オリンピック準備促進特別委員会

1964-09-30 参議院 全22発言

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会議録情報#0
昭和三十九年九月三十日(水曜日)
   午後一時十四分開会
  —————————————
   委員の異動
 九月十九日
  辞任      補欠選任
   鬼木 勝利君  柏原 ヤス君
 九月二十八日
  辞任      補欠選任
   柴谷  要君  光村 甚助君
  —————————————
 出席者は左のとおり。
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           河野 謙三君
           岡田 宗司君
   委員
           小柳 牧衞君
           天坊 裕彦君
           安井  謙君
           山本 利壽君
           伊藤 顕道君
           田中  一君
           光村 甚助君
           柏原 ヤス君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       鈴木  武君
  参考人
   オリンピック東
   京大会組織委員
   会事務総長   与謝野 秀君
  —————————————
  本日の会議に付した案件
○オリンピック東京大会準備促進に関
 する調査(インドネシア・北朝鮮選
 手参加問題に関する件)
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佐藤尚武#1
○委員長(佐藤尚武君) ただいまよりオリンピック準備促進特別委員会を開会いたします。
 オリンピック東京大会準備促進に関する調査を議題といたします。
 本日は、インドネシア、北朝鮮選手のオリンピック東京大会参加問題について与謝野事務総長から説明を聴取いたします。オリンピック東京大会組織委員会事務総長与謝野秀君。
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与謝野秀#2
○参考人(与謝野秀君) インドネシア及び北朝鮮の参加問題に関連いたします問題を御説明申し上げます。
 先般、九月十五日のこの会議におきまして、インドネシア及び北朝鮮の参加問題についてできるだけ力を尽くせというお話もございました。組織委員会のほうでもひとつ、もう一度ロンドンまで行って、組織委員会としては正式に国際陸連から通告を受けてないんだから、いろいろ話し合ってこないかということでございましたので、九月の十八日にまずシカゴに参りまして、シカゴにおられたオリンピック委員会会長のブランデージさんと一晩懇談いたしました。ブランデージさんのまず意見をただし、日本側の気持ちというものを伝えたのであります。ブランデージ会長は、そのときに、日本ができるだけ多数の国の、またできるだけ多数の選手を迎えたいという気持ちはよくわかる、自分は国際競技連盟の役員でなく、これは国際競技連盟の規約によるものであるけれども、自分としてもこの経過については時々報告を受けているからよく知っている、しかし、忘れてならないのは、スポーツの世界ではやはりルールの尊重ということであって、これがくずれるとすべてが成り立たなくなるんだと、こういう意見を自分は持っている、まあロンドンに行って、ひとつ、ぜひあなた方の考えも披瀝したらいいじゃないか、こういうことでございました。
 そこでロンドンへ参りまして、九月二十一日の月曜日に、国際陸連の会長のエクゼター公と陸連の名誉主事のペイン氏同席のもとに、グロブナー・ハウスで約一時間半にわたりまして、いろいろ懇談をいたしました。エクゼターさんに、日本側としてはまあこういう気持ちをみんなが持っているのだが、陸連の決定というものが伝えられている、しかし正式に組織委員会としてはこれを聞いてない、日本の陸連に通告があったのだが、日本側のこれから起こってくるいろいろな問題もあるので、ひとつ話し合いたいと言って、実情を説明いたしましたところ、実は自分のところにも多数の陳情書が来ている、だからおまえの言ったことはみんな知ってるんだという前提でいろいろ話をされた。
 結局、これは自分一個がきめたことではない、ともかく一たんガネホに参加した選手は一年間資格を停止するという決定をしたが、これをまた変えるかどうかというような問題も起きているので、十二人の理事にそれぞれ書面で意見を徴した、そうしたところが、八人はこれは絶対に変えるべきではない、三人は再考したらどうか、一人は条件つきで再考すべきである、こういう意見であったと、こういう話で、まず、これは自分一個の独断的な決定ではないということから、国際陸連がなぜこういう措置をとったかという説明を、いろいろ書いたものまで用意されて説明されたのでありますが、要するに、国際陸連のように百二十三の加盟国を持っているような大きな競技団体では、やはりルールの尊重ということがどうしても大切なんで、これをくずせば、この百二十三の加盟団体は統一した一つの団体としてやっていくことができないということが一つ。
 それで、このルールというものは何かというと、国際陸連のルールに、加盟していない国の団体と競技をしてはいけないという規則がある、そしてガネホの場合、こういう規則があるから、これに参加した選手はオリンピックには出られなくなるぞという警告をたびたびしていた、しかも、その警告を破ってガネホに参加した選手が多数出た、そこで、自分個人としては、当の選手に何ら罪のないことはよくわかっている、しかし、無理に出場させた団体が国際陸連の規約を無視したのである、当の選手は罪がないから一年間の出場停止をしたということで、あとは資格を解こう、しかし、その資格を解くという決定は、日本のオリンピックの最後にある国際陸連の総会で確認されることになる、そういう話でございました。
 また、一年間を十一カ月に、いわば減刑したならば、オリンピックにも出られていいんじゃないか、こういう議論もないではないのだが、実は自分たちとしては、オリンピックにも出られないというようになることで初めて、一種の訓戒といいますか、そういう価値が出てくると思う、それを、オリンピックにも出てよろしいということなら、初めからこういう措置もとらなかった、こういうことで、やはり一年というのが妥当ということで、ただ、日本側が多数の選手、多数の国家の参加ということを期待されているということは自分としてはよくわかる、この決定をもうくつがえす時期がない、十月八日に東京で理事会があるけれども、これはもう議題にならないので、十月二十一日でありますか、その総会で、この決定が妥当であるか不当であるかということで議題にのぼる、こういう活でありまして、結局、国際陸連の最終的態度ということを確認して帰ってきたような次第でございます。
 その後のインドネシアの問題及び北朝鮮の問題を簡単につけ加えて御説明申し上げたいのでありますが、インドネシアの選手がどういうふうに参加するか、こちらにインドネシアのアタッシェがおりまして、インドネシアは、予選がすでに済んでおるホッケー、またみずから水上連盟から脱退しているにかかわらず、ウオーター・ポロの選手というか一部の選手を送ってくる、また、個人的な資格が疑われる、つまりガネホ参加選手も送ってくるということでございましたので、これはこういうわけだ、これはこういうわけだということで、出場できないぞという説明をいたしたわけであります。つまり、ホッケーのほうは話がついて、予選が済んでいますが、予選に入っていたアラブ連合が辞退し、その補欠の第一位であったタンガニーカがまた辞退しまして、いまオーストリアとアメリカが残っております。この二つが辞退するならば、ホッケーはインドネシアが飛行機で飛んでくれば出場できるのである、これは別にガネホ問題とは関係がないが、しかし予選が済んでいるものを送ってきてもだめだということ、それから水泳は、何もガネホと関係ない場合でも、自分のほうから国際水連を脱退しているのだから、やはりオリンピックに出られない、こういうことを説明したのでありますが、去る二十五日に、スワギオ選手団長以下四名の役員が東京へ着きました。
 夜おそかったわけでありますから、IDカードというものを持たずに普通の公用旅券で参ったのでありますが、選手村に案内して、かりに泊まってもらった。そうしましたら、翌日私をたずねて参りまして、IDカードのないのに選手村に泊まるのはちょっと自分としても心苦しい面もあり、本国の意向もまだはっきりしないから、きょうからインドネシア会館へ移る、われわれとしては、かりのIDカードでも発給して選手村へ残っていただいてもけっこうだと申したのでありますが、向こうのほうからインドネシア会館へ移ったのであります。続いて二十八日、一昨日、また団長が私をたずねて参りまして、きょう第一陣の選手団が着くということと、ホッケー、水球は本国のほうで選手を送らないらしいということを申し入れました。ただ、IDカードを持っているかどうか、そういう点がまだ全然はっきりしない、簡単な伝言が本国から来ているだけであるということで、とりあえず飛行場からインドネシア会館のほうへ連れていって、すべての問題がきまってから選手村へ移るということでありました。私のほうからもお迎えが出たのでありますが、インドネシア会館に第一陣が収容されました。また昨日、午後五時に第二陣の選手団が着きました。それには、報道陣、またスポーツ大臣のマラディ氏その他も一緒の飛行機で着いたのであります。そこで、選手団はまたインドネシア会館へ、マラディ大臣その他は帝国ホテルへいま泊まっておられます。それが昨夜の状況であります。
 ところが、競技種目によっては、きょうがその参加申し込みの締め切り日になっているものもあるのであります。そこで、けさ早くからインドネシア側から、いま参加申し込みを準備中だから、きょう午後私のところへそれを持参するから会いたいということでありました。それをいま整備しているからちょっと待ってくれというので、私もできるだけ早く、委員会が終わりましたならば事務所へ帰りたいと思っている。インドネシア側とまだ懇談が残っているわけであります。
 今後の見通しにつきましては、必ずしも明かるいということをいま申し上げるわけにはいかないのでありますが、インドネシア側も、非常に慎重かつ丁重に、いろいろとものごとを扱いたい、IDカードが着いていなかったということも、初めはそう言っていたのでありますが、IDカードも持ってきたということがやっとさっき、一括に持っているということもわかったような次第でございまして、今後この問題はどう発展いたしますか、いまここではっきり申し上げるまでにまだ至らない。マラディ大臣が着きましたあとに、その意を受けた団長と、きょうの午後これから会わなければならない。これが現状でございます。
 次に北鮮の問題でありますが、北鮮の問題は、やはり裏で、インドネシアの問題、つまりガネホの問題でつながっているのであります。インドネシアと違いまして、北鮮は日本と国交のない国でございまして、当初からいろいろな点でむずかしい問題があったのは、当委員会でもたびたび問題になりまして御承知のとおりでございます。オリンピック組織委員会としては、これはオリンピックのことで、スポーツのあれであるから、できるだけのことをして選手を迎えたいということで、政府にも相当無理を願いまして、いろいろな方法をとりました。たとえば、香港を回って来いといいますと、イギリスの査証が出なければこっちで何日も待たなければならないとか、北鮮から香港を回って来るのには、十日以上もかかるというような実情でありまして、やはり何とか清津から新潟その他の港へ着港させる例外を認めてくれということで、政府側の了承も得たわけでございますが、まだ国交のない国の人ですから、IDカードといっても一種の渡航証明のようなもの、つまり、みな私が身元引き受け人になるのであります。これをどこでとるかということになれば、香港までとりに行ったら、また同じになってしまう、そこでどこがいいかというと、向こうの意向で、モスコーがかえって飛行機に乗るのに便利だということであります。しかも、一人々々が出頭しないでも、代表が行ってそれをもらえるという措置も講じまして、現在選手はすでにID
 カードは出て手にしているのであります。いつでも船があれば新潟へ来られる状況になっているわけであります。ただ、観客のほうは、やはりそう無制限に来られても困るというので、大体百五十人を認めるということで、ただこれは選手と違いまして、手続が少しやかましいのでありますが、こちらとしてはできるだけ敏速に事を運ぶというので、書類を送るのに一番早い日にちは北京の北鮮の大使館に送ることだということに結論が出ましたものですから、そこへ送る。その書類をとって、これを日本側に送ったなら、こちら側でオーケーをして、そのオーケーをモスコーにとりにいく、そういうあれでありますが、向こうが早合点をして、選手と同じようにモスコーへいきなりとりに行っちゃったものでありますから、いま電報でいろいろ折衝しているような状況であります。
 つまり、これだけ組織委員会としては、北鮮の選手団を迎えるためには努力したのでありますが、ただ一つ、いまのガネホの問題がひっかかってきたのであります。つまり、北鮮の金メタル候補の辛金丹嬢はジャカルタのガネホに出ている。そこで、国際陸連の制裁と申しますか、出場停止処分にあっている。しかも、これに関して幾多の陳情書が国際陸連に出ておりまして、われわれのところにも出ておりますが、これがやはり撤回されない。北鮮としては、辛金丹嬢が出ないのなら選手全部を送らないという声明をしたのでありますが、これはまた、東京にいる北鮮系朝鮮の人々がせっかく選挙を迎える準備をしているのに一人も来ないのでは、これは絶望という状況でありまして、われわれとしては、これはたった陸上競技の選手だけで済む話じゃないか、ほかの種目にもみんな参加できるのでありますから——北鮮の場合は水上も制裁がないのであります。そこで、ともかくできるだけ選手を送ってほしい、こっちは迎える用意があるのだ。辛金丹嬢が国際陸連の決定で参加できない場合は非常に残念であるけれども、しかし、ほかの人たちは、これだけわれわれが努力して来られるようにしたのだから来たらどうか、現に、日本で一ぺんも上がったことのない北鮮の旗がオリンピックの現在の選手村には上がっているのであるから、せっかく旗まで上がっているのに一人も来ないということは、北鮮系の人たちにとっても非常に残念なことであろう、こういうふうに私どもは説いているのでありますが、まだ北鮮側も最後的決定をしていない。やはり辛金丹を——オール・オア・ナッシングという態度を変えていないのでありますから、これから先どういう態度に出ますか。おそらく、インドネシア側と同じ立場に立つものでありますが、お互いに相談し合って態度をきめるのではないか。近く私は、新潟へ船が来て、選手団が一応東京へ着くことになるのではないかと思っておりますが、ただ、辛金丹嬢の出場というものは、やはり国際陸連の決定がひっくり返らない限り、また、ひっくり返る見通しはないと思っておりますが、ちょっといまのところ実現がむずかしい。以上が現状でございます。
 今後、これに関連して、いろいろな問題が起きてまいるかと思うのでありますが、現状を簡単に御説明申し上げます。
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河野謙三#3
○河野謙三君 前回の当委員会でも、最後まで北鮮なりインドネシア側が参加できるように、ひとつ与謝野さんみずからロンドンまで行って御奔走願いたいという御要望を申し上げましたが、組織委員会のほうも同様の御意見であったとみえまして、忙しいところをロンドンまで浅野君とともにお運び願ったことについては、十分私ども感謝申し上げます。
 ただ、私はこの機会に与謝好さんに伺っておきたいのは、ブランデージさんなりエクゼターさん、ペインさんがこの問題について声明を出しておられますが、これを新聞、ラジオ等で見ますと、ルールは守らなければいかぬということを強調されております。これをひっくり返しますと、日本は何か、ルールを無視してもこの二つの国を参加さしてもらいたい、こういうむちゃくちゃな、日本みずからがルール違反をあえてして、この両国の参加を認めるというように主張しているかのように一般には受け取れるのです。事実はそうじゃないことはわかっています。そこで、日本は、初めてアジアで開かれるオリンピックであって、しかもアジアの有力なメンバーであるインドネシアなり北鮮にはぜひ参加を認めてもらいたい、これはこれなりにりっぱな理屈でありますが、同時に、これは感情が多分に含まれております。そうではなくて、与謝野さんなり浅野君が向こうへ行ってこの問題を懇請される場合、それぞれやはり一つの具体的のルールを守りながらもこういうことができるじゃないか、ある程度臨機のルールの運用において処理ができるじゃないかと、こういうことを主張しておられると私は思うのです。
 でありますけれども、いま申し上げますように、ブランデージさんなり国際陸連の代表者の声明というものは裏が出ておりませんで、ただルールを守る守ると言っておられるので、何か日本がルールなんというものを非常に軽視しているような印象を受けるのですが、この機会に、私は、与謝野さんの口を通じて、どういう主張のもとに、この両国に参加を許すことを求めておられるのか、はっきりしてもらうことが必要じゃないかと、こう思うのですが、どうでしょう。
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与謝野秀#4
○参考人(与謝野秀君) ブランデージさんと会いましたときも、エクゼターさんと会いましたときも、私は、今月の十一日に出しました私の談話の英語を見せまして、実は自分たちはルールは尊重するという声明をしておるのだ、しかしルールにも変更のできる余地のあるルールもあれば、もう不変のルールもある、この場合、国際陸連の決定という一つのルールがある、何らかたとえば時期を短縮するとか、あるいはみんなにはかってこれを改正するとか、そういう余地があるのかどうかということでお話ししたのであって、ルール尊重ということは、まずわれわれは同じ気持ちなんだ、しかしこういう余地がないか、ただ感情だけに訴えるということでなくて、ルールの変更の余地のあるものなら、また、たとえば総会が近く開かれるというときなら、それにまた付議してもらうとか、いろいろなこともあろうけれども、それもない、結局、最後は、これは今回のオリンピックまでには変えられないルールである、こういう説明が結論になったわけでありまして、別に、ただアジアでやるのだから頼むというようなことは申さなかったのでございます。
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河野謙三#5
○河野謙三君 それが世間に伝わらないのですね。たとえば、総会の日町を繰り上げて何かこの問題の処理を検討する余地はないかとか、一カ年のものを九カ月に短縮して処理をする方法はないかとか、こういう具体的な、私はルールを尊重する中にも具体的な主張を持って行かれたと思うのですよ。それが世間に出てこないのですね。出てこないから、先ほどから申しますように、向こうでルール尊重、ルール尊重と言うと、何か日本がルールを無視しているように受け取れるわけです。
 私は、この機会にそこをはっきりしていただきたいということと、今度は逆に、このルールを尊重してあくまでもこれは厳格な態度で臨むべきだという国が非常に多いわけですね。それらの国は、日本の今回の再三にわたる、両国の選手をひとつこの際に認めてオリンピックに参加さしてもらいたいと、こういう長い間にわたる非常にしつこい——向こうから見ればしつこいでしょう。しつこい運動に対して、これらのいまの国際陸連なりブランデージさん以外のオリンピックの有力なメンバーの第三者は、日本のこれに対しましてどういう印象を持っておられますか。私は、日本が国際陸連なり、またオリンピックの有力なメンバーとして東京に開催するにあたっては、あまりむちゃなことばかり言うというような、日本がオリンピックの規則を尊重しないというような印象を持って迎えられることは、将来私は、オリンピックの歴史の中において、日本が非常な誤解を受けるのじゃないかと思いますが、そういう点はどうでございますか。
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与謝野秀#6
○参考人(与謝野秀君) 実は、私がロンドンへ参りますときに、組織委員会の小委員会では、これは陸連が直接交渉すべき問題であるから陸連の代表が行くべきではないかという意見も出たのでありますが、その際に、陸連というものは、国際陸連は今後長い間の関係を持つ団体であり、もうこれで最後的決定だと通知してあるのに、またやってきたというようなことは、これは何かルールを軽視しているのじゃないかというような印象を与えてはまずいんではないかと、こういう声もあったのであります。それで、組織委員会は、いままで直接はそういうことを通知も受けていないし、話し合う余地はまだあるのじゃないかというようなことで、私が急遽立つことになったのでありますが、その後日本の陸連のほうで、特に向こうの副会長などがともかく行くべきだということで、浅野副会長がロンドンへ来られたと承知しているのであります。
 それで、われわれとしてはルールは守るという点、単に感情で動くものではないという点は、もう長年わかっているのでありますから、浅野副会長も同時に国際陸連の理事でありますから……。
 先ほどの点で、留保つきが一つ、条件つきが一つ——というのは、要するに、北鮮側に今後はこういうことをしないという保証で許してやったらどうかというようなことを出された、これも秘密になっておりますから、私は文書を見たわけじゃありませんが、そういうことを聞いているのでありますが、北鮮側は、そういう保証はできないということで、「うん」と言わなかったということで、結局やはりルールに従うということを、日本の陸連もそういう立場をとられたのじゃないかと思っているのでありますが、ブランデージ会長も、日本が単なる感情論でそうしたのではないと、しかし、日本人がともかくせっかくやる以上、なるべく多数の国の人と多数の選手を参加させたいという気持ちは十分わかるので、決してこれはルールを軽視してそういう問題を吹きかけてきたのではないと、こういうことで、まあともかく、おまえはできるだけのことをやったんだからということで私を勇気づけてくれたのでありますが、ただいま河野先生のお話のルール軽視ということは、向こうはそう誤解してないと、こう考えております。
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河野謙三#7
○河野謙三君 最後に、ちょっと意見を加えて申し上げますが、私は、今度の問題は、オリンピックの将来を考えて、前向きにものを考え前向きに処理するか、うしろ向きに処理するかの問題だと私は思うのです。前向きでなく、うしろ向きに考えますと、前回も申し上げましたが、ルール尊重々々といいますけれども、ここ十カ年のオリンピックの歴史の中にルール違反がたびたび重なっているわけなんです。ソ連におけるところの世界陸上競技大会、残念ながら先年のアジア大会、また中近東で行なわれました大会等、与謝野さん御承知のように、ルールは無視されて行なわれたことがたびたびあって、しかもその処理が厳格なるルールのもとに事後処理ができていないと、こういうことがたびたびあったわけです。でありますから、うしろ向きに考えまして、いままでもやったのだから今度だって少しくらいのことはいいじゃないかという議論が私は成り立つと思う。これは前向きに、オリンピックの七十年の歴史を、さらに輝かしい将来のオリンピックを打ち立てようというには、過去のあやまちということはこの際断然お互いにみんなで反省して、スポーツのことでありますから、厳格の中にもさらに厳格にオリンピックのルールというものを尊重していこうということを、ここらでけじめをつけなければ、オリンピックの将来というものは私はあぶないと思う。だから、前向きに、遠い将来への高い理想を掲げてオリンピックに処するならば、私は、この厳格ということはよくわかると思う。問題は、うしろ向きか前向きかの問題。ものは前向きに考えるのがほんとうですよ。ほんとうですけれども、同町に、そういう意味の処理に当たられながらも、過去において、そういうふうな、オリンピックのルールというものに対して非常にルーズな運用があったということもお考えの中に入れて、最後の最後までひとつ、せっかくお骨折り願ったんでありますから……。私は、この立場でどうせい、こうせいということを申し上げる立場じゃございませんが、そういうことを申し上げることは政治がスポーツに介入することであって、よろしくないという限界は心得ている。しかし、いずれにしても、オリンピックはもう始まったも同じでありまして、外国の選手がどんどん来ているのでありますから、お忙しい中でありましょうけれども、そのお仕事の中でも重要なお仕事と心得えておられると思いますが、せっかく最後までひとつオリンピックの将来のことをも考えながら御努力いただきたい。こういう希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
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岡田宗司#8
○岡田宗司君 いま河野さんからいろいろお話がございましたが、私もこの問題についていままでいろいろ心配をしておりました。与謝野さんがわざわざお忙しい中をロンドンまで行っていただいたことに対して深く感謝するものでありますが、しかし、率直に申し上げまして、結果はよろしくなかった。かなり失望させられたわけであります。もう十月十日の開会式までにわずか十日しかありません。非常に短い時間でありまして、これからどうする、この問題をどういうふうに処理するかということは、たいへん御苦労なことだと思っております。符に、インドネシアのほうでは、すでに選手団を送ってきております。これにも問題があります。それから、まだ選手団を送ってきてはおらないけれども、問題の予想される北朝鮮の問題、これらを考えますときに、この十日間にこの問題をどう処理していくか これは、いま河野さんの指摘された前向きの方法でどう処理していくかということが今後問題があるわけですが、先ほど河野さんが、日本が主催国として、アジアの一つでも多くの国を参加させたいという気持ちでもってやられたばかりでなく、やはりルールを尊重して、そのルールに基づいて、しかも問題を前向きに解決すべきであるという御意見を述べられた。私もそうだと思いますが、すでに各国の選手も乗り込むと同時に、役員も乗り込んできております。IOCの役員も、これからどんどんふえてまいりましょう。国際陸連の役員も十日までには出そろうことと思います。先ほど与謝野さんも言われましたように、国際陸連の理事会が八日に開かれると思いますが、与謝野さんがエクゼター氏あるいはペイン氏に会われたところでは、八日の理事会ではこの問題には触れない、そうしてその問題は二十一日の国際陸連の総会で議題になるだろう、こういうお活であったのですが、どうでしょうか。
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与謝野秀#9
○参考人(与謝野秀君) そのとおりです。
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岡田宗司#10
○岡田宗司君 そうしますと、八日の陸連の理事会で——この問題についていろいろ心配しているのは日本だけじゃない、たとえば、国際陸連の理事にはソ連側も出ている。そういうところからこの問題が持ち出されても、それでもなおかつ取り上げられないということになるのかどうか。たとえば、国際陸連のルールのうちに、もうすでに一たん決定した問題は一事不再議ということになっておるのかどうか。その点はどうなんですか。
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与謝野秀#11
○参考人(与謝野秀君) 私も国際陸連の手続のほうのことはよく存じませんが、ともかく会長としては、ソ連を含めた十五人の理事に諮問して、こういう多数決の結果が出たので、これでもう理事の意見はわかった、しかし、これだけでは、総会ではどういう多数意見が出るかわからないから、総会に——つまり、一年では短い、永久に資格を停止しろという議論もあるのですね。しかし、それは一年にしたというのも自分の責任で、選手には罪はないじゃないかということでそうしたが、この結論が妥当であったかどうかというようなことを総会にはかりたい、こういういきさつがあるわけであります。
 それから、ただいまのお話で、私としては申しにくいのでありますが、次のガネホ大会というものは来年アラブ連合であるわけであります。アラブ連合の、IOCのメンバーでもあり、同時にガネホ大会の副会長でもあるプーニさんという方がおられまして、この人は、先般日本に来られる前にジャカルタに寄っていろいろ相談をされ、また、今回もう着かれたのですが、こういう人たちが、つまり、先ほど河野先生前向きということばを使われましたが、私も、やはり時がたてば、オリンピックと、何というか、矛盾しないガネホ大会というものへ持っていくことも将来はできるのじゃないかという考えは持っているのでありますが、現在の段階においては、まだ正面衝突したままの段階になっている。しかし、来年ガネホをやらなくてはならない。しかもIOC委員であるガネホ参加の委員としては、その辺にいろいろ苦心があるのでありますが、先般来られたときに、国際陸連は態度が固いぞということを言っておられました。インドネシア側とはいろいろ話している、こういう人たちが集まって、またどういう動きが展開されますか、そういう点はまだあると思いますし、また、ソ連の人たちがどういう動きをするかということはございます。しかし、もうあと十日に迫りましたオリンピックでございまして、おそらく、国際陸連が理解する余地なしと言っているものを、この十日間にひっくり返ることは、まあ望みないことではないかという考えを持っております。
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岡田宗司#12
○岡田宗司君 けさの読売新聞ですが、ソ連のIOC委員の方が記者の質問に答えて、この問題については努力したいという意味のことを言っております。これらから察知してみますというと、おそらく国際陸連の理事会においても、やはりこの問題を持ち出される可能性はあると思うのです。そして、おそらく十二カ国のうち、すでに四カ国は、何といいますか、前の決定を改めろというふうな意見だったということでありますから、その方々も同調されるのじゃないか。あるいはまた、こういうふうに切迫してきて、中には変わらないとも限らないとも思いますしいたしますから、私はどうも八日の国際陸連に、この問題は一事不再議ということで全然取り上げられないとも考えられないのじゃないかというふうに考えます。もし取り上げられました場合には、やはり日本の発言権というものも相当尊重されるべき筋合いのものではないかと思うのです。それは、主催国であるということからいいましても、社会的に見てそういうことが考えられますので、この国際陸連の理事会の開かれますときの日本の態度というものについて最後の努力を私はしていただきたい。これはやはり具体的に何といっても一歩進める道になるのじゃないかと思うのです。その点が一つ。
 それから、この問題はIOCの直接の関係の問題ではないかもしれません。しかし、何といってもオリンピック・ゲームが開かれるのはこの団体が主でありまして、そして国際陸連加盟の各国が陸上競技の選手団を送るのですから、全然関係がないとも言えない問題だと思うのです。で、IOCが国際陸連の決定をくつがえすような、あるいは、それよりもIOCの決定のほうが上位であって、したがって、国際陸連のなにはIOCのほうの決定に従わなければならぬという関係にはないかもしれませんけれども、しかしIOCのほうのかなり有力な人々の意見によって、そうして将来この問題が前向きに解決しようというようなことになりますれば、私、またそこで何か新しい道が講ぜられるのじゃないか。たとえば、いまあなたが指摘されましたガネホの今後開かれる場合の関係でございますが、こういうものなんかについても、おそらく第二回目には第一回のガネホと同じようなやり方はしないし、また十分にいろいろな点は配慮してされるであろうということから考えますというと、そこらからまた解決のめどが開かれるのじゃないかというふうに考えられるので、まだ何か余地が多少残っている、その余地がもし多少でも残っておれば、それをやはり手がかりにして、ぜひ国際陸連の中で、日本のこの大会を成功させるために最後のチャンスがあるとすれば、そこでも十分に積極的に話をしてもらいたい、これをひとつ与謝野さんのほうから国際陸連の中にいる日本側の理事に対して伝えていただいて、そうして最後の努力をお願いしたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
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与謝野秀#13
○参考人(与謝野秀君) 岡田さんがおっしゃられたとおり、組織委員会としては、直接国際陸連に、たとえば理事会に出る者にどうということは直接とれないのでありますが、やはりそういう希望が出ていることを、日本の陸連及びまたその陸連から選ばれて国際陸連のメンバーになっている人たちに伝える努力、また、直接ではありませんが、外回りで、たとえば各国のIOC委員とか、各国の国際陳述の理事でわれわれ承知している人たちの意見というようなものは今後ともあれして、こちらが直接的ではないかもしれませんが、何とか解決したいという気持ちは最後まで持ち続けていきたい、こう思っております。
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岡田宗司#14
○岡田宗司君 もう一つ。これは北朝鮮の選手諸君の入国問題ですが、モスコーからの報道というのによりますと、実はきょう着くことになっておったようでありますけれども、実際には、まあ向こうの出発しているという知らせもありませんし、おそらくこの問題が東京で何らかの見通しがついてから送り出すということになるだろうと思うのであります。例の女子のバレーについては送るということの電報が入ったということでございますが、それは事実でございますか。
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与謝野秀#15
○参考人(与謝野秀君) これは、時間を切って参加するかどうかと言ったのは、おそらく出ないというのなら、次の補欠を繰り上げなくてはならないということでありまして、それに対して出るといって権利を留保したわけでございますが、これが交通が自在な国でありましたならば、バレーの選手の参加に何ら問題ないのであります。とりあえずその連中だけでも飛行機で送ってくるとかということができるのでありますが、たった一台の船をどうやってチャーターするかといっていろいろやっているところでありまして、あるいは参加するといっても、最後の瞬間に棄権という形が出てくる場合もないではないのでありますが、いずれにしても、参加すると言ってきたということを承知しております。
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岡田宗司#16
○岡田宗司君 そういたしますと、まあ来るということを予想されるのは、やはり参加するということを通告してきた女子バレーのチームも含めて全部一緒ということのようですが、これについては、すでにIDカードは発給して、もう手に入っているわけですね。そうしていつでも新潟へ来れば、新潟でもって手続をして、選手村に迎え得るということになるわけですが、まあ私ども心配いたしますのは、これはまあ実際にそうなってみなければわからぬ問題ですけれども、インドネシアの選手団の問題について最初心配されておりましたのは、もしインドネシアが参加するということにきまって、そうしてインドネシアがこの選手団を送ってくる、それを代々木の選手村に入れる、そこで陸連あるいは国際陸連との間にトラブルが起ってくる、そのガネホに出た選手たちをそこから退去させるというような事態が起こったときに、これはもうたいへんな問題になるだろうということを心配しておったわけでありますが、そういう心配がいまのところ一応ないということで、インドネシア側が非常に慎重な態度をとっておられる。そうしてそのことは、また同時にこの問題の解決にやはり慎重な態度をとっておられることと通じておると思います。北鮮側のほうから来られることにつきましても実は同様なことを心配しておったわけでありますけれども、いまのインドネシア側の態度から見まして、やはり北鮮側においても十分に慎重な態度をとっておられるものと私は推定しておるのであります。と申しますのは、すでにIDカードが発給されて、手に入っておるといたしますなら、いますぐにでもそれを持って入ってくることはできるわけです。そうしてそこでむしろ問題になってからということもあり得るわけでありますが、そういう態度をとらないで、この問題がおそらくもっと見通しがつくまで選手団を送らないという態度をとっておることは、かえって慎重な態度のように、私はそう信じております。やはりそういうふうに北鮮側のほうも慎重な態度をとっておるということ、これらの点から、なおそこに解決策を見出す余地がかえって出てきたのじゃないかと思うのですが、この北鮮の選手団及び役員の入国に対して、いまあなたのほうからどういうような態度で臨んでおられるのか、その点を……。
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与謝野秀#17
○参考人(与謝野秀君) これは、いろんなケースに備えていろいろな方策を考えておるのでありますが、本日私のほうから、相手が慎重でいるのに、相手がむちゃをしたらこうなるというふうなことを言うのは適当でないと思いますので、御想像におまかせしたいと思います。
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山本利壽#18
○山本利壽君 きょうまで与謝野さん初め……。
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佐藤尚武#19
○委員長(佐藤尚武君) きょうは非常に時間が限られておりますので、どうぞ……・。
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山本利壽#20
○山本利壽君 短くやります。
 きょうまで与謝野さん初め、関係者の方がインドネシアや北鮮の選手を迎えるために最大限度の努力をしていただいたということは、まことにけっこうなことであり、われわれも満足するところでございますが、これから希望することは、こういう大きな催しであり、大きな団体でありますから、中心部におかれてはき然とした態度でものごとを処理していただきたいと思うのです。とかくこういう問題は、あちらこちらから非常に繰り返しいろんな希望が出ますから、希望の出ることももっともでございますけれども、事を処理していかれるほうでは、はっきりした方針のもとに、決断力をもってやっていただかないと、せっかくな大きな大会というものが混乱を重ねたり、またいろんな疑惑を生むこともあり得ると思うのでございます。だから、先ほど来の話で、今後もまだいろんな余地があるとすれば、それに対する努力はけっこうでございますが、それで、どうしてもガネホのほうへ出た選手は入れられないならば、その他の選手は参加することができるのでございまして、その他の種目においてもできるのであるから、それに参加してもらえばけっこうですし、それも、もう一つがだめならば全然だめだというならば、それもしかたがないということでございます。これらのことは大きな国際的な問題であるから、そこらをはっきり見きわめて処理していただきたいということを要望申し上げて、私は終わります。
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佐藤尚武#21
○委員長(佐藤尚武君) ほかに御質疑がないようでありまするからして、本件についての質疑は、本日はこの程度にいたします。
 ごあいさつを申し上げます。オリンピック東京大会もいよいよ目前に迫りまして、大会関係者の方々にはいろいろ御苦心の多いことと存じますが、いま一段の御努力をお順いいたしまして、オリンピック東京大会がりっぱな成果をおさめられまするようにお願いいたします。
 本日は、お忙しいところを御出席いただきましたこと、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 それでは、本日はこれで散会いたします。
   午後二時六分散会
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