野溝勝の発言 (農林水産委員会)

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○野溝勝君 大臣、私が聞いた核心に触れておらぬのですが、私はあなたの言われる農政に対する考え方、大まかにいえば農業基本法の精神を中核としてやっていくのか、いままではなかなか目的を達することができないから、こういう考え方で大いにやろうと思いますという考えなのか、その点をお聞きしたいと思ったんでございますが、なかなか要点に触れません。聞くところによると、大蔵大臣が二時から本会議があるからということでございますから、先に大蔵大臣から質問いたします。
 私は、大蔵大臣、あなたにこの間大蔵委員会においても申し上げましたとおり、農業の地位というものは非常に重要だと思うのです。特に大蔵大臣は農林大臣もやったこともあり、さらに農政のこともよくわかっておると思うのであります。そんな関係から、特に本委員会に委員長の了解を得て、お招きをしてお聞きするのですが、私が先ほど言いましたが、いま実際世界の食糧事情、農業事情から見ても、日本農業から見ても非常に危険な状態にきておるわけなんです。私は池田前総理がやった当時の高度経済成長政策は、農民には何らの恩典はないじゃないかという、そういうことをいま一々言うのではない。しかし、いまお互い行政府も立法府も真剣に反省しなければならない時だと思っているのです。この間、大蔵委員会においても、国際収支の問題について農林物資の輸入、食糧等の輸入についての加速度的な増大ですね、これを今後の事情から見るというと、この国際収支の面にも非常に危機がくる、財政的見地から真剣に大臣考えてもらいたいということを私は申し上げたわけです。そこで、きょう私は農林、大蔵両大臣のいるところで、日本の農政というものは農林省が立案したものか、表看板は農林省になっておるが、実際はどこか、具体的にいえば、日本の重化学工業、産業資本家なり、金融資本家なりが一つの案を出して、それを農林省が、いわばそれに何といいましょうか、修正を少しした程度で、日本の農政というものはやっているんじゃないでしょうか。特にこれは忌憚なくお聞きしますが、すでに経団連、同友会その他等々から何回も提言等が出ておるわけです。早い話が、池田内閣がやった当時の政策はそれと裏づけているわけです。と申すのは、御承知のごとく、これは今週のエコノミストにも出ております、ごらんください。美土路達雄君が出しておりますが、日本農業の展望の提言された歴史が出ておりますが、その中の一こまを申し上げますと、まず第一に、企画庁の経済研究所長の林雄二郎君が、四十年十一月に国民生活審議会の席上で、二十年後の農業という題で話をしております。その話の内容は、農村人口は全人口の一割程度、一人当たりの所得は百六十二万円、各自自動車を利用して農場へ出勤する、こういうものです。
 それから第二は、食管制度の分析、産業計画会議委員長松永安左衛門、これはどういう人か知らぬ、電力会社のエキスパートとは聞いておりますが、百姓のエキスパートだとは聞いていない、この人がこういうことを出しておる、これは四十年三月、十五年後の日本の農業、高生産性を形成する、その長期目標として、農家戸数は将来三百万、半分くらい、新規農業投資は八兆八千億、八兆八千億で日本の百姓を買ってしまう、農業関連の投資として十一兆円、基幹農家は百万ないし百五十万戸でよろしい、モデル的中核農家は一戸十ヘクタール、年収二百万円、十ヘクタールという、これは量が抜けておる、おかしいじゃないですか、こういうことを、あなたたちはどういうふうにこれに対して抵抗したのか、この際聞いておきたい。十ヘクタール二百万、これは実際私考えるね、日本のやはり産業資本、金融資本、経済同友会等のいろいろ意見が出ているわけでありますが、そういう諸君が、貿易を振興するためには食糧を外国から買ってきてもよろしいと、そのためには日本の工業品を出す、百姓は貿易の犠牲にする、露骨には言っておりませんが、私は今日の百姓の状態から見てそういうことになっておるのです。それから、きょうはほんとうに両大臣がいるところでございますから申し上げておきますが、四十年三月経済同友会の提言ですが、農業近代化への提言、三回にわたって出ておりますが、省略します。それで経済審議会長の石川君からも、今度木川田さんにかわる予定ですが、その他財界、経済界、調査会、各方面から出ております。特に経団連の副会長の植村さん、永野富士製鉄の社長と中山伊知郎氏と、この三人が中心になりまして、国際的観点から見た日本の農業問題、どういうことが書いてあるかというと、まとめますと、日本の農家は現在の三割に減らしてもよろしい、こういうことをいっております。大体大同小異でございます。全部一致しておるわけではないが、ちょうど農業基本法を出す当時における池田前総理の意見がそうでございましたが、そうすると、日本の農政というものはどこから出ておるかということについて、私はほんとうに深く反省しなければならぬと思うのです。もちろん工業も必要でございます。何も農業一辺倒の農本主義ではありません。私は、しかし、民族産業としてのこれを軽く見た社会主義の国でさえも食糧の危機があったということを是認したのでございます。いわんや自由主義の国で、今日におきましてはどういう一体状態になっておるか、四十万戸も五十万戸もの農家の土地が崩壊してくるではありませんか、こういう中におきまして、この意見を聞いたんじゃないといえばそれまでのものでございますが、もっと私は行政の中心であるところの農林省あたりからひとつ意見を出して、工業方面の意見とひとつ対決するような意見を出したらよい、けんがやれという意味ではないですが。農業の位置づけに対する私は意見というものを堂々と出してくれたらいいのではないですか、農業基本法というものの流れる精神というものは、この精神から生まれておるのです。ですから、白書等も実際にはぴんとこないものがあるのです。ありきたりという白書なんです。どうかひとつここで大蔵大臣、農林大臣、特にそういう点に対して私はまあ御所見をこの際聞いておきたいと思います。財界からの提言を中心にしていくのか、いや、参考にはしても、そういうことはしない、あくまでも日本の農業の位置づけに対しては農林省が中心になってやるという考えなのか、この点をひとつ私は農林大臣から先にお聞きしておきたいと思います。

発言情報

speech_id: 105115007X01819660415_009

発言者: 野溝勝

speaker_id: 28573

日付: 1966-04-15

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会