佐藤榮作の発言 (日韓条約等特別委員会)
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○国務大臣(佐藤榮作君) 日韓が平和外交にどうつながるかと、こういうことですが、たいへん卑近な例を申して恐縮ですが、たとえば、私どもが住んでおる一つの通り、町があると、その町が楽しく平和であるためには、隣のうちとやはりお互いに朝夕のあいさつをするぐらいの関係があってほしい、そうすると、初めてその町筋も明るくなり、お互いの生活にも潤いを来たす、これがいわゆる平和であると、かように思います。最近の国際関係におきましては、お互いは国際的にやはり孤立するというわけではなくて、国際交際を深めると申しますか、お互いの繁栄があると、私はかように信じております。その観点から見ますると、隣の国同士と仲よくしていく、これこそが平和につながるものである、お互いの安全をも確保していくことにもなるわけであります。お互いの隣同士の国がにらみ合っているような形ではよくない、にらみ合っているような状態じゃないにしろ、お互いにつき合いもしない、こういうことはたいへんさびしいことでもあり、いわゆる平和を愛好するものから見ましても、ほうってはおけないことだと、かように私は思うのでありまして、この点では、おそらく羽生さんも御理解をいただけるだろうと思います。ただ、隣の国、韓国だけではありません。ソ連もありますし、北鮮もありますし、中共もあります。こういう状態でありますから、私は、これはスタートラインだということを申し上げておるのであります。そうして、冒頭にお尋ねになりました力の均衡という、力の均衡は、いわゆる拡大均衡ばかりが均衡ではないのであります。羽生君の御指摘になるような縮小均衡もまた、均衡だといえると私は思います。したがいまして、いわゆる力の均衡によるバランスのとれたいまの平和の状態なんだと、こういうことは、これは情けないが、実際の現実の問題としては、そういう状態である。理想の形を考えるならば、力なんかというものを全然考えない、そうして仲よくできる、そういう世の中がほしいんだと思います。ただいま申し上げるような意味からは、理想を目標としての行き方としては、縮小均衡の方向で努力されるのが当然だろうと、かように私は思います。