園田清充の発言 (災害対策特別委員会)

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○園田清充君 それでは僭越でございますが、委員長が議事の進行上、私がかわって報告をさせていただきます。
 九州班は大倉委員長と私の両名で、去る八月二十三日から二十八日まで六日間の日程で、鹿児島県及び熊本県に派遣され、昭和四十年六月及び七月の豪雨並びに台風十五号による被害状況等について実情を調査してまいりました。また被災者に対しましては、お見舞と激励申し上げ、かつまた直接被災者の切実なる要望をも聴取いたしてまいりました。以下御報告申し上げます。
 まず、今回の災害発生の原因となりました豪雨並びに台風十五号について簡単に申し上げますと、本年の梅雨は、例年に比べてその前線の活動が著しく活発で、しかもその期間が非常に長かったことなどが特徴であるといわれており、今回の九州地方における梅雨前線による集中豪雨は、台風九号が衰弱して弱い熱帯性低気圧となって、九州中部地方一帯に停滞していた梅雨前線を刺激して、異常なまでの集中豪雨をもたらしたのが、その原因であります。気象庁の報告によりますと、六月十八日から二十一日までに熊本県内で三百から四百ミリ、鹿児島県内で百五十ミリ以上の雨量をもたらし、続いて六月三十日から七月三日まで降り続いた豪雨は、南方からのしめった気流の流入のため、梅雨前線の活動が活発化して降ったためのもので、熊本県を中心として二百から三百ミリ近くに達したと報告されております。ことに七月二日夜半には、梅雨前線が九州を横断して通り抜けたため、熊本県ではわずか三時間に百ミリ近い雨量を記録いたしております。
 また、台風十五号について申し上げますと、八月二日南方洋上に発生した台風十五号は、八月六日午前四時ごろ、中心付近の気圧九百五十ミリバール、中心付近の最大風速五十メートル、中心から東側二百五十キロメートル西側百五十キロメートル以内では、二十五メートル以上の暴風雨という、夏の台風としては珍しく強大な勢力を示しながら、熊本県天草の牛深市付近に上陸し、速度を早めながら山口県を経て日本海上に抜けております。この台風十五号の通過に伴って九州地方、中でも鹿児島において死者二十名、熊本県においては死者六名というまことに痛ましい犠牲者を出しておるのであります。
 次に両県の被害状況について申し上げます。最初に鹿児島県について申し上げますと、先ほど申しましたように台風十五号の進路が鹿児島県にとって最悪なコースをとり、県全域にわたって暴風雨圏に入ったため、その被害は全地域にわたって発生しておりまして、特に薩摩半島の西海岸と県北部地域での災害が特に大きく、壊滅的な打撃を受けており、家屋の倒壊、半壊、浸水等の大多数はこの地域に集中いたしております。人的被害の多かったこと、(死者二十名、罹災人員二十一万六千人余)、さらに収獲期を間近に控えた早期水陸稲、甘蔗、果樹等、農作物に対する被害については農民の心配は深刻であり、その他学校、公共建物、公共土木施設広範にわたって惨害を受けております。
 以下県側の調査によります被害額を申し上げますと、まず人的被害では先ほど申しましたように、死者二十名、負傷者二百八十八名となっており、これは家屋の倒壊による圧死、暴風雨による河川への転落死等によるものであります。このような痛ましい犠牲は、昭和三十九年九月の台風二十二号以来の多数にのぼっていると申されております。
 次に建物関係では住家の全、半壊、流失等五万九千棟以上、非住家等一万一千棟以上、被害額五十一億円余、農作物関係ではカンショの被害が最も大きく、さらに飼料作物、水稲にもかなりの被害が出ておりまして、被害額は二十八億円余、耕地関係では田畑の流失埋没、農業用施設の被害一億七千万円余、畜産関係で一億三千万円余、水産関係では漁船の流失沈没等で三千四百万円余、山林関係六億九千万円余、鉱工業商業関係で八億二千万円余、土木関係七億一千万円余、学校関係で二億六千万円余その他電力、鉄道、通信等関係で六億五千七百万円余、合計百十三億七千百万円余となっております。
 次に、熊本県について申し上げますと、本県は六月十八日から二十一日までと六月二十六日から七月六日までの二回にわって集中豪雨に襲われ、この間に降った雨量の累計は熊本県内で千十七ミリという驚くべき記録を示しております。このため県内各地に雨による被害を続出、特に県南地方球磨川水系を中心とした被害は激甚をきわめ、同流域の五木村、相良村、球磨村をはじめ、人吉市、八代市、坂本村などは、昭和三十八年八月の水害に続く甚大な被害をこうむったのであります。このほか友田川、網津、水無川等の中小河川のはんらんが多く、がけくずれ、堤防の決壊等により水の中に孤立する市街地、部落、人家、さらに田畑等の侵冠水が続出したのであります。さらにまた、集中豪雨の災害に引き続いて台風十五号の災害にも襲われ、住家の全半壊、農作物、水産関係等に重ねての被害を与えたのであります。特に県南市町村は、集中豪雨による災害救助法の適用を受け、再び台風十五号の被害により再度救助法の再適用を受けたのであります。
 以下、県側の調査による豪雨並びに台風十五号の被害額について申し上げますと、豪雨関係では、死者九名、建物関係で住家の全半壊、流失等三万八千戸以上、非住家百二十二棟で、被害額十七億一千万円余、農作物関係では米麦の被害が最も大きく、たばこ、果樹等の被害も相当出ておりまして、二十六億円余、耕地関係で農地、農業用施設等十二億五千万円余、畜産関係三千万円弱、水産関係六億九千万円余、山林関係六億四千万円余、商工業関係で四十八億六千万円余、土木関係で四十七億九千万円余、学校関係四千万円余、その他、鉄道、通信関係等で三億七千万円余、計百七十億三千万円余。次に、台風十五号関係では、死者七名、負傷者百七十名、建物関係で住家、非住家合わせて六十億六千万円余、農作物関係二十一億六千万円余、耕地関係で三億九千万円余、畜産関係一億一千万円余、水産関係三億七千万円余、山林関係五億九千万円余、商工業関係八億四千万円余、土木関係一億七千万円余、学校関係一億三千万円余、その他、鉄道、通信関係等で三億八千万円余、計百十二億四千万円余でありまして、豪雨並びに台風十五号による被害を合計いたしますと二百十億円弱となっております。
 以上の二県の被害額を合計いたしますと。約三百二十三億円にものぼるのでありまして、これらいわゆる後進県の財政上から見ましても、政府は今回の災害復旧に対しましては、特段の配慮を払うとともに、長い将来に向かっての抜本的万全の対策を講ずるべきであると思う次第でございます。
 次に、両県並びに被害地市町村から数多くの切実な要望がなされたのでありますが、そのおもな項目について申し上げ、詳細につきましては、委員長の手元に提出いたしておりますので、それをごらんいただきたいと存じます。
 まず第一に、今回の災害がきわめて激甚であった事実にかんがみ、激甚法の適用をされたい。
 第二、河川の災害復旧事業は、単に原形復旧にとどまらず、改良復旧の計画によって施行されたい。
 第三、今回の災害復旧等が県財政、市町村財政に及ぼす影響は非常に大きいので、特別交付税の配分にあたって、十分な財源措置を講じていただきたい。
 第四、災害復旧工事のための財政措置として、補助災害、単独災害の起債のワクを拡大していただきたい。
 第五、市町村税の減免措置に、減収補てんについて特別の措置をお願いしたい。
 第六、天災融資法の早期発動と、同法第二条第二項の特別被害農林漁業者につき、格別の御配慮を願いたい。
 第七、自作農維持資金融通法第二条の災害融資ワクの拡大と、早急な貸し付け措置を願いたい。
 第八、水陸稲、果樹等の病風害予防措置に対しては、これに要した経費、特に農薬購入費等について特別補助金を交付せられたい。
 第九、農地、農業用施設の小災害復旧事業に対する助成措置を願いたい。
 第十、被災者に対する国の税の減免措置並びに制度融資の徴収猶予の措置を講じていただきたい。
 第十一、災害公営住宅のワクの確保並びに住宅金融公庫資金のうち、災害復興住宅の融資ワクの拡大をお願いをしたい。
 第十二、公共土木施設等の災害復旧事業の早期施工ができるよう、緊急査定の実施並びに緊急を要する学校施設等に対しては、査定前の応急復旧工事の着工を認めていただきたい。さらに学校施設の復旧については、全面的に永久建築として復旧できるよう措置を講じていただきたい。
 第十三、被災者に対する応急仮設住宅の設置及び被災住宅の応急修理については、格別の御配慮を願いたい。
 第十四、開拓者資金による災害ワクの拡大並びに早期査定及び早期支払い措置を講じていただきたい。
 その他、災害防疫の地域指定、水道災害復旧工事に対する国庫助成措置、医療機関復旧対策等について強い要望がなされたのであります。
 次に、今回の集中豪雨並びに台風十五号の被害状況等を調査いたしました私どもの所見を申し上げたいと存じます。
 まず両県の被災市町村は、ともに今回の災害について、要望書にもありますように、何をおいてもまず激甚災害としての取り扱いがなされるのかどうかということについて一番心配をされているようでございました。この点につきましては、豪雨災害に対しまして八月十七日の閣議により激甚法の適用を見、さらに八月二十七日天災融資法の適用をも受けましたことは、罹災者一同も心から感謝をいたしておるところでございます。ただ残されております十五号台風による罹災者救済につきましては、事務的に詳細な数字の積み上げを終わらないと、なかなか結論が出ないのが現状でございます。またそうあるのが当然でございますが、やはり被災市町村の気持ちを察するとき、激甚災害、天災融資法の指定は、早急に決定する必要があることを痛感いたした次第でございます。
 次に、河川の災害復旧についてでありますが、今回の人的、物的の被害が、中小河川の決壊等によるものが圧倒的に多いわけで、ことに熊本県南部地域球磨川水系にかかる水域は、過去三カ年連続して風水害に襲われ、とうとい犠牲者を出している個所であります。したがって、今後災害の再発防止という観点から、将来にわたっての恒久的対策を樹立する必要があると思うわけであります。またがけくずれ、山くずれ、地すべり等の災害防止について、従来の山地の災害復旧のあり方について、十分検討すべきではないかと存ずるのでございます。
 次に、今回の災害の特殊性は、熊本、鹿児島両県ともに個人住宅の災害が多く、被災者はその大半が生活保護家庭やその水準近くの生活困窮者世帯が多いことでありまして、自力復旧はとてもできず、全半壊等の被災家屋を、いかに復旧するかに困窮しておるのが実情でありまして、これをこのまま放置するならば、社会的にも重大な不安をもたらすものと考えます。したがってこれらボーダーライン以下の層の被災者住家の復旧を急ぎ、国のあたたかい救済の手を差し伸べる必要を痛感いたしました。個人住宅等の災害に対しても、激甚法の適用が受けられるよう法改正の必要を痛感いたすものでございます。
 さらに農民の住宅、畜舎等の倒壊が甚大でありますので、農業近代化資金のワクを増大し、貸し付けの方途についてもこの際検討し、農家に対する更生の道を講ずべきでありましょう。
 今回私どもが視察した熊本、鹿児島両県とも、三十八年八月の集中豪雨による災害以来三年連続して豪雨に襲われております。住民たちは引き続く災害に、生活の基盤である田畑を失い、ぼう然自失というのが実情でありまして、収入の道を閉ざされた農民の立ち上がりを、一そう困難にいたしております。生活源を失った熊本県五木村では、人口六千四百人に対しまして三年連続の災害で千三百人もの人たちが離村しているということでありまして、また鹿児島県出水市においては全壊家屋の五〇%が要保護世帯であり、下甑村、大口市においてもほぼ同様であります。このように今回の被災者が零細農民、低所得層であるだけに、きめのこまかい援助措置が望まれるわけであります。
 次に、公共施設のうちで、特に学校施設の災害復旧についてでありますが、今回の災害が夏休み中に起きたものであったために、幸いにも学童の死傷者が出ずに大過なきを得たわけでありますが、いずれも全半壊の被害を受けた校舎は、老朽校舎が多く、これが復旧は、先ほどの要望事項の中でも申し上げましたように、校舎の鉄筋化の必要を痛感いたしておるものでございます。
 次に、農作物の被害、特に冠水した水稲の生産確保のため、病虫害の防除について関係当局の精進、技術的、物質的な万全の措置を期していただきたいと思うわけであります。
 そのほか、危険地帯からの家屋の移転、台風常襲県に対する積極的対策等いろいろありますが、個々の、こまかい問題につきましては、重要ではありますが、いずれ質疑を通じて明らかにいたしたい所存でございます。
 以上をもちまして、被害状況等の報告を終わりますが、最後に本調査にあたりまして御協力くださいました関係各位に対しまして、心から感謝の意を表する次第でございます。

発言情報

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発言者: 園田清充

speaker_id: 27198

日付: 1965-09-10

院: 参議院

会議名: 災害対策特別委員会