農林水産委員会

1966-04-15 参議院 全65発言

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会議録情報#0
昭和四十一年四月十五日(金曜日)
   午後一時十三分開会
    —————————————
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     大河原一次君     野溝  勝君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎  斉君
    理 事
                野知 浩之君
                和田 鶴一君
                武内 五郎君
                宮崎 正義君
    委 員
                青田源太郎君
                梶原 茂嘉君
                櫻井 志郎君
                園田 清充君
                任田 新治君
                温水 三郎君
                森部 隆輔君
                八木 一郎君
                川村 清一君
                鶴園 哲夫君
                中村 波男君
                野溝  勝君
                森中 守義君
                矢山 有作君
                北條 雋八君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       農 林 大 臣  坂田 英一君
   政府委員
       大蔵大臣官房財
       務調査官     川村博太郎君
       大蔵省主計局次
       長        武藤謙二郎君
       大蔵省銀行局長  佐竹  浩君
       農林政務次官   後藤 義隆君
       農林大臣官房長  大口 駿一君
       農林省農林経済
       局長       森本  修君
       農林省農政局長  和田 正明君
       農林省農地局長  大和田啓気君
       農林省畜産局長  桧垣徳太郎君
       食糧庁長官    武田 誠三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林省農政局参
       事官       横尾 正之君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査(農業基本法に関す
 る件)(食糧自給体制等に関する件)(土地改
 良長期計画等に関する件)
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山崎斉#1
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日大河原一次君が委員を辞任され、その補欠として野溝勝君が選任されました。
    —————————————
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山崎斉#2
○委員長(山崎斉君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 まず、農業基本法に関する件について質疑を行ないます。野溝君。
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野溝勝#3
○野溝勝君 私は予算も終わり、まあ大体国会としての委員会の審議も低調になったなどと言われておりますが、私はさように考えておりません。特に、農業問題などはいま重大な関心を払わなければならぬときであると思っております。このときに私は本委員会におきまして、特に感情的とか、あるいはイデオロギー的とか、そういうものの考え方でなくて、日本の農政をどうするかということを真剣に質疑していきたいと思います。なお、農林省が考えておりましても、その裏づけをなす財政関係については、大蔵大臣の意向を伺う必要がありますので、本委員会へお招きをして質疑を重ねていきたいと思います。
 御承知のように、佐藤内閣におきましては安定成長路線というものを打ち出しております。前の池田内閣当時の高度経済成長から安定成長路線に移っているわけです。これは申すまでもなく、財政経済政策全体のことで、単に一階層にたよらず、全国民階層全般にわたっての安定成長路線と解釈しておるわけであります。そのときに農林政策はこの安定成長路線とどういう位置づけをされておるかという点について、ひとつ坂田農林大臣からお伺いしたいと思います。
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坂田英一#4
○国務大臣(坂田英一君) 野溝委員の、つまり安定路線の問題でございますが、農林関係といたしましては、やはりむしろ一般の産業とは進み方が、ものの性質上非常におくれるという点がございまするので、全体からみますると、現在の情勢から言いますれば、若干いろいろの所得の面においても農家所得——農業所得でなしに農家所得全般から見て、若干増加いたしておるという実態にはあると思います。これは農業所得ではございません、農家の全体の所得を通じての話でございます。そういうぐあいで、一般の産業面においては多少、現在いわゆる成長がおくれておるという、そういう状態から見ますと、それに比較しまして農業のほうは若干進んでおる、こういう実態でございます。しかしながら、この問題、これは比較の問題でございまして、相変わらず一般の産業に比較いたしまして所得は低いということは、これはもう変わってはおりませんのでございます。
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野溝勝#5
○野溝勝君 農林大臣の御答弁でございますが、そうした経済的な問題につきましては、これからあと各論にわたりまして私が質問していきたいのです。最初はおおまかな考え方だけあなたからお聞きしておきたいと思ったのです。特に他産業とは経済的な成長のしかたの度合いというものがややおくれておるといいますけれども、ややどころじゃない、数字にあらわれているごとくでございます。
 そこで、特に私が真剣にこの委員会で発言を求めて聞かんとするのは、現在の食糧の世界情勢は非常に逼迫しております。御承知のごとく、前年は社会主義のソビエトですらも小麦不足で、アメリカから小麦を入れる、前年は中共におきましてはカナダから数百万トンの小麦を入れた。さらに最近におきましてはインド及びインドネシアが食糧危機でございます。こういうときに、御承知のごとく、世界の余剰食糧の可能量——供給力というものは、わが国が必要とする準内地米は五十万トンぐらいしかないわけです。的確な数字はなかなか国連においてもまだつかめません。そういう情勢の中におきまして、これらの国がどうしてこういう食糧の危機なり不足なりを招いたかということについて、日本の政府として、私は反省しておるかどうかという点です。
 それに関連してお聞きしたいことは、計画経済をやっておる社会主義の国でさえも重化学工業を重点にやりまして、その方面に対する高度経済成長を盛んにやってきたのでございます。私は池田さんの高度経済成長を失敗だとか、失敗でないとかいうことよりも、これからどうするかということについて、真剣に私は質問したいと思っておるんです。
 そこで、日本の農政というものがこの危機に対する反省の上にこたえておるかどうかというこの点なんです。その点を私は大臣にどういうふうに考えておられるか、また、自分としてはどういうふうにしようとしておるのか、こういう点をひとつ、あなたの構想をお聞かせ願いたい。
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坂田英一#6
○国務大臣(坂田英一君) 野溝委員の御質問のほんとうの意味はちょっととりにくいのでございますが、私は現在の農業の実態から申しますというと、全般の産業のようには、進むも退くも早くものが進まないという実態にあると思います。これは私は日本の農業だけでなしに、全般的に農業はさようなものであると存じます。
 そこで、先ほどお答え申し上げたことについては、ことばが足らないために申し上げたことにちょっと誤解を来たしたのではないかと思いまするので、その点とも関連して申し上げたいと思うのでございますが、いわゆる高度成長の最中におきましては農業はとてもそれについていけない、そういう意味において比較をいたしますと、農家の所得その他の面において非常なおくれを見ておった。ところがいまのような状態になりますというと、その比較の面において農業のほうはやはり引き続いて若干なりとも進展が見られる、そういう意味において申し上げたのでありまして、全体の比較において農業はまだ所得の上においてもすべて他の産業に比しては低いということを申し上げねばならぬのでありますが、そういう点を申し上げましたので、先ほどの御質問に対して補充的に申し上げなければならぬかと思いますので、この点をまずつけ加えて申し上げるのでございます。
 それから、現在の行政でまいりますというと、この農業の問題は、先ほど申しましたように、非常にテンポがいずれにしてもおそいということが、これは本質的な点もあろうと思う、いかに努力をしても本質的な点であろう、こう私は思うのでございます。したがいまして、これらの行政を進める際においては、一定の方向に、つまり農業基本法なら基本法の方向に向かって進む際においても、やはりその点を十分のみ込みながら、しかし着々とその方向に進めつつ、それらの情勢をながめつつ、これは進めていく必要がある、こう考えておるわけでございます。
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野溝勝#7
○野溝勝君 坂田さん、私の聞かんとするのは、そういう各論的なお話はこれからお伺いいたします。所得格差の問題その他については各論的の問題としてお聞きしますが、日本の農政というものは世界情勢その他国内のいろいろな事情から見て、どういうふうに考えておるかという点をお伺いしたわけです。そこで、特に最近マスコミなどは盛んにこの問題を取り上げている、私は非常に関心を高めてうれしいと思っています。真剣に私は民族産業防衛の観点に立って、いまこそ政治家も反省しなければならぬと思う。政府はもちろんであります。あとからも申しますが、国債政策をやって日本の財政をやっていくという、こういう状態になってきておるわけなんです。そこで、農業がいまのような状態になってくるというと、ますますこれから輸入もふえてくるわけです。特に私が憤慨するのは、きょうの新聞です。藤山君が主宰した物価懇談会において中山伊知郎君のあの主張なんです。あんなことでは何を考えておるかということを言いたいんです。
 そこで、私はむしろ、あなたの答弁のほうは、私は時間の関係もありますから、そう詳しくはなかなかできません。でありますから、私は、政府の出した、あなたのほうから出した資料に基づきまして、これから各論的に質問いたしますが、さらに、先般東南アジア開発閣僚会議が開かれ、開発、農業、貿易、援助等の問題が論ぜられ、特に農業開発会議設定がきめられたり、日本の農業と関連のある問題が出ております。特に食糧問題については、あなたも少し言われたそうでございますが、押えられたらしい。これは今日に始まった問題じゃないんです。米はすでにばく大なる八十万トン近くの輸入をしているんですね。そういう情勢の中にあって、政府が非常に農業軽視といいましょうか、過小評価しておるようなこの考え方は、私に大きな誤りをおかすものだと思うんです。そういう点であなたに私は日本の農政というものを、具体的に言えば、農業基本法をもって今日の事態に処していくことができると確信するのか、どうか。すでにこの問題については、同僚であります矢山委員が予算委員会においてお聞きしたわけですが、予算委員会ではまだ明確なる回答は得られていない。というのは、佐藤総理とあなたの間に意見の違いがある、そういうような点も非常にありますので、この際あなたは忌憚なく言ってください。この基本法の体制をもって、農業政策の基幹とする、しかし、なかなか思うようにいかぬから、これを思い切って改革をしようとも、あるいは政策を転換しようとも、今回は間に合わないから、とにかく来たるべき予算年度におきまするまでに間に合わせる、こういう考えを持っておるとか、おらないとかいう、そういう構想をお聞かせを願いたい。構想がなければ、いまの基本法の政策をもって、それで足れりというふうに考えておるのか、どうするんですか。その点は、ひとつ、あなたは裸になって——あの食糧困難のときに、私が日本農民組合を戦後再建するときに、あなたは農林省の特産課長として食糧の危機に際して、わらじをはいて東奔西走されてイモの増産に努力されたことを私は承知しております。あなたも私と会見したときに、真剣になって食糧の危機を叫んで大いに共鳴したものじゃございませんか。今日の事態は、きのうの物価問題懇談会の状況のように、食糧は輸入に依存するという、こういう考え方すら出しておるような状態でございます。百姓はどうすればいいのですか。こういう点についてひとつあなたに忌憚なく、あなたいつまでも大臣やっておるわけじゃないですから、ひとつあなたの気持ちをざっくばらんに私はお聞かせ願いたいと思う。
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坂田英一#8
○国務大臣(坂田英一君) 野溝委員のお心持ちは非常に私たちにも響くわけでございます。ただ、ここで申し上げたい点は、アジア閣僚懇談会においては、この前参りましたのは八カ国参りました。その八カ国参りました国のうちで、タイ国だけが少しばかり輸出できる国でありまして、あとは全部足らない国ばかりでございます。そこで、いわゆる食糧問題に努力してきた日本としては、これらの不足する地帯に対してどうして自給できるかという問題、それからそれらの技術協力、そういった問題について協力をするという問題を提供したわけでございます。この点については閣僚諸公においても反対はなかったわけでございます。新聞等を見るといろいろの誤伝があったように聞いておりますが、それは単なる誤伝でございます。これはそういうことで進みましたわけでございまして、各国ともそういう問題について非常に感激をいたしておったように私は見ておるわけでございます。ただ、この際に食糧以外の問題としてどういう問題があったかという問題については、私はその当時においてまだ的確に発表はいたさなかったのでございまするが、家畜のえさのうちでトウモロコシやマイロのようなものは、国内でも増産をでき得る限りするのはいいが、やはり必要なところからこれらのものは輸入するのがよかろうという意見を持っておるのでございまして、そういう点についていろいろ論じ合ったわけでございまして、いま申し上げましたアジア閣僚会議においては私の意見どおりそれらが進んでおるのでございまして、別の意見がないわけでございます。ただ、そういうことで寄った各国も、ぜひともこれらの問題を審議したいということに相なっておるわけでございまして、向こうからまた農業会議をやりたいというのでそれを進めておるということでございますから、この点はよく御了承を願いたいと思います。
 それから物価問題懇談会においていろいろの問題があるいは出されたかとも存ずるのでございまするが、これは日本といたしましては、たとえば米のような食糧についてはいまから十年ほど以前においては御存じのとおり六千四百万石程度のものが平年作であるというのでございましたが、現在は八千三、四百万石に伸びておるわけです。だから非常な米の増産ができ上がってきておるわけでございます。そのために当時七千万人の人口であったにもかかわらず、現在一億に近くても米の自給量は九六%以上に到達しておるということで、食糧の増産という問題については日本として相当努力を払っておることは御了承のとおりでございます。しかし、現在のところ、二、三年の経過を見ますというと、米の生産も減少の傾向が若干見られるのでございます。天候の関係もあり、いろいろの関係がございまして、そういう関係にございます。しかし、実態としては九六%程度の自給が可能になっておるのでございまして、私はやはり主要なる食糧についてはどうしても自給に向かって進みたい、こう考えていろいろ各種政策を立て、また、それらのものを完成すべき方向に向かっておるわけでございます。
 それから、基本法の根本問題についてでございますが、現在の基本法においては、ご存じのとおりにやはり生産性の向上という問題いわゆる反当たり収量という問題よりも、一人当たり労働生産性を上げるという問題に非常に力が入り、しこうして、また農家の所得を向上させるという点に非常に力が入っておることは御了承のとおりでございまして、これらは申し上げるまでもないことでございまするが、さような方向に向かって基本法の趣旨に沿ってでき得る限りのことを進めておるわけでございます。しかし、農政の根本から考えまして、野溝委員も御同感であろうと思いますが、それのみならず、農政のきわめて重要な面がこれだけでなしに大きな面が残されておる、こう思います。それらの問題は農業基本法の前文においてはっきりとそれらをうたっておるわけでございます。前文ではっきり生産性の向上及び所得の向上という問題以外の農村としての重要問題は、おわかりのことを申し上げてたいへん恐縮でございますが、前文にはっきりとこれをうたっておることは御了承のとおりでございます。しかし、最近の情勢から言うと、やはり一人当たりの労働生産性をふやすべきである、そうして所得全体の均衡をはかるべく努力する、こういう基本法の目的というものも、現在としては非常に大事な問題でございまするので、その線に向かって努力を払ってまいりたい、こういうのが私どもの考え方でございます。しかし、この基本法に基づいてのいろいろやっておる一つ一つの施策について見ますと、これはどれもこれも十分間違いなくいっておるかということになりますというと、物によっては全体はよくいっているにしても、部分的にはやはりまだ足らないことも、初めてのことでありますからいろいろ出ております。こういうことのために、全般としてこれらの問題に対して非常に疑問を持つということがあるのではないかと思いまして、私も就任早々、たとえば構造改善事業については全体の問題として十分調べる必要があるというので、調査をいたしたようなわけでございまして、部分的に見ますというとある地帯においてはまだいろいろの事情がある、これは大きなむずかしい問題でございまするので、改めるべきものは改めつつ、これらの方向に向かって進んでいきたい、かように考えておるわけでございます。
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野溝勝#9
○野溝勝君 大臣、私が聞いた核心に触れておらぬのですが、私はあなたの言われる農政に対する考え方、大まかにいえば農業基本法の精神を中核としてやっていくのか、いままではなかなか目的を達することができないから、こういう考え方で大いにやろうと思いますという考えなのか、その点をお聞きしたいと思ったんでございますが、なかなか要点に触れません。聞くところによると、大蔵大臣が二時から本会議があるからということでございますから、先に大蔵大臣から質問いたします。
 私は、大蔵大臣、あなたにこの間大蔵委員会においても申し上げましたとおり、農業の地位というものは非常に重要だと思うのです。特に大蔵大臣は農林大臣もやったこともあり、さらに農政のこともよくわかっておると思うのであります。そんな関係から、特に本委員会に委員長の了解を得て、お招きをしてお聞きするのですが、私が先ほど言いましたが、いま実際世界の食糧事情、農業事情から見ても、日本農業から見ても非常に危険な状態にきておるわけなんです。私は池田前総理がやった当時の高度経済成長政策は、農民には何らの恩典はないじゃないかという、そういうことをいま一々言うのではない。しかし、いまお互い行政府も立法府も真剣に反省しなければならない時だと思っているのです。この間、大蔵委員会においても、国際収支の問題について農林物資の輸入、食糧等の輸入についての加速度的な増大ですね、これを今後の事情から見るというと、この国際収支の面にも非常に危機がくる、財政的見地から真剣に大臣考えてもらいたいということを私は申し上げたわけです。そこで、きょう私は農林、大蔵両大臣のいるところで、日本の農政というものは農林省が立案したものか、表看板は農林省になっておるが、実際はどこか、具体的にいえば、日本の重化学工業、産業資本家なり、金融資本家なりが一つの案を出して、それを農林省が、いわばそれに何といいましょうか、修正を少しした程度で、日本の農政というものはやっているんじゃないでしょうか。特にこれは忌憚なくお聞きしますが、すでに経団連、同友会その他等々から何回も提言等が出ておるわけです。早い話が、池田内閣がやった当時の政策はそれと裏づけているわけです。と申すのは、御承知のごとく、これは今週のエコノミストにも出ております、ごらんください。美土路達雄君が出しておりますが、日本農業の展望の提言された歴史が出ておりますが、その中の一こまを申し上げますと、まず第一に、企画庁の経済研究所長の林雄二郎君が、四十年十一月に国民生活審議会の席上で、二十年後の農業という題で話をしております。その話の内容は、農村人口は全人口の一割程度、一人当たりの所得は百六十二万円、各自自動車を利用して農場へ出勤する、こういうものです。
 それから第二は、食管制度の分析、産業計画会議委員長松永安左衛門、これはどういう人か知らぬ、電力会社のエキスパートとは聞いておりますが、百姓のエキスパートだとは聞いていない、この人がこういうことを出しておる、これは四十年三月、十五年後の日本の農業、高生産性を形成する、その長期目標として、農家戸数は将来三百万、半分くらい、新規農業投資は八兆八千億、八兆八千億で日本の百姓を買ってしまう、農業関連の投資として十一兆円、基幹農家は百万ないし百五十万戸でよろしい、モデル的中核農家は一戸十ヘクタール、年収二百万円、十ヘクタールという、これは量が抜けておる、おかしいじゃないですか、こういうことを、あなたたちはどういうふうにこれに対して抵抗したのか、この際聞いておきたい。十ヘクタール二百万、これは実際私考えるね、日本のやはり産業資本、金融資本、経済同友会等のいろいろ意見が出ているわけでありますが、そういう諸君が、貿易を振興するためには食糧を外国から買ってきてもよろしいと、そのためには日本の工業品を出す、百姓は貿易の犠牲にする、露骨には言っておりませんが、私は今日の百姓の状態から見てそういうことになっておるのです。それから、きょうはほんとうに両大臣がいるところでございますから申し上げておきますが、四十年三月経済同友会の提言ですが、農業近代化への提言、三回にわたって出ておりますが、省略します。それで経済審議会長の石川君からも、今度木川田さんにかわる予定ですが、その他財界、経済界、調査会、各方面から出ております。特に経団連の副会長の植村さん、永野富士製鉄の社長と中山伊知郎氏と、この三人が中心になりまして、国際的観点から見た日本の農業問題、どういうことが書いてあるかというと、まとめますと、日本の農家は現在の三割に減らしてもよろしい、こういうことをいっております。大体大同小異でございます。全部一致しておるわけではないが、ちょうど農業基本法を出す当時における池田前総理の意見がそうでございましたが、そうすると、日本の農政というものはどこから出ておるかということについて、私はほんとうに深く反省しなければならぬと思うのです。もちろん工業も必要でございます。何も農業一辺倒の農本主義ではありません。私は、しかし、民族産業としてのこれを軽く見た社会主義の国でさえも食糧の危機があったということを是認したのでございます。いわんや自由主義の国で、今日におきましてはどういう一体状態になっておるか、四十万戸も五十万戸もの農家の土地が崩壊してくるではありませんか、こういう中におきまして、この意見を聞いたんじゃないといえばそれまでのものでございますが、もっと私は行政の中心であるところの農林省あたりからひとつ意見を出して、工業方面の意見とひとつ対決するような意見を出したらよい、けんがやれという意味ではないですが。農業の位置づけに対する私は意見というものを堂々と出してくれたらいいのではないですか、農業基本法というものの流れる精神というものは、この精神から生まれておるのです。ですから、白書等も実際にはぴんとこないものがあるのです。ありきたりという白書なんです。どうかひとつここで大蔵大臣、農林大臣、特にそういう点に対して私はまあ御所見をこの際聞いておきたいと思います。財界からの提言を中心にしていくのか、いや、参考にはしても、そういうことはしない、あくまでも日本の農業の位置づけに対しては農林省が中心になってやるという考えなのか、この点をひとつ私は農林大臣から先にお聞きしておきたいと思います。
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坂田英一#10
○国務大臣(坂田英一君) もちろんこれは、農林省ばかりではございませんが、農林省が主になってすべて農業政策を立てておるわけでございます。なお、いろいろお話がありましたが、さようないろいろの、同友会等のいろいろの研究の結果というものがあった場合に、参考にすべきものはそれはもちろんいたしまするけれども、そういうことによって農業政策を立てるのではございません。十分この農業の根本的な考え方をもって進めるわけでございます。先ほど申しましたように、農業のやつはそう簡単にいくものではないのでありまして、相当の時間をかける。もちろんアメリカといえども、農林大臣のフリーマンのごときも、三百万人農業から出したらかえっていいんじゃないか——あそこの国は日本と違って余っておる国ですが、そういう議論があったときに、いまの農務長官が全般的にそれに反対をして、そしてアメリカの世論を、それに対する非常な反対をやって、現在落ちついておるようなわけでございます。もちろん現実の問題としては、それは人の減るということもありましょうが、そういうことでございまして、農林省で立ててまいるわけでございます。
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野溝勝#11
○野溝勝君 では、また後刻各論にわたって農林大臣からお伺いいたします。
 それでは大蔵大臣に、私は三点をあげましてあなたの御所見を簡明にお聞きしておきたいと思う。
 まず第一は、先ほど農林大臣も格差の点を認めております。所得格差、その点はまことに遺憾だということを認めております。農業が今日振るわないその原因は、私は所得格差にもあると思うんです。こればかりではないですけれども、所得格差が私は大きな原因をなしておる。で、こまかい数字のことは申しません、すでにおわかりだと思う。ただ一点申し上げたいと思うのは、御承知のように、労働生産性、生産指数の比較でございますが、これは政府で出したのでございますから、この数字に間違いがあるとするならば政府がうそをついたということになるんですが、生産指数の比較ですが、昭和三十五年を一〇〇といたしまして、三十六年は一〇二、三十七年が一〇七、三十八年が一〇五、三十九年が一一〇。これに対して鉱工業の指数ですが、三十五年を一〇〇とすれば、三十六年が一〇八、三十七年が一一九・七、それから三十八年が一二七。それから労働生産性の比較は省略いたします。このほか、就業者一人当り実質国民所得の比較を見ますると、これは三十九年の統計しか私は得ていませんが、大体農業は、第二次産業、第三次産業に比べて三分の一以下です。基調は一向に変っていない。こういう所得格差ですね。これは私は、農業が非常に成長したといいましても、この格差というものは、経済成長期においてますます拡大するわけであるから、このままいくならばやはりこのはなはだしい格差というものは変わらないように思うのです。詳細の数字はここにありますが……。大蔵大臣も農林大臣をやられて非常に経験されておるのですから、そういう点についてどういうふうに一体大蔵大臣としては考えておるか、この点が一つ。
 それから農業基本法のうち、特に私が聞きたいのは、予算効率の問題ですが、予算効率の問題でお聞きしたいことは、最近御承知のごとく、非常に農業というものがだんだんと追い込められてきまして、専業農家というものは、統計にもあらわれておるとおり、二割ぐらいしかないですね。兼業農業とは主体性のない農業なんですね。こういうふうになってくると、幾ら農業の近代化、構造改善、いろいろ進めてみても、なかなか所得の格差がこうはなはだしくて、さらに経営上困難になってくれば、やはり農業を放棄して農業外の収入というものにたよらざるを得ないのですね。こういう点をひとつ大臣は、農林大臣とともにどういうふうに今後善処しようと思うのか、ひとつ聞いておきたい。
 それからいま一つは、税制の問題ですが、この税制の問題などについても、今回は大幅の大減税だと言われておりますけれども、特別減税などにつきましても、農業関係は、予約減税などで十億円ぐらいのものです。きょう中山君も、物価懇談会において、予約減税だの、あれは時期別格差加算金などというものは間違っておる、私も理論的にそれは間違っておると思う。いつもこれが臨時立法として出るときに私は言っておる。それは百も承知なんです。しかし、それならば所得格差をどうするか、こういう点を真剣に考えて、基幹の問題を考えないで末梢的な問題のみを取り上げるという技術的見解には私は反対なんです。そこで、その問題についてひとつ大臣はどういうふうに考えておられるか。
 それから最後に、農林金融の問題です。これはいまの財政金融から真剣に考えなければならぬ時期だと思っております。農林という名前はいいが、農林といっても、何千何百億というものは農林中金でも出しておりますが、根本的に問題がある。昭和四十年四月末現在の貸し出し状況をみると、貸し出し総額七千六百七十八億六千三百万円、そのうち系統内の貸し出しというものはわずか八・六%、系統外へ出しているものが実は八〇・三%、農林大臣、あなたのほうで監督しておるんだから間違いないでしょう。この農林中金資料にちゃんと出ておる。この数字は間違いないと思う。こういうような状態です。そういうことでは何の一体農林金融かわからない、さらに驚くなかれ、これは大蔵大臣も知っておるわけです。このうちコールローン一万九百九十五億八百万円まことにこれはおかしいことですね、これが二割二分です、系統内の金融に八%出しておる、八〇%も系統外に出して、そのコールかせぎが二割二分、高利貸しのようなこんなまねをしておって一体系統内の農林金融としてだれが一体受けつけますか、二兆円を突破するところのばく大なる預金をさして、これで一体私は農林大臣も大蔵大臣も単に農林という字がついておるからこれを支援しなければならぬという態度はいかぬと思う。こういう点についてどういうふうに一体考えるのです、どういうふうに一体金融政策をしていくか、また、農民金融として徹底した勤労農民なり耕作農民に安い金利で安易に長期に借りられる方法はどういうふうにするかということを真剣に私は考えてもらいたいと思うのです。これを申し上げまして、大蔵大臣に関する質問といたしましてはこれをもって私は一応終わりますけれども。
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福田赳夫#12
○国務大臣(福田赳夫君) 私も野溝さん同様農村の現状ですね、非常に心配しておる。農村の維持育成これは大事な行政だと思うのです。いま所得格差問題を中心にしてお話がありましたが、私の記憶いたしますところでは、大体農業生産が多少のでこぼこありまするけれども、年に三%ぐらいふえる——三%ふえるということは農業人口が現実におきましては、三十万、四十万減ります。ですから一戸あたりの所得ということになりますると四%若干こえる状況ではないか、そんな感じがいたします。それにいたしましても、安定成長率というもの七、八%、これに比べると開きがあるわけで、何とかしてその間のギャップを埋める施策というものが必要である、こういうふうに考えるわけであります。しかし、私はその埋め方というものがただ単なる所得保障的なものであってはいけない、やっぱり農村の生産性を向上するために農村にかわって政府が投資をするという考え方をとるべきである、そういうふうに考えるわけでありますが、しかし、生産性向上のための諸施策これは農林省が全力を掲げてやる問題でありまするが、しかし、それだけでは足らないので、農村環境——農家という問題、農業という問題のその環境、つまり農村対策という問題があると思います。この問題を度外視して農業問題というものは私は解決できないと思います。あるいは農業の労働力の問題あるいは厚生省の所管する諸問題もございます。あるいは建設省の所管する諸問題もある。私は、農業生産性を担当する農林省は、これはもとよりでありますけれども、農村対策という見地から政府が総がかりになって初めて解決できるんじゃないか、そういう感じがしてならないのであります。つまり総がかりでやらなければ解決できない問題である。それで、その中心をなすのはやはり生産性向上政策でありまするが、たとえば、いまでも相当いろいろ農村対策は行なわれておると思うのです。たとえば国民年金という問題がある。この発想ですね、これは私もそういう問題の推進、創設に参画したのですが、農村にひとつ年金をという考え方であります。まあつとめ人は大かたいろいろな意味における年金制度がある。中小企業の人で特殊なものはそういう制度はありませんけれども、ところが、ただ、ないおもなものは農村である。農家が一生働いて、そうして何らの老後の保障がない。何とか考えなきゃならぬということから国民年金という制度が始まっておるわけです。実態は農家年金である、そういうふうに考えておるわけでありますが、あるいは国民健康保険、こういう問題にいたしましても、その対象とするところは農村なんであります。そういうふうにいろいろなことを考えており、また、今後も考えなければならぬ問題かと思いまするが、とにかく農村というものは、私は日本の全体の産業形成また立地計画、そういうような観点から見てきわめて重大なことであり、私どもの財政経済の面から見ましても、やっぱり食糧を今日八割程度自給しておりますが、これを大幅に割るというような状態は、私は健全な日本の経済の姿じゃない、こういうふうに思います。そういうことを考えましても、農業として農家が立っていけるような施策というものを真剣に考えなければならぬ、そういうふうに思うわけであります。
 税制のことにつきまして触れられましたが、これはいま農村は所得税あたりから見ましても納税者が非常に減ってまいりました。人数は忘れましたが、所得税の額は、今度の減税後におきましては所得税額が二十億を割ると、こういうような状態にあるわけであります。さらに私どもは課税最低限の引き上げというものに今後努力していくんですが、その均てん度合いというものは、これらの農業従事者、農業所得に対して特に重く響いていく、特に恩恵的に響いていく、かように考えておるわけであります。まあ農村の税の問題は、そういうふうに考えてみますと、ウエートはなくなってきておるように思うんです。ただ金融の問題、いま御指摘がありましたが、私もこれは非常に頭が痛い問題でありまして、いま系統金融のあり方、いまの数字自体につきまして、私もちょっと納得しかねる点があるのですが、系統内でもっと貸しておると思います。系統及び系統関連というものを合わせますと、これはもう大半がそういうほうに使われておると思いますが、それにしても系統外に相当の金が流れる。そういうことを是正するためにいま近代化資金という制度がとられておるわけです。ただ、問題でありますのは、私はこの国家的補助のない、近代化資金に該当しない普通の農業系統融資が非常に金利が高いという問題です。つまり金融機関としての近代化、合理化という問題を農業系統金融においていかに実現していくか、こういう問題であります。いろいろな意見が出ておりまするが、いずれもなかなか一長一短あって、しかもその間には政治的な配慮をもって考えなければならぬ性格のものも伏在しておるわけでありまして、非常にむずかしいのでありまするが、私もこれをむずかしいからと言ってほおっておくわけにはいかぬ。今後もいろいろ御意見等も承らしていただきまして、そうして農林省が中心になってやるべきことですが、協力してこの系統金融というものが農業の、ただいま申し上げましたような使命ですね、実現のためにお役に立つように動くというふうにいたしたいものだと、かように考えておるわけであります。
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野溝勝#13
○野溝勝君 私はですね、ここで、あなたとその資料に基づいて論争したくはありませんが、ただ、この一点だけはひとつ大蔵当局も認識しておいてください。
 系統外と系統内の数字は違うと言っておりますが——銀行局長、そこで君、誤った指図をしては困る。これはまあ大臣に……。系統外、系統内、この系統内というのは、特に農業に関係があるから私は系統内だと見るとするなら、それは間違っておると思います。たとえば系統外で出しておるのは化学肥料、農業機材、農薬、合成樹脂加工、包装資材、酒類、砂糖、びん、かん詰め、植物性食用油、生糸、乳牛、食肉加工、飼料、食品問屋、遠洋漁業、製氷、冷蔵、漁業資材、紙パルプ、木材加工、これは農業と関係がないということは、私はないと思います。しかし、耕作農民はできやしないのですから、経営の主体がどこにあるかということによって決定を、判断をしなければならないと思うのです。こういうことは擬装ですから、こういう点において、私は系統外、系統内ということを申したわけですが、その点を、十分私はその内容を検討してもらいたいと思います。
 それから、大蔵大臣が非常に税の問題で、農村には二十億円くらいしかの所得税の課税がない。これは私もよく承知しておりますけれども、大体そのくらいしかないという、五百何十万戸の戸数に、その所得税を納める戸数がそれくらいしかないということは、いかに所得格差がはなはだしいかという点を、これはやはり大臣、よく検討してもらわなければならぬ。
 それから最後に、私はもう一つ、これは大臣お忙しいから私は注文しておきますが、非常に大臣も努力されておるけれども、農林省がいろいろ考えておるその点について、特に日本の予算を検討すればおわかりのとおりで、あまりにもひどいですね、ひどいのだ、予算が。と申すのは、これは河野君が、昭和二十九年だと思ったが、農林大臣をやったときに、補助政策というものは、いい悪いは別として、あのとき融資政策に切りかえたわけですが、それ以来農林予算というものは半減した。戦前ですら一六ないし一七%もあったのですよ。これは特に大蔵大臣は銀行局長や主税局長もやっておったからよくわかっていると思うのですが、いまどうです。ワクにはめられたように、毎年一〇%前後じゃありませんか。予算のワクは大きくなりましても比率はやっぱりそのとおりなんですね。こまかい数字は私は申し上げませんけれども、おわかりのとおりです。こういう点についても私は十分検討して、予算措置などについても大蔵大臣は特に私は留意願いたいと思うのです。まあ以上を私申し上げて、大臣お急ぎのようでございますから、私の意見、質問は終わりますが、私は結論として、先ほど申したとおり、単に私は政府を糾弾するとか、そういう意味じゃないですよ。あげ足をとってどうという意味ではないのです。真剣に日本の農業というものの地位がこのままじゃ非常に危険なんですよ。一部成功したあれもあります。あるけれども、なかなかそういう状態に至っておらぬのです。だから私はこういう点についてひとつ、前の政策をやってきたからそれをちょっと直すわけにいかぬと、だんだんベトナム戦争みたいにどろ沼の中に入るようなことはやめて、私は考えてもらいたいと思う。どんな人だってなかなか政策はそれは思うようにいきませんよ。財政金融との関係もあればいろいろな事情もありましょう。しかし、納得のできるようにやっていかなきゃいかぬのです。それには何としてもやはり所得がつり合うかどうかというところに問題があるのでございまして、私は、ほかの白書が出ておったり、ほかの教授がいろいろ言う意見などは参考にはするけれども、関心を持ちません。皆この所得の点について真剣に考えておらない。私はほんとうに日本の民族産業として、農業はどうなってもいいというのなら別でございますけれども、いまのように兼業農家ばかりどんどんできてしまって、専業農家は二割、こんな状態になってくるととんでもないことになりますから、これは両大臣にとくと私は御配慮を願いたい。これをもって私は大蔵大臣に対する意見を終わります。
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山崎斉#14
○委員長(山崎斉君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
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山崎斉#15
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
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坂田英一#16
○国務大臣(坂田英一君) この金融の面から申しますと、この農林中金の預金がとにかく非常に伸びて、預金のほうが非常に伸びる。そうしていま御指摘のように、数量はそうほとんどたいしたことではございませんけれども、員外の貸し付けがふえておる。もちろん関連産業のほうが大部分でございますけれども、大体お話しの関連産業のほうが相当伸びている。あるいはそのほかの金融機関にも貸し付けられておるというのが、いままでの関係からいくと事実でございます。と申しますのは、一つは農村のほうとしても預金はして、その預金の金利を高くしてもらって、それを有効に利用してもらうというような方向のものがいままで非常に多い。そういうことのために、いろいろな問題がそこに発生してまいっておるということ、これは野溝委員もよく御存じのことでありますが、こまかくは申しませんが、そういう実態であるわけでございます。ところがいま現在、この金利が非常に下がってきたといったような問題を機会にしまして、この系統金融の使い方等についても非常にこれは考えなければならないということは真剣に考えられておりますので、また、農林省といたしましても、これらがいまお話しのように、やはり主としてこれは員外利用という方向にでき得る限り向いていくことが必要である、こう思うのでございます。したがって、その一つの方法として近代化資金の道をおいて、それらに対して国の助成をして近代化資金というものを相当程度出していくということを前もってやったわけでございまするが、最近の、いまの農林中金等の貸し付けその他に対する問題につきましても、それらのことを中心にしてただいま検討を加えつつあるわけでございます。本質としては、もちろんそういう方向に、いわゆる員外利用として、そういうところに重点を置いて進むようにいたさなければならぬことは言うまでもないのです。ただ、現実問題として非常に、そういろ農村のほうとしての問題とすれば、やはり金利を高くしてもらっていきたい、あるいは下のほうの単協のほうとしては、むしろ金融によって金利をもらって、そしてそれでもって購買事業なり、利用事業なりをやっておるという方向に出ておるようなこともあったりして、まことにその点は私どもとしても現在の情勢になってみますというと、なおさらこれを改めていかなきゃならぬというので、現在それらの点の是正について十分考究中でございます。大体そういうことでございます。
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野溝勝#17
○野溝勝君 数字のことですから、また機会をとらえて十分話したいと思うんですが、農林大臣、あなたは熱心にやられておるでしょうけれども、どうもピントが合わないんだな、私らとの間には。あなた自身はそれで熱心にやられておるんだが、私どもの角度は農業というものは合わない、農業というものはだめだぞ、こういう意味なんですよ。あなた自身も農業が自給自足のできるように、まあ経済がそういうふうな自立性を持てる程度に努力するということについては一致しているでしょう。それなら、いまの格差をどうするかという点についても、これは一致しておるわけなんですね。ところが、少々格差はあるというだけではおかしいんですよ。少々あるというような考えでおれば、農業やっていけないから放棄するのですね。主管大臣としては、こういう点を私は大蔵大臣にやはり強くひざをまじえて折衝してもらいたいと思うのですよ。その意味で私は大蔵大臣を招致というか、ここへ招いたんですがね、委員長にお願いして。ですから、それで銀行局長、あなたからひとつ大蔵大臣によくもう一回伝えてくれ。大体国民所得——あなたも知っておるけれども、ちゃんと書いておいてくれよ。産業別国民所得で、これは最近の新しいのですが、三十五年十二兆のうち農業は一兆三千億、三十六年が十四兆中農業は一兆四千億、三十七年が十五兆七千億中一兆五千八百億、三十八年が十八兆中一兆六千八百億、三十九年は二十兆中一兆八千億で、構成比はどんどん下がってきている。三十九年農業所得は八・九%、鉱工業とか第二次産業は、四九・六。サービス業、製造業、卸業第三次産業が三八・五%、これは政府統計だから間違いない。「ポケット農林水産統計」、農林大臣の管轄だ。あなた決裁したに違いない。われわれの同僚委員である農林委員である鶴園さんなども、ちゃんとこの統計は見ておる。ですから、こういう点から見ても、いかに私は格差がはなはだしいかということは幾何級数的に——算術的にじゃないのです。二から四、四から八というふうにぐぐっといくのだね。だからそういう点から見ても、少々格差があるというような農林大臣の感覚はどうかと思うのです。そこで、さらに三十九年度の農家の生活水準は、勤労者世帯の七九・二%だったが、これは年率一六%もの高率で依存度を高めている。農外所得五二・二%を含めての農家全体の数字である、こういうのも出ておりますが、あなたの言うように、それは非常に農外所得というものがあるのですから、それを含んでおるのですから、そういう点があなたとぼくとの少し考えが違っておる点だと思うのです。そういう点もひとつ十分考えて、今後とも格差の点について、所得の点について真剣に考えなければ、農業基本法など、あなたたちが考えておりましても、なかなか前進をしないということを申しておる。近代化資金といっても、普通妥当性を持った、農家のいわゆる所得じゃないですから、そういう点をひとつ——きょうは農林省の局長諸君も出ておられるようでございますから、中堅の諸君がひとつ真剣になって、日本を守るのですからね、これは。農林省を守るのじゃないですよ。大事な時期でございますから、十分私はそういう点について深く検討もされておることでありましょうが、強く推進をしていただきたいと思うのです。
 これは答弁はよろしゅうございますけれども、希望しておきます。
 次に、問題の中心でございまする農業基本法の問題について、少しくお伺いしてみたいと思います。
 先ほど来、大臣もいろいろ申されましたが、どういう一体政策でいくのかということに対して明確なお答えがありません。右へ行っているのか左へ行っているのか、どうも私にはさっぱり受け取れないのでございまするが、話の大体経緯から見まして、農業基本法を中心に農政をやっていこうというようなふうにも伺えたのでございますから、この際あらためてお伺いしたいと思います。
 農業基本法は、すでに目的に示されておるとおりでございます。しかし、目的に示されてはおりますが、その目的のとおりにいっておらないのでございます。こういう点について、とにかく農業基本法の目的は、所得の均衡、格差の是正ということに重点があるのですね。それが以上申し上げたとおりでも、基本法の精神にあたっていないのだ、実際は私が数字で示すごとく。ですから、こういう基本法について、私自身は、もう過去のあれにとらわれるのでなくて、本年度は間に合いませんよ、本年度は間に合いませんが、来年度はこれはむしろ、私は局長連中に聞きたい。大臣はいつまでやっているかわからぬから、どなたでもよろしい。責任のある局長からお伺いしたいのでございます。基本法に基づいた政策を修正するといったのではあれだが、総理大臣でさえ、政策の中で、高度経済成長から、安定路線を言っているじゃないですか。だから、その精神に沿って、あなた方も発言していいと思うのです。できると思う。あなたたちの感覚をひとつ、お聞きしたいと思う。どなたでもよろしゅうございます。局長からどなたか。
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坂田英一#18
○国務大臣(坂田英一君) 農業基本法の問題、この問題でございますが、この生産性向上、あるいは所得の向上という問題、これを第一条の目標として進めておるのでございます。この基本法を、いま修正するということは、別にその必要を認めないのであって、この基本法の趣旨に沿って、さらに一そう一段と努力をすべきものである、こう考えておるのであって、これを修正するという考えを持っていないのでございます。何か、これらについての問題について、私どもは、いま申しましたように、部分的にいろいろ、基本法に基づいてやっておりまする事業、あるいは事業についてこれらはどうするかという、そういう点はあると思いまするけれども、この基本法をいま改正するとか、そういう段階ではないと、かように考えております。
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野溝勝#19
○野溝勝君 私は、さっきから大臣に申し上げておるとおり、あげ足をとろうとか、そういうような気持ちでやっておるのじゃないのですよ。だけれども、あんた自身が認めているじゃないですか。
 それから、私が先ほど、農林金融の問題でも、税制の問題でも、たとえば所得関係のいろいろな問題でも、まあ福田君は、社会保障の問題、年金と言ったけれども、農業年金なんというのは、何を言っているんだ。無拠出年金じゃないじゃないか。拠出年金じゃないか。そんなものは、まあこっちは反対じゃないけれども、そんなことが農業基本法の目的をいかすことには、ならぬのですよ。
 だから私は、変えろとか何とか言うのじゃなくて、十分検討してくださいと言うのですよ。その検討は、それを守るということでなくて、農民にこたえる、前向きの姿勢で考えてくれと、こう言うのですよ。それに加えて、前にやった政策を少しぐらい、手直しといいましょうか、反省するということは、これはだれでもあたりまえのことなんでして、それは何も坂田君が悪いというのじゃないですよ。坂田農林大臣がこうだと言うのじゃないのだ、私は。そう言うのじゃないのですよ。そんなこと、私は言いません。
 一つ一貫した流れでございますから、だれがやっても、そうあれはできません。それは承知しています。しかし、そのくらいの気魄と意気を持って前進してもらいたいというのが、私の質問の底を流れる精神なんですよ。そのことをひとつお答えいただきたい。
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坂田英一#20
○国務大臣(坂田英一君) いや、御質問の真意はわかっているのですけれども、私もいま御質問にお答えするときに、十分その趣旨に沿うようなことばが出ないために、いろいろ誤解が出ていると思う。私は、農業基本法をいま改正しなければならんというふうには考えておりません、ということなんです。しかし、この基本法に基づいていろいろ事業をやっており、あるいは政策を立てられている、そのこと自体の中には、これは全部万全であるということを考えているのではありませんので、それらの中において、現在やりました中でやはりこれは、この点は改正すべきである、この点はこういう方向に力を入れるべきであるというような問題については、それぞれの問題ごとに、考えを持っているということを申すのであって、基本法そのものの改正の必要は、いまのところない、こう考え、お答えしているのであって、さような意味合いに御了承を願えればおわかりを願えるのじゃないかと、こう考えているわけでございます。
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野溝勝#21
○野溝勝君 これ以上もういたしませんよ。責任を問われるように考えておられるらしいから、これ以上私は言いません。しかし、そういう点はほんとに、先ほども申し上げたとおり、大臣、強い要望があった、意見があったということだけは、ひとつこのことを、東南アジア閣僚会議における食糧問題も出ているわけですから、あなたもそういう点を非常に憂慮して言われているわけですから、特にきょう私がここで、委員会で発言したことに対して、私は、あなたの、今後の貿易上についても、日本の農業を守る意味においても、参考といいますか、一つの何といいますか、バックアップにはなると思うのです。ですから、この点は、強く閣議においても主張してください。特に佐藤総理にも強く要望して、誤まった後進国援助政策を、農民の犠牲の名においてやられたのでは困るから、真剣にお願いしますよ。
 それから、時間も制約されているようでございますから、先ほど大臣は、冒頭におきましてもお答え願ったのですが、自給方針を立てていく、こう言われましたね。そうすると、農業基本法というのは、果樹、園芸、畜産、これが選択的拡大品目でこういうことはうたっているが、これはひとつも農業基本法にうたってないのだが、食糧の自給関係については、どういう点で農業基本法の精神でやられるのですか。それは基本法に一体なぜ特に果樹、園芸、畜産をうたって、食糧のことをうたってないのですか。
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坂田英一#22
○国務大臣(坂田英一君) いまの御質問でありますが、それは、農業総生産の拡大という問題に包括される問題でございますが、これは、特に食糧の自給という問題はきわめて重要でありますので、その点に向かって、できる限りの努力を払ってまいるという考え方でございます。
 ただ、食糧の自給の問題のときに、将来の自給の達成がどういうふうになるかといったような見通し等については、いろいろの見通しの問題が出てまいります。その当時、長期見通しのときには、一応は米穀等については、数字上の問題としては、若干余るのじゃないかという予想が出たことがございます。しかし、それは統計上そういうふうに出たのでありますけれども、その当時としても、やはり災害が起こったり、いろいろの問題があるからして、そういう数字が出ても、現実の問題としてはそういうことではないという問題がございまして、実は私はその当時衆議院におりまして、それをそういうふうに変えないとこれは通さないといって押えたことがございまするので、よく記憶しておりますが、そういうふうなことにいたしたわけでございます。数字はそういうふうに出ておっても、災害とかいろいろな問題があるからそれはできないという問題を十分了承して、そうして文章の上においてはさように直して通したつもりでございます。その当時のことを記憶いたしますのでございます。それで、はたして将来はどうなるかという問題もございまするが、現在のところ、若干、ここ二、三年ぐらいは停滞のきみにあるわけでございまして、これらの問題は、でき得る限りの努力を払ってまいりたい。かように存じておるわけでございます。
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野溝勝#23
○野溝勝君 私は、あなたの答弁の中でお話がありましたが、あなたなどは、自由党に、まだ大臣になる前にはね、やっぱりそういう意見でしたな。自給自足。食糧のね、自給自足。そういう強い方針だった。あなたが農林省の、先ほど言ったとおり、特産課長やって、イモの生産には非常に熱を持って、あのときには自給自足を、私が農民組合の代表として折衝したときには、そういう主張をされておったのですから、その後も自民党に入ってからそういう主張をされておったんだが、大臣になると、とたんにまあぼやけてきたということはおかしい。それで、先ほど聞くというと、また本質に返った。自給自足の方針が。私の言うのは米ばかりじゃないですよ。耕種農業全体についての食糧ですからね。なたねであろうと大豆であろうと、みなこれは食糧です。先ほど自給の方針でいくと言っておるのだが、どうもその点がはっきりしないのだが、その点であいまいにされておると、実際に食糧生産する諸君も熱が入らぬですよ。ただ米だけじゃないです。なたねの現状見てごらんなさい。大豆見てごらんなさい。麦見てごらんなさい。ゆゆしきことだと思うのですね、私は。私は各県における数字をここで申しません。私はほんと大臣真剣なんだがな。ですから、そういう点で、もっと全体的な、米はじめ耕種農業に対する食糧問題、政策に対して、ほんとうに今後自給体制の方針でいくというならば、農業基本法の法律を改正しなくても、何とか行政的に私はやっていかなければならぬのじゃないかと思うのです。それには予算の裏づけもあるでしょう。だから、私はきょう大蔵大臣をここに招いて質問しているのでございます。そういう点に対するこの私の意見に対して、ひとつ農林大臣と大蔵大臣と折衝して、この間の、食糧全体に対する自給計画、政策、こういう点をお話ししてみる元気はないかな。その気力をひとつお聞きしたい。
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坂田英一#24
○国務大臣(坂田英一君) 野溝委員の熱情ある食糧自給問題については、私ども敬服する一人でございます。しかし、何でもかんでも自給ということもなかなか困難な情勢にありまするので、その点になりますると、またよく考えてまいりたい点もございます。で、短い時間で申すのはたいへん恐縮でありまするけれども、たとえば最近のような情勢のもとにおいて、やはり生活程度の向上、それからやはり栄養の関係等からして、たとえば肉類の問題が非常に増強しておる。そうすると、やはり畜産の増強というものは非常に大切になる。しかもこれを輸入するということは、よほど困難な問題でございまするので、そういう点からいきますというと、でき得る限り、肉類の自給を考えていかなければならない。こういう問題になると思う。それから、たとえば今度は蔬菜の問題にしても、生鮮食料を必要とするものでございますから、でき得る限り国内の自給という問題、これはもう申さないでも野溝委員もよく御存じのことを申すので恐縮でございますけれども、これもやはり自給でいかなければならぬと、こういうことでございます。そういうわけで、やはり自給すべきものと、それからまたある程度は輸入にまっていったほうがいいというものと、これはやはり区別して考えないと、現在のように小さな面積で人口は一億からいるのでございますから、どれもこれも自給というわけにはいきませんから、これらの点からいくと、やはり重点的に自給すべきものはどれ、それからして、しからざるものについては、これはやはり輸入にまたなければならぬ、こういうこと。それから畜産にいたしましても、たとえば飼料の草類、いわゆるつまり牛の飼料の中心である草類のごときものは、これはやはり国内でできるだけ自給しないとこれは困難でありますから、そういう方向にいきますけれども、そうでないものについてはやはり、たとえばトウモロコシあるいはマイロといったようなものになりますると、これも全部日本の中で自給をするというわけにはいきません。これらはやはり輸入によってある程度いく。これを輸入と国内生産と両方でありますが、そういうことによって進めていきたいのでありまして、どれもこれも自給というわけにはいきません。それらの関係はよく国際情勢なり、あるいは価格の問題あるいは日本国内における生産の実態ということ、それから土地利用の状態というもの等を比較対照いたしまして、いろいろの問題を検討していきたいと、こう考えておるので、この点は野溝委員も同感であろうとは思うのでございまするけれども、御無礼でございますが、そういうつもりで申しておるわけでございまするので、御了承を願いたいと思います。
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野溝勝#25
○野溝勝君 まあ時間もありませんので、結論に入りたいと思いますから急ぎますが、私は問題によっては、あなたのおっしゃるとおり、輸入もしなければならぬ。えさのごとく、濃厚飼料のごとく絶対不足のものは、これは輸入しなければならぬと思うのですよ。これはわかっておりますがね。しかし、食糧方面は自給自足ができるのですから、だからそういう点は輸入なんということばは出してはいかぬと思うのですよ。やはりこれは自給自足の体制で、どうすれば増産できるか、生産できるか、米にしても食糧にしても蔬菜にしても同じことなんです。そういう点はやはり所得との問題がありますから、そういう点を真剣に——所得の問題についてはみんな触れていないのだな。少し成長率がおくれておるという程度でごまかしておりますけれども、それはいかぬです。その点をやはり強く強調したほうがいいですよ。そうすれば農民がそれこそ希望を持てるのですよ。だから大体基本法なども所得の保障ということはないのだな。大体においては安定的な所得とか言っておりますけれども、価格政策をみればわかるが、実際は市場相場、時価相場なんですよ。そういうところに私は農業の特に食糧関係の行き詰まりが出てくると思うのですよ。あなたはたいしたことはないというふうに思っておりますが、そんなものではないのですよ。さっき私が兼業農家の話をしたとおり、容易なことではありませんから、あなた大臣のうちにその点を思い切って努力をしてください、その点を大きな声で。
 それから、畜産に関して私お聞きしますが、それは確かに畜産の増産も必要ですが、特に畜産と言っても、おもに酪農ですが、酪農などはどうでございますか。これも問題が多い、間違ってることはお互いに是正しようじゃありませんか。そんなに固執する必要はありませんよ。間違っていることは、これは国のためならぬのですからね。不足払い制度を設け、四十一年度は九十九万トンを対象として始めるわけだが、この原料乳の不足払い制度の内容を検討しますというと、一升当たり保証価格が六十九円四十三銭基準取引価格が五十九円六十四銭この差が九円ばかりあるわけです。さらに乳製品安定指標価格は、バター、脱脂乳、加糖練乳、脱脂加糖練乳、これは全部くるむんですが、これを見ると、市販の実勢価格に比べて大体一割程度低くなっているんだな。そうなってくるというと、まあ原料乳の不足払いをするといって、ここに九円のあれを設けてあるけれども、実際の安定指標価格は実勢価格に対して大体一割程度安くなっているんですな。一割安くなっている。したがって、安定指標価格からの逆算乳価である基準価格は下げられていく、これでは実際酪農家もやりづらいんです。この点は農林省出身の方がそれぞれの乳業メーカーには社長とか何とかといってすわっておられるから遠慮しているんじゃないかと思うんです。百姓のためにやるのか、出身官僚である先輩のためにやるのか、ここら辺をひとつ少し真剣に私は考えたほうがいいんじゃないかと思いますね。これはまあ深く言いませんけれども——言えといえば言いますけれども、こういうことはあまりこまかいことになるから省略いたしますが、そういう点をひとつ考えて十分検討してもらわぬと、百姓は酪農、畜産業をやる気にはなりません。
 そこで、いま一つ問題は、いまのえさの問題ですね。えさの問題などについて政府はどういうふうに考えておるか。私は長い間えさの問題については強調しておったのでございますが、ことしの食管会計の輸入飼料勘定を見ると、繰り入れが四十三億あるんだな。これは売買差額と管理などで、取り扱い業者がそっくりもうけている勘定だ。今後飼料政策をどういうようにしてやっていくんでございますかな。そして農家のほうには割り高に、コーンでも、コウリャンでも売り込まれている。当然草地農業へ向かわなければならない。ニュージーランド、オーストラリアを私見てきましたが、あそこらの草地農業は国がやっているのだからね。そういう点もいろいろ検討してみないと、草地農業といったって乳は出ないよ。それじゃ採算とれません。そうかといって、高い飼料買ったんじゃ、これまた採算とれません。行こか戻ろか峠の茶屋というのが百姓の心境なんです。困っている。そういう点、大臣、飼料政策としてどういうように考えておるんでしょう。これはこまかい問題でございますが、あなたが畜産、畜産と盛んに言うから、特に私は畜産の問題をこの際聞いておきたいと思う。御所見をひとつお聞かせ願いたい。
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坂田英一#26
○国務大臣(坂田英一君) この飼料問題につきましては、先ほどお話を申しましたとおり、もちろん草だけでいくわけではございませんので、牛のほうであれば、主として草等に力を入れるのでございますが、なお、その他の濃厚飼料につきましては、それぞれ国内のものも使いまするが、多くはやはり輸入によるものが非常に多いという状況でございます。そういう関係からいたしまして、えさに向かわす場合には特別に安くこれを配給する必要がありまするので、その濃厚飼料のうちの一割五分見当になりますか、そういうものについては国が特別に安い価格でそれらを買ってまいる、こういう方向でやっておるわけでございます。
 なお、そのほかに、先ほど草だけではと申されましたけれども、やっぱり草地の造成ということは非常に大切でございますので、今度の土地改良の造成の際においても、草地については四十万町歩の造成をやっていく、こういうことで進めておる。
 なお、裏作の問題もございまするので、それらについてもいま一応の計画といたしましては、さらに裏作の増強を十分やってまいる、こういうようなことで、国内の草を中心としての国内飼料、それから輸入によるところのもの、あるいは現在日本にありまする麦その他の穀物等にいたしましても、それらを必要な分量については飼料の方向に向かわしてまいるというようなことで進めてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。ごく概要でございますが……。
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野溝勝#27
○野溝勝君 草地農業はそれで努力するということですけれども、輸入飼料のことにつきまして具体的なお話がございませんでしたが、私はさっき四十三億と言いましたが、食管会計のあれから見るというと五百六十七億、この数字に間違いないでしょうか。
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桧垣徳太郎#28
○政府委員(桧垣徳太郎君) 食糧管理特別会計の中の飼料勘定で四十一年度に売買を行ないます会計の総額としては、いまお話しの数字でございます。その売買の操作の過程において生じます予想の欠損額が四十三億ということでございます。
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野溝勝#29
○野溝勝君 そこで、これは畜産局長からお聞きしてもいいですが、ね盛んに大臣は畜産、畜産と言うからお聞きするんですが、現在のこの輸入飼料の買い入れは、政府が業者に相当安く売って、業者もそのかわり安くするようにというわけであれしておりますですね。特にその分だけでも予算のあれから見ると四十三億が赤字だね。そうすると、政府が売買差損の二十億というものと、管理費をいま負担しておるわけだね。そうですね。そして業者を保護しておるわけだ。他方、輸入飼料メーカーには「保税措置」をとっている。そのメーカーは御承知のごとく、約五百社中の百六十社程度あるのだね。で、そのメーカーを保護して赤字を出して、国民大衆に利益しているのならいいのですけれども、メーカーが利益をしておるのだね。その間の矛盾をどういうふうに考えておるか。この点について検討されたことがあるのでございますか。いまのままでいかれるのですか。それを一つ聞いておきたいですね。現在の配合飼料七五%が輸入でありますからね。その間、これに対して検討したり何かしたことありますか。何しろこれは独占会社だからな。長い間問題なんですよ。こんなうまいことはないものね。ぬれ手でアワのつかみ取りというのはこのことだ。これは何とかならぬものですか。
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