野原覺の発言 (国際労働条約第八十七号等特別委員会)
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○野原(覺)委員 ただいまの御答弁でございますが、実はこの問題についても、たくさんの委員の皆さん方によって御論議がかわされておるのであります。いま大橋労働大臣によれば、団結権を制限しておる、そのところは明らかに撤廃をする。つまり団結権を解放するのだ。おそらくこれは公労法の四条三項、地公労法の五条三項、ないしは公労法の四条一項ただし書き等をさすのではないかと私は思いますけれども、私に言わしめれば、いま政府から出されておる政府原案なるものは、実は団結権の解放に名をかりた便乗的な団結権の制限を、むしろつけていっておる。これは八十七号条約の批准とはおよそ逆の方向をとっておるものが、政府原案ではないかと私は見ておるのであります。いまから少しくその理由を申し上げてみたいと思う。
まず第一には、公労法の四条三項と地公労法の五条三項は、団結権の解放のために、どうしてもこれは撤廃しなければならぬ、このことは当然でございます。団結権の制限立法と明らかに銘打たれておるものでございまするから、これを廃止することは当然です。ここはまあ問題はございません。政府原案も廃止しておるわけであります。
ところが、公労法の四条一項ただし書きの廃止あるいは公労法四条三項の廃止に関連する公務員法改正の措置を見るというと、問題がある。たとえば公労法の場合には、四条一項のただし書きを廃止するけれども、労働組合法二条一号の準用と、こうしておきながら、公務員法の改正においては、労組法の二条一号を持ってこないで、せっかく廃止をした公労法四条一項ただし書きを今度の公務員法の改正の政府原案にすりかえておる。これは公労協と官公労、つまり公務員と三公社五現業の諸君は違うのだというような考え方に立っておりまするけれども、これは明らかに形式的な団結権の解放ということになる、はなはだ煮え切らないところのやり方であります。
その次に、第三の理由として申し上げたいことは、今度の政府原案では管理職組合制度をつくっておるでしょう。こういうことは一体必要があるのかどうか。管理職組合制度をつくるということは、なるほど管理職の諸君が組合をつくるという場合にはつくれるけれども、これをつくらなければならぬといったような規制のしかた、それから管理職の者が、私は一般職の組合に残りたい、たとえば学校の教頭の諸君が、いやぼくは日教組に残りたいのだと言う、日教組の皆さんも、教頭の諸君は残したいのだと言う、そういう場合には私は残してもいいのではないかという見解を持っておるけれども、そういうこともできなくしてしまっておるのであります。どうしてもその組合が、来ては困ります、また本人も行きたくないと言うならば、そういう人は管理職組合制度をつくってもよいのではないかと思うけれども、本人が一般職の組合に残りたいと言うし、一般職の諸君も、その人は入ってもらいたいのだと言っておる場合には、何ら組合の自主性を阻害するものではないのです。これがILOの考え方ですけれども、機械的、形式的に管理職組合制度をつくるというようなことを打ち出しておる。あるいはまた交渉のやり方に対しても、団結権の解放を形式的にやったその代償として交渉の制限をやっておる。在籍専従、チェックオフの禁止にしてもそうです。なるほどこれは、組合の自主性、あるいは組合がその外部団体、第三者の介入を阻止するというような考え方から、一応ILOでも触れてはおりますけれども、私は今度の政府原案のような形でこれを残さなければならぬ理由はないと思うのです。
その次に申し上げたいことは、労働基本権の制限ということが全く放任されておる。八十七号条約の批准はもとよりストライキ権には触れないことは、私も承知しております。しかしながら、争議権に触れないことは私は承知しますけれども、今日、公労法においても、公務員法においても、争議権は否認をいたしております。このことも私は承認しておりますが、しかし、八十七号条約のねらっておるのは、一応争議権には触れないけれども、団結権の禁止を解いて、いずれは、いつの日にか、近い機会に労働者の労働基本権というものは尊重していこうじゃないか、けれども世界の加盟国のそれぞれの事情があるから、いま一挙には争議権には入れないけれども、団結権だけにとどめるけれども、いずれは争議権の否認という、この点については手を加えなければならぬというのが、ILOの考え方なんですね。そういう点からいけば、この八十七号条約を批准するにあたって、ますます争議権の否認を強めてきておるということは、私はどう考えても理解ができないのです。一そう強めてきておる。ことに問題は地公法上の登録と関連することでございますが、連合体が事実上否認をされておるというこの重要な点は見のがせないと思う。連合体というものは事実上否認をされておる。たとえば事実上の団体として中央交渉も認めないといったような考え方、そういうことにきておることは、最近の百十三号の勧告とか、あるいはILOでそれぞれの専門家委員会が付した意見などから考えてみると、およそ逆の方向をたどっておるのであります。このことは議論になりますから、あえて答弁は要求いたしませんけれども、私どもはそういうように遺憾ながら今度の政府原案を見ざるを得ないのであります。
そこで労働大臣にお尋ねをいたしますが、労働基本権を保障するということはどういうことでございましょう。