佐藤榮作の発言 (日韓条約等特別委員会)
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○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。日韓間の交渉を始めまして十四年もかかっております。たいへん長い交渉でございます。また、この経過から申しましても、佐藤内閣が非常に急いでおる、こういう問題でないことはおわかりでございます。日本政府、日本国それ自身が韓国と条約その他を結びまして、そうして正常な関係を樹立しようということはもう十四年の前から計画され、そうしてそのことが進んでおるということであります。私はそれを今回の締結のその終局的な処置につきまして、佐藤内閣があせっている、あせっている、こう言われるのは、よほど問題を継続的に見ない考え方ではないか、かように思います。したがいまして、今回、国民全体からみましても、これを正常化するのはあたりまえだということで、世論は非常な支持を与えておるのであります。問題は、それではこの正常化は一体なぜ必要なのか。御承知のように、漁業関係ではしばしば問題を起こしておる、日本の漁師がどんどんつかまっている、あるいは漁獲をする船舶が拿捕された、こういうような関係もございます。いわゆる李承晩ラインで問題が起きている、たいへん国民は迷惑している、これはもう御承知のとおりであります。あるいはまた、竹島の問題は私どもが長く主張しておりますが、これはまた明らかに韓国と正面衝突した問題であります。また、法的地位の問題が今回きまろうとしております。在日韓国人の法的地位がきまろうとしております。これあたりも、かつては日本人だった。しかし、これが大韓民国ができると同時に、その韓国籍といいますか、これらの方々の国籍が日本国籍を失ったということは非常にはっきりしておる。それから先はどこに置くかわからない、こういうようなことを積み重ねてみますと、日韓間には早急にきめなければならない問題があるわけであります。そういう事柄がきまらないで、そして約十四年間もいろいろ交渉を続けてきた。そしてそこには非常にむずかしいものがある。それは後に触れられるだろうと思いますが、いわゆる不幸な過去というものが、こういうものを一そうむずかしくしている。そしてこれがいわゆる戦争による平和条約というような関係ではない、いわゆる分離国家の形において独立している、こういうようなことでありますだけに非常にむずかしさがある。それがようやく両国の了解に達した。それで、いま条約その他を結ぼうとするのであります。私はこういう点について皆は十分理解してくれていると思いますし、ましてや、形式的にも隣の国同士じゃないか。隣の国と修好関係、善隣友好の関係を樹立しないで、そしてわが国の安全、平和だ、かようなことを言うことはほど遠い。これは抽象的な議論でございますが、そういうような問題もあるのであります。私はそういうような意味から申しまして今回調印をいたしたわけでありますが、いわゆる急いだ急いだと言われるけれども、急いでいるわけじゃないのだ、国の意思決定といたしましては非常におくれている、かように私は思う次第であります。