述べておるが、人事院として、この点について、いついかなる方法によって、大学の教職員の給与改善あるいは教職員全体の給与改善の措置、勧告を行なおうとしているのかどうか、この点につきまして総裁の見解をただしたいと思います。拍手
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#29
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 学問の自由は憲法第二十三条の保障するところであり、われわれは、あくまでこれを守っていかなければなりません。また、大学の自治というものは、学問の府としての大学の機能を発揮するための一大原則であります。私は、大学の自治ということにつきまして、何らこれを阻害しようとは考えておりません。また、大学の使命は、指導的人材の養成と、学術文化の振興にあることは、申すまでもないことであります。しこうして、今回のこの教育者の待遇を改善しようとすることは、りっぱな人をつくり、りっぱな国をつくるための根本手段であります。所得倍増というものは、りっぱな国をつくり、りっぱな人をつくる手段であって、倍増自体が目的ではありません。これは、人づくり、国づくりが政治の目標であることをはっきり申し上げておきます。
 次に、今回の措置は、先ほど申し上げましたごとく、人つくりの直接のにない手である教育者の地位を向上するための措置であるのであります。しこうして、その地位の向上につきましては、現実の組織、制度を尊重しており、現実の事実を尊重して、徐々に全教育者に及ぼそうとしているのであります。拍手
  〔国務大臣荒木萬壽夫登壇、拍手〕
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