田中武夫の発言 (大蔵委員会)

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○田中国務大臣 本国会におきまして御審議を願うべく予定いたしております大蔵省関係の法律案等で、すでに提出が確定いたしておりますものは、昭和三十九年度予算に関連するもの十三件を含め三十件でありまして、このうち法律案二十七件及び承認案二件について当委員会において御審議を願うことになるものと存じております。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたしたいと存じます。
 なお、この機会に、財政、金融政策及び国際経済政策に関する所信の一端を申し上げたいと存じます。
 本年はわが国が本格的に開放体制へ移行する年であります。OECD加盟、IMF八条国移行等開放体制への移行こそは、日本経済が国際経済社会においてさらに大きく発展していくためにみずからが選んだ発展への道であります。しかし、同時にわが国経済が世界経済の影響をより直接的に受け、また国際経済上の要請に一段と積極、機敏に応じていかねばならないこととなるのも明らかなところでございます。私は、このような事態に即応し、わが国経済が堅実な発展を続けてまいるためには、日本経済に内在する成長力を国際経済の動向、国際収支、物価の動き等内外の諸要因の推移に応じ、適切に調整しつつ、社会、経済の各部面において所要の体質強化を着実に進め、国民経済全体としての生産性をさらに高め、安定的な成長を実現してまいることが肝要であると考えておるのであります。
 昭和三十九年度予算及び財政投融資計画におきましては、このような見地から、国際収支の改善と物価の安定を主眼とし、財政が景気に対し刺激的な要因となることを避けるため、健全、均衡財政の方針を堅持することにいたしておるのであります。支出内容におきましても、将来にわたる国力発展の基盤を充実し、経済各部門の均衡ある発展に資するため、農林漁業及び中小企業の近代化、社会保障の充実、社会資本の整備等の重要施策に対しまして資金を効率的、重点的に配分し、その着実な進推を期しておるのであります。また、税制面におきましては、国民負担の軽減、合理化をはかり、あわせて企業資本の充実等所要の体質強化を進めますため、中央地方を通じ、平年度二千百八十億円に及ぶ画期的な大幅減税を行なうことといたしておるのであります。さらに、財政と金融とは一体となって運営さるべきものでありまして、今後の金融政策の運用にあたりましても財政上の諸施策と相まって、経済の安定的成長とその体質強化を期してまいる所存であります。
 税制改正のうち国税関係法案につきましては、いずれ当委員会において御審議を願うこととなるのでございますが、主要な税制改正法案についてその概要を申し述べますと、所得税におきましては、国民生活の安定に資するため、広く基礎控除、配偶者控除、扶養控除を引き上げるとともに、専従者控除及び給与所得控除の改正、譲渡所得課税の適正合理化等所要の改正を行なうことといたしております。
 法人税におきましては、企業の経営基盤の強化をはかるため、機械設備を中心に固定資産の耐用年数を平均一五%程度短縮するとともに、中小企業の負担の軽減をはかるため、難波税率の適用、所得限度額及び同族会社の留保所得課税控除額の引き上げを行なうことといたしました。さらに、企業の国際競争力の強化、科学技術の振興、企業資本の充実等当面要請される諸施策に即応する特別措置を講ずることといたしたのであります。
 このほか、相続税及び贈与税につきましては、基礎控除の引き上げ等の措置を講ずることにいたしております。
 また、地方税におきましては、市町村民税の負担の不均衡を是正するため、その制度の合理化をはかるとともに、固定資産税の負担の調整、電気ガス税の引き下げ、法人及び個人の事業税の軽減等の措置を講ずることといたしたのであります。
 他方、道路の整備財源の拡充をはかるため、道路整備計画の改定と見合って揮発油税、地方道路税及び軽油引き取り税の税率をそれぞれ引き上げることといたしております。
 なお、関税率につきましては、経済の諸情勢に応じ、所要の調整を行なうとともに、とん税及び特別とん税につきましては、国際収支の改善に資するため、その税率をそれぞれ引き上げることといたしたのであります。
 金融政策につきましては、最近における国際収支の推移、生産及び物価の動向、金融機関の貸し出しの趨勢等に顧み、昨年十二月日本銀行による準備預金率の引き上げが行なわれたのでありまして、企業の資金需要及び金融機関の貸し出しの増勢は鎮静に向かうものと期待をしておりますが、今後とも経済の動向を慎重に見守りながら、期に応じて適切な施策が実施せられ、資金需給の調整を通じて経済活動が適正に保たれるよう意を用いてまいる所存であります。
 その際、近代化、合理化により新たな発展への道を求めつつある中小企業等の真剣な努力が、これによって阻害されることのないよう一そう細心の注意をいたしてまいる所存であります。
 次に、開放経済への移行に伴い、企業の自己資本の充実と長期安定資金の確保の必要性はますます強まり、金融及び資本市場の重要性は一段と高まってきておりまして、この際、各金融機関に対しましては、国民経済的視野に立った節度ある融資態度が、また証券業者に対しましては経常の健全化、投資勧誘態度の適正化が一そう強く要請される次第でありますが、政府といたしましても健全金融の推進、資本市場の育成強化について、今後とも細心の配意を加えて願いる所存であります。
 わが国は近くOECDへ正式に加盟し、世界の主要先進諸国との協力関係を一そう緊密化するとともに、四月一日を目途とするIMF八条国への移行に伴い、わが国の円は交換可能通貨として広く世界の諸国から認められることとなるのであります。このような事態に対処するための努力の一環として、わが国がかねて進めてまいりました対外取引の自由化につきましては、本年において外貨予算制度の廃止、渡航制限の緩和等を行ない、経常取引に対する為替制限の撤廃を一応終了いたしたいものと考えております。
 また、国際金融協力につきましては、IMF借り入れ取りきめ参加十カ国蔵相会議の一員として、国際流動性確保のための対策の検討に今後と本積極的に参加いたしてまいる所存でありますが、関税の一括引き下げ、低開発国問題につきましても、これらの動きに積極的に対処しつつ、わが国難業界の実情をも勘案して今後の関税政策を進めてまいりたいものと考えておるのであります。
 国際収支につきましては、輸出は順調な伸びを示しておりますものの、輸入が国際商品価格の高騰等、一時的な要因もさることながら、生産の大幅な上昇から顕著な増加を見せ、海運その他の貿易外収支における赤字幅の拡大と和まって経常収支は昨年年初来一貫してかなりの逆調を呈するに至っておるのであります。政府といたしましては、基本的には財政金融政策等、各般の施策において万全を期しつつ、貿易収支の均衡回復と貿易外収支の赤字基調是正につとめてまいるとともに、出面は国内資本の不足を補い、国際収支の波動に対処する準備を手厚くするため、優良な安定外資の秩序ある導入をはかってまいる所存であります。
 以上、財政金融政策及び国際経済政策について所信を申し述べました。私は、これらの施策を着実に推進してまいるにおきましては、国民の努力にささえられて、わが国経済はますます発展し、より豊かな国民生活が築き上げられるものと確信しておるのであります。
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発言情報

speech_id: 104604629X00319640206_002

発言者: 田中武夫

speaker_id: 3915

日付: 1964-02-06

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会