福田赳夫の発言 (決算委員会)
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○国務大臣(福田赳夫君) 私、去る六月の三日の内閣の改造にあたりまして、大蔵省所管を命ぜられまして、まず、何かと決算委員会の皆さまには御指導にあずかることと存じますので、ごあいさつがたいへんおくれましたことをまことに恐縮に存じております。よろしくお願いいたします。
ただいまの大蔵省の所管の問題は非常にむずかしいいろいろな問題をかかえておるわけであります。特に当面、経済が異常な停滞状態であります。この問題をすみやかに解決しなければならぬ、こういう立場に置かれておるわけでございます。同時に、その停滞状態を克服いたしました後におきまして、どういう財政経済の運営をいたすべきかという建設的な仕事にも当面をいたしておるわけでございます。
内閣の改造後におきまして、まず当面の不況問題に重点を置きまして取り組んできておりますが、金融引き締め政策を一そう緩和する、それから財政におきましては繰り上げ支出をいたしますとか、あるいは財政投融資の幅の拡大をいたしまして公共投資の促進をはかる、こういうような措置をいたしますとか、あるいは輸出振興に馬力をかけるという意味におきましてもろもろの施策をとりますとか、まあ考えられるかなりの努力を払ってまいったわけでありまするが、そういう総合的な施策に呼応いたしまして、民間におきましても立ち上がりの意欲が見られるのであります。そういう政府、民間の機運が一致するというか、協力が実を結んだ結果と思いますが、昨今は財界におきましても空気がだいぶ変わってきております。
株価はここ三、四十日の間に二割五分方の急速な回復をするというような状態でもあり、また経済諸指標におきましても逐次方向転換のきざしがあらわれてくるようになっておるんでありまして、政府で七月の末にきめました公共投資を中心とする財政投融資計画の追加拡大、これがぼつぼつ実施の段階になってくるのでありまするが、そういうことをあわせ考えますと、まあ今日の景気停滞現象というものは、今日を底として回復に向かっていくというような観察をいたしておるわけであります。
当面そういう景気問題に対処しながら、大蔵省のほうでは来年度の予算の編成に取りかかろうとしているのであります。それから、もう一つは、ことしの、本年度の予算の補正問題、これも検討を始めようとしております。本年度につきましては、経済の不況を反映いたしまして、租税収入が非常に減ってきておるわけであります。これは予想外の大幅な減り方でございます。それから、歳出面におきましては、米の買い入れ価格の引き上げに伴いまして、販売価格をいかがいたすか、こういう、そのきめ方によりましては食管会計へ相当額の繰り入れをしなければならぬという事態になっておる。それから、公務員の給与に関しまして人事院から勧告があったわけであります。これにいかに対処するかは、まだ政府としてきめておりませんけれども、その方針いかんによりましては、これにも相当の財源を必要とするわけであります。なお、昨年度の義務費の精算経費、あるいは義務教育費でありますとか医療費でありますとか、これまた相当の額が必要であります。また、災害の関係におきましてもある程度の額を必要とするのであります。いろいろそういう歳出要因がありますので、これを合わせた額もかなりにのぼると思いまするが、歳入不足額とそれらの歳出要因を加えますと、財源の不足額、これがまあ具体的な検討はまだつきかねるのでありまするが、まあ千億、二千億という程度じゃございませんだろうと思います。そういう事態に対しまして、政府のほうではとにかくあらゆる努力をして歳出面にくふうをこらさなければいかぬ。つまり、年度途中ではありまするけれども、できる限りの節約をしてまいると、こういう基本方針をとりまして、ただいま鋭意そういう作業を進めておるわけでございまするが、しかし、それだけ大幅な財源不足に対しまして、歳出面の節約程度ではとうていこれが埋め合わせがつく見通しは立ちにくいのであります。
さようなことから、本年度におきましては、ただいまのところ、どうも臨時非常の措置といたし、まして借金政策をとらざるを得ない、こういうふうに考えております。ただ、借金政策をとりましても、金融が緩和というような状態でありますと同時に、今日こういう経済状態になりました源源は設備過剰からである。したがいまして、設備過剰のその上にさらに設備投資を大いにやっていこうという傾向でもないのであります。さようなことから、政府が借金をどうするというに対しましては環境は整っておると、こういうふうに考えておるのであります。
来年度の問題につきましては、ことしの財源不足状況がまた尾を引く傾向であります。したがいまして、来年度の収支はきわめてつけにくい、窮屈な状態になろうかと、これは必至の傾向だというふうに思います。したがいまして、あれやこれやと財源上もいろんなくふうをしなきゃならぬと同時に、歳出面におきましても、特に効率の悪い費用は、これを整理しなければならぬ。まあむだづかいというようなことは、極力排除しなければならぬ、そういうふうには考えており、そういう作業を進めておるのでありまするが、しかし、また、国として必要な公共投資でありますとか、あるいは社会保障でありますとか、あるいは農村対策であるとか、いろんな問題をかかえておるわけであります。こういう費用につきましては、これはまた積極的に充足をしていかなきゃならぬという考えでございますので、予算全体としては効率化ということのほかに、いわゆる硬直化された予算に弾力性を待たせるということを考えておりまするが、予算規模がある程度膨張していくということに対しては、これはやむを得ざることかと存じます。その膨張は、財政に対しまして公債政策を取り入れるという方向のもとに、ただいまいろいろと準備を進めているわけであります。
非常にむずかしい出事態でございますので、微力でありまする私がはたして責めを全うし得るかどうか、非常に私自身努力をしてまいるつもりでございまするが、何とぞ決算委員会の皆さま方におかれましても御鞭達のほどを、切にお願いいたす次第でございます。どうか、よろしくお願い申し上げます。