小平忠の発言 (予算委員会)
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○小平(忠)委員 私は、民主社会党を代表して、政府提出の昭和四十一年度予算三案について、政府はこれを撤回し、お手元に配付されておりまする民社党動議の要綱によりまして、すみやかに組替えを行ない、再提出するよう要求する動議を提出いたします。
政府案につきましては、本委員会におきまして、すでに一カ月余の審議を尽くしたのでありますが、審議を深めれば深めるほど、政府案の欠陥を私どもは痛感せざるを得ないのであります。
申すまでもなく、明年度予算の編成にあたりまして、一方では長期にわたる不況のために租税収入が減退し、他方では、これも長期にわたる物価高のために歳出予算の膨張は避けられなくなっております。不況と物価高の同時克服の施策がない限り、今後の予算編成は財源難と歳出増加のジレンマに苦しむことは不可避であります。いまや、わが国の予算編成は抜本的に編成方式を改め、かつまた不況と物価高の克服のために、国の財政政策が経済活動全般の先頭に立つべきときであります。しかるに、政府案は、財源難は明年度だけの特殊事情とみなし、物価高のための経費単価の引き上げによってふくれた歳出予算を政策の前進であると国民を欺瞞しておるのであります。私どもは、このような政策不在予算を断じて許容することはできません。ここに、民社党が政府案の組替え要求動議を提出せざるを得ない理由があるのであります。
わが党は、昭和四十一年度予算の編成こそは、不況と物価高の克服を通じて、わが国の経済体質を是正していく長期経済政策の一環として行なうべきものと確信しております。この見地に立ちまして、わが党は、予算編成の前提として、三つの重要施策の実施を政府に要求します。
その第一は、重要産業の大企業間の過当競争によって強い支配を受けているわが国の経済体質を是正することを目途に、これら大企業の投資活動と、これに対する金融のあり方につき、国が調整する制度を確立することであります。この方針のもとに、重要産業基本法を制定し、かつ銀行法その他の金融法規を改正すべきであります。
その第二は、政府は物価高抑制につき何らの基本方針を示さずして、今回の国鉄運賃の引き上げをはじめ、各種の公共料金の引き上げを行ない、むしろ消費者物価引き上げの役割りを果たしておりますが、わが党は、消費者物価上昇の抑制、消費者保護行政の体系整備と、政府の責任体制の確立を目途として、消費者基本法を制定すべきことを強く政府に要求するものであります。
また第三に、今後財政がますます経済政策の先頭に立って主導的役割りを果たすべき必要性にかんがみまして、直ちに財政法改正に着手し、歳出予算は、経常経費と資本的経費に大別すること、資本的支出については、多年度制編成をすることとし、その財源として、公債または借り入れ金を認めることにするよう財政法の改正を要求する次第であります。
わが党は、この三つの基本的施策の実施を前提として、政府案の組みかえを提案するものであります。わが党の組みかえ構想は、第一に、歳入予算につきまして、財政法を改正した後、六千億円の公債発行を認めることであります。この使途は、中小企業と農林漁業の近代化施策、住宅と住宅環境整備、文教福祉厚生施設の建設に限定いたします。
また税制改正としては、あくまで勤労国民の実質所得の擁護に置き、国民の個人消費支出の向上によって、経済成長についての最大の刺激要因とせんとするものであります。この見地に立ちまして、明年度の税制改正は、所得税の免税点を、政府案の五人世帯年収六十三万円より年収八十五万円に引き上げることを改正の最大眼目といたします。このほかの減税は、申告所得税、中小法人税、同族会社課税、退職所得等につき、これに準じた改正を行ないまして、明年度の減税規模は約三千五百億円とします。一方、大企業関係の課税につきましては、法人税は五百億円の増収、租税特別措置法の改廃で千八百億円の増収、大企業向け法人税率の一律引き下げ中止と、交際費非課税範囲の縮小により八百六十億円の増収を見込みまして、税収全体としては差し引き千七百六十億円の増収を見込んだのであります。
また、わが党は、政府案の財政措置だけでは地方財政の絶対的窮乏は打開し得ないとの見地に立ちまして、専売益金の全額千八百十三億円を地方財政に移譲することといたしました。
これら組みかえの結果、明年度の歳入予算規模は、政府案よりも一約千三百五十三億円減額した四兆一千七百九十億円となります。
これに対しまして、歳出予算の組みかえといたしましては、まず歳出予算規模は歳入予算と同額にし、その均衡をはかったのであります。
歳出予算の組みかえ減額の面では、一般行政費の節減を各省庁一律に五%天引きとして、約二千百五十七億円を各省庁に案分節減し、さらに零細補助金のうち約一千三百四十三億円を整理いたしました。これは、これから申し上げる歳出増額並びに専売益金約千八百億円の地方移譲によりまして、何らの地方財政上の欠陥を来たさず、むしろ政府が当然にとるべき行財政改革の第一歩であると考えます-もう一つの組みかえ減額は、防衛庁費のうち継続費並びに債務負担行為など、後年度に影響する予算計上一千百億円を減額したのであります。
一方、組みかえ増額としましては、主として四つの政策グループに集中いたしました。その第一は、物価高抑制のための調整的支出、第二は社会保障、住宅、文教など、国民福祉向上のための経費、第三は中小企業と農林漁業の近代化促進のための経費、第四は不況産業対策費であります。
第一の物価高抑制につきましては、向こう一年間公営企業の料金値上げを中止するために、国鉄、郵政並びに地方公営企業に対して国の出資または利子補給を行ない、かつ医療保険につきましては、医療給付を最低七割に引き上げるため、合計九百億円を新たに計上いたしました。
第二の国民福祉の向上につきましては、政府案より千五百億円を増額し、その内容についてはお手元の資料を参照願いたいのであります。
第三の中小企業と農林漁業の近代化のための経費は、政府案より五百億円の増額といたしまして、施策の中心は中小企業近代化助成金の増額、倒産関連中小企業に対する中小企業金融公庫の特別融資ワクの設定並びに農業生産基盤の拡充整備と、これに伴う農地管理事業団の事業範囲の拡大などであります。
第四の不況産業対策費は、不況被害が最も激しい繊維、産業機械、内航船の運航、地下鉱物資源、産炭地域の振興などにわたりまして、それぞれの産業助成策の強化費であり、三百億円を計上したのであります。
なお、財政投融資計画関係につきましては、政府案は国民福祉に直接還元する住宅建設、文教施設、体育保健施設並びに中小企業と農林漁業の近代化のための投融資に五〇%程度しか充当されておりません。わが党はこの点についての是正を政府に強く要求するものであります。
以上がわが党の組みかえ構想の概要でありますが、自民、社会両党の委員各位並びに政府におかれましても、わが党動議を参照されまして、政府案の欠陥是正につとめるよう強く要望いたしまして、私の提案説明を終わります。(拍手)