舘林宣夫の発言 (産業公害対策特別委員会)
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○政府委員(舘林宣夫君) 阿賀野川の下流におきます水銀中毒は、昭和三十九年の秋から四十年の春にかけて発生した問題でございます。で、この多数の患者並びに五名の死者は、初めのうちは他の疾病ということで扱われておったわけでございまして、これが水銀の中毒であろうかということが疑われ始めたのは四十年の五月の初めでございます。これに基づきまして、厚生省といたしましては、それ以来、鋭意その原因の究明に当たってきておるわけでございまして、その後、科学技術庁の特別調整費約一千万円をこれに投入していただきまして、科学技術庁を中心に各省連絡をとって、いま進めておるわけでございます。
そこで、先月の末に、厚生省関係のこの調査の三班が、いままでの調査結果を持ち寄りまして、一応中間報告というような形で意見をまとめたわけでございます。ただいま原田先生お話しのように、今日の段階では、まだはっきり、何が原因であると、つき詰めた答えが出切っていないわけでございますが、しかしながら、だいぶ問題がクローズアップされてまいりましたので、この際、その中間の意見を申し上げるわけでございますが、この患者は、間違いなくメチル水銀中毒であろう、こういうことがまずわかったわけであります。このメチル水銀が、それではどういう経路で患者へ入ったのだろうかということで疫学調査をいたしたわけでございますが、これも間違いなく魚から入ったに違いない、こういうことがわかったわけであります。
そこで、その魚が、どうしてそれではメチル水銀で汚染されたかという原因でございますが、その原因には、大別いたしまして二つが考えられる。一つは、工場廃水であり、一つは農薬である。ところが、あの阿賀野川の下流に入り得る場所にある工場の工場排水から考えて、想定いたしました工場ではメチル水銀は使っていない。無機水銀しか使ってない。しかも、その無機水銀を使って有機水銀をつくるというような工程はない。単なる触媒に使っているだけであると、こういうことであったわけであります。
それでは、メチル水銀そのものはどこが使っておるかというと、農薬としてメチル水銀そのものが使われておる、こういうことがわかったわけであります。ただ、この農薬として使われておるのは、それほど大きな量ではございませんで、大部分が酢酸フェニル水銀として、いもち病の対策に使われておるわけでありまして、メチル水銀は、ごく少量、もみの消毒に使われるというような事態もわかってまいりました。はたしてあの程度の少量のものが原因たり得るか。また、従来はメチル水銀ではなくて、別の形の有機水銀が消毒に使われておるのであって、すなわちエチル水銀が使われておるのであって、そのエチル水銀の中にメチル水銀がまじって入っておる可能性があるというようなことも判明してきたわけであります。もちろん、これらは原因たり得るわけでございますが、数量的に考えて、あるいはそれらが流入するというような経路から考えて、はたして原因たり得るかというような問題へ、いま逢着いたしておるわけであります。
いま一つ、工場廃水の中に、何らかのことで——その原因はまあ別にいたしまして、無機水銀を使ってはおるものの、それがどこかの過程で、何らかのことで有機水銀に変わっておるかもしれないということを考えまして、すでにそれらの工場は水銀を使う工程を一年以上の長きにわたってやめておりますが、そのやめた、廃止になった施設の中の残渣から有機水銀の残りが出てこないかということで調べたわけであります。その結果、ごく微量でございますが、メチル水銀を検出いたしたわけでございます。もしもこれが原因たり得るとすれば、川のどろの中、魚の中に出るはずであるということで、川のどろ並びに魚を、かなり広範にわたって調べてまいっておるわけでございますが、この中からは全然出てまいらないわけでございます。すなわち、もしもこういう事態が原因になりました場合に、間がつながらない、こういう状況でございます。したがって、目下のところ、以上の状況で中間報告がございましたので、さらに進んで、それから先の、いままで不明の問題を探究すべく、いま検討を進めておる、こういう状況でございます。