大蔵委員会

1964-02-06 衆議院 全197発言

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会議録情報#0
昭和三十九年二月四日(火曜日)委員長の指名で、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
  税制及び税の執行に関する小委員
      臼井 莊一君    小川 平二君
      大久保武雄君    金子 一平君
      田澤 吉郎君    濱田 幸雄君
      原田  憲君    藤井 勝志君
      小松  幹君    平林  剛君
      堀  昌雄君    武藤 山治君
      春日 一幸君
  税制及び税の執行に関する小委員長
                濱田 幸雄君
  金融及び証券に関する小委員
      小川 平二君    大久保武雄君
      押谷 富三君    金子 一平君
      田澤 吉郎君    原田  憲君
      藤井 勝志君    吉田 重延君
      有馬 輝武君    岡  良一君
      佐藤觀次郎君    松平 忠久君
      竹本 孫一君
  金融及び証券に関する小委員長
                大久保武雄君
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昭和三十九年二月六日(木曜日)
    午前十時九分開議
 出席委員
   委員長 山中 貞則君
   理事 臼井 莊一君 理事 原田  憲君
   理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君
   理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
   理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君
      天野 公義君    伊東 正義君
      岩動 道行君    宇都宮徳馬君
      大泉 寛三君    大久保武雄君
      押谷 富三君    金子 一平君
      木村 剛輔君    木村武千代君
      小山 省二君    砂田 重民君
      田澤 吉郎君    福田 繁芳君
      藤枝 泉介君    渡辺美智雄君
      卜部 政巳君    岡  良一君
      小松  幹君    佐藤觀次郎君
      田中 武夫君    只松 祐治君
      野原  覺君    日野 吉夫君
      平林  剛君    松平 忠久君
      春日 一幸君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    松井 直行君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 中尾 博之君
        大蔵事務官
        (理財局長)  吉岡 英一君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  高橋 俊英君
        大蔵事務官
        (為替局長)  渡邊  誠君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (理財局証券部
        長)      加治木俊造君
        専  門  員 坂井 光三君
    —————————————
二月五日
 委員岩動道行君辞任につき、その補欠として倉
 石忠雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員倉石忠雄君辞任につき、その補欠として岩
 動道行君が議長の指名で委員に選任された。
同月六日
 委員田中武夫君辞任につき、その補欠として山
 花秀雄君が議長の指名で委員に選任された。
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二月五日
 外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二
 号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四〇号)
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四二号)
 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五一号)
 昭和三十八年産米穀についての所得税の臨時特
 例に関する法律案(内閣提出第二九号)(予)
 税制に関する件
 金融に関する件
 証券取引に関する件
 外国為替に関する件
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山中貞則#1
○山中委員長 これより会議を開きます。
 税制金融等当面の基本施策について大蔵大臣より説明を聴取いたします。田中大蔵大臣。
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田中武夫#2
○田中国務大臣 本国会におきまして御審議を願うべく予定いたしております大蔵省関係の法律案等で、すでに提出が確定いたしておりますものは、昭和三十九年度予算に関連するもの十三件を含め三十件でありまして、このうち法律案二十七件及び承認案二件について当委員会において御審議を願うことになるものと存じております。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたしたいと存じます。
 なお、この機会に、財政、金融政策及び国際経済政策に関する所信の一端を申し上げたいと存じます。
 本年はわが国が本格的に開放体制へ移行する年であります。OECD加盟、IMF八条国移行等開放体制への移行こそは、日本経済が国際経済社会においてさらに大きく発展していくためにみずからが選んだ発展への道であります。しかし、同時にわが国経済が世界経済の影響をより直接的に受け、また国際経済上の要請に一段と積極、機敏に応じていかねばならないこととなるのも明らかなところでございます。私は、このような事態に即応し、わが国経済が堅実な発展を続けてまいるためには、日本経済に内在する成長力を国際経済の動向、国際収支、物価の動き等内外の諸要因の推移に応じ、適切に調整しつつ、社会、経済の各部面において所要の体質強化を着実に進め、国民経済全体としての生産性をさらに高め、安定的な成長を実現してまいることが肝要であると考えておるのであります。
 昭和三十九年度予算及び財政投融資計画におきましては、このような見地から、国際収支の改善と物価の安定を主眼とし、財政が景気に対し刺激的な要因となることを避けるため、健全、均衡財政の方針を堅持することにいたしておるのであります。支出内容におきましても、将来にわたる国力発展の基盤を充実し、経済各部門の均衡ある発展に資するため、農林漁業及び中小企業の近代化、社会保障の充実、社会資本の整備等の重要施策に対しまして資金を効率的、重点的に配分し、その着実な進推を期しておるのであります。また、税制面におきましては、国民負担の軽減、合理化をはかり、あわせて企業資本の充実等所要の体質強化を進めますため、中央地方を通じ、平年度二千百八十億円に及ぶ画期的な大幅減税を行なうことといたしておるのであります。さらに、財政と金融とは一体となって運営さるべきものでありまして、今後の金融政策の運用にあたりましても財政上の諸施策と相まって、経済の安定的成長とその体質強化を期してまいる所存であります。
 税制改正のうち国税関係法案につきましては、いずれ当委員会において御審議を願うこととなるのでございますが、主要な税制改正法案についてその概要を申し述べますと、所得税におきましては、国民生活の安定に資するため、広く基礎控除、配偶者控除、扶養控除を引き上げるとともに、専従者控除及び給与所得控除の改正、譲渡所得課税の適正合理化等所要の改正を行なうことといたしております。
 法人税におきましては、企業の経営基盤の強化をはかるため、機械設備を中心に固定資産の耐用年数を平均一五%程度短縮するとともに、中小企業の負担の軽減をはかるため、難波税率の適用、所得限度額及び同族会社の留保所得課税控除額の引き上げを行なうことといたしました。さらに、企業の国際競争力の強化、科学技術の振興、企業資本の充実等当面要請される諸施策に即応する特別措置を講ずることといたしたのであります。
 このほか、相続税及び贈与税につきましては、基礎控除の引き上げ等の措置を講ずることにいたしております。
 また、地方税におきましては、市町村民税の負担の不均衡を是正するため、その制度の合理化をはかるとともに、固定資産税の負担の調整、電気ガス税の引き下げ、法人及び個人の事業税の軽減等の措置を講ずることといたしたのであります。
 他方、道路の整備財源の拡充をはかるため、道路整備計画の改定と見合って揮発油税、地方道路税及び軽油引き取り税の税率をそれぞれ引き上げることといたしております。
 なお、関税率につきましては、経済の諸情勢に応じ、所要の調整を行なうとともに、とん税及び特別とん税につきましては、国際収支の改善に資するため、その税率をそれぞれ引き上げることといたしたのであります。
 金融政策につきましては、最近における国際収支の推移、生産及び物価の動向、金融機関の貸し出しの趨勢等に顧み、昨年十二月日本銀行による準備預金率の引き上げが行なわれたのでありまして、企業の資金需要及び金融機関の貸し出しの増勢は鎮静に向かうものと期待をしておりますが、今後とも経済の動向を慎重に見守りながら、期に応じて適切な施策が実施せられ、資金需給の調整を通じて経済活動が適正に保たれるよう意を用いてまいる所存であります。
 その際、近代化、合理化により新たな発展への道を求めつつある中小企業等の真剣な努力が、これによって阻害されることのないよう一そう細心の注意をいたしてまいる所存であります。
 次に、開放経済への移行に伴い、企業の自己資本の充実と長期安定資金の確保の必要性はますます強まり、金融及び資本市場の重要性は一段と高まってきておりまして、この際、各金融機関に対しましては、国民経済的視野に立った節度ある融資態度が、また証券業者に対しましては経常の健全化、投資勧誘態度の適正化が一そう強く要請される次第でありますが、政府といたしましても健全金融の推進、資本市場の育成強化について、今後とも細心の配意を加えて願いる所存であります。
 わが国は近くOECDへ正式に加盟し、世界の主要先進諸国との協力関係を一そう緊密化するとともに、四月一日を目途とするIMF八条国への移行に伴い、わが国の円は交換可能通貨として広く世界の諸国から認められることとなるのであります。このような事態に対処するための努力の一環として、わが国がかねて進めてまいりました対外取引の自由化につきましては、本年において外貨予算制度の廃止、渡航制限の緩和等を行ない、経常取引に対する為替制限の撤廃を一応終了いたしたいものと考えております。
 また、国際金融協力につきましては、IMF借り入れ取りきめ参加十カ国蔵相会議の一員として、国際流動性確保のための対策の検討に今後と本積極的に参加いたしてまいる所存でありますが、関税の一括引き下げ、低開発国問題につきましても、これらの動きに積極的に対処しつつ、わが国難業界の実情をも勘案して今後の関税政策を進めてまいりたいものと考えておるのであります。
 国際収支につきましては、輸出は順調な伸びを示しておりますものの、輸入が国際商品価格の高騰等、一時的な要因もさることながら、生産の大幅な上昇から顕著な増加を見せ、海運その他の貿易外収支における赤字幅の拡大と和まって経常収支は昨年年初来一貫してかなりの逆調を呈するに至っておるのであります。政府といたしましては、基本的には財政金融政策等、各般の施策において万全を期しつつ、貿易収支の均衡回復と貿易外収支の赤字基調是正につとめてまいるとともに、出面は国内資本の不足を補い、国際収支の波動に対処する準備を手厚くするため、優良な安定外資の秩序ある導入をはかってまいる所存であります。
 以上、財政金融政策及び国際経済政策について所信を申し述べました。私は、これらの施策を着実に推進してまいるにおきましては、国民の努力にささえられて、わが国経済はますます発展し、より豊かな国民生活が築き上げられるものと確信しておるのであります。
     ————◇—————
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山中貞則#3
○山中委員長 次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び昭和三十八年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案の四案を一括して議題といたします。
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山中貞則#4
○山中委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。田中大蔵大臣。
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田中武夫#5
○田中国務大臣 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案外三法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げたいと存じます。
 最初に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国民金融公庫は、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な専業資金を供給することを目的として昭和二十四年六月に設立されて以来、国民大衆の旺盛な資金需要に対処して、その業務の推進をはかってまいったのでありまして、昭和三十七年度末において、その設立以来の融資総額は八千十九億円、その融資残高は一千六百十四億円に達しておるのであります。
 昭和三十八年度におきましても、普通貸し付け一千五百七十億円、恩給担保貸し付け百七十億円、その他の諸貸し付けを含めて総額一千七荷六十二億円の貸し付けを予定しているのでありますが、その他の諸貸し付けのうち、農地被買収者で銀行その他一般の金融機関から生業資金の融通を受けることを困難とする者に対し、二十億円の貸し付けを行なうことといたしております。
 以上申し述べましたような計画に対応し、必要な資金として三十八年度内に政府資金六百七十五億円を新たに供給することとしておりますが、公庫の経営基盤の一そうの強化に資するため、政府資金のうち二十億円は一般会計からの出資金を予定しておりますので、これに伴い、公庫の資本金二百億円を二十億円増額して二百二十億円とする必要があります。
 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 日本開発銀行が、設立以来、長期設備資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発に寄与してまいりましたことは、御承知のとおりでありまして、今後とも同行の業務活動に期待するところはきわめて大きいものがあると考えます。
 次に、今回提案いたしました改正法案の概要を申し上げたいと存じます。
 第一は、同行の業務として土地造成資金の貸し付け業務を追加することであります。近年、地域間の均衡ある発展をはかるため地域開発がますます重要なものとなっておりますが、この地域開発には企業の進出等に対処するため用地の造成が必要でございます。現行の日本開発銀行法におきましては、自己の事業の用に供する土地の取得につきましては融資を行なうことができることとなっておりますが、このたびこれに加えまして、経済の再建及び産業の開発に寄与する事業の用に供する土地にあっては、譲渡を目的とする土地の造成についても融資の道を開こうとするものであります。
 第二は、理事及び参与の増員であります。同行の業務は、設立当初においては基幹産業に対する融資を中心に運営されておりましたが、その後地域開発融資等が加わるなど逐年多様化いたしておりますとともに、その融資残高も昨年十二月末においては八千二百五十九億円の巨額にのぼっております。このような同行の業務の推移にかんがみ、同行の業務の円滑な運営をはかるために理事及び参与の定数をそれぞれ一名増加しようとするものであります。
 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。日本輸出入銀行が、設立以来、プラント輸出金融を中心として輸出入及び海外投資に関する金融を行ない、わが国貿易の振興並びに経済協力の推進に格段の寄与をいたしてまいりましたことは、御承知のとおりでありまして、今後とも同行の業務活動に期待するところはきわめて大きいものがあると考えるのであります。
 次に、今回提案いたしました改正法案の概要を申し上げたいと存じます。
 第一は、同行の業務として外国政府等に対し貸し付けられた民間資金にかかる債務の保証業務を追加することであります。東南アジア諸国等に対する経済協力の推進はわが国貿易の振興上きわめて重要な課題となっており、すでにインド、パキスタン等の諸国に対して数次にわたり借款を供与いたしておりますが、その供与にあたっては、民間資金の活用をはかるため市中銀行の協調融資を求めるのが例となっております。今回の改正は、市中銀行が日本輸出入銀行とともに外国政府等に対し、わが国からの設備等の輸入に必要な資金を貸し付けた場合、その協調融資分にかかる債務について日本輸出入銀行が保証することにより、市中銀行の融資を容易にしようとするものであります。
 第二は、同行の業務としてわが国からの設備等の輸入による債務の履行に必要な資金を外国政府等に対して貸し付ける業務を追加することであります。わが国からの輸入代命等の支払いが、その国の国際収支上の理由から著しく困難な場合に、その国の要請に応じて主要な債権国において債務の履行の繰り延べ等が行なわれることが確実と認められる場合には、日本輸出入銀行が当該債務国の政府等に対し、その債務の履行に必要な資金を貸し付けることができるようにするものであります。
 第三は、政府が予算で定める金額の範囲内において日本輸出入銀行に追加して出資できることとし、この場合において同行はその出資額により資本金を増加するものとしようとするものであります。輸出の振興をはかるためには、日本輸出入銀行の資金の充実が緊要であります。このため刑に御審議願っております昭和三十八年度補正予算におきましては、産業投資特別会計から日本輸出入銀行に対し六十億円を、昭和三十九年度予算におきましては同じく二百二十五億円をそれぞれ追加出資することといたしておるのであります。
 第四は、同行の業務範囲の拡大と業務量の増大に対処し、同行の業務の円滑な運営をはかるため、理事の定数を一名増加しようとするものであります。
 最後に、昭和三十八年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案について申し上げたいと存じます。
 この法律案は、昭和三十八年産の米穀につき、事前売り渡し申し込み制度の円滑な実施に資するため、米穀の生産者が、同年産の米穀を政府に対し事前売り渡し申し込みに基づいて売り渡した場合においては、同年分の所得税について、売り渡しの時期に応じ、玄米換算百五十キログラム当たり千七百五十円ないし千百五十円を非課税とする措置を講じようとするものであります。
 以上が国民金融公庫法の一部を改正する法律案外三法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ御聴講の上すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
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山中貞則#6
○山中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 各案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
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山中貞則#7
○山中委員長 これより税制金融等の基本施策について質疑を行ないます。
 総理におかれましては、本委員会の持つ歳入委員会としての特色に敬意を払われまして、特別の出席をいただきましたが、出席時間は一時間でございますけれども、予定時間十一時半に総理の遅刻の時間三分を足しまして、十一時三十三分までといたしますので、その間において十分の成果をあげられるよう、委員の御協力をお願い申し上げます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。
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佐藤觀次郎#8
○佐藤(觀)委員 先日、池田総理がわが党の横路委員の質問に対しまして、国民の利益になることならば自分はどんなことでもやるという、こういう発言をされました。私は、御承知のように、いま中共貿易がだいぶ問題になっておりますが、これはいま台湾と中共のどちらと貿易をやったほうがいいかということが問題だと思うのです。この間総理は、恩義もあるからということでありますが、恩義という問題と貿易の問題とは別個だと思うのです。そういうような場合に、日本の現在の事情を考えて、どのような処置をされるかということについて伺いたいと思うのであります。
 御承知のように、最近イギリスでは、アメリカがあのくらいきらっているキューバヘバスを百五十台売ったといわれております。イギリスほどがめつくやらなくてもいいけれども、現在の日本の経済の事情を考えて、思い切った施策をやるべきではないかというふうに考えております。私はそういう点から、韓国とか台湾とかいうような小さいものではなくて、もっと大きい見地から、総理はこの際考え直す必要があるのじゃないかと思いますが、総理はどういう御意見を持っておりますか、伺いたいと思います。
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池田勇人#9
○池田国務大臣 政府といたしましては、国家国民全体のための利益を考えてやらねばならないのであります。もちろん貿易の振興ということは、国家の利益になることはお話のとおりでございます。しかし国の安全と平和、長い目で見ての国の繁栄、世界の平和ということを考えますと、一国との貿易の増大のみというわけには参りません。したがいまして、私は日本の置かれたアジアにおける地位、また世界における日本の立場等を考えまして、近隣と仲よくすることはもちろんでございまするが、そういう広い大きい立場から中共問題を考えていこうとしておるのであります。もちろん中華民国政府とは、御承知のとおり日華平和条約を結んでおります関係上、しかもまたいまのアジアの情勢からいって、中共政権と中華民国との立場を考え、いますぐ思い切ったと申しますか——人によっては思い切った貿易を池田内閣はやつていると言う人もありましょう。私は政経分離の立場から、できるだけ貿易をふやしていこうという方針でただいまのところはやむを得ないのじゃないかと考えております。
 なお、イギリスがキューバにバス等を輸出したことにつきましては、これはイギリスの立場でございます。これに対していろいろの批判もあることを聞いておりますが、しかしそういうことは他山の石とすべきでございますが、イギリスがそうやったからといって日本が中共に特にどうこうということは、私はいま考うべきではない、われわれはわれわれの立場で中共と適正な民間貿易を進めていくことによって、相当の利益が上がるのではないか。御承知のとおり、昭和三十八年度は一億二千万ドル余りのものが出ました。これは前年に比べますと五割余りの増加、そしてまた前々年、二年前に比べますと三倍近く、ほとんど幾何級数的に近いほどの貿易の増加が見られつつあるのであります。私はこういうたてまえで中共貿易を進めていくことがいまの日本としては一番適正な方法と考えております。
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佐藤觀次郎#10
○佐藤(觀)委員 総理はアメリカとの関係もあるしとおっしゃるが、御承知のようにケネディがなくなってからのアメリカは、総理が考えている意味とはだいぶ違っている。ケネディとジョンソンとはだいぶ幅も違っているし、おそらくいまのアメリカ政府というのは、国内のことだけで一ぱいではないか、こういう中にあって、ちょうどフランスの中共問題が出てきまして、それと同時に、最近日本の貿易が、御承知のようにソ連、北鮮向けというような方面がふえてきたということは、二、三日前の新聞を見ればわかるわけでございますが、御承知のように日本のいまアメリカに出しているのは、写真機とかトランジスターとか綿業などというものが非常に多い、いわゆる軽工業が多いのですが、いま中共が求めているのは、やはりトラクターとか肥料、建築資材等で日本が売りたいというようなものが非常にたくさんあるという現状でございます。こういう点について、時期というのがあるので、現にオランダは中共と貿易を非常にやっておって、建築資材を盛んに輸出しているようでありますが、やはりあなたの党でも松村さんとかあるいは高碕さんたちは中共貿易に対して非常に熱意を持っておられます。そういう立場を考えるときに、あとでお伺いしたいと思いますが、日本は非常に不景気だという現状から考えて、やはりこの際思い切って、池田さんも三年も総理大臣をやっておられますから、もうそろそろ池田さんが何かこのくらいのことをやったということをやるべきだと思いますが、そういう決心がつかないのでありますか、お伺いしておきたいと思います。
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池田勇人#11
○池田国務大臣 日々これ新たに、新しいこと、そうして国のためになることはどしどしやっておきたいという気持ちで進んでおります。
 中共との貿易につきましても、額につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。お話の肥料、トラクターあるいは重工業品も出ております。肥料も五十万トン硫安換算で出たと思います。また鋼材も六百万ドルばかり出ております。御承知のとおりこっちも売りとうございます。向こうも買いたい、この気持ちは合っておりますが、何と申しましても、向こうは政府貿易でございます。そうして所有外貨にも制限がございますので、ほとんどバーター的になっているものでございますから、日本は売らないというのではない、向こうが買う能力がそれだけ十分でないということが実情だと考えるのであります。したがいまして、チンコムの制限を受けざる限りにおきましては、私は向こうに売るのにやぶさかではございません。ただ向こうの支払い能力を十分考えていかなければならぬということでございます。
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佐藤觀次郎#12
○佐藤(觀)委員 中共貿易はそれぐらいにいたしまして、最近非常に日本で目立っておるのは、貿易外の収支が非常に赤字が多いということであります。これは御承知のように、三十八年度で四億一千万ドル、それから三十九年度で大体四億五千万ドルぐらいの赤字が出るように計算されておるようですが、そうするとまごまごすると一年に十億ドルぐらいの赤字が出るのではないかといわれております。これは船舶などの問題についても、最近は船舶の合併の問題が出まして、おいおいということになるかもしれませんけれども、いわゆる貿易以外の赤字が非常にふえておるという現実はいろいろ矛盾が出ておるのではないか、この点について首相はどのようにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。
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池田勇人#13
○池田国務大臣 貿易外収支の赤字をできるだけ少なくするためにいろいろ私も考えまして、昨年措置いたしましたことは、いわゆるとん税、上屋の使用料の引き上げ、私はとん税を調べてみますと、日本のとん税は非常に安い。だからこれは大いに上げるべきだ。なぜ上げないかというと、やはり日本の船会社の収支があまり芳しくないから、船会社に直接相当の負担がかかるというので、とん税を各国よりも非常に安くしておった。ぼくはそれはよくない、各国並みあるいはそれ以上に上げてもいいじゃないか、そうして外国の船舶にもとん税の負担をよそ並みにさすべきだ、よそ以上にさしてもいいじゃないか、そして日本の船会社が困るのならば固定資産税を安くしろ、こういうことでとん税の引き上げをやった。これは金額にしてはそうたいしたものではございませんが、考え方としてそう進むべきだというので、昨年その措置をとったのでございます。しかしそれにいたしましても、その金額は微々たるものである。何としても貿易外収支の赤字のおもなる原因はやはり船賃でございます。毎年輸出入が一割以上ずつふえていく国は世界にほとんどございません。しかも日本の輸入は非常にかさが多いものばかりで、船賃でかかる費用は相当なものなんでございます。そこで私はまず第一に、船会社の整理、そしてまた日本の船をたくさんつくる。私は誤りであったとは申しませんが、いままで輸出のために、相当外国船の受注を受けて、年に百万トン余りも、平均で百万トン以上、いまは二百万トン以上になっておりますが、そういう船を日本でつくって外国に持たす、その外国の人が日本の品物を運んで船賃をとる、こういうことはよくない。輸出船は非常に輸出貿易の促進に役立つというので奨励したのですが、もう一ぺん考え直して、輸出船もさることながら、日本の船をつくったらどうだ、こういうことで昨年来私は強くこれを言っておるわけであります。したがいまして、船会社の整理ができ、そして政府がもっと力を入れていくならば、私は貿易外収支の赤字を少なくする上に一番必要だ。所得倍増計画で申しますると、大体輸出入の六、七割を日本の船で運ぶということになりますと、千三、四百万トンの船が必要であるのであります。私はそういう方向で船腹の増加をはかっていくべきだ、こういう方針をいま立ててこれに向かって進んでおります。またその他の貿易外収支の赤字はいわゆる特許料、金利等でございます。特許料なんかも、日本の戦争によりまする科学技術のおくれを取り戻すために相当やってまいっておりましたし、またそれも必要であったのであります。これを一がいにとめるわけにはまいりませんが、これは国内の科学技術の進歩によってだんだんこれが減ってくることをわれわれ期待いたしております。また金利の問題につきましては、日本の経済の成長のために、商売を繁盛させるのに銀行から借りるのも一つの手であります。これは適正な借り入れ金ならやむを得ない。これは今後減るとは考えられないが、ふえていくものはやはり船腹によって補う。また一方は観光事業でそれを補っていく、こういうことで、私はこの前本会議で、貿易外収支を黒字にするのには四、五年かかるだろうと言ったら、意外に長いというようにお考えになりますが、四、五年でなかなかこれはむずかしい。六、七年かかるかもわかりません。しかしそういう方向で、日本の長期に見た国際収支の均衡をはかるようにいまから強力に施策を講じなければならぬ。もちろん貿易の振興も必要でございますが、日本の置かれた立場では、戦前のごとく貿易外で黒字をとるということがやはり基本方針でなければならぬというので、そういう方向で今後強力に進んでいきたいと考えております。
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佐藤觀次郎#14
○佐藤(觀)委員 日本の貿易がうまくいかないという理由はいろいろあると思うのですが、もう一つは、大きな観点から言いますと、大蔵省と通産省とが意見が違う。非常に調整がうまくいっていないというようなことを聞きますが、総理はどういうようにお考えになっておられるか。それからもう一つ、昨年ブラジルに行きまして、例のウジミナスの鉄鋼の問題がありまして、いま大きな問題になっておりますが、こういうように計画的なことがない。途中でいままでの資金の三倍も要るというようなことになったらしいのでありますが、ブラジルのインフレの傾向もありますけれども、国として一定の計画性がないというようなそしりを免れないと思いますが、こういう点については総理はどういうようにお考えになっておられますか。
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池田勇人#15
○池田国務大臣 大蔵省と通産省と貿易その他の施策についてちぐはぐであるというお話でありますが、これは各省各省いろいろな考えを持ちますから、全部完全に初めから一致というわけにはいかぬ場合もございます。しかしそれは通産、大蔵の間でいろいろ連絡をし、そうして協調的立場で日本の産業、金融につきまして適正に私は措置されておると思います。もちろん背為替管理等が非常に窮屈であったときは、外資導入その他によりまして、時間的に相当むずかしい点があった場合もございますが、最近におきましてはそういう為替関係の問題も毎週一回両省で協議会を開き、そうしてまた重要な問題につきましては大臣間で協議し、またそれでまとまらないときは私が入っていく、そうして非常にうまく私はいっておると考えております。私は各省間でやはり通産省と大蔵省が一番話がうまくいっているのじゃないかというくらいに考えておるのであります。
 次の御質問のウジミナスの問題、これはお話のとおり、ブラジルにおけるインフレの南進によりまして、予定どおりいかぬ場合がいままで多かった。これはウジミナスの問題ばかりでなしに、ブラジルそのものの財政金融状態がああいう状態で、各債権国、ヨーロッパその他の債権国がブラジルの経済再建とインフレ防止のためにいろいろ手を尽くしております。こういう特殊の事情でございますので、予定よりも金がかかるということはこれはお話のとおりでございます。しかしせっかく手をつけたものが無駄になってはいけませんので、インフレの高進中におきましても、やはりウジミナス製鉄の完全な運営ができるように、増資の場合につきましても、向こうの持ち分の六〇%の増資につきまして、こっちが貸し付け金をやるとか、とにかく予定の規模で、予定の生産のできるよう、われわれとしては適当な助力をいたしまして、予定の生産のできるよういま努力いたしておるのであります。
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佐藤觀次郎#16
○佐藤(觀)委員 御承知のように、本日の新聞の経済欄を見ますと、三月危機というのが非常にいわれております。これは毎日毎日であって、私の愛知県などでも昨年の暮れから繊維業界はもとより中小企業が非常にたくさん倒れております。おそらくこれはきょうの新聞にも日銀の総裁の大丈夫だろうということが出ておる。政府があぶないということは言いっこないのですから、政府関係者は大丈夫、田中さんも何とか融資をしてということになっておりますが、非常に危機が迫っておる。三月危機は三月でなくて二月にすでに来ておると言われております。こういう点については私はやはり高度成長の失敗が原因だと思う。池田さんが大丈夫だ、大丈夫だと言っておられますけれども、何といっても高度経済成長政策の失敗、そのひずみがここにあらわれておると思うのでありますが、考えを直す御意思はありませんか、伺いたいと思います。
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池田勇人#17
○池田国務大臣 三月危機ということが一番強く叫ばれたのは、昭和二十五年の一月、二月、三月でございます。これがなぜ起こったかと申しますると、昭和二十四年に、いわゆる第三次吉田内閣で、私が大蔵大臣としてあのインフレを防止するために非常な強力な超均衡財政をして非常に不景気にしたときでございます。これは日本の経済立て直しのために非常ななたをふるったその余波が来まして、二十五年の三月に中小企業の大危機と叫ばれたのでございますが、しかしこれは首尾よく通過いたしました。だからいま高度成長だから三月危機が来るというのじゃない。不景気政策をやったときのほうがもっとひどくくるわけなんです。その後数回にわたって三月危機というのが出てまいりました。三十三年の三月、またさかのぼりますと二十九年の三月、こう出ておりますが、いままでずっと切り抜けておる。危機ありというときにはなかなか危機がないのです。通り越えられるものだ。うっかりしていると危機がくるということがある。私は日銀総裁のきのうの話は、日銀総裁として相当自信のあることばだと考えております。高度成長によって危機があるのじゃない。今回の倒産の問題は、私は予算委員会でも申し上げましたが、個々の会社をずっと見てみますと、かなりいわゆる思惑の点があったのじゃないか、そうしてまた主として繊維関係ともう一つ特殊な化学関係でございますが、この繊維関係というものがどうもいつも三月危機、中小企業の危機ということになると一番先端を行くわけです。ことにことしは暖冬異変あるいは取引関係でこういうのが起こったと思うのでございますが、個々の会社を大蔵省の報告から見ますと、かなり思惑の点もあった。そしてまた思惑をやったんだからいかぬというので、銀行がまたひどく引き締めた場合もある。だからそういう原因を究明いたしまして、私は三月のいわゆる危機の起こらないように、いま万全の方策を大蔵省、日銀でとってもらうように進めておるのであります。もちろんこういうことは避けなければなりませんが、これが経済の成長によってくるものだとすぐお考えになることはいかがなものか。そして昭和二十五年にもあったので、不景気のときにもくるのであります。その点はそのときの様子を見てあれしなければいかぬ。いま大蔵大臣のメモによりますと、百億円のオペをやるし、また中小企業関係に別に百億円の融資をする、こういう手配をしておるようでございますから、ひとつ全知全能をしぼりましてその危機を乗り越えたいと考えております。
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佐藤觀次郎#18
○佐藤(觀)委員 池田総理の周辺は金持ちばかりですから、そういうようなのんきなことを言われますけれども、思惑ではいけないといっても、思惑をやらせるのは、やはり政府が所得倍増なんてできもしないことを盛んに言うからそうなるわけです。現実にはやはり物価がどんどん上がってきている。三十八年度のように七・六%も上がってきておれば、十年たてば物価も二倍になりますよ。こういうひずみがあるということを総理は率直に認められて、経済のことはおれにまかせろと言われました。けれども、このごろはその自信はなくなりましたかわかりませんが、総理はやはり謙虚な気持ちになって——実際私どもの愛知県は繊維関係が多いから、一ぺん池田さんに来てもらいたい、一ぺんこの姿を見せてやりたいというくらい強く言っているわけです。池田さんはいつも不景気のときにぶつかって非常にお気の毒でありますけれども、やはりもっと考えていただきたい。
 それからいま不渡りの手形が出ておりますが、これは空前絶後と言われるくらいの大きな不渡り手形が出ております。戦後最高だと言われております。おそらく池田さんや田中さんたちには、これは雲の上のような生活ですからわからぬかもしれませんが、私たち大衆の目から見ればこれは非常にあぶない点があるのじゃないか。だから私たちは全部が全部池田さんの罪だとは言いませんけれども、しかしやはり何と言っても総理でございますから、手形の問題も私はある程度責任を持ってもらわなければならぬと思っております。いまはお産手形とか台風手形とかいって、昔は一年に二回くらいで決済したのに、一年に一回の決済しかやらぬというようなルーズな生活になっております。こういう点もやはり直していただきたいと思うのでありますが、手形の問題を私は考えてもらいたい。これは田中さんがこの間加藤清二君の笠岡に対して刑罰を科すると言っておりますが、刑罰を科すれば直るというものじゃない。やはりそういう原因をつくらないような経済状況にしてもらわなければ困ると思っております。
 時間がありませんから、あとで野原君からいろいろ質問があると思いますが、私はもう一つ最後にお伺いしておきたいのは、いまのところ税制調査会がいろいろ問題になっております。しかし税制調査会の問題でも、取りてしやまんという声があって、非常に過重な税金を取るような傾向がまだある。同時に御承知のようにいまの苦しい中小企業者には徴税はなかなかきびしいという現実も私は知っております。池田総理は主税局長から大蔵大臣とずっとやられた経済専門家でございますが、租税の問題についてももう少し考えていただきたいと思うのでございますけれども、その点はどうでございましょうか。
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池田勇人#19
○池田国務大臣 手形の問題でございますが、七夕手形とかお産手形とかいろいろあるようでございます。これはいまに始まったことではございません。もう前からあるのでございますが、これは何と申しましても商売人は自分の資産以上の手形を出すということはいかがなものかと思います。それで刑罰論も起こり、また外国ではそういうことをやっているところもあります。しかしこれは刑罰でもってどうこうということはなかなか困難で、やはりその人の良識による以外にはないと思います。不渡りの出るようなことをすること自体がもう思惑なんだ、そういうことはよくない、こう私は思っております。だからこれは今後におきましても、いまの支払遅延防止法その他を活用して、そしてみんなが能力以上の不渡りの起こる手形を出さないような気持になってもらう以外にはないと思う。また商売をしている方々でございますから、ある程度の不渡りがあるにしても、それは銀行との話し合いで何とかそれがすぐ不渡りになって破産に導くようなことのないように、銀行もやはり公的な気持でやっていただくべきだと思う。しかしこれは予算委員会で申し上げましたように、政府といたしましては、支払遅延防止法とかいろいろな既存の法律の適用を考え、また銀行の指導もいたしまして、そういうことがあまり多く起こらないようにつとめていかなければならぬと考えておるのであります。
 なお税制調査会の問題につきましてもいろいろ批判があると思います。私も一部の新聞のふに落ちぬことがあるということを言ったと思いますが、こういうものは政府関係ばかりではなしに、やはり民間の有識者の意見を聞き、また民間の有識者の調査会が一般の人の意見を聞いて、そして一番大切な、国民の利害休戚に一番関係のある税制をみんなの納得のできるようないい税制にしなければならぬということは、これは政府としてつとめなければならぬことでございます。今後におきましても調査会の委員の方々とよく相談いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
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山中貞則#20
○山中委員長 野原覺君。
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野原覺#21
○野原(覺)委員 時間が限られておりますので、きわめて簡潔にお尋ねしたいと思うのであります。
 まず第一は予算編成のあり方について、総理の御所見をを承りたいと思いますが、私、いつも感ずるのでありますが、毎年、年の暮れになりますと、政府は予算を編成する。その予算編成のあり方を見ておりますと、各省の役人が自民党の各省に属する部会を組みまして、ちょうどプロレスのタッグマッチのように大蔵省に乗り込んでいって、圧力をかけて予算をふんだくっておるのです。私はそういうあり方を見て、そういうあり方で予算が作成されましても、結果において——国会の審議でなるほど予算委員会は開かれております。予算委員会が幾ら審議をしても、今日の国会では事実上修正をするということは困難な状態ですね。国民としては聞かなければならぬ問題もあるし、国会の審判に待たなければならぬ重要な問題がたくさんあるわけでございますが、それらの問題はなるほど議論としてはなされまするけれども、完全にたな上げされてしまって、実際は国の大事な予算が、予算のぶんどりで事実上決定されておる。このことについて総理はどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お考えを承っておきたいのです。
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池田勇人#22
○池田国務大臣 議会政治、民主主義の予算であらねばならぬ関係上、やはり与党の公約その他、意見を聞くことは私はやむを得ないことであり、またそうしていくことがよりよい予算ができることだと思います。ただ、お話のとおり、一部の人の圧力で予算がどうこうなってはいけない。それは大蔵大臣や閣議におきまして、十分これを検討して最後の決定をするわけでございます。
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野原覺#23
○野原(覺)委員 なるほど政党政治でございますから、与党の意見が予算に盛り込まれるということは私も了解できます。しかしながら、総理の率直な御見解を私はただしたのでありますけれども、事実はなかなか与党の公正な意見ではないのですね。これはあなた自身も腹の中ではいろいろお考えがあろうかと思います。私がここで申し上げておきたいことは、国民の批判に待たなければならないような重要な問題、たとえば農地補償の問題があったのです。これはほんの一例でございますけれども、たくさんの問題があるわけですね。そういう問題が実際は幾ら予算委員会で論議をされても、本会議でどのような審議がなされても、あるいは新聞がどのような批判を加えても、なかなかこれが国政に反映をしていないのです。このことに対して国民は非常に割り切れない気持を持っておると私は思うのです。池田さんは何とかして国会を国民の信頼の場に持っていかなければならぬ、政治が国民から信頼されなければだめだ、これが立憲政治のあり力であるし、私は政党政治のあり方ではないかと思うのでありますが、そういう点から考えて、私は今日の予算ぶんどりの実態はきわめて遺憾にたえない。このことはあなたが自民党の総裁でもございますから、これ以上の答弁を私は要求しませんけれども、この点については総理としては慎重な御検討を将来行なっていただきたいということを要望しておきたいと思うのであります。
 その次にお尋ねしたいことは、アメリカのジョンソン大統領が一般教書の中で、総理も御承知のように、貧乏追放を提唱されました。そうしてジョンソンは国防費の十億ドルを貧乏追放のために削減するということを声明されておるのであります。片一方ソ連のほうでも、フルシチョフが国防費の削減を提唱しておる。世界のどこの国を見ても、今日国防費が削減されている傾向を示しておるにもかかわらず、ひとり日本だけは国防費が毎年ふくれていっておるのであります。これは一体どういうわけでございますか、承りたい。
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池田勇人#24
○池田国務大臣 予算のあり方につきましては、今後というお話でございますが、いままででも私としては十分世論の動向を考えながらやっておるのであります。いま話題にのぼりました農地の報償の問題につきましても、世論の調査を十分いたしまして、最後の決をいたすつもりでおります。私が一部の人に押されてどうこうというんだったらずっと前にやっておるはずであります。なかなか押されはいたしません。私の信念でやります。
 次に、国防費がよその国は減りつつある、こういうことでございますが、大体国の防衛費は日本ほど少ないところはない。アメリカにいたしましても、予算の中で半分以上国防費をとっておったということは御承知のとおりでございます。ソ連においても相当なものでございます。日本は国民所得の一・三%、どこの国にそういう防衛費の少ない国がございましょう。そこでわれわれとしては、自分の国は少なくとも自分の力でできるだけ防衛したいということで、経済の上昇、国力の伸展に応じて漸増するという方針にいたしておるのであります。しこうして今回防衛庁の予算が三百六十億ふえておりますが、このうち、内容を見ればおわかりいただけると思いますが、人件費の増加でございます。人がふえたわけではございません。俸給と食費の増加がその半分近くを占めておるという状態でございまして、日本の国防費がこの程度ふえるということは、外国の人から見れば、ふえようが少ない、大体もともと少ないじゃないかという議論が定説でございます。しかしわれわれは憲法の命ずるところに従いまして、われわれは憲法に違反しない程度で最低限にして最大限、こういう考え方でおるのであります。今回ふえたからといってそう世界の大勢に逆行するというようなことでなく、もともと日本は少な過ぎるということを申し上げておきたいと思います。
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野原覺#25
○野原(覺)委員 総理も御承知のように、日本は平和憲法のたてまえをとっております。たてまえではなしに、憲法第九条は明らかに軍備を禁止しております。そういう国の日本の国防費と、そういう憲法を持たない外国の国防費を比較して議論をされるということは、私ども納得できないのであります。そもそも憲法に対するあなたのお考え方というものはいかがなものかということをいつも私ども指摘してまいったのであります。
 そこでお尋ねをいたします。それではあなたのおっしゃることをそのまま肯定したといたしましても、どれだけの防衛措置が今日の日本には必要なんですか。あなたは国民所得に対する割合でいつも議論をされますが、どこまでいけば日本の防衛措置というものは十分なのでございましょうか。この点を承っておきたいと思います。
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池田勇人#26
○池田国務大臣 防衛は、私が申し上げておるように、日本の防衛に必要な最小限度にとどむべきだ。それはやはり人口の増加、国の発展等によりまして、限度はこれこれというべきものはございません。私は国力の増進に伴って最小限度の防衛費というととでいっておるのであります。いまの国防費の予定は、第二次防衛計画によりまするあの計画に沿った防衛費をつくろうとしておるのであります。今回ふえた原因というのは、給料関係その他のものが相当部分を占めておる。ことしふえたからといって、第二次防衛計画以上にやってはいないということを申し上げておきます。
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野原覺#27
○野原(覺)委員 そこで日本にとって最低限の自衛措置、これは総理がいつもそういう御答弁をされておる。あなたの最低限の自衛措置は毎年毎年上がってきておるわけです。どこまでいったら最低限なのか、われわれにはわからない、国民にはわからぬのです。だから日本にとっての最低限の自衛措置というものはどの限界でございますか。どこまでいったらいいのか。もっと具体的に言えば、アメリカもソ連も核ロケットを持っておりますね、その段階までいくのでございますか。一体どこまでいけば総理としては最低限の自衛措置だというお考えをお持ちになられますか。お伺いしたい。
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池田勇人#28
○池田国務大臣 最低限の自衛措置は第二次防衛計画できまっております。われわれはいまその計画どおりにやっておるのであります。しこうしてこれは四十一年まででございますが、その後におきまして第三次防衛計画をつくりますときには、そのときの状況を見まして、世界の情勢その他を勘案して最低限の防衛費を計画するつもりであります。
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野原覺#29
○野原(覺)委員 第三次防衛計画が完了すれば第四次防衛計画と発展するのでしょう、あなたのお考えでいけば。それから第五次の防衛計画に発展をしていく。そこで国民が疑問に思うのは、一体その限界はどこなんだということなんです。もちろん、日本は核兵器は持たないということもあなたはしょっちゅうおっしゃっておるわけですから、私は、核兵器、ロケットを持つまでが限界だという御答弁はあなたもなさろうとは思いませんが、何かしらん、やはり池田総理のお考え方の中には、第三次防衛計画はこの年度まで、これがきたらここまで、という一つの考え方を持っていらっしゃるように思う。お示し願いたいのです。
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