早川崇の発言 (地方行政委員会)
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○早川国務大臣 暴力団の増加、五千団体、十六万人といわれるわけでありますが、現代の法律では、御承知のようにこういう団体を解散さす憲法的な規定がございません。西ドイツにおきましては、構成員が多数犯罪を犯した場合には、その団体を憲法上解散する権限を与えております。そういう関係で、西ドイツには暴力団の存在はほとんどありません。イギリスにおきましても暴力団といわれるものは非常に少ない、皆無に近いのであります。それに比べまして日本では、いわゆる暴力団、暴力組織というものがかなり目立ち、また暴力犯罪の三割近くは暴力団員の手によって犯されているということも数字上出ておるわけであります。
そこでこれをどうするかという問題でございますが、私は二つ考えなければならないと思うのです。一つは暴力というものは引き合わないんだということを徹底さすことであります。それに対しては日本の現在の刑法あるいは裁判の判決というのが、強盗殺人とか、そういう財産にからんだあれははっきり法律で無期または死刑となっている。一般の殺人、傷害、暴行その他は、戦後いわゆる人権思想といいますか、教育刑思想というので、非常に軽い。人を殺しても仮釈放、恩赦その他を含めますと、統計上三年という数字が出ている。単なる暴力殺人の判決は七年平均ですけれども、実際牢屋に入っている期間は三年という統計数字も出ておる。傷害につきましては御承知のようにこれまた体刑率が非常に低い。暴行に至りますと、〇・六%程度より自由刑にならないというわけでありまして、いわば暴力というものは引き合う——引き合うということばが語弊がありましたならば、殺されたり被害を受けたり恐喝された人の人権は永遠に返らない、しかしそういった無法なる者に対する人権保護というものは世界で一番完全だ、これでは暴力犯罪もなくならない。したがって私は行き過ぎた人権思想が、結局無法なる者の人権を尊重するあまり、善良なる市氏の人権は無視され過ぎているのが現在の世相ではないか、だから、こういう点を改めなければならないというので法務省から提案しておるのが、いわゆる凶器を持った傷害、犯罪、常習暴力に対して刑罰を強化する暴力行為等処罰に関する法律の一部修正案であります。そのほかいろいろあるでしょう。暴力犯罪に対してはピストルとか銃砲刀剣所持禁止法という法律がある、これもピストルや日本刀をしょっちゅう持っておりましても罰金三千円、五千円という判決が非常に多い、最高は三年あるのですけれども……。これもその程度では抑制的効果を持たない。この銃砲刀剣類所持禁止法の処罰をどうするかという問題、これは非常に有力な法律であります。そのほか裁判が非常に長引きますので、ポリス・コートといいますか、一部の学者においては諸外国でやっているように。ポリス・コートという制度を設けてこの迅速化をはかっていくということが、暴力排除に大きい役割りをするのではないか、これは法務省当局でも検討を願っておる問題でございます。こういった立法的な裏づけをやりながら、暴力は引き合わないという態勢をつくっていく、これが一つであります。もう一つは、国民の間に、憲法におきましては、対外関係においては暴力を使わない、武力すなわち暴力です。ところがこの憲法の精神が、国内の紛争処理においては暴力を使うという矛盾した風潮がある。私は、新憲法は国内問題にも紛争処理をするには暴力手段を使わないということが国民に徹底することが大事だと思うのです。幸い国民に小暴力の追放、暴力排除という機運が、憲法の精神のとおり非常に上がってきておるわけでありまして、そこで警察当局としてはこの要望にこたえるために、いままで末梢的に、ちょっとハエを追うように、事件が起こったときにつかまえる、ところが刑罰が軽いから、じき権利保釈で出てくる、これでは片づかないと思う。そこでその組織の核心にメスを入れる、常時その動向を内偵調査する、そして未然にそういうことを防いでいく、また麻薬その他の資金源というものも断ち切っていく、最近は刑事だけではいけないので、刑事、保安、警備という三局が一つの暴力対策本部を設けまして、いま警視庁はじめ全国二十府県に、いままでは刑事だけだったのですが、少なくとも刑事に警備、保安を加えまして、暴力組織の犯罪を防止する対策本部を設けるという指示を、すでに管区局長会議でやったわけでありまして、そうすることによって、これは簡単にはまいりませんが、本年度の大きい警察庁の目標として取り組んでいこう。
それからもう一つは交通事故でございます。一万二千人の死者、三十数万人の負傷者、これによる家族の悲嘆、私は非常に大きい問題だと思う。そこでこれを本年度半減さす方法はどうか、それにはどうするかということで、交通担当者で目下具体案を検討いたしておるわけであります。この面も暴力犯罪よりはもっと単純な問題でありますから、もっと科学的に、ここの踏切には死者が多い、歩道のところをどうする、あるいは取り締まりの警官をどう配置するとか、いま緻密に対策を立てておるわけでありまして、何とか、半減できなくても、その目標を立てることによって一割でも二割でも減れば、これほど幸福なことはないわけでありますから、暴力と交通事故半減ということを本年度の最大の課題にして取り組んでおる次第でございまして、なお警察庁長官から、暴力根絶に対する要綱につきまして補足説明をしていただきます。