山崎始男の発言 (商工委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○山崎(始)委員 ちょっと先にお断わりいたしておきますが、私が本日お尋ねいたしますのは、軽機械法の中で特に双眼鏡に関してしぼってお尋ねをするつもりでおります。だからミシンのことは私お尋ねいたしません。それから同時に、私の質問の過程におきましては、どうしてもこの軽機械法を質問すると団体法との関連を避けることはできませんので、そういう点からお尋ねをするわけであります。
それから大臣御列席ですから、大臣に一斉申し上げておきますが、たかが一年間五十億か六十億の双眼鏡、ほとんど大臣の頭の中にはおありにならぬだろう、こんなちっぽけな金額、したがって、あまりにも小さな問題であります。しかし小さな問題といいますが、私は、これは金額が小さくても事柄は非常に大きいと思っておるのであります。そういう意味におきまして、大臣になまじっかお尋ねしても、局長以下の事務的な人に御答弁願う以外に手がないのであります。したがって、私の質問の過程を通じてよくお聞き取り願って、最後に大きな点だけ一、二点大臣にお尋ねいたします。あまりこまかいことをお尋ねしてもお気の毒ですから。しかし、うわのそらで聞いてもらっておったのでは私は困るのであります。
実は私が本日こうやって双眼鏡のことで質問に立った動機は、千葉県から出ておりました小川豊明という代議士がおりました。これが昭和三十七年に輸出のワク、これは双眼鏡ばかりじゃございません、ミシンあるいはトランジスターその他輸出のワクを問題にいたしまして、これは決算委員会でやつたのであります。ところが一昨年の十月、この小川豊明という代議士は死にました。ちょうど私は会館がすぐ隣だったのであります。死んだあとで、たまたま昭和三十七年から昭和三十八年の二月にかけまして、この双眼鏡のチェック・プライスの問題にひっかかって横浜の警察が手を入れました。横浜の地検が手を入れて、そうして日本の大手の三十数社というものがこのチェック・プライスにひっかかってしまって、外為法違反あるいは貿易管理法違反にひっかかりました。そうして横浜警察は全業者について、チェック・プライス制度ができました昭和三十一年ころから三十七年ころにかけましての全部の書類を押収した。どこまでこれがいくかわからない、このままほうっておいたら日本の輸出ワクを持っておる双眼鏡の業者は全部調べられる。それで私は二月に、小川豊明の遺志を継いで決算委員会でこのチェック・プライスの問題を取り上げた、取り上げた結果ようやく地検のほうも納得してくれまして、そうしてあとは手をつけないというので火を消した、こういう動機があるのであります。そういう関係で、私はそのときには双眼鏡のチェック・プライスだけの問題にしぼって通産当局に決算委員会でお尋ねをいたしました。しかし、双眼鏡業界というものはなるほど輸出の金額は年間五十億ないし六十億でございまするが、御承知のように日本の双眼鏡の全生産量の九五%くらいが輸出に向いております。ほとんど輸出に依存をしておる。言いかえると、大臣の御構想のいわゆる輸出貢献の金鵄勲章をやってもいいような業界なのであります。したがって私は、この双眼鏡に対する通産行政のやり方というものに対して、そのことがきっかけで調べてみましたところが、調べれば調べるほどこれは奇々怪々なのであります。順次その奇々怪々なることを申し上げて、御当局のほんとうの輸出の振興をどうやったらいいのかということをお尋ねしたいと私は思って、きょうこうやって参ったのであります。でありますから、大臣も金額が小さいからというので、何だそんなことかというお考えは持たれないように、ひとつお願いしたいと思うのであります。
まず、先の話に返りますが、この軽機械法は団体法と裏表の関連がございます。それで、これはまず団体法と軽機械両方に関係いたしますが、双眼鏡自体の性格というものも、今日の双眼鏡業界がてんやわんや内部的にも非常に騒いでおります。その騒ぐのには、賛成反対は別にいたしましても、騒ぐのには騒ぐ理由がある。そうして、その間に通産行政が行政指導においてほんとうに親切をもっていままで当たっておらないという数々の事実を私は知っておるのであります。
そこでまず、局長さんも課長さんもいまのポストにつかれて年月日が浅いといわれるのでありますから、私はあまり御存じないのじゃないかと思いますが、双眼鏡というここに一つの完成品がある、この完成品を組み立ててそうして輸出をするまでに、あるいは免税手続であるとか、あるいは税関手続であるとか、あるいは検査、こういうような関所というものはどんな品物でも避けることはできぬと思います。そういう手続、ネックといいますか隘路といいますか、それは避けることはできぬかもしれませんが、私がふしぎでかなわぬのは、この一個の完成品、これに驚くなかれ七つの隘路といいますか関所を設けていらっしゃる。これは私自身が何べん考えてもわからない。おそらく皆さん方も初めてだろうと思いましたので、あまりおとなげない話ではございますが、この現物を持ってきたのであります。どういうふうなネックがあるかといいますと、この金具がございますが、これが鏡体というのだそうであります。要するに金属でありますが、これはこれで通産省のほうで団体法によって割り当てになっている、切符が要るわけです。この目につくほうのレンズ、中にプリズムというものがあるそうでありますが、こっちは対物——向こうを見るというのですか、これを磨き上げてレンズになるわけでありますが、磨く前は成型というのだそうであります。要するに成型ということはガラスであります。そうするとその成型に一つのワクがある、こっち側にワクがある、中に入っているプリズムというものにワクがある、ワクといいますのはチェックされているということであります。そうして、今度は磨いてレンズになったらまたレンズとしてのこちらのワクがある、対物のほうにワクがある、中のほうにワクがある。言いかえたらこれは六つあるのです。六つあって、おまけに外の金具がワクがある。そうするとこれだけで七つです。七つでこれを完成する。日本の国に二百十二、三の組み立て業者がおるわけであります。そうしておまけにこの箱にワクがある。そういたしますと、これだけで八つなのです。八つのそういう段階を経て、そうして、事業協会に持っていって輸出の証明書をもらうという手続をやっている。私は、まずこの出発点において、こういう簡単なものを通産行政の上では八つからのワクをつけておくこと自体——これが今日の、平たくいえば産業の合理化といいますか、近代化といいますか、そういうことと、そういうふうなワクというものとの関連は、私は矛盾をしていると思うのであります。言いかえますと、この組み立て業者が輸出をしようとする、みんなこの部品の、そういうふうな鏡体であるとか成型であるとかレンズであるとか、あるいはケースであるとかいう部品業者が全部ワクを持っている。そうして組み立てる人間は、メーカーの二百十何社——実質的にはそうありません、百二、三十しかありません、あとは組み立ての権利だけを売っておるという状態でありますから。そういうふうな制度というものが、今日の特に開放経済にもなり、同時にいわゆる産業の合理化、あるいは近代化と反面言われておりながら、こういう現実が今日まで続いておるのでありますが、こういうような商品が一体他にございますか。あるかないか、これに類したようなそんな一これだけのものですよ。一つ例をとりますと、かりに一つの洋服をレディメードで輸出するというた場合に、いまの理論からいきましたら、生地は生地で製造のワクを持たなければいけない、そして糸は糸で製造のワクを持たなければいけない、そしてボタンはボタンで製造のワクを持たなければいけない、そしてえりしんはえりしんで製造のワクを持たなければいけない、そして輸出するときのレディメードの洋服の箱も製造のワクを持たなければいけない、そうしなければ一個の注文品としての許可がおりないんだ、こういうようなばかな制度というものが一体あるかないかということなんです。したがって、メーカーの組み立て屋というものは、輸出は輸出のワクを持っております。組み立てには組み立てのワクがある。合計いたしますと十三段階あるんです、最後まで勘定してみますと。今日の産業の合理化、近代化と言われておる中に、それは最後のほうの、税関のワク、あるいは物品税のワク、あるいは事業協会の手続のワク、あるいは検査、こういうようなものはあたりまえであります。しかしそれを合計いたしますと十三段階あるんです。絞首刑の階段みたいに十三からある。そういう中でなければ出ない。もとより輸出のワクもあるのです。したがって、組み立て業者というものはこういう部品を買って、輸出しなければならぬ期限が来る、納期が来て、あとの品物はできておるが、ケースだけはワクを買わなければいけないのですから、ワク屋はつり上げる、あるいは間に合わぬ、こうなってきたら輸出ができないのであります。これが実態なんであります。したがって、まず私は、こんな簡単な一個の商品に、いまも言いましたような、本体だけで七つも八つもワクがあるような商品が他にございますか、ありませんかということを局長にお尋ねしたい。
それからもう一点、大臣には、そういうふうなワク制度そのものがいわゆる産業の近代化ということに対して、私は矛盾しておる要素を持っておるんじゃないかと思うのでありますが、そういうワク制度が好ましいか好ましくないかということなんです。その点についてのお尋ねをまずしてみたいと思うのであります。