与謝野秀の発言 (オリンピック準備促進特別委員会)
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○参考人(与謝野秀君) インドネシア及び北朝鮮の参加問題に関連いたします問題を御説明申し上げます。
先般、九月十五日のこの会議におきまして、インドネシア及び北朝鮮の参加問題についてできるだけ力を尽くせというお話もございました。組織委員会のほうでもひとつ、もう一度ロンドンまで行って、組織委員会としては正式に国際陸連から通告を受けてないんだから、いろいろ話し合ってこないかということでございましたので、九月の十八日にまずシカゴに参りまして、シカゴにおられたオリンピック委員会会長のブランデージさんと一晩懇談いたしました。ブランデージさんのまず意見をただし、日本側の気持ちというものを伝えたのであります。ブランデージ会長は、そのときに、日本ができるだけ多数の国の、またできるだけ多数の選手を迎えたいという気持ちはよくわかる、自分は国際競技連盟の役員でなく、これは国際競技連盟の規約によるものであるけれども、自分としてもこの経過については時々報告を受けているからよく知っている、しかし、忘れてならないのは、スポーツの世界ではやはりルールの尊重ということであって、これがくずれるとすべてが成り立たなくなるんだと、こういう意見を自分は持っている、まあロンドンに行って、ひとつ、ぜひあなた方の考えも披瀝したらいいじゃないか、こういうことでございました。
そこでロンドンへ参りまして、九月二十一日の月曜日に、国際陸連の会長のエクゼター公と陸連の名誉主事のペイン氏同席のもとに、グロブナー・ハウスで約一時間半にわたりまして、いろいろ懇談をいたしました。エクゼターさんに、日本側としてはまあこういう気持ちをみんなが持っているのだが、陸連の決定というものが伝えられている、しかし正式に組織委員会としてはこれを聞いてない、日本の陸連に通告があったのだが、日本側のこれから起こってくるいろいろな問題もあるので、ひとつ話し合いたいと言って、実情を説明いたしましたところ、実は自分のところにも多数の陳情書が来ている、だからおまえの言ったことはみんな知ってるんだという前提でいろいろ話をされた。
結局、これは自分一個がきめたことではない、ともかく一たんガネホに参加した選手は一年間資格を停止するという決定をしたが、これをまた変えるかどうかというような問題も起きているので、十二人の理事にそれぞれ書面で意見を徴した、そうしたところが、八人はこれは絶対に変えるべきではない、三人は再考したらどうか、一人は条件つきで再考すべきである、こういう意見であったと、こういう話で、まず、これは自分一個の独断的な決定ではないということから、国際陸連がなぜこういう措置をとったかという説明を、いろいろ書いたものまで用意されて説明されたのでありますが、要するに、国際陸連のように百二十三の加盟国を持っているような大きな競技団体では、やはりルールの尊重ということがどうしても大切なんで、これをくずせば、この百二十三の加盟団体は統一した一つの団体としてやっていくことができないということが一つ。
それで、このルールというものは何かというと、国際陸連のルールに、加盟していない国の団体と競技をしてはいけないという規則がある、そしてガネホの場合、こういう規則があるから、これに参加した選手はオリンピックには出られなくなるぞという警告をたびたびしていた、しかも、その警告を破ってガネホに参加した選手が多数出た、そこで、自分個人としては、当の選手に何ら罪のないことはよくわかっている、しかし、無理に出場させた団体が国際陸連の規約を無視したのである、当の選手は罪がないから一年間の出場停止をしたということで、あとは資格を解こう、しかし、その資格を解くという決定は、日本のオリンピックの最後にある国際陸連の総会で確認されることになる、そういう話でございました。
また、一年間を十一カ月に、いわば減刑したならば、オリンピックにも出られていいんじゃないか、こういう議論もないではないのだが、実は自分たちとしては、オリンピックにも出られないというようになることで初めて、一種の訓戒といいますか、そういう価値が出てくると思う、それを、オリンピックにも出てよろしいということなら、初めからこういう措置もとらなかった、こういうことで、やはり一年というのが妥当ということで、ただ、日本側が多数の選手、多数の国家の参加ということを期待されているということは自分としてはよくわかる、この決定をもうくつがえす時期がない、十月八日に東京で理事会があるけれども、これはもう議題にならないので、十月二十一日でありますか、その総会で、この決定が妥当であるか不当であるかということで議題にのぼる、こういう活でありまして、結局、国際陸連の最終的態度ということを確認して帰ってきたような次第でございます。
その後のインドネシアの問題及び北朝鮮の問題を簡単につけ加えて御説明申し上げたいのでありますが、インドネシアの選手がどういうふうに参加するか、こちらにインドネシアのアタッシェがおりまして、インドネシアは、予選がすでに済んでおるホッケー、またみずから水上連盟から脱退しているにかかわらず、ウオーター・ポロの選手というか一部の選手を送ってくる、また、個人的な資格が疑われる、つまりガネホ参加選手も送ってくるということでございましたので、これはこういうわけだ、これはこういうわけだということで、出場できないぞという説明をいたしたわけであります。つまり、ホッケーのほうは話がついて、予選が済んでいますが、予選に入っていたアラブ連合が辞退し、その補欠の第一位であったタンガニーカがまた辞退しまして、いまオーストリアとアメリカが残っております。この二つが辞退するならば、ホッケーはインドネシアが飛行機で飛んでくれば出場できるのである、これは別にガネホ問題とは関係がないが、しかし予選が済んでいるものを送ってきてもだめだということ、それから水泳は、何もガネホと関係ない場合でも、自分のほうから国際水連を脱退しているのだから、やはりオリンピックに出られない、こういうことを説明したのでありますが、去る二十五日に、スワギオ選手団長以下四名の役員が東京へ着きました。
夜おそかったわけでありますから、IDカードというものを持たずに普通の公用旅券で参ったのでありますが、選手村に案内して、かりに泊まってもらった。そうしましたら、翌日私をたずねて参りまして、IDカードのないのに選手村に泊まるのはちょっと自分としても心苦しい面もあり、本国の意向もまだはっきりしないから、きょうからインドネシア会館へ移る、われわれとしては、かりのIDカードでも発給して選手村へ残っていただいてもけっこうだと申したのでありますが、向こうのほうからインドネシア会館へ移ったのであります。続いて二十八日、一昨日、また団長が私をたずねて参りまして、きょう第一陣の選手団が着くということと、ホッケー、水球は本国のほうで選手を送らないらしいということを申し入れました。ただ、IDカードを持っているかどうか、そういう点がまだ全然はっきりしない、簡単な伝言が本国から来ているだけであるということで、とりあえず飛行場からインドネシア会館のほうへ連れていって、すべての問題がきまってから選手村へ移るということでありました。私のほうからもお迎えが出たのでありますが、インドネシア会館に第一陣が収容されました。また昨日、午後五時に第二陣の選手団が着きました。それには、報道陣、またスポーツ大臣のマラディ氏その他も一緒の飛行機で着いたのであります。そこで、選手団はまたインドネシア会館へ、マラディ大臣その他は帝国ホテルへいま泊まっておられます。それが昨夜の状況であります。
ところが、競技種目によっては、きょうがその参加申し込みの締め切り日になっているものもあるのであります。そこで、けさ早くからインドネシア側から、いま参加申し込みを準備中だから、きょう午後私のところへそれを持参するから会いたいということでありました。それをいま整備しているからちょっと待ってくれというので、私もできるだけ早く、委員会が終わりましたならば事務所へ帰りたいと思っている。インドネシア側とまだ懇談が残っているわけであります。
今後の見通しにつきましては、必ずしも明かるいということをいま申し上げるわけにはいかないのでありますが、インドネシア側も、非常に慎重かつ丁重に、いろいろとものごとを扱いたい、IDカードが着いていなかったということも、初めはそう言っていたのでありますが、IDカードも持ってきたということがやっとさっき、一括に持っているということもわかったような次第でございまして、今後この問題はどう発展いたしますか、いまここではっきり申し上げるまでにまだ至らない。マラディ大臣が着きましたあとに、その意を受けた団長と、きょうの午後これから会わなければならない。これが現状でございます。
次に北鮮の問題でありますが、北鮮の問題は、やはり裏で、インドネシアの問題、つまりガネホの問題でつながっているのであります。インドネシアと違いまして、北鮮は日本と国交のない国でございまして、当初からいろいろな点でむずかしい問題があったのは、当委員会でもたびたび問題になりまして御承知のとおりでございます。オリンピック組織委員会としては、これはオリンピックのことで、スポーツのあれであるから、できるだけのことをして選手を迎えたいということで、政府にも相当無理を願いまして、いろいろな方法をとりました。たとえば、香港を回って来いといいますと、イギリスの査証が出なければこっちで何日も待たなければならないとか、北鮮から香港を回って来るのには、十日以上もかかるというような実情でありまして、やはり何とか清津から新潟その他の港へ着港させる例外を認めてくれということで、政府側の了承も得たわけでございますが、まだ国交のない国の人ですから、IDカードといっても一種の渡航証明のようなもの、つまり、みな私が身元引き受け人になるのであります。これをどこでとるかということになれば、香港までとりに行ったら、また同じになってしまう、そこでどこがいいかというと、向こうの意向で、モスコーがかえって飛行機に乗るのに便利だということであります。しかも、一人々々が出頭しないでも、代表が行ってそれをもらえるという措置も講じまして、現在選手はすでにID
カードは出て手にしているのであります。いつでも船があれば新潟へ来られる状況になっているわけであります。ただ、観客のほうは、やはりそう無制限に来られても困るというので、大体百五十人を認めるということで、ただこれは選手と違いまして、手続が少しやかましいのでありますが、こちらとしてはできるだけ敏速に事を運ぶというので、書類を送るのに一番早い日にちは北京の北鮮の大使館に送ることだということに結論が出ましたものですから、そこへ送る。その書類をとって、これを日本側に送ったなら、こちら側でオーケーをして、そのオーケーをモスコーにとりにいく、そういうあれでありますが、向こうが早合点をして、選手と同じようにモスコーへいきなりとりに行っちゃったものでありますから、いま電報でいろいろ折衝しているような状況であります。
つまり、これだけ組織委員会としては、北鮮の選手団を迎えるためには努力したのでありますが、ただ一つ、いまのガネホの問題がひっかかってきたのであります。つまり、北鮮の金メタル候補の辛金丹嬢はジャカルタのガネホに出ている。そこで、国際陸連の制裁と申しますか、出場停止処分にあっている。しかも、これに関して幾多の陳情書が国際陸連に出ておりまして、われわれのところにも出ておりますが、これがやはり撤回されない。北鮮としては、辛金丹嬢が出ないのなら選手全部を送らないという声明をしたのでありますが、これはまた、東京にいる北鮮系朝鮮の人々がせっかく選挙を迎える準備をしているのに一人も来ないのでは、これは絶望という状況でありまして、われわれとしては、これはたった陸上競技の選手だけで済む話じゃないか、ほかの種目にもみんな参加できるのでありますから——北鮮の場合は水上も制裁がないのであります。そこで、ともかくできるだけ選手を送ってほしい、こっちは迎える用意があるのだ。辛金丹嬢が国際陸連の決定で参加できない場合は非常に残念であるけれども、しかし、ほかの人たちは、これだけわれわれが努力して来られるようにしたのだから来たらどうか、現に、日本で一ぺんも上がったことのない北鮮の旗がオリンピックの現在の選手村には上がっているのであるから、せっかく旗まで上がっているのに一人も来ないということは、北鮮系の人たちにとっても非常に残念なことであろう、こういうふうに私どもは説いているのでありますが、まだ北鮮側も最後的決定をしていない。やはり辛金丹を——オール・オア・ナッシングという態度を変えていないのでありますから、これから先どういう態度に出ますか。おそらく、インドネシア側と同じ立場に立つものでありますが、お互いに相談し合って態度をきめるのではないか。近く私は、新潟へ船が来て、選手団が一応東京へ着くことになるのではないかと思っておりますが、ただ、辛金丹嬢の出場というものは、やはり国際陸連の決定がひっくり返らない限り、また、ひっくり返る見通しはないと思っておりますが、ちょっといまのところ実現がむずかしい。以上が現状でございます。
今後、これに関連して、いろいろな問題が起きてまいるかと思うのでありますが、現状を簡単に御説明申し上げます。